夫婦がそれぞれの名前を変えずに結婚する。そんな選択肢を求める声が高まる一方で、議論が起こっては停滞する状況が30年近く繰り返されています。名前を変えない「事実婚」には、今もさまざまなハードルがあります。 「両親のすごさ、理解し尊敬」 息子は式で語った 「十分に認められているとは言えない夫婦別姓という形を30年以上前に選択し、歩んできた両親の考えと行動のすごさを、いまでは多少なりとも理解し、尊敬できるようになりました」 東京都調布市の山崎精一さん(71)は、4年前、結婚式での長男(36)からの言葉が忘れられない。 婚姻届を出さない「事実婚」で3人の子どもを育ててきた。選択に迷いはなかったが、心のどこかに「子どもたちには負担をかけてきたのではないか」と不安もあった。ずっと子どもたちは何も言わなかった。 長男の結婚式のスピーチで、山… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国立大、一般入試でリベンジ「悲観的にならず前向きに」
年が明け、いよいよ受験シーズンを迎えました。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。 名古屋工業大学の前田倖令(ゆきのり)さん(19)は、土木工学などを学ぶ社会工学科・環境都市分野の1年生。愛知県小牧市出身で、中学生の頃から橋やビルなどに興味があった。高校1年生で名工大のオープンキャンパスに参加して「工学系に特化した大学の方が、同じ興味関心を持つ人が多くて楽しそう」と感じた。 母子家庭で妹と弟もいるため、志望校は国公立大に絞った。環境都市分野の推薦入試は募集定員3人の狭き門だったが「少しでも合格の可能性があるなら選択肢を増やそう」と挑戦。面接の感触は悪くなかったが、物理の試験で時間配分をミスした。結果は不合格だったが「一般入試で合格すればいい」と、すぐ気持ちを切り替えた。 家計の事情から塾には行かず、気の合う友人と一緒に勉強することが多かった。「1人で黙々とやるよりも、分からないところを聞き合いながら勉強するのが自分には向いていた」と振り返る。2次試験では緊張したが、物理、数学、英語ともミスなく終えられた。「推薦入試での失敗があったからこそ、落ち着いて取り組めたと思う」 コロナ禍で合格発表の学内掲示はなく、大学のウェブサイトで確認した。携帯電話の画面で自分の番号を見つけた時は「名工大だけ目指してやってきたから、さすがにうれしかった」。現在は専門を深めるための基礎科目を中心に学ぶ。前期はオンライン授業が続いたが「同じ物理学でも、高校の時とは違う考え方も多くて面白かった」と話す。後期は一部で対面授業も始まり、新しい友人もできた。コロナの感染が落ち着いていた頃には、他大学の友人も交えて趣味の自転車旅行を楽しんだ。 光熱・水道費を稼ぐため、ホームセンターでのアルバイトを続けている。建造物の耐震化に興味があり、将来は土木系の公務員か、大学院に進んでさらに専門を深めていくかで思案中だ。2年生になったら、中学時代に打ち込んだ吹奏楽サークルに入ってみたい気持ちもある。 受験でも入学後の学生生活でも、思い通りにならないことはどうしても出てくる。「どんな状況でも悲観的にならず、今できるのは何かと前向きに考えてほしい。自分はこれだけのことをやったと自信を持てれば、きっといい結果につながるはず」(佐藤剛志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国で新たに5760人感染 重症者は14日連続で最多
新型コロナウイルスの国内感染者は17日午後8時現在で、新たに5760人が確認された。亡くなった人は49人増えた。厚生労働省によると、16日時点の重症者は972人で、前日より7人増えて14日連続で過去最多を更新した。 全国の感染者が5千人台になるのは13日以来。一方で大都市圏では、日曜日としては過去最多の感染者数となるところも相次いだ。東京都(1592人)、埼玉県(433人)、千葉県(429人)、福岡県(300人)など。京都府内でも1日あたり過去最多の154人の感染が確認された。また西脇隆俊府知事は、年末年始に感染者2人が自宅療養中に亡くなったと明らかにした。大阪府は464人で、1日あたりの感染者が5日ぶりに500人を下回った。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
With an eye toward Japan, fans call on MLB to protect crowds from dangerous foul balls
Alexis Hoskey was 4 years old when a baseball fractured her skull. It was a night like any other under the lights at Kauffman Stadium in Kansas City, Missouri, one of MLB’s most beautiful settings, in April 2011. Alexis’ father, Monte, had gotten tickets through work and the family decided […]
北海道、新たに124人感染 警察署長らがクラスター
北海道と札幌市などは17日、新たに新型コロナウイルスの感染者計124人を確認し、4人が死亡したと発表した。感染者が100人を超えたのは12日連続。道内の感染者は延べ1万5818人となった。11~17日の1週間の感染者は1101人で、緊急事態宣言の要請基準の1327人を下回っている。 道警栗山署では、署長を含む男女9人の感染が判明。同署の感染者は計12人となり、クラスター(感染者集団)に認定された。9人は軽症や無症状という。濃厚接触者などの署員52人を自宅待機にしたが、うち35人は検査で陰性だった。道警は署長らの事務代行に、道警本部の職員をあてる人事を発令した。 札幌市では新たに市内の医療機関で患者2人、職員3人の計5人の感染が分かり、クラスターと判断された。クラスターが発生している市内の別の医療機関では、患者2人の感染が判明し計178人に増えた。小樽市の石橋病院では患者2人が感染し、計116人となった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鼻出しマスクの受験生の成績無効に 注意従わず不正認定
大学入試センターは17日午後9時、16日の大学入学共通テスト初日に、東京都内の会場で、監督者の注意に従わずに鼻を出したままマスクを着け続けた受験生1人の成績を無効にしたと発表した。 センターによると、この受験生は地理歴史・公民、国語、外国語を受験した際、それぞれの監督者から鼻を覆うよう計6回注意されたが従わず、成績無効の可能性を伝えられても鼻を覆わなかったため、不正行為と認定された。受験生に配慮が必要な事情はなかったという。 コロナ禍で行われた今回のテストでは、感染症対策のため、受験生に正しいマスクの着用が義務づけられている。配慮が必要な受験生には、マスクなしでの別室受験を認めているが、この受験生から事前の申請はなかったという。 センターは「せきなどの症状はなかったが、意図的に鼻を出していたため、総合的に判断した。息苦しくて時折、マスクから鼻を出すことは不正ではなく、あくまで受験生が繰り返しの注意に従わなかったため」と説明した。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福岡県、新たに300人感染確認 日曜としては過去最多
福岡県は17日、県内で新たに300人の新型コロナウイルスへの感染を確認したと発表した。300人以上となるのは4日連続で、日曜日の発表としては過去最多。県内の感染者数は累計1万3420人となった。 自治体ごとの確認数は、福岡市が131人、北九州市が34人、久留米市が13人、県が122人。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【共通テスト速報】作問担当者「平均点、下がるだろう」
初めてとなる大学入学共通テストが16、17の両日に実施されます。コロナ禍で11都府県に緊急事態宣言が出る異例の状況のなか、挑むのは全国で約53万5千人。各地の動きをタイムラインで伝えます。 18:30 作問担当者「センター試験と比べて平均点下がるだろう」 大学入試センターの作問担当者は午後6時半ごろ、大学入学共通テストの問題について「知識だけで答える問題は極力避け、資料や前提を考え、理解して答える組み立てにした」と説明した。全体の平均点について「初めてのテストのため、大学入試センター試験と比べて下がるだろうという見立てをしている」とも述べた。 18:00 受験生「穴埋めの仕方など見ない形式の設問が多かった」 午後6時過ぎ、東京都世田谷区の昭和女子大の試験会場から出てきた神奈川県川崎市の私立高に通う女子生徒(18)は「物理が難しかった。過去問や予想問題もいろいろ試したけど、穴埋めの仕方などあまり見ない形式の設問が多かった」と話した。屈折の法則を絵で示した問題や、表をグラフに書きかえる問題に戸惑ったという。 新型コロナの影響で、最近は塾の自習室も使えなかった。「コロナがなければ普通に通えたと思うんですけど、家族もいる家で毎日勉強し続けるのは大変でした」 同じ高校の女子生徒(17)は「疲れました」とため息をついた。どの教科も知識よりも思考力を問うような問題が増え、だいぶ頭を使ったという。試験科目ごとの間隔も長かった。「模試と違って休憩時間が40分以上あるので、机の上で待つ時間が長く感じた」と話した。 拡大する大学入学共通テスト2日目を終え、試験会場を後にする受験生=2021年1月17日午後6時7分、東京都世田谷区太子堂1丁目の昭和女子大学、西村悠輔撮影 北海道、大きなトラブルなく2日目終了 稚内も予定通りに 17日は北海道内26会場では大きなトラブルはなく、前日は暴風雪で中止となった稚内市の稚内北星学園大でも予定通り試験が行われた。 今年は新型コロナの影響で授業が遅れた現役生を対象に30、31日に第2日程を設けている。体調不良で受験できなかった人の追試験や、稚内北星学園大会場の再試験も同日程で行う。 09:30 2日目開始 理科から 大学入試センターは17日午前9時半、大学入学共通テスト2日目の試験が始まったと発表した。最初の教科は理科①。 「サクラサク入場券」を販売 近畿日本鉄道と名古屋鉄道 拡大する「サクラサク入場券」の台紙=近畿日本鉄道提供 受験シーズンが本格化する中、近畿日本鉄道と名古屋鉄道が「サクラサク入場券」を販売中だ。主要駅で660円で購入できる。6600セット限定。 両社は、ともに桜にちなんだ「桜駅」と「桜井駅」があることから企画。絵馬に見立てた台紙にピンク色の入場券4枚を並べて、桜に見立てた。 学問の神様、菅原道真をまつる北野天神社(愛知県江南市)の祈禱(きとう)も受けた。担当者らは「コロナ禍でがんばる受験生に春が来るのを願っています」。 拡大する桜の花びらの形をした近鉄桜井駅の入場券=近畿日本鉄道提供 09:00 2日目、遅延や繰り下げの連絡なし 大学入試センターは17日午前9時、大学入学共通テストの2日目について、午前8時までに各試験会場から列車の遅延や試験開始の繰り下げの連絡は入っていないとした。初日の全教科の試験が中止となった北海道の稚内北星学園大学も予定通り実施するという。2日目は理科と数学が行われる。 21:55 初日のすべての試験が終わる 問題・解答を公表 大学入試センターは午後9時55分、大学入学共通テストの初日の4教科の試験がすべて終了したと発表した。センターはまもなく、ホームページ上に4教科の問題と正解を公表する。 19:30 視覚障害の受験生ら2人が再試験 問題誤送付 大学入試センターは午後7時半、北海道苫小牧市の会場で公民の「政治・経済」を受験予定だった視覚障害がある受験生1人への問題冊子について、科目を誤って会場に送付していたため試験を受けられず、30日に再試験となったと発表した。東京都内では、配慮が必要なため別室で受験予定だった1人も、会場での誘導ミスが原因で30日に再試験となったという。 18:30 難しくなったとみえるかも 大学入試センターの作問担当者が18時半、初日の地理歴史、公民、国語、外国語の問題内容を説明した。問題の難易度について、昨年の大学入試センター試験と比べ「全体的に問題の分量が増え、難しくなったとみえるかもしれない。ただ、実際は解答データを分析しなければ分からない」と述べた。 千葉でも再開テスト 別室受験の「濃厚接触者」も 千葉県内の試験会場では、英語のリスニング機器の不具合があったほか、新型コロナ関連では受験生から前日までの申告で別室で受験させるケースもあった。 神田外語大の会場では、英語のリスニングで機器の不具合があり、1人が中断したところからやり直す「再開テスト」を実施した。 別の会場では、自身はPCR検査で陰性だったとしたうえで、「自分は濃厚接触者です」との受験生から申し出をうけ、別室で試験を受けさせた。別の会場でも濃厚接触者が別室で受験した。また、「集団の中での受験が気になる」と申し出をした受験生が別室で試験を受けた会場もあった。 京大と和歌山大、2人がリスニング「再開テスト」 16日の試験会場となった京都大で、英語のリスニング試験を受けた受験生1人が、試験を途中からやり直す「再開テスト」を受けた。大学側が取材に明らかにした。 和歌山大の会場でも、リスニング試験中、受験生1人が機器の不具合を申し出た。このため再開テストを受けたという。 九州大でリスニング試験のトラブル 1人に機器不具合 九州大伊都キャンパス(福岡市)では、英語のリスニングでトラブルがあった。九大によると、受験生1人が試験開始後に機器の不具合を訴え、その場で中断したという。 この受験生は、新しい機器で試験を再開。時間を繰り下げて実施した。 18:30 試験を終えた受験生「緊張感はあったが、リラックスして臨めた」 名古屋大東山キャンパス(名古屋市千種区)では、午後6時半前ごろから英語リスニングの試験を終えた受験生らが続々と会場から出てきた。最寄りの地下鉄・名古屋大学駅出入り口には混雑が発生していた。 東海高校3年の阿部竜也さん(18)は一橋大経済学部を志望。コロナ禍で特に首都圏の大学ではオンライン授業が続く傾向にあるが、「東京で学びたいという気持ちは揺らがなかった」という。 試験内容については「各予備校が予想問題や傾向と対策を示していたけれど、英語の問題はどことも違っていた。自分は大丈夫だったが、リスニングでの1回読みも含め、『やばかった』と言っている人も多かった」と語った。「英語ではスマートフォンのチャットで返答することを想定した問題があり、実用的で新しい内容を出していると感じた」 「1科目ごとに換気するので少し寒かったが、暖かい格好をしていたので問題はなかった。暑くて頭がボーッとするよりはよかったと思う」。昼食については「食べたらすぐマスクを付けるようにし、皆守っていたと思う。朝からマスクを着けっぱなしなので、少し息苦しさがあった」。休み時間のトイレは少し過密と感じたというが、大きなトラブルはなく、「戸惑うことなく実力を出せたと思う。明日は数学と理科を頑張りたい」と話した。 […]
初の共通テスト第1日程終了 身近な話題扱う出題目立つ
初めての大学入学共通テストは17日、理科と数学の試験があり、第1日程を終えた。昨年の大学入試センター試験と比べて現実社会で起きる身近な話題を扱う出題が目立ち、数学など問題のページ数が増えた教科も多かった。平均点の中間集計は20日に発表される予定。第1日程の追試験と、コロナ禍の休校で授業が遅れた現役生が選択した第2日程は30、31日にある。 大学入試センターによると、初日の試験が暴風雪で中止になった北海道稚内市の会場では、予定どおり試験を実施。全国の681会場のうち、2会場の計41人が、監督者が数学の試験終了時刻を間違えたことにより再試験の対象となったほか、列車の遅れで別の会場の1人が繰り下げ受験となった。この日最も受験者数が多い「数学I」「数学I・数学A」は、約36万人が受験した。 当初、記述式問題を導入予定だった「数学I」「数学I・数学A」は、センター試験より解答時間が10分長い70分になり、問題のページ数は計16ページ増えた。2日間の全6教科のページ数を昨年のセンター試験と比べると、減った教科もあったが、全体では計47ページ増えた。 「数学I」「数学I・数学A」では陸上競技の100メートル走をイラスト付きで扱った問題が出た。「物理基礎」では、プールで泳いだ際のエネルギーの動きから宇宙の惑星の表面温度にまで及ぶ会話形式の問題が出た。 センターの作問担当者はその他の教科も含め、「教科書の知識を覚えて答える問題は極力避け、資料をよく考えて理解し、自分の力で答える組み立てにした」と総括した。東京都内の試験会場で受験した私立高の女子生徒(17)は2日間の試験を終え、「どの教科も知識よりも思考力を問うような問題が増え、だいぶ頭を使った」と話した。 今回は新型コロナの感染が急拡大し、11都府県が緊急事態宣言下の中で行われ、各会場では座席の間隔を1メートルほど空け、試験時間終了ごとに10分換気するなど徹底した感染症対策を実施。受験生にはマスク着用や手指の消毒が義務づけられた。感染した場合や体調不良などで欠席した人は追試に回る。センターは、追試や別室受験となった受験生の数を今月下旬に公表する。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
記述なしでも「時間足りない」 共通テスト何が変わった
17日に第1日程が終わった大学入学共通テストは、多くの科目で、身近な話題を題材にしたり会話文を盛り込んだりする新しい傾向の問題が目立った。一方で、2017、18年の試行調査で指摘された出題方法などの問題点を修正した科目もみられた。文部科学省は今回のテスト結果も参考にして、24年度以降の入試制度改革にとりかかる。 100メートル走のタイムが最も良くなるストライド(1歩の長さ)とピッチ(1秒あたりの歩数)を、2次関数を用いて考える。 これは「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」の問題だ。ほかにも高校生の読書に関する新聞記事を扱った「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」や、生徒が光合成の実験を行う計画を取り上げた「生物」など、2日目も受験生に身近な出題が目立った。 こうした問題が増えた背景には、2022年度から高校で導入が始まる新学習指導要領がある。学んだことを日常生活で生かすため、資料を読み、調べ、話し合い、課題を解決する――。新指導要領は、そんな「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を各教科に採り入れ、「思考力・判断力・表現力」を育成するように高校に求めるからだ。 こうした力を測るため、17年に国語・数学への記述式問題の導入と、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測る民間試験の活用が決まったが、いずれも19年に見送られた。だが、従来からのマークシート式問題も出題の内容や方法などが見直された。 一方、17、18年に実施された共通テストの試行調査の結果を受けて、今回、一部の科目で出題方法などが修正された。 数学の2科目では、試行調査で多く見られた「太郎さんと花子さん」の会話文は減った。2回目の試行調査で平均正答率がどちらも5割を切り、記述式問題を含んでいた「数学Ⅰ・A」を中心に、「時間が足りない」との指摘が相次いだためだ。それでも今回、問題文の情報量はセンター試験より増えた。大手予備校は、難易度に大きな変化はなかったとみている。 記述式問題はなくなったものの、「数学Ⅰ・A」の試験時間は当初の予定通り、センター試験よりも10分長い70分が維持された。新傾向の問題は考える時間が必要だと考えられたためだ。それでも大阪市立高校3年の男子生徒(17)は、問題文が長く感じたという。化学も「問題文が長く、読んで理解するのに時間がかかり、解答時間が足りなかった」と振り返る。「理系でも、問題文を読解する国語力が求められていると感じた」と話した。(編集委員・増谷文生、花房吾早子) どうなる記述式 そもそも、共通テストの「二枚看板」は、記述式問題と英語民間試験だった。だが、ともに活用は見送られ、仕切り直しの議論をしている間に初回を迎えることになった。 一昨年末に記述式問題の導入を見送った文科省は昨年1月、新たな入試制度を検討する有識者会議「大学入試のあり方に関する検討会議」を立ち上げた。会議には、入試専門家や教育学者、大学・高校の各団体代表らが参加。高校3年間を新指導要領で学ぶ、今の中学2年生が大学受験を迎える24年度以降の入試制度について、すでに20回にわたり議論してきた。今回のテスト結果も参考にして年度内にも文科省への提言をまとめる予定だ。 会議では、共通テストでの記述式問題や英語民間試験の活用には否定的な意見が目立つ。昨秋報告された文科省の調査結果でも、大学の8割超が共通テストに記述式問題を出すべきではないと答え、大学の8割弱が英語4技能は入学後に独自に評価すべきだと考えていた。会議関係者は「大きな混乱を招く恐れがあった改革を『やっぱりやる』と言うには根拠がなさすぎる。各大学が個別に工夫して評価する方が現実的だ」と話す。 24年度以降の共通テストは、新学習指導要領で必修となる「情報」が新設されるなど出題科目が再編される見通しだ。さらに、家庭の経済環境や障害の有無にかかわらず安心して受験できる配慮のあり方や、入試のデジタル化なども議論されている。文科省は会議の提言を踏まえ、今夏までには制度改革の内容を公表することになっている。(伊藤和行、西村悠輔) 大学入学共通テストを巡る経緯 1979年 第1回共通1次試験。国公立大が利用 90年 第1回大学入試センター試験。私立大が参加 2006年 英語にリスニング導入 12年 「地理歴史」「公民」で大規模な問題冊子の配布ミス 13年 教育再生実行会議が新テスト導入を提言 14年 中央教育審議会がセンター試験廃止と新テストでの記述式問題や英語民間試験の活用を答申 17年 20年度からの大学入学共通テストの内容公表 17~18年 各年1回ずつ試行調査を実施 19年 英語民間試験の活用と記述式問題の導入を見送り 20年 24年度以降の新入試制度の検討会議スタート 最後のセンター試験実施 21年 第1回大学入学共通テスト 夏ごろ 24年度以降の新入試制度の内容を公表 25年 新入試制度での共通テスト実施 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル