凍りついた路面に、赤や青の警告灯のギラギラした光が乱反射している。 1月中旬の午前2時。運転する車に表示された外気温は零下1度だ。 東京電力福島第一原発から北へ約8キロ。原発事故に伴い、福島県浪江(なみえ)町に出されていた避難指示が一部で解除されてから間もなく4年になる。放射線量が高いとして町域の8割は今も帰還困難区域で、立ち入りが厳しく規制されている。 記者が歩く 東日本大震災10年 東日本大震災から間もなく10年。余震はいまも続き、13日夜にも最大震度6強の揺れが襲った。復興に向けた人々の歩みは、前に進んだのか。被災地を記者が歩き、考えました。 そんな復興途上の町で私(46)が向かう先は「鈴木新聞舗」。避難指示が解除された直後、町に戻ってきた人たちのために所長の鈴木裕次郎さん(37)が1人で配達を再開した。約80年の歴史を持つ老舗新聞販売所の3代目だ。 拡大する配達前の新聞を整理する鈴木裕次郎さん=2021年1月13日午前2時12分、福島県浪江町、三浦英之撮影 私は3年前、新聞配達を手伝いながら、彼が奮闘する姿を朝日新聞の連載記事に書いた。あれから町はどう変わったのか。当時と同じ視線で原発被災地の変化を確かめてみたい。 刷り上がったばかりの朝刊を抱… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元早大サッカー部GK、キッチンカーでスイーツ販売
「見習いパティシエの学生工房」。こんな看板を掲げたキッチンカーが、東京都内で営業を始めた。手がけるのは現役の早大生たち。卒業までの限定でパティシエを務めるのは、1月まで体育会「ア式蹴球部」(サッカー部)のGKだった谷口智洋さん(22)だ。 メニューはすべてグルテンフリー シュークリーム、フォンダンショコラ、チーズテリーヌ。青色に塗装されたキッチンカーに備えられたメニューには、3種類のスイーツが並ぶ。食物アレルギーがある人にも食べてほしいと、小麦粉を使わないグルテンフリーだ。数時間で売り切れるため、夕方には店じまいすることも多い。 運営するのは高瀬司代表(22)や谷口さんら商学部の4人。1月末に引退した谷口さんは、卒業旅行に行きたかったがコロナ禍で断念。そんな時、高瀬さんに誘われた。では、なぜ谷口さんに声がかかったのか。 谷口さんは和歌山県出身。料理… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
現金受領100人中94人、違法性を認識 克行被告公判
100人に計2900万円が配られた巨額買収事件。公職選挙法違反(加重買収)の罪に問われた元法相で衆院議員・河井克行被告(57)の東京地裁での公判は、19日で100人全員の調べを終えた。これまでに94人が現金提供に違法性を感じたと認めており、一貫して無罪主張の克行議員自らが説明する3月からの被告人質問が注目される。 2019年7月の参院選広島選挙区をめぐり、買収された側として起訴内容に記された計100人は、地元議員や後援会関係者たちだ。50人が法廷で証言し、残り50人は弁護側が同意したため供述調書が読み上げられた。 無罪を主張する克行議員は昨年8月の初公判で、現金は「(地方選の)当選祝い」などとして違法性はないと説明した。これに対し現金受領を認めた99人のうち94人は、検察の主張にほぼ沿った形で、克行議員の妻の案里氏(47)を当選させるための投票とりまとめの趣旨だったなどと認めた。自民党公認候補だった案里氏は、党広島県連の支援を受けられず厳しい情勢だった。案里氏は今月5日、買収罪で有罪が確定し参院議員を失職した。 受け取った議員ら「断れば角が立つ」 100人のうち40人は、受領当時に現職の議員や首長だった。違法性を認めたのはこのうち35人で、5人が買収の趣旨を否定した。 証言をまとめると、克行議員が現金を渡す際は、人目に付かない場所で封筒を差し出したり、相手のポケットにねじこんだりした。拒まれても「まあまあ」とかわして足早に去り、政治資金収支報告書の記載に必要な領収書のやりとりもなかった。「最後までよろしく」など支援を求められることが多く、「安倍総理から」と言われたケースもあった。 金額は30万~50万円が多く、200万円(元県議会議長)や150万円(前三原市長)もあった。 こうした授受の状況から、議員らは「票をまとめる対価」「表に出せない金」と感じたという。 現金を受け取った理由としては、「(国会議員からの)申し出を断ると角が立つ」との趣旨の説明が多かった。大半がパチンコや孫との買い物、背広の購入などとして使い、手を付けなかったのは数人だった。 100人のうち60人は後援会… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
写真盗用した産経記者を懲戒休職 新潟日報から無断転載
産経新聞記者による写真盗用問題で、産経新聞社は担当した大阪本社文化部の30代の記者=同本社編集局付=を懲戒休職2カ月にしたと19日付朝刊で明らかにした。処分は18日付。監督責任を問い、島田耕・大阪本社編集局長を減給、大阪総局長を譴責(けんせき)とした。 産経新聞社によると、昨年11~12月に朝刊関西広域面とウェブサイト「産経ニュース」に掲載した記事に、新潟日報社のニュースサイト「新潟日報モア」の写真を無断で掲載し同社の著作権を侵害した。 産経新聞社は、記者が新潟日報社の著作物にあたる写真を許諾を得ず使用し、紙面やウェブサイトに対する信頼を著しく傷つけたとしている。同社広報部は「調査の結果、新潟日報モアの写真を無断転載したものと判断し、処分しました。新潟日報社ならびに読者の皆さまに改めて深くおわびするとともに、再発防止に努めます」とコメントした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
島根知事、政府に直接説明へ 五輪聖火リレー中止検討
東京都や政府が新型コロナウイルス対策を適切に行っていないとして、島根県内の東京五輪聖火リレーの中止を検討すると表明した同県の丸山達也知事は19日、政府や地元選出の国会議員に直接会って意図を説明し、コロナ対策の強化や地元への経済支援を要望する考えを明らかにした。 19日の定例会見で述べた。17日に中止検討を表明した丸山知事は、この日の会見で改めて、「私は聖火リレーの実施が感染拡大を招くと思って中止を検討しているわけではない。おおもとの五輪の開催に問題があるというのが理由だ。聖火リレー自体を問題視しているわけではない」と説明。コロナ対策の要望について、「総合調整権がある政府に対し、直接お願いにあがりたい」と話した。 東京都に対しては直接訪問したり、文書を送付したりして要望はしないという。「私は都として都民のために当然やるべきではないかと申し上げただけだ」と述べた。 島根県スポーツ振興課によると、丸山知事の聖火リレーの中止検討表明を巡って、17日から19日午前11時までに同課に全国から345件の電話があった。7割が賛同、3割が批判する意見だったという。 自民・竹下氏の発言「取り立てて気にしていない」 賛同の内容は、「五輪開催で感… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学びは進学のためだけではない 都立日比谷高校長
入試シーズンが本格的に始まりました。コロナ禍の中で頑張っている受験生たちへ、校長たちからの言葉をお届けします。 校長から受験生へ:都立日比谷高校の武内彰さん 学びを止めないで! コロナ禍の中で、我々も心がけた言葉ですが、この春、大学、高校、中学などへ進学する、すべての受験生にもそう言いたい。合格した後に学びを止めないで欲しい。新学期になって、たとえオンライン授業でも学ぶことをあきらめないで。学びは進学するためだけのものではないんです。 学びの本来の目的は人類貢献だと、いつも生徒に伝えています。社会に出て、自分の資質能力を発揮する。その中で、世のため人のために少しでも貢献することが、本当の「自己実現」です。そのためにいま学ぶのであり、だから学びはずっとつながっていく。 インプットしたことをはき出すだけでは、通用しない時代です。様々な知識や見方、考え方をもってクリエーティブな発想をする。新しい知や価値を築いてこそ、新しい時代に活躍する人間になれる。部活動や行事に力を注ぐことも自己実現につながります。人と一緒に生きていく、チームを組んで何かを成すには、部活動や行事で人間性を育むことが不可欠です。 心がけて欲しいのは、外に向けた思考を持つこと。自分の能力を高めたい、人から認められたい、経済的に恵まれたい……。これらはすべて、ベクトルが自分に向いている。そうではなく、自分の学びが、周囲にとって、社会にとって、世界にとって、何に役立つかを常に考えて欲しい。 日比谷高校で校長をして9年目ですが、入学した時から意識を高く持ってきた子は、進路も開けます。学んでいる学校が公立であれ私立であれ、敷かれたレールに乗っかるだけに終わらず、自ら意欲的に学問探究をしてみてください。 公立は人事異動がありますが、教師が変わっても質の高い教育ができるよう、様々な改革を進めてきました。「日比谷の国語」「日比谷の英語」「日比谷の数学」という「日比谷の学習指導」を確立させることに注力しています。 また、世界に目を向けるために、米国ボストンやニューヨークで充実した内容の研修をし、ニュージーランドや韓国の高校と姉妹校提携もしました。公立高校で学び、世界にも出ていって欲しいと思っています。 長期休校中は、いち早くオンライン授業を導入しました。緊急事態宣言下でも高3生だけを登校させ、大学入学共通テストが終わった今も、個別添削指導や医学部の面接指導をしています。塾に通えない子も、学校を頼りに食らいついてくれば、結果が出せる。どんな状況でも学びを止めないタフな生徒と教員が日比谷にはいます。 みなさんも、人類貢献に向けて次の学びへ進んでください。(聞き手・宮坂麻子) ◇ 〈たけうち・あきら〉1961年、東京都生まれ。東京理科大学理学専攻科を修了後、都立高の物理教師に。大島南高教頭、西高副校長などを経て2012年より現職に就き、東大合格者数を公立高トップにした。バドミントン部顧問も務める。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
赤坂御用地に知人女性招き入れる 京都護衛署長を処分
天皇、皇后両陛下や皇族方の住まいがある赤坂御用地(東京・元赤坂)に、知人女性を正規の手続きをしないで出入りさせたとして、皇宮警察本部は19日、京都護衛署長の男性皇宮警視正(59)を減給の懲戒処分にしたと発表した。警視正は同日付で依願退職した。 同本部によると、警視正は赤坂護衛署の副署長だった2017年2月、知人女性を、立場を利用して正規の手続きをせずに赤坂御用地内に招いた。警視正は事実を認め、「職場を見せたかった。申し訳ない」と話しているという。警視正は、この女性を含む2人と不倫関係だったことも発覚し、同本部は国家公務員法違反(信用失墜行為)にあたると判断した。 同本部では、昨年3月も皇宮警察学校での未成年学生の飲酒を受け、学校長だった警視正が辞職している。監察課は「幹部にあるまじき行為。指導を徹底し再発防止に努める」としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
余震におびえ寝付けず 10年前の震災を知らない子たち
福島県と宮城県で最大震度6強を観測した地震は、20日で発生から1週間となる。10年前の東日本大震災を直接知らない子どもたちは大きな揺れに驚き、余震が続く中で不安な日々を送る。 19日朝、宮城県との県境の福島県新地町の新地小学校の校庭では、保護者の車が長い列を作っていた。 町内では震度6強を観測し、県内で最も多い1300棟の建物が被災した。余震で通学路の建物やブロック塀が倒れる恐れがあり、全校児童195人は保護者の車で登下校している。 地震の直後は体調を崩すなどして12人が休み、翌日も1人が欠席した。高橋澄子校長は「多くの子どもたちは10年前の東日本大震災を経験していない世代。大きな地震で、怖い思いをしている」と心のケアの必要性を指摘する。 3~9歳の子ども3人を育てる… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静かなイベント、早期の収容率緩和も 専門家が意見
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う文化芸術イベントの開催制限をめぐって、文化庁に設置された感染症対策を検討する専門家会合は、大声での歓声や声援などが上がることが考えにくいクラシックコンサートや演劇公演などでは、緊急事態宣言の解除後に「早期に収容率を100%以内まで緩和していくことが考えられる」などとする意見をまとめた。文化庁が19日発表した。 専門家会合は今月1日、文化庁次長の私的懇談会として設けられ、医療関係者ら3人で構成される。感染拡大のリスクを抑えながら文化芸術活動を継続・発展させるための対策を検討。まず緊急事態宣言解除後の開催制限の緩和について、大声での歓声や声援などが上がるとは考えにくいイベントに絞り、関係団体の意見なども聞いて検討した。 とりまとめた報告書では、大声での歓声や声援がなければ感染拡大リスクは低いと考えられ、これまで業種別ガイドラインに基づいて感染症対策が行われる公演では、観客間で感染が広がったケースは報告されていないと指摘。宣言解除後は、感染状況を踏まえながら、早期に収容率を100%以内に緩和することが考えられるとした。 政府が示すイベント開催の目安は、内閣官房が専門家の議論を踏まえてまとめている。萩生田光一文部科学相は19日午前の定例会見で、「報告を踏まえ、イベント開催制限の早期の緩和に向けて働きかけをしたい」と述べた。(丸山ひかり) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マイクロソフト装う詐欺に注意 偽警告現れ「電話して」
マイクロソフトを装ってウイルスに感染したかのような警告をパソコンに表示させ、サポート料名目で多額の金をだまし取られる被害が急増しているとして、消費者庁は19日、消費者安全法に基づき注意喚起した。 同庁によると、偽の警告は「Microsoft」のロゴとともに突然現れ、大音量の警告音の中、「ウイルスが見つかりました」「当社に今すぐ電話してください」などと表示される。電話すると、遠隔操作ソフトを導入させた上で警告表示を消して信用させ、「セキュリティー保護のサポートが必要」「5年で6万9千円」などと勧誘し、コンビニなどで前払い式の電子マネーを購入させ、コード番号を連絡させる手口だという。 2016年以降、全国の消費生活センターに相談が寄せられ、20年は計568件の相談があった。平均支払額は約15万円で、最高額は278万円。遠隔操作でパソコンを乗っ取られた女子大学生が室内を撮影されるなどして怖くなり、105万円を支払ったケースもあった。 消費者庁は消費者とのやりとりに使われたIP電話などを調べたが、事業者を特定できなかった。電話の相手は多くが片言の日本語だったという。同庁は「マイクロソフトが突然警告を表示して電話をかけるよう求めることは一切ない。絶対に連絡しないで」と呼びかけている。 警告画面は、「Ctrl」「Alt」「Del」の三つのキーを同時に押して、「タスクマネージャー」を起動し、「タスクを終了」を選ぶと、閉じることができる。閉じない場合は、マイクロソフトカスタマーサービス(0120・54・2244)へ。(兼田徳幸) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル