岐阜県で7月、関市の牧場で近所の子どもたちから愛されたヤギが持ち去られる事件があった。約2週間後には坂祝町の放牧場で牛が殺され、頭部や脚などがなくなった。岐阜県警はフィリピン人の男2人を窃盗容疑などで逮捕。23日に岐阜地裁御嵩支部は懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)の有罪判決を言い渡した。動機は、売ったり食べたりするためだった。 有罪判決を受けたのはともに無職の47歳と27歳の男。公判での供述などによると、2人は同じアパートに住む親戚同士。自動車関係などの工場でそれぞれ働いていたが、コロナ禍で職を失い、雇用保険をもらうなどしていた。近所で家畜を見かけ、盗むことを決断。現場で殺し、自転車で自宅まで運んで解体したという。犠牲になったヤギの「ミルキーちゃん」は8歳のメスで、「ふれあい牧場 ひつじの里」で飼われていた。肉は近所の親戚ら10人ほどに配られたという。 判決で小川貴紀裁判官は「コロナの影響などにより厳しい就労事情があったとしても、動機は安易に過ぎる。刑事責任を軽くみることはできない」と非難した。 ミルキーちゃんを失った牧場経営者の夫婦は「弁償金として被告側から5万円を受け取ったが、やっぱり許せない」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
軽症・中等症用の病床も逼迫 大阪、解消の見通し立たず
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない大阪府では重症患者用の病床だけでなく、軽症・中等症用の病床も逼迫(ひっぱく)している。府は23日夜に関係会合を開催。対応できる病床を200増やすよう求める方針を示したが、すぐに解消できる見通しはたっていない。 「第2波と比べて高齢者の入院期間が長くなっており、軽症・中等症患者が非常に増えている」。23日にあった府の新型コロナウイルス感染症対策協議会で、府健康医療部の藤井睦子部長は危機感をあらわにした。 府内の軽症・中等症患者は20日現在906人で、確保している1256床に占める使用率は72・1%に達した。重症病床の66・9%を上回った。軽症・中等症患者の使用率は22日に60%台へ下がったが、感染拡大の「第3波」が始まった10月下旬以降、軽症・中等症病床の利用者も増え続ける傾向にある。 府内に約500ある病院のうち… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャパネットたかたに課徴金 エアコン価格を不当表示
消費者庁は23日、ジャパネットたかた(長崎県佐世保市)が販売したエアコンで不当な価格表示があったとして、景品表示法違反(有利誤認)で、同社に課徴金5180万円の納付を命じた。 発表によると、同社は2017年5~6月、会員カタログやウェブサイトなどで、エアコン8商品について、「ジャパネット通常税抜(ぜいぬき)価格」から「2万円値引き」などと記載し、通常より安いかのような表示をした。だが、直近の時期には相当期間にわたって「通常税抜価格」で販売した実績がなかったという。 同社は18年10月、再発防止などを命じる措置命令を受けた。テレビでも同様の表示をしたが、テレビでは売り上げが課徴金制度の対象となる5千万円以上に満たず、エアコンだけの課徴金納付命令になった。 同社は「納付命令を真摯(しんし)に受け止め、引き続き再発防止に努めてまいります」とのコメントを出した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「芸人無料」の珍しいバー 大阪に残る理由作りたいから
スポットライトが照らす舞台の中央には1本のマイク。壁にはお笑い芸人のサインがびっしり。ここは、大阪・ミナミのお笑い芸人とお笑い好きが集まるバー「舞台袖」。大阪で生まれ育った加藤進之介さん(28)が脱サラして昨年6月に開いた。 「お笑い芸人を応援」がコンセプトで芸人の飲み食いはタダ。人件費などの固定費を削り、客の飲食代とライブチケット代で、給料が安い芸人たちを支える仕組みだ。 人気店となったが、オープンから1年足らずでコロナ禍に見舞われた。それでも、「おもろい企画はないか」と考え続けた。6月にはカウンター反対側のステージと客席の距離を保ち、来場者にフェースシールドにマスク、手袋、カッパの着用を求め、「客の私たちが感染予防しまくるから、芸人さんは好きにやってくれライブ」を開いた。お笑いに飢えた客と、笑い声に飢えた芸人が集まった。 加藤さん自身もかつては芸人を夢見ていた。自信を持てなかった中学時代、友人から「自分、ツッコミおもろいな~!」と褒められた。「ほっそいほっそい柱でしたけど、その言葉にしがみついてきました」 高校の卒業式、友達と教室で漫才をやってウケた。快感を知った。大阪大に進学後は、そこで出会った友人とコンビをつくり、「思い出づくりに」と何度かオーディションも受けた。 大学3年の冬、吉本興業の芸人養成所「NSC」に通わせて欲しいと両親に土下座して頼んだ。休学中の学費やNSCの入学費用40万円はアルバイトでためたが、母親は猛反対。「じゃあ今、おもろいことやってみ。ほら何もないやん」。返す言葉もなかった。 運命の卒業ライブは、若手漫才コンビ「たくろう」の赤木裕さんとのコンビで臨みました。 親の理解を得られぬままNSC… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「根深い偏見」看護師が語るコロナクラスター施設の苦悩
新型コロナウイルス感染症患者が増えるいま、治療やケアにあたるスタッフ不足が課題となっています。クラスター(感染者集団)が起きた施設に派遣された看護師が感じたこととは――。発展途上国や被災地で医療活動を続ける認定NPO法人「ジャパンハート」(東京)の看護師・宮田理香さんが経験を語ってくれました。人手不足に拍車をかける深刻な問題も浮かび上がります。 ――いつ、どのような施設に入ったのですか。 拡大するフェイスシールドなどを着けてケアをする、ジャパンハートの宮田理香さん(右)ら=ジャパンハート提供 11月中旬から12月下旬までの1カ月超、クラスターが発生した、北海道内の複数の介護福祉施設と病院に派遣されました。陽性者すべてを新型コロナ対応のできる病院に運ぶことはできない一方、高熱がある人や酸素投与が必要な方も少なくありませんでした。入院して行う治療と同レベルの治療をする、との道の方針を受けて医師も入り、私たち看護師もレッドゾーンの中で、治療の補助とケアにあたりました。 濃厚接触でも働き続け…… ――どのようなケアをしましたか。 酸素飽和度などバイタルサインを測り、医師の指示を受けて薬や酸素の投与をします。食事の介助や身体介助もしました。陽性者たちをケアしてきた現地スタッフの多くは、濃厚接触者にあたります。それでもぎりぎりの人員の中、働き続けている看護師や介護職員もいました。自分が発症するかもしれないとの不安をおぼえながら、皆で休むわけにもいかなかったのです。派遣で入った私たち看護師は人手不足の中、シーツ交換や掃除、ごみ捨てなどなんでもしました。 ――自身が感染するかもしれないとの不安はありませんでしたか。 もちろんあります。防護服を着… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
指定暴力団稲川会が「コロナ対策」 年末年始行事を中止
神奈川県など18都道県で活動する指定暴力団稲川会が傘下組織に対し、新型コロナウイルス対策を理由に、幹部らが多数集まる年末年始の行事を中止するとの文書を出したことが、神奈川県警の捜査関係者への取材で分かった。 文書は、新型コロナウイルスの感染者が再急増しているとして、12月27日と28日の「納会」、2021年1月7日の「年頭挨拶(あいさつ)」を感染拡大防止のため中止すると明記。「皆様に於(お)かれましては感染に充分留意、自覚して過ごされます様精進して下さい」と呼びかけている。今月22日付で、「稲川会総本部発」と記され、ファクスなどで傘下組織の事務所に送信されたという。 二つの行事は例年、同会関連の建物に幹部が集まって開かれていたという。捜査関係者は「暴力団は不摂生の高齢者が多く、事務所への出入りを減らしたり、飲み会自粛を呼びかけたり、一般の人以上に厳しく対策をとっている印象がある」と話している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ライチョウ復活作戦 半世紀ぶりに木曽駒ケ岳の空へ
「神の鳥」とも呼ばれる国の特別天然記念物、ライチョウ。長野県の中央アルプス・木曽駒ケ岳(2956メートル)では半世紀前に目撃情報が途絶え、絶滅したとされるこの山域で環境省が進める「復活作戦」では、5年後に100羽の生息を目指す。 拡大する山頂付近に設置されたケージ内で過ごすライチョウの親子=2020年8月1日、杉本康弘撮影 きっかけは2年前、登山者から寄せられた1羽のメスの目撃情報だった。環境省は落ちていた羽根やフンなどを調査し、北アルプス方面から飛来した個体と判断。プロジェクトを指揮する信州大の中村浩志名誉教授(73)によると、木曽駒ケ岳の山頂付近は低いハイマツなどが茂り、生息に適した環境が残されているという。 今年6月上旬、環境省はこのメスが山頂付近で産んだ無精卵と飼育施設の有精卵との交換に成功。5羽のひなが誕生したが、巣付近に現れたサルの群れに驚いた母鳥と離散し、寒さで全滅した。 8月上旬には、約40キロ離れ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ハタハタがいねえ」 秋田の漁師が気づいた海の異変
秋田名物のハタハタ漁に今季、異変が起きている。例年よりピークは1カ月遅れ、とれる場所も違う。記録的不漁になる可能性も出始めた。漁獲量の減少傾向を受けて、とりすぎないよう試行錯誤を重ねる漁師たちからは、切実な声が聞かれる。 港は、水揚げしたばかりのハタハタであふれていた。12月初旬の午後3時過ぎ、秋田県男鹿市の椿漁港。漁師たちが大きさごとにハタハタを選別していく。その中の一人、黙々と手を動かす能登谷(のとや)勝(まさる)さん(61)に「大漁ですね」と声をかけた。「んだんだ」。表情が少しやわらかくなった。 拡大する港でハタハタを選別する漁師たち。メスの腹からは、赤茶色のブリコ(卵の塊)がはみ出している=2020年12月9日午後3時25分、秋田県男鹿市船川港椿、高橋杏璃撮影 能登谷さんは、産卵前の魚群を沖で狙う「沖合ハタハタ漁」の漁師だ。自ら舵(かじ)を取る底引き船「大雄丸」のこの日のとれ高は3トン超。3キロ詰めの箱で1100箱になった。数日後、自分の船に割り当てられた19トンの「漁獲枠」に達した。 ただ好調になったのは12月に入ってからだった。昨年は11月のうちに漁獲枠に達していた。今年はピークが1カ月も遅れたことになる。これほど遅れて大漁期を迎えるのは、近年ないことだった。 気になることは、ほかにもある。 「いつもとってる漁場でねえんだ」。これまで漁をしてきた県央部の男鹿半島沖ではまとまった量のハタハタが入らず、12月に入ってとれた場所はすべて県南部の本荘沖だった。「ハタハタの通り道が変わったんだ」 ハタハタ ハタハタは1年の大半を水深200メートルより深い海で過ごす。産卵のために5㍍より浅い秋田県沿岸に浮上するのは、水温が下がる冬場。「雷が鳴り、海が荒れるころ」と言われる。別名「カミナリウオ」とも呼ばれる。秋田では冬の食卓に欠かせない。「ハタハタがないと正月を迎えられない」と言う人もいる。いつ初漁を迎えるかは一大関心事だ。 さかのぼること1カ月ほど前。11月半ばの日暮れ間際、港に帰ってきた能登谷さんの表情は暗かった。 拡大する能登谷さんが乗る沖合ハタハタ漁の底引き船「大雄丸」=2020年11月18日午後4時28分、秋田県男鹿市船川港椿、高橋杏璃撮影 「ハタハタがいねえ。ハタハタで生きてるんだから、死活問題だ」 1回の漁でとるハタハタは、通… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田さん再審可否、東京高裁へ差し戻し 無罪の可能性も
1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した元従業員・袴田巌さん(84)=釈放=について、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は、裁判をやり直す「再審」の開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、高裁に審理を差し戻した。高裁が改めて再審の可否を審理し直すことになり、無罪につながる再審が始まる可能性が残った。 袴田さんは、静岡地裁が2014年に再審を決定したのと同時に、48年ぶりに釈放された。今回の決定で死刑の執行停止と釈放は維持される。22日付の決定。5人の裁判官のうち3人の多数意見で、2人は「差し戻しではなく再審を開始すべきだ」と反対の立場をとった。再審に関する最高裁の審理で反対意見がついたのは初めてとみられ、極めて異例だ。 袴田さんは、みそ工場に住み込みで働いていた66年、敷地内の専務(当時41)方で一家4人をくり小刀で刺し、現金20万円などを奪って放火、殺害したとする罪に問われた。公判段階から一貫して犯行を否認している。 事件発生から1年2カ月経った… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大人食堂・無利子貸し付け…「年越し支援」はこちらへ
新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての年末年始がやってくる。収入を絶たれ、例年以上に生活に困窮する人が増えると懸念されているが、例年この時期は行政による相談窓口が閉まることも多い。支援団体や国は「切れ目のない支援」の実現に向けて動いている。無料の食事提供や生活相談の時間や連絡先、無利子で生活費を貸し付ける仕組みなどをまとめた。 年越し大人食堂 1・3日 東京都内では、来年1月1日と3日の正午から午後6時まで、聖イグナチオ教会(千代田区)で「年越し大人食堂」が開かれる。貧困や雇用などの問題に取り組む30以上の団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」が主催し、無料で各200食を手作りで提供する。今回が2度目で、昨年度の2日合計100食程度から大幅に増やした。 コロナ禍では飲食業やサービス業を中心に、非正規の職を失うなど、若年層や女性からの相談が増えているという。担当者は「これまでになく広範囲に貧困が広がっている」と危機感を募らせる。 年末年始は日雇いの仕事も減り、生活に困る人がさらに増えることが懸念される。支援団体の一つ「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は、従来の「炊き出し」には若年層や女性は訪れにくかったと指摘し、「いろいろな世代が来やすい場にしたい」と呼びかける。 感染対策のため、食事はパックなどで持ち帰ってもらう。生活や仕事の相談にも乗り、住まいがない人には東京都が用意するビジネスホテルを紹介する。自治体の窓口が開く1月4日以降は、生活保護の申請も支援する。 相談会は31日午後3~6時、東池袋中央公園(豊島区)でも開き、食料やマスクを配る。埼玉、千葉、東京、神奈川からの相談はホームページ(https://corona-kinkyu-action.com/)でも受け付ける。支援に必要な資金はクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/347557)で募っている。 弁護士らの電話相談 31~3日 一方、12月31日~1月3日には、全国の弁護士らでつくる実行委員会が「いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」を開催する。法律家ら専門家が生活や労働など幅広い相談に無料で応じる。午前10時~午後7時で、フリーダイヤル(0120・157・930)。 また、生活保護を申請しやすくしようと、「つくろい東京ファンド」はオンラインで申請できるウェブサイト(https://fumidan.org/)を立ち上げた。12月29日から1月3日、東京23区限定で同サイトでの操作から福祉事務所に申請書をファクス送信できる。それ以外の地域でも、氏名や住所などを入力することで申請書のPDFファイルが作成できる。印刷して最寄りの福祉事務所にファクスなどで送ると申請できるという。 政府も危機感を強めている。田村憲久厚生労働相は11日の閣議後会見で「年末年始にお困りになられた方々が、そのまま途方に暮れないような体制作りをお願いしている」と述べた。厚労省は生活費の特例貸し付けの申請期間を12月末から来年3月末まで延長するなどの支援を決め、自治体にも一時的な宿泊場所の確保など対策の強化を求めている。 生活資金貸し付けは申請期間延長 延長するのは、無利子で生活費を貸し付ける「緊急小口資金」と「総合支援資金」の特例対応の申請期間と、支払いが難しくなった家賃を補助する「住居確保給付金」を受給できる期間。8日に閣議決定した新型コロナ対応の経済対策に盛り込んだ。 緊急小口資金は当面の生活費が必要な休業者らに最大20万円を1回、総合支援資金は主に失業者に最大月20万円を原則3カ月(最大6カ月)、いずれも無利子・保証人不要で貸し付ける。返済時に所得の減少が続き、住民税が非課税の世帯になっている場合は返済を免除する特例もある。 住居確保給付金は、受給期間を最大9カ月から12カ月に延長した。ただし、10カ月目以降はハローワークで求職の申し込みが必要となり、資産要件も厳しくなる。 年末年始も電話で相談できる。特例貸し付けは0120・46・1999、住居確保給付金は0120・23・5572で、午前9時から午後9時まで受け付ける。 宿泊場所の確保、自治体に要請 厚労省は、自治体にも支援の強化を求めている。11月24日に出した事務連絡では、新型コロナの影響で年末に向けて解雇や雇い止めの増加が予想されるとして「迅速な対応が例年以上に必要になることが考えられる」と指摘。年末年始に相談体制や一時的な宿泊場所の確保を求めた。 また、厚労省は5月から全国80のハローワークに専門の相談員を配置し、困窮する離職者らを自治体の支援窓口とつなげる体制も整えている。年末に向け、改めて支援の徹底を呼びかける。 厚労省のホームページでは、年末年始に開所している相談窓口(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html)や、支援団体の活動など(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15468.html)のリンクを公表している。(石川春菜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル