東日本大震災を福島赴任中に経験し、原子力発電所の事故で多くの人の家や土地が奪われる姿を間近で見た記者は、2012年に節電の道を歩み始めました。電力会社との契約を5アンペアに下げ、1カ月の電気代は200円弱。電力会社の電気をほとんど使わないで暮らせるようになりました。その後、結婚し、子どもが生まれたことで節電生活は見直しを迫られましたが、元の電気じゃぶじゃぶ生活に戻るつもりはありません。目指すのは「自然エネルギー100%」の暮らしです。 電気に極力頼らず暮らしたい――。 突き上げるような衝動に従って、節電の道に分け入ったあの夏から8年余が過ぎた。 あの夏……。東日本大震災で東京電力の原発が史上最悪レベルの事故を起こした日から1年余、政府が原発の再稼働を決めた2012年の夏である。 僕は福島の郡山支局員だった時に原発事故に遭った。住んでいた家が地震で半壊になったこと以上に心を細らせたのは、原発災害だった。日々放射性物質が拡散されている原発を誰も止めることができない。その事実を突きつけられたショックは大きかった。たくさんの人が土地と家を奪われるのを間近で取材しながら、自分自身も放射能という見えない敵におびえ、住む場所を転々として暮らした。 多くの人の安寧な日々を奪い、人類で誰ひとり完璧にコントロールをできる人がいないとわかってしまった原発が、「人々の暮らしを守る」という名目で再び稼働することに決まったのは12年6月。あんなつらい経験は二度としたくない。誰にも経験させてはいけない、そのためになにができるかと真剣に考えた。 その結果が節電だった。国会周囲で原発再稼働に反対するデモが毎夜繰り返されていたが、原発停止の鍵を握るのは国会ではなく、僕たち一人ひとりの暮らしにある。電気を使わないでも暮らせるかどうかに挑んでみたいと思った。経験もなければ、成算もない。とにかくやってみよう。福島から東京に異動になっていた僕は相変わらず独身で、無鉄砲はいくらでも許された。迷いはなかった。 はじまりは、アンペアダウンから。東京電力との契約アンペア(A)をそれまでの40Aから最小の5Aに下げた。これで500ワットを超える家電は使えなくなる。甘えが出ないように、物理的に退路を断ってみたのだ。完全ゼロにしなかったのは、現代社会とのつながりまでゼロにするわけにはいかないから。仕事し、生きていく以上、パソコンや携帯電話は使い続けなければならない。 電子レンジ、トースター、電気炊飯器、エアコンを次々と手放した。その試みを「5アンペア生活」と題して新聞の生活面で書くと、想像を超えた反響が届いた。原発事故後に電力が不足し、誰もが節電意識を強く胸に刻んでいた頃、寄せられる反響のほとんどは賛否の「賛」のほうだった。 本気になった。一時の実験にはしたくない。節電の苦しみや忍耐を喜びに変え、しゃにむに節電道を突き進む。次から次へとアイデアが浮かび、浮かんだ端から試していった。 便利な暮らしにひたりきった私たちがもし、家電を次々と手放したら、どんな生活が待っているのか。原発事故をきっかけに5アンペア生活に踏み出した記者、8年余の記録を連載します。連載初回は節電生活の始まりをつづります。 それまで月4千円ほどだった電… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐渡島の交番に48回目のお年玉 月光仮面は誰でしょう
困っている人に少しでも役立てば幸福です――毎年新潟県の佐渡島の交番に届く「月光仮面」からのお年玉が、今回も届いた。1974年から48回目。県警佐渡署は県交通遺児基金に送金することにしている。 佐渡署によると、12月30~31日の間に、島内にある両津交番に1万270円、佐和田交番に1万2600円がそれぞれ届いた。いずれも硬貨がポリ袋や紙袋に入った状態で、交番の入り口付近に置かれていたという。 袋には、「毎日一枚ずつ集めた小銭です。交通事故などで、困っている人に少しでも役立てば幸福です 月光仮面」(両津交番)、「一年間財布の中の小銭を集めたものです。わずかですが交通遺児のために使って下さい」(佐和田交番)と書いたメモが添えられていた。 両津交番では74年から、佐和田交番では87年から、月光仮面などを名乗って毎年お年玉が届けられており、把握しているだけで計約74万円になる。各交番のメモの筆跡は別人のものとみられるという。佐渡署の金井幸雄副署長は「寄付いただいた方には心から感謝申し上げます。ご意向に沿い、役立てます」と話した。(杉山歩) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
明治神宮の参拝客は激減 「密」つくらない静かな初詣に
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか迎えた新年。東京都渋谷区の明治神宮では1日朝、例年よりも参拝客が激減した初詣風景が見られた。訪れた参拝客も、感染防止のため「密」をつくらないよう気をつけながら、静かに手を合わせていた。 毎年三が日に300万人以上が訪れる明治神宮では、大みそかから元日にかけての終夜参拝を中止した。1日午前6時に開門すると、数百人の参拝客が境内に入った。 明治神宮によると、例年なら午前10時ごろには移動規制がしかれるほどの参拝客が訪れるというが、この日は人影はまばら。外国人参拝客の姿もほとんどなく、広報担当者は「こんなに人が少ない初詣は初めて」と驚く。 感染防止策として、授与所を本殿から離れた駐車場と芝地の2カ所に設置。お守りや御朱印などが入ったケースには、参拝客が直接手で触れないよう防護パネルを取り付けた。拝殿前では参拝客同士が距離を空けるよう、1メートル間隔で目印も置かれた。 東京都品川区の仲井澄子さん(… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
空から見たコロナ禍の初詣 人の波は影を潜めて
コロナ禍は新年の初詣の光景も変えている。上空から取材すると、例年の元日には各地の寺社を埋めていた人の波が、今年は影を潜めていた。 年越しの終夜参拝を中止した明治神宮(東京都渋谷区)では1日、午前6時に開門。同神宮の広報調査課によると、参拝客の数は例年に比べて大幅に少ないという。境内では、マスク姿の人たちが間隔を空け、整然と並んでいた。 浅草寺(同台東区)でも、正午過ぎの時点で行列は見られなかった。(長島一浩) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「オレとは別の苦労をしろ」 国産チーズ先駆者の教え
ワイン&チーズ新時代 拡大する新得農場のラクレット熟成庫と宮嶋望さん=2020年11月13日、北海道新得町、日吉健吾撮影 北海道・十勝と聞いてイメージする風景と、そのチーズ工房がある場所はちょっと違うかもしれない。十勝平野の北西に位置する新得(しんとく)町の「共働学舎新得農場」は、小高い山の中腹からすそ野にかけて、森に囲まれた斜面にある。 1978年、米国の大学で酪農を学んだ宮嶋望さん(69)が起こし、いまも代表を務める新得農場は、日本のナチュラルチーズ作りの草分けのひとつとして国内外で高い評価を受けてきた。同時に、チーズ職人として独り立ちをめざす若者たちの「学びや」となって、多くの作り手を送り出し続けている。 いったい、どんな農場なのだろう。 2020年12月1日、東京・新宿。国産ナチュラルチーズのナンバーワンを決める2年に1度のコンテスト「ジャパンチーズアワード2020」が開かれた。主催するNPO法人チーズプロフェッショナル協会は00年の設立から20年の節目の年だった。 「協会の最初のメンバーで、忘れてはいけない人がいます」 冒頭、本間るみ子会長はそう言って、宮嶋さんの名を挙げた。チーズの本場の欧州各国で回り持ちで開かれる国際コンテスト「山のチーズオリンピック」で04年、新得農場の「さくら」が日本産チーズとして初めてグランプリと金賞を受けたことを紹介した。 「日本のチーズが世界へ一歩、踏み出したのです」 「共働学舎」は宮嶋さんの父の… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
餅詰まらせ5人搬送、1人死亡 東京消防庁注意呼びかけ
東京消防庁は1日夕、同日午後4時までに東京都内(稲城市と島しょ部を除く)で70代~90代の男性5人が餅をのどに詰まらせ、救急搬送されたと発表した。このうち1人が搬送時点で死亡し、ほかの4人も心肺停止などの重い症状という。 同庁によると、搬送されたのは70代1人、80代3人、90代1人。西東京市では午前10時すぎ、90代の男性が自宅で心肺停止になり、その後、死亡した。板橋区では正午前、80代の男性が自宅で雑煮の餅を詰まらせ、心肺停止になった。 餅や団子による窒息事故は年末年始に集中する。救急搬送される人はお年寄りが多く、2019年までの5年間では65歳以上が89%を占めている。同庁は、餅を小さく切る▽ゆっくりとかんでから飲み込む▽乳幼児やお年寄りと一緒に食事をする時は注意を払う▽餅を食べる前にお茶や汁物でのどを潤す▽応急手当ての方法を調べておく――などを呼びかけている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国の新型コロナウィルス重症者716人 過去最多更新
朝日新聞デジタルに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。Copyright © The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
姉の顔、もう一度見たい 離ればなれで生まれ育ったけど
ふとしたときに押し入れにある菓子箱に手を伸ばす。中にしまってあるのは手紙。「毎日頑張りすぎてませんか」「奈津ちゃんの幸せを日々願っております」。手書きの文字に目を落とすうち、ほっこりした気持ちになる。もう何回読み返したか。浮かぶのは、あの時の穏やかな笑顔だ。 高知市の高橋奈津子さん(57)が幼いころ、周りに一人っ子は少なかった。幼稚園で仲良しのリエちゃんにも妹ができた。母に「きょうだいがほしい」とだだをこねた。友だちがきょうだいと遊ぶ姿を見て、さみしさとうらやましさを感じていた。 高校生の時、法事で集まった親戚が母に「もう言うたらええやん」と話すのが聞こえた。「え、何の話?」。母は表情も変えず、「離れ離れになった子どもがいる」と話し始めた。夫を結核で亡くし、再婚するとき2人の間にいた幼い娘を手放していた。 「ほんま?」 驚き以上に、姉がいるうれしさがあった。 姉さんに会ってみないか。親戚… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
分散呼びかけの初詣、密は? 参拝客「葛藤したけど…」
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの寺社が初詣の「分散参拝」を呼びかけている。その一つで、例年は正月三が日の人出が約230万人と国内屈指の熱田神宮(名古屋市)の年越しは、今年どんな様子だったのか。 年越しの瞬間、一時的に「密」 「拝殿前、大変混み合っております」 「マスクは外さず、着用したままお待ちください」 大みそか深夜の本宮付近、年が明ける瞬間を待ちわびる参拝者に、そんなアナウンスが繰り返し流れた。 午後11時ごろは待機者がまばらだったが、11時半を過ぎた頃から若者を中心に続々と人が増え、やがて「密」状態に。 「さんっ、に、いちっ……」 年明けの瞬間は、どこからともなく一斉カウントダウンが始まり、周辺はお祝いムードで騒がしくなった。 熱田神宮では、混雑を避けるため様々な対策をとった。 境内に例年約200はあった露店をなくし、参道の幅を広く確保した上で一方通行に。分散参拝を呼びかけ、正月の縁起物は12月初旬から授与を始めた。 新型コロナの感染拡大を受け、全国的に「静かな年末年始を」と叫ばれ、愛知県では分散参拝のほか、「不要不急の行動自粛」なども呼びかけられている。 混雑は例年ほどではないようだ。0時すぎに境内にいた参拝者に聞いてみた。 「分散? そう言われているんですか?」(愛知県在住・4人組の19歳女性)。 名古屋市内から友人と来た女性… 【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪府、コロナ病床の使用率8割に 即時受け入れ可能分
大阪府は1日、府内で新たに262人が新型コロナウイルスに感染しているのを確認したと発表した。1日あたりの新規感染者が300人を下回るのは4日ぶり。また70~90代の男女9人が亡くなったことも発表した。府内の感染者は延べ3万327人、死者は計588人となった。 入院中の重症患者は165人で、過去最多だった12月21日公表分と並んだ。府が確保している病床(236床)の使用率は69・9%。すぐに患者を受け入れられる病床(206床)の使用率は80・1%となった。入院中の軽症・中等症患者は841人で、確保している病床(1340床)の使用率は62・8%。すぐに受け入れられる病床(1252床)の使用率は67・2%となった。 大阪府守口市内の医療機関で患者と医療従事者計5人、大阪市内の高齢者施設で利用者と職員計6人の感染が判明。府はクラスター(感染者集団)が発生したとみている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル