全国の法学者と弁護士約1千人が29日、結婚する際に夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓制度」の早期実現を求める共同声明を発表した。近く、国会の衆参両院議長や各政党などに提出する。 法制審議会が1996年に民法改正の法律案要綱を答申してから25年経つことを踏まえ、立命館大学の二宮周平教授ら家族法学者4人が呼びかけた。昨年12月24日から今月27日までに、法学者302人と弁護士720人の計1022人の賛同が集まった。 選択的夫婦別姓は、夫婦や家族の絆のあり方の多様性を認める制度として必要だとし、「氏名は個人の人格の象徴である」とした1988年2月の最高裁判決の法理が尊重されるべきだと付記している。 二宮教授は、同日のオンライン記者会見で、「(有識者会議がつくった)第5次男女共同参画基本計画が、審議の過程も明らかにされないまま自民党内で変わり、閣議決定されたのは問題だ。開かれた議論をしてほしい」と述べた。(杉原里美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
建設石綿訴訟、国とメーカー8社の賠償責任確定 最高裁
建設現場でアスベスト(石綿)を吸って中皮腫や肺がんになったとして、京都府内の元作業員と遺族ら27人が国と建材メーカー32社に計約10億円の賠償を求めた裁判の「京都訴訟」で、最高裁第一小法廷(深山(みやま)卓也裁判長)は国やメーカーの上告を退けた。二審・大阪高裁判決のうち、国とメーカー8社に約3億円の賠償を命じた部分が確定した。28日付の決定。 メーカー責任については、作業員がどの建材で被害を負ったかを特定する難しさがあった。京都訴訟の確定判決は、メーカーの販売シェア(市場占有率)や作業員の作業実績などをもとに幅広く責任を認めた。同種の訴訟は全国で24件あり、ほかの裁判に影響を与えそうだ。昨年末には「東京訴訟」で国の責任を認めて賠償を確定させる決定が出ている。 ただ、いずれの決定も国やメーカーの責任を認めた具体的な理由は書いていない。第一小法廷は今後、東京や大阪、神奈川など計4件の訴訟について一括して判決を出す見通しで、その中で判断の枠組みが示されるとみられる。 京都訴訟の原告は、国やメーカーは遅くとも1960年代には石綿の有害性を把握したのに、防じんマスクの着用指示や製品への警告表示を怠ったと主張。これによって作業員は建物の解体や石綿の吹きつけ時などに粉じんを吸い、重い健康被害を負ったと訴えた。 大阪高裁は労働者に対する国の責任やメーカー責任について認めたほか、一審・京都地裁が否定した個人事業主の「一人親方」などに対する国の責任も認定。国とメーカー10社に計3億円を払うよう命じた。今回の決定は、屋外で作業していた被災者1人については国・メーカー2社の上告を受理し、弁論を指定した。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新社長に中村副社長、常務執行役員新設 朝日新聞社人事
朝日新聞社は29日の取締役会で、渡辺雅隆社長の退任と、後任の社長に中村史郎副社長(コンテンツ統括/デジタル政策統括/バーティカルメディア事業担当)が就任する人事などを決めた。4月1日付。渡辺社長は6月24日の定時株主総会で取締役も退任する。 渡辺社長は昨年11月の社内説明で、新しい中期経営計画がスタートする今年4月に社長から退き、中村副社長を後任とする意向を明らかにしていた。 ◇ 中村 史郎(なかむら・しろう) 東大卒。86年朝日新聞社。国際報道部長、東京本社広告局長、執行役員編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長などを経て20年6月から副社長。57歳。 朝日新聞社人事 朝日新聞社は29日の取締役会で、4月1日付役員人事を決めた。常務執行役員を新設する。内容は次の通り。 (カッコ内は現職、記載がない場合は従来通り) ◇取締役 代表取締役社長(代表取締役副社長 コンテンツ統括/デジタル政策統括/バーティカルメディア事業担当)中村史郎▽営業統括/プリントメディア事業統括 小西勝英▽大阪本社代表 小林剛▽取締役(代表取締役社長)渡辺雅隆▽取締役(常務 マーケティング統括/マーケティング/知的財産/出版/国際担当)西村陽一▽取締役(常務 東京本社代表/技術統括〈CTO〉)藤井龍也▽取締役(常務 コーポレート統括/グループ・ネットワーク政策統括)梅田正行▽取締役 藤ノ木正哉 (渡辺雅隆、西村陽一、藤井龍也、梅田正行は6月24日の定時株主総会で退任予定) ◇常務執行役員 経営戦略統括/グループ・ネットワーク政策統括/経営企画/出版担当(執行役員 経営企画/メディアラボ担当兼経営企画室長)堀江隆▽コーポレート統括/管理・労務/コンプライアンス担当(執行役員 管理・労務・人材戦略・働き方改革/コンプライアンス担当兼人材戦略本部長)岡本順▽イベント戦略/企画事業/オリンピック パラリンピック・スポーツ戦略担当(執行役員 イベント戦略/企画事業/オリンピック パラリンピック・スポーツ戦略担当兼企画事業本部長)堀越礼子▽コンテンツ統括/デジタル政策統括/編集担当(執行役員 編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長)角田克▽東京本社代表/技術統括(CTO)/情報技術/国際担当(執行役員 デジタル担当兼デジタル・イノベーション本部長)大西弘美▽不動産担当(執行役員 不動産担当)宍道学▽販売戦略/教育事業担当(執行役員 販売戦略担当兼東京本社販売局長)小田桐則雄▽財務担当兼財務本部長(執行役員 財務担当兼財務本部長)清水隆▽メディアビジネス/知的財産担当(執行役員 メディアビジネス担当)金山達也 (堀江隆、岡本順、堀越礼子、角田克は6月24日の定時株主総会で取締役に選任予定) ◇執行役員 広報/ジェンダープロジェクト/環境担当(広報/環境担当)福島繁▽製作担当 尾形俊三▽名古屋本社代表 佐古浩敏▽西部本社代表(放送メディア企画担当兼放送メディア企画室長)大滝敏之▽人材戦略・働き方改革担当兼人材戦略本部長(大阪本社編集局長)岡村邦則=新任▽CSR担当(経営企画室付)高田圭子=新任▽マーケティング担当兼マーケティング戦略本部長(マーケティング本部長)山盛英司=新任▽デジタル事業/メディアラボ担当(デジタル・イノベーション本部付)高野健一=新任 ◇退任 上席執行役員 CSR/教育事業/女性プロジェクト担当 町田智子▽執行役員 西部本社代表 市村友一▽執行役員 情報技術担当兼情報技術本部長 三上完治 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「正しく恐れる」のは難しい 個々人の合理とリスク判断
内田麻理香・東京大特任講師 東日本大震災から十年、新型コロナウイルスの感染が国内で確認されてから一年経つ。この間、「正しく恐れる」という言葉を、数多く目にした。 これは物理学者かつ文筆家である、寺田寅彦の随筆から引用された句だ。寺田は、「小爆発二件」の随筆で「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた」と書いた。この全文を読めば、寺田ほどの科学的知識、科学的思考力を持つ者でも、正当にこわがることは難しいという述懐であると解釈できる。 しかし、いま使われる「正しく恐れる」という言葉は、自分と感覚が異なり「こわがりすぎる」と思われる者に向けて、「あなたのリスク認知は歪(ゆが)んでいる」という、非難の意味合いをもって使われているように見える。 飛び交う「放射脳」「コロナ脳」 東日本大震災に続く福島第一原… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐賀県警本部長、暴行死事件を説明 従来の見解繰り返す
福岡県太宰府市で起きた女性暴行死事件で、佐賀県警が事件前に女性の遺族から相談を受けながら事件化しなかった問題について、県警の杉内由美子本部長が29日の定例会見で初めて自ら説明した。「ただちに危害が及ぶ内容とは認められなかった」というこれまでの県警の見解を繰り返し、「今後の教訓としてより丁寧な対応を心がけていきたい」と話すにとどまった。 事件は2019年10月、太宰府市の駐車場の車内から無職高畑瑠美さん(当時36)の遺体が見つかり発覚。福岡県警は高畑さんと同居していた無職山本美幸被告(42)ら3人を死体遺棄などの容疑で逮捕(うち1人の死体遺棄は無罪)した。 事件前の19年7月中旬から9月下旬の間、遺族は高畑さんから金銭を無心され、暴力団との関係をちらつかせる山本被告らに脅迫されていると佐賀県警に少なくとも8回相談。被害届受理も求めたが、事件化されず、その後高畑さんは暴行され亡くなった。 佐賀県警は遺族の相談について、刑事部の幹部らが「ただちに危害が及ぶとは認められなかった」と説明。杉内本部長も定例会見や県議会で同じ説明を繰り返したが、報道陣の取材には直接応じてこなかった。 一方で、遺族が被害届の提出を求めていたのに、県警の内部文書には被害届提出の意思について「なし」「解決」と事実と異なる記載がされていたことが発覚。遺族が県警の対応を批判し、第三者による再調査を求めていた。(平塚学、大村久) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鹿1頭が高校に侵入、トイレに閉じ込める 神奈川・大井
29日午前10時20分ごろ、神奈川県大井町西大井の県立大井高校で、「鹿が校舎に入ってきた」と同校職員から通報があった。県警松田署や同校によると、オスとみられる鹿1頭を、校舎2階の職員用女子トイレに閉じ込めている状態という。授業中だったが、けが人はいないという。 同校によると、同日午前10時ごろ、大きな角のある鹿1頭が、生徒が使う昇降口横の窓ガラスを割って1階廊下に侵入し、約20メートル先の階段から2階へ上った。職員が様子を見ていたところ、さらに100メートル近く移動して職員用トイレに入った。しばらくたっても出てこないため、職員がトイレの入り口をベニヤ板で封鎖した。29日正午現在、猟友会などと対応を検討しているという。 同日午前9時ごろには、同校から約3キロ離れた松田町松田惣領の住民から「家の駐車場に鹿がいる」と110番通報があったといい、署が関連を調べている。 同校は、小田原市中心部から北に約7キロの市街地にある。(黒田陸離) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学校の理科実験で児童ら不調、13人搬送 大阪・吹田
29日午前10時48分ごろ、大阪府吹田市千里山松が丘の市立千里第二小学校から「理科の実験中に気分の悪い生徒が出た」と119番通報があった。吹田市消防本部によると、児童12人と大人1人の計13人が不調を訴え、病院に搬送された。全員、軽症という。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
列車も受験も「落ちないお守り」 ワイヤーでみんな安全
千葉都市モノレールが、列車の落下を防ぐ部品を使った「落ちないお守り」を販売している。販売開始13年になるが、受験生への贈り物として、この時期に買い求める客が多いという。 考案したのは、千葉都市モノレール都賀駅の小見隆一副駅長。開業当初から無事故の車両が引退することを2006年に知り、この車両を使って何か縁起物を作れないかと考えた。 お守りの中に、「安全鋼索(こうさく)」というモノレールの落下を防ぐワイヤの一部を入れ、08年から売り出した。「受験生の力になってほしい。そんな思いを込めました」 全4種類で各400円。千葉都市モノレール千葉駅などの4駅や、公式通販サイト「ちばモノグッズストア」で購入できる。(石垣明真) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
掃除は女の仕事? 小学生目線のドラマが問うジェンダー
「ちょっと男子! ちゃんと掃除しなよ!」。ほうきで遊んでばかりの男子たちを、クラスの女子が一喝する。男子のひとりが言い返す。「父ちゃんが言ってたぜ。掃除、洗濯、メシ作んのは女の仕事。男は外に出て働くもんだって」。小学3年生の会話だが、演じているのは大人の俳優たちだ。 テレビ東京系で放送中のドラマ「直ちゃんは小学三年生」(金曜深夜0時52分、一部地域を除く)。放課後に公園や秘密基地で遊び回り、駄菓子屋でお菓子を食べながらおしゃべりに夢中になる、どこか懐かしいありふれた子どもたちの日常を大人の俳優たちが演じる。 物語の中心は仲良し男子4人組。明るく素直な「直ちゃん」を杉野遥亮、お金持ちで賢い「きんべ」を渡邊圭祐、貧乏でがさつな「てつちん」を前原滉、心優しく泣き虫な「山ちょ」を竹原ピストルが演じる。 冒頭では「このドラマの登場人物は誰がなんと言おうと小学生です ご理解ください」という「おことわり」が示される。 俳優たちの表情や何げないしぐさはまさに小学生そのもの。あまりのリアルさとシュールさに、不思議な笑いがこみ上げてくる。 同時に、自分と同じ大人たちが演じているからこそ、小学生の彼らが日常の中で直面する「貧富の差」「親の事情で名字が変わる」「女らしさ・男らしさ」といった数々の問題が、ひとごととは思えなくなる。 プロデューサーの青野華生子さんは次のように狙いを語る。 「子どもは真実を映す鏡ってよ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ここぞの時に生きるのは、考え抜いた経験」 巣鴨校長
入試シーズンが本格的に始まりました。コロナ禍の中で頑張っている受験生たちへ、校長たちからの言葉をお届けします。 校長から受験生へ:巣鴨中学・高校の堀内不二夫さん 受験生に言いたいことは三つです。おたおたするな。やるべきことをやろう。家族とは仲良く。受験がすべてではないですが、そこに目標を定めて一生懸命になれるいいチャンスです。試験が終わるまでは、決して諦めないでほしい。 とはいえ、受験生全員が第1志望の学校に合格できるわけではありません。でもね、行った学校がいい学校なんです。行きたかった学校は、もちろんいい学校でしょう。ただ、行った学校が一番いい学校なんです。受験は将来に向けてのステップであり、関門ですが、その先、何十年という時間を過ごすわけですから。そこで燃え尽きても困るし、つまずいて萎縮するのも、もったいない。 偏差値や進学実績で学校が評価されがちですが、進学後、どんなことを学んだかによって、数字では表せない価値を見いだせる。それを作り出すのは自分です。物事を判断する時、事実に基づいて考えることが必要ですが、今は情報が氾濫(はんらん)していて「確かなこと」を切り取る力が問われます。確かに見えること、確かだと思い込んでいることが邪魔をするからです。冷静にこれらを取り除くには、思考を重ねることです。 「今年度はコロナ禍で受験生は大変だ、かわいそうだ」という話をよく耳にします。制約が多かったのは事実でしょう。でも、受験生自身はどう思っているでしょうか。世間がそういう目で見ることで、大変なんだという空気が作られているように感じます。皆さんは、もっとたくましいはずです。周りの声に振り回されず、自分の視点を大切にしてほしいと思います。 早朝の寒稽古や、未明に歩き始めて峠を越える「強歩大会」。本校には伝統の学校行事があり、それに魅力を感じて受験してくれる生徒が少なくないですが、残念ながら今年度はできませんでした。それでも日々の習慣は崩してほしくなかったので、クラスを2分割しての分散登校の時期は、授業のみならず、休み時間もホームルームも同時配信しました。生活のリズムを維持することが大切なのは、受験生にも受験を終えた人にも、共通して言えることです。 インターネットで検索すれば、すぐ答えにたどり着く気がするでしょう。反応が早い子は多くなりました。でも、ここぞの時に生きるのは、試行錯誤して自分で考え抜いたという経験だと思います。専門性を追求するのも大事ですが、それ以上に、ベースとなる教養をまず身につけてほしい。本を読んで、人と触れ合う。色々な世界があることを知る。受験をいい機会に、思考の過程を大切にして下さい。(聞き手・川口敦子) ◇ 1947年、東京都生まれ。巣鴨中学・高校卒業後、早稲田大学大学院(経済学)修了。巣鴨中・高で社会科教諭を務め、2007年、第5代校長に就任した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル