あと少しで、手が届くところだった。 男性(59)は、名古屋市内の高架下で暮らしている。木を組み立てた「住まい」。ここから市内の料亭に通っていた。そこで働くようになって、15年余り。 料亭の敷地に、来年には寮ができるはずだった。そこに入る日を目標にしていた。それを、新型コロナウイルスが奪った。 「もうやっていけない」と親方に告げられ、4月から店は休業に入った。再開のめどは立たない。寮の計画も立ち消えになった。 「これだけ影響が出たらね」。マスク越し。自らの思いは、あまり多くは語らない。「俺よりも親方の方がショックだったと思う。相当苦労しているから。なんでコロナで潰れなきゃいけないのかって」。たばこの箱を手でいじりながら、つぶやくように話した。 名古屋にきたのは43歳のときだった。それまで、関東地方で派遣の仕事を転々としていた。寮はあったが、派遣の身には家賃の支払いが厳しかった。所持金5千円から自転車を買うお金をひねり出し、「トヨタがあるので景気がいい」と聞いた名古屋へ。2日かけてたどりついた。 手配師に紹介され、日雇いの仕事をする日々。偶然、若いころに東京の料亭でともに働いていた先輩と、名古屋駅前で再会した。「何やってるの」。先輩は、自らが営む名古屋の料亭で、親方を務めているという。「困っているなら来いよ」と誘われた。 久しぶりの包丁。それでも体が覚えていた。3万円の日当をもらい、年末など忙しいときには月に20日近く働くこともあった。 「いまは仮の姿で、本当の姿じゃない」 路上で暮らしながら、ずっとそう思っていた。料亭にできる寮に入ることが、「本当の自分」に戻るきっかけになると信じていた。 名古屋で1度、ワンルームのアパートを借りたことがある。糖尿病を患い、路上生活がつらくなったから。暮らしは落ち着いた。しかし、月4万8千円の家賃は、収入が大きく減る料亭の閑散期には大変だった。結局、路上に戻った。 結婚式前日、目の前の婚約者が… 高架下。木組みの住まいで、と… 980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
農水省が飼養基準決定 指定地域も放牧可能(日本農業新聞)
農水省は16日、新たな飼養衛生管理基準を決めた。当初案で中止としていた牛と豚の「大臣指定地域」での放牧については方針を転換、放牧を認める。指定地域以外の牛豚の放牧も、当初案では新たな畜舎の確保を求めていたが、簡易な設備でも良いようにする。生産現場からの懸念の声に配慮し、柔軟な内容に軌道修正した。 食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会が同日、新たな管理基準と特定家畜伝染病防疫指針について江藤拓農相に答申した。新たな管理基準に盛り込んだ放牧に関する制度変更は、豚では今年11月以降、牛では来年10月以降順次適用となる。 大臣指定地域は、豚熱とアフリカ豚熱、口蹄疫(こうていえき)が野生動物に広まった場合に設定する。管理基準の当初案では、指定地域での牛と豚の放牧について中止するよう明記。指定地域以外の牛と豚の放牧についても、家畜を飼養できる畜舎の確保や出荷などの準備をすることを求め、生産現場の一部からは懸念の声も出ていた。 今回の新たな管理基準では、指定地域の放牧について、豚は一定の条件下で認める。一定の条件は、給餌場所への防鳥ネットの設置と避難用設備の確保で、設備は夜間などに豚を1カ所に集め、管理ができる簡易なものを想定する。今後、詳しい内容を定めた手引きを作り、現場に周知する。 当初案で、指定地域以外の放牧に求めていた畜舎の確保は、避難用の設備の確保に変更した。 豚熱の指定地域は、ワクチン接種推奨地域の24都府県で、対象となる放牧養豚農家は14戸。11月までに避難用の設備を確保する必要があるが、2021年4月まで猶予期間を設ける。 費用負担に国の支援も 農水省は16日の参院農林水産委員会で、飼養衛生管理基準の見直しに伴う放牧養豚の扱いとして、条件付きで可能になるとの考えを示した。豚熱やアフリカ豚熱に感染し、地域に拡大するのを防ぐため、現場で対策を講じることを重視。国による支援で農家の費用負担は抑えるとした。 立憲民主党の宮沢由佳氏や国民民主党の徳永エリ氏、共産党の紙智子氏への答弁。 同省は、大臣指定地域での放牧養豚について、野生イノシシ対策の柵や給餌場所の防鳥ネット設置、家畜の避難用の簡易な設備を設けることを想定する。一連の対策を農家が講じるに当たり、江藤拓農相は、国が財政的に支援するとした。放牧養豚の条件は「超えられないような高いハードルではない」と強調し、放牧経営は今後も続けられるとの考えを示した。 藤木眞也農水政務官は「放牧養豚は野生動物との接触機会が増加し、家畜伝染病の発生リスクの高い飼養形態」と指摘。十分な対策が必要とした。 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
畜産物違法持ち込み 関空で“全員調査” 日本人でも1000人に2人(日本農業新聞)
海外からの帰国時に畜産物を違法に国内に持ち込む日本人の割合は1000人に2人(0・2%)──。農水省動物検疫所が関西国際空港で行った調査で、こうした実態が浮かび上がった。新型コロナウイルスの影響で入国者が激減する中、同空港が事実上、検疫探知犬による“全員調査”状態にあり、日本人の持ち込み実態が明らかとなった。専門家は「日本人の実態を示すデータは非常に珍しい」と話す。 外国人より低率も実数多く啓発必要 16日正午ごろ、関西国際空港では韓国・仁川空港から到着した乗客が降り立った。この便の乗客で入国するのは17人。同日の国際線の飛行機は、同便を含めて2便だけ。通常は1時間に1000人が到着する時間帯だが、閑散としていた。 新型コロナ関連の手続きを終えた乗客は、入国検査場に移り、ターンテーブルを流れる荷物を受け取る。検査場には約5分おきに1人ずつ乗客が現れた。そこへ、荷物を手にした乗客にすかさず駆け寄ったのは「検疫探知犬」だった。「太郎」「三郎」「桜」などが交代で勤務する。「スーク(匂いを嗅いで)」の掛け声を受け、乗客の荷物をくまなく調べ始めた。 検疫探知犬が探すのは、ハムやソーセージなどの畜産物だ。家畜伝染病が侵入する恐れがあるため、個人での畜産物の持ち込みは実質的に認められていない。特に、アフリカ豚熱がアジア各地で猛威を振るう中、警戒感は強まっている。 日本では、入国者に持ち込みの有無を口頭で確認したり、53頭の検疫探知犬が荷物検査したりする。2019年は、同空港で1万件の畜産物の違法持ち込みが見つかった。ただ、膨大な数の入国者を全て調べるのは難しく、どのくらいの入国者が持ち込んでいるのか、全容はよく分かっていない。 現在同空港では「入国者数が限定的で、ほぼ全ての入国者に検疫探知犬を使って荷物検査を実施できている」(同検疫所)。 5月1日から6月10日までの入国者数はちょうど2000人。現状、日本が100を超える国・地域に対して入国拒否を実施していることもあり、国籍は「基本的に全て日本人」(同検疫所)だった。 同期間中の畜産物の持ち込み数は4件(4人で計800グラム)。口頭で発覚したのが2件、検疫探知犬が見つけたのが2件だった。結果、同期間中に帰国した日本人(2000人)のうち、畜産物を違法に持ち込んだ人(4人)の割合は0・2%となった。 日本農業新聞はこれまで、外国人を対象にした調査を実施。昨年5月中旬から同6月上旬にかけて、アフリカ豚熱の発生国から訪れた外国人(202人)に実施した聞き取り調査では、持ち込んだ人の割合は8%に上った。 東京大学大学院、宮崎大学と共同で、訪日中国人(248人)を対象に昨年8月に行った調査では、アフリカ豚熱の侵入源となる豚肉製品について、全体の2・8%が持ち込んだと答えた。今回はこれらを下回った。 畜産物の違法持ち込みに詳しい東京大学大学院の杉浦勝明教授の話 乗客層は平常時と異なると考えられるものの、今回の結果は、日本人による違法持ち込みの実態を示す一定の指標となる。 (過去の調査結果と比べると)持ち込む人の割合は、日本人の方が外国人よりもはるかに低い。今回の結果だけを見れば量も少なく、日本人による家畜伝染病の持ち込みリスクは低いと考えられる。ただ、日本人はそもそも入国者数が多いので、引き続き啓発活動を行う必要はある。 日本農業新聞 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
新型コロナ治療の最前線に立つ医療従事者の写真、表参道駅に展示 にじんだ誇りや緊張感「貴さを感じて」(withnews)
新型コロナウイルス感染症の治療にかかわる医師や看護師らへの感謝を示すポートレート写真展が、東京メトロ表参道駅で開かれています。展示写真を見ると、治療の最前線に立つ医療スタッフたちの緊張感が伝わってきます。企画した写真家の宮本直孝さん(59)は「実は拍子抜けするほど簡単に、よい表情が撮影できた」と語ります。写真展の狙いや、撮影の裏側について、宮本さんに尋ねました。写真展は21日まで。(朝日新聞記者・岩井建樹) 【写真特集】医師や看護師だけでなく検査技師や事務職員・管理職も……写真から伝わるそれぞれの思い 写真通し「ありがとう。」 宮本さんは広告や雑誌など商業写真の撮影を仕事とする一方、アザや顔の変形など外見に症状がある夫婦、ダウン症のある子とその母親、日本で暮らす難民といったマイノリティや社会問題にかかわる写真展を開催してきました。 今回のテーマは「ありがとう。がんばろう。」。コロナ禍で、多くの人たちが不安に陥っている今、写真家としてできることは何かと、宮本さんは考えました。 「医療従事者の頑張りが、コロナ禍にある社会を支えてくれています。『彼らに感謝を示そう』とよく耳にしますが、抽象的な言葉だけではなかなか実感がわきません。写真を通し、リアルな存在として医療従事者を感じてもらえれば、感謝の気持ちも自然にわきでるのではないかと思いました」 「カメラマンとしての興味もありました。私は『顔ににじみ出る内面』をカメラに収めたい。治療に邁進している医療従事者は、きっと『いい顔』をしているのではないかとの期待がありました」 治療現場の緊張感そのままに 撮影は、今月1日から2日間にわたり、東京・新宿の国立国際医療研究センターで行われました。同センターは全国4カ所の特定感染症指定医療機関の一つで、新型コロナ感染症の治療にあたっています。職員は業務の合間をぬって、一人あたり15分ほどの撮影に参加しました。 「限られた時間の中でどこまで内面が引き出せるのか不安でした。これまでのポートレート写真展では、私が納得できる表情を撮るため、コミュニケーションを取りながら数時間をかけることもあったので」 「ところが始めて、びっくり。すぐに『よい顔』が撮れました。普通、カメラの前に立つと、『格好よく撮ってもらおう』『素敵な笑顔で映りたい』といった欲が出ます。それによって秘められた内面や感情が隠れてしまう。でも、今回協力してくれた方々には、そういった欲がなかった。自分がどう見られるかということよりも、病院の代表、そして医療従事者としての誇りや責任感のほうが強い。命を守る医療現場を支える人たちは、さすがに違うなと思いました」 「ある看護師の女性が撮影場所に現れたとき、看護現場の緊張感をそのまま持ってこられたと思うほどでした。こういった方がカメラの前に立つと、表情や目の力が違います」 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
岩手・宮城内陸地震から12年 栗駒山の温泉施設が新型コロナで再び苦境に…【宮城発】(FNNプライムオンライン)
再開見通せず、休業したままの「駒の湯温泉」 岩手・宮城内陸地震から、6月14日で12年。宮城・栗原市で震度6強を観測。 県内では14人が亡くなり、4人が行方不明となった。 【画像】誰もいない温泉…施設の現状 被害を乗り越えて再開した栗駒山の温泉施設は、新型コロナウイルスの影響で再び、苦境に立たされている。 栗駒山中腹にある「駒の湯温泉」は、毎年、雪解けを待って4月下旬にオープンするが、2020年は、新型コロナウイルスの影響で休業したまま。 駒の湯温泉 主人・菅原昭夫さん(64): 十三回忌にこういうことになってしまって… 駒の湯温泉は、全国から温泉ファンが訪れていたが、内陸地震で発生した土石流で被害を受け、宿泊客と従業員、菅原さんの母と兄、あわせて7人が犠牲になった。 江戸時代に開湯して、2020年で402年。「このお湯を守りたい」という一心で、5年前、日帰り温泉として営業を再開した。 しかし、浴室や脱衣所は大人3人ほどでいっぱいになるため、今は「再開の時期は見通せない」という。 駒の湯温泉 主人・菅原昭夫さん: 電話、問い合わせいただいている中で心苦しいが、温泉ファンは全国から集まってくるので、お客さまを振り分けるというか、制限することになるので、もう少し世の中が穏やかになってから、少しずつは受け入れたい 「また忘れられると…」営業再開に踏み切る「山脈ハウス」 同じ耕英地区にある日帰り温泉施設「山脈ハウス」。営業再開を前に、施設を運営する住民たちが草刈りに追われていた。 6月6日から、週4日のみの営業再開に踏み切った。 組合の代表・大場浩徳さん(59): 洗い場の腰掛けも、もう少し減らそうかと思っている。 内陸地震で、地区に通じる道路が寸断された耕英地区。 山脈ハウスが営業再開できたのは、地震から2年後の2010年。しかし、翌年、東日本大震災が発生。さらに、2019年は東日本台風の影響で、書き入れ時の紅葉シーズンに売り上げが落ち込んだ。再開を前に、食堂の座席も向かいあわないよう工夫したが…。 組合の代表・大場浩徳さん: 10月(紅葉シーズン)の時、土日は満席で、このくらいの席でお客さんを回していくと、どんなに時間がかかるのか…大変だなと思う。やっぱりでも、開店して、いくらかでも山に来る人たちに、ここの恵みというか、イワナでも食べてもらえれば。また忘れられると大変なので、やれるだけやってみたい Source : 国内 – Yahoo!ニュース
動画解説 6月17日(水) 朝のウェザーニュース お天気キャスター解説(ウェザーニュース)
ウェザーニュース きょう6月17日(水)の全国の天気をウェザーニュースキャスター駒木結衣がお伝えします。 中国四国から東北は晴れて気温が上昇。30度前後まで上がるところが多くなりそうです。熱中症対策が欠かせません。 また、梅雨前線が北上するため、九州は次第に梅雨空が広がります。昼頃から雨が降り出すところもあり、夜にかけて雨の範囲が拡大していく見込みです。北海道は雲が広がり一時的に雨が降るため、外出時は傘があると安心です。 明日から金曜日にかけて西日本で大雨の恐れがあり、警戒が必要です。雨への備えは早いうちに行って下さい。今後も最新情報をご確認くださいね。 それでは、今日も良い1日を! Source : 国内 – Yahoo!ニュース
週間天気予報 明日~明後日は広範囲で雨、強雨や大雨に注意(ウェザーニュース)
明日、明後日は、西日本を中心に強い雨が降り、大雨となるおそれがあります。週末以降は梅雨前線が南下して沖縄で雨を降らせ、西日本を中心に晴れますが、東日本や北日本では曇りや雨で気温の低めの日がある予想です。 ■この先1週間のポイント■ ・明日~明後日は強い雨・大雨のおそれ ・沖縄、奄美は週末以降雨の日多く ・関東や北日本は暑さ落ち着く 明日~明後日は強い雨・大雨のおそれ 今日から梅雨前線が北上して本州に接近し始めます。また前線上を進む低気圧が九州から東日本の太平洋側へ通過するため、明日18日(木)から19日(金)にかけては広範囲で雨が降り、強い雨が降るところがある見込みです。 九州北部や中国地方西部の一部地域では、2日間の総雨量が200mmから300mm程度の大雨となるおそれがあります。道路の冠水や河川の増水だけでなく、地盤が緩むことで起こる土砂災害等にも警戒が必要です。 随時最新の気象情報、交通情報、避難情報等の必要な情報を確認するようにしてください。 沖縄、奄美は週末以降雨の日多く 先週梅雨明けの発表があった沖縄では今週末の20日(土)以降、梅雨前線が停滞して曇りや雨の日が続く「戻り梅雨」が予想されます。 時折活発な雨雲が通過して強い雨が降るおそれがあるため、天気が心配な日が続く見込みです。 関東や北日本は暑さ落ち着く 今週末以降、中部以西の各地では晴れて30℃前後の暑さとなるとことが多い予想です。 一方で関東や北日本では、湿った東風や上空の寒気の影響を受け、曇りや雨の日がある見込みです。気温は平年並みか低い日もある予想で、暑さは落ち着き肌寒く感じるところもありそうです。体調管理にご注意ください。 ウェザーニュース Source : 国内 – Yahoo!ニュース
東京で27人感染、半数以上は20代 「夜の街」10人
東京都は16日、新型コロナウイルスの感染者が新たに27人、死者が2人確認されたと発表した。1日あたりの感染者は6日連続で20人を超えた。都内の感染者は累計で5619人、死者は316人。 都によると、新たに確認された27人を年代別にみると20代が14人と最も多く、30代が7人で続く。27人のうち、接待を伴う飲食店などで感染したとみられる「夜の街」関連は10人いた。14、15日に発覚したようなクラスター(感染者集団)は確認されていない。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北九州市で新たに1人感染 福岡県内延べ827人に
北九州市は16日、新型コロナウイルスの感染者を新たに1人確認したと発表した。204件のPCR検査を実施して判明した。福岡県内の感染者は計827人となった。 北九州市では5月23日から19日連続で計147人の陽性が判明。6月11日は20日ぶりに感染者が確認されなかったが、12日から5日連続で計9人の感染が確認された。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
産経新聞社、賭けマージャン参加の記者を懲戒処分
緊急事態宣言下で東京高検の黒川弘務・前検事長=辞職=と産経新聞記者、朝日新聞社員=停職1カ月=が賭けマージャンをしていた問題で、産経新聞社は16日、参加していた東京本社社会部次長と記者=いずれも現在は編集局付=を出勤停止(停職)4週間とする懲戒処分を決め、発表した。取材に関連して賭けマージャンをするのは社内規定に違反し、不適切とした。 また、監督責任を問い、編集担当の鳥居洋介取締役を減俸、井口文彦編集局長と中村将(かつし)社会部長を減給の処分とした。飯塚浩彦社長は報酬の一部を自主返上するという。 同社は「取材源を秘匿する」として、マージャンをしたのが黒川氏だったとは認めていない。 同社などによると、次長と記者の2人は、緊急事態宣言中に、東京都内にある記者宅に黒川氏と朝日新聞社員の4人で7回集まり、少なくとも4回は賭けマージャンをしていた。レートは1千点100円換算の「点ピン」で、勝つと最大で2万円程度を得ていたという。次長は7回とも、社のハイヤーで黒川氏を送り、車内で取材。帰宅後に取材メモを作っていた。 次長は司法担当だった2008年ごろ、法務省幹部職だった黒川氏と知り合い、マージャンに誘われるようになったという。3年前ごろから、4人のメンバーが固定され、月2、3回の頻度で集まっていた。2018年9月に記者がマージャン卓を購入してからは記者宅に集まるようになった。次長と記者は社の調査に「取材が目的だったとはいえ、緊急事態宣言下に不適切で軽率な行為だった」と反省しているという。 ◇ 産経新聞社の菅野光章取締役(コンプライアンス担当)の話 外出自粛を呼びかけていた新聞社の記者の行動として極めて不適切。信頼を裏切る行為であり、深くおわびします。 加えて重大視したのは、新聞記者の取材という行為への信頼感を著しく損ねてしまったことです。取材の難しい分野で、情報を入手したい記者にとって取材対象者とのマージャンは、取材の機会を創出できる非常に重要な場でした。それゆえに定期的な機会を持つことに注力した、との趣旨を調査で述べました。 記者が取材対象者との関係で不適切な記事を書いたり、逆に書くべきことを控えたりするなどの問題行為は認められませんでした。 しかし取材目的とはいえ、賭けマージャンは許容されるものではなく、取材対象者との「なれ合いの関係」を印象付け、新聞記者の取材活動に不透明感を与えてしまったと反省しています。 取材対象に肉薄する努力が普段から必要であると考え、記者たちにもそう指導しています。しかし、「肉薄」は社会的、法的に許容されない方法では認められず、その行動自体が情報の収集、取材、報道の正当性、信頼性を大きく損なうことになります。この当たり前のことに対する意識が甘かったと反省せざるを得ません。 今回の問題を機に私たちは襟を正し、編集局の全社員を対象にコンプライアンス研修を実施するなど、社内の記者倫理や行動規範を徹底させていきます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル