大阪府の吉村洋文知事は24日、新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言を政府が解除した場合の新しい感染防止策を公表した。大阪市内に絞って酒類を出す飲食店を対象に午後9時までの営業を求める。府内全域の飲食店すべてに午後8時までの営業を求めている現状より緩和させる。 時短営業をいつまで求めるかは未定。具体的な内容は26日にも開く府の対策本部会議で決める。 時短営業を要請する地域について、吉村知事は当初、大阪市内の繁華街に限定する考えを示していたが、市内全域に広げる方針に修正した。吉村知事は「(繁華街を抱える)北区や中央区に絞っても、(他にも)似たエリアがある」と説明。宣言解除後も国による財政支援が見込めるとして、協力金の支給に関連して「財源も気にしなくて良くなった」と話した。(久保田侑暉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日産・西川氏「中身確認せず署名」 ゴーン被告報酬文書
日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)が巨額の役員報酬を開示しなかったとされる事件の公判で、西川(さいかわ)広人・前社長が24日、証人として東京地裁に出廷し、開示を免れた「未払い報酬」について「当時は全く認識していなかった」と証言した。未払い報酬を退任後に払う方法を記したと検察側が主張する契約書に関しては「協力を求められ、中身を確認せずサインした」と述べた。 西川氏が出廷したのは、金融商品取引法違反罪の共犯に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判。2010~17年度の元会長の報酬のうち約91億円を退任後に払う未払い報酬とし、各年度の有価証券報告書に記載しなかったとして起訴された。西川氏は11、13、15年、退任した元会長に顧問料などを支払う契約書に署名したとされ、検察側はこの契約書を未払い報酬の支払い方法を記した文書と位置づけている。 西川氏は検察側の尋問に対し、11年にケリー元役員から「ゴーンCEOの報酬がグローバル水準と比べて低く、他社に引き抜かれないためには退職後の処遇を手厚くするべきだ」と言われたと証言した。「ゴーンCEOが日産を去ることは脅威だったので協力した」とし、元会長の部屋で契約書に署名したという。 署名はケリー元役員を「サポートする」という意味だったとし、「中身は確認せず、ケリーを信用してサインした」などと述べた。 弁護側は、代表取締役にもかかわらず契約内容を確認せずに署名した点を追及した。西川氏は「ケリーの考え方に賛同していた。彼はこの分野のプロで、私は受け身の姿勢だった」と釈明。未払い報酬の存在は知らず、契約書がその補塡(ほてん)目的という認識もなかったと説明した。契約書の有効性については「ゴーンCEOの退職が現実の問題となったら、専門部署の確認を受け、取締役会に諮ることになる。そのようなことは起きなかった」と語った。 検察は違法性の認識が不十分だったとして西川氏を不起訴処分にしている。 西川氏は経営者としての元会長の当時の評価を聞かれると、「日産の業績を回復させたことはもちろん、日産を真の国際企業にする変革をしていただいた。世界でも超一流の経営者だと思っていた」と話した。(根津弥) 「イエスマン」から決別 西川広人・前社長は2005年にゴーン元会長(当時は社長)の下で副社長となり、16年に元会長との共同最高経営責任者(CEO)に就任。周囲からは元会長の忠実な「イエスマン」と受け止められ、17年に社長の座を引き継いだ。 元監査役らが主導した社内調査… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
孔子廟の土地使用料免除は違憲 政教分離訴訟で最高裁
中国の思想家で儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」がある敷地の使用料を那覇市が徴収しなかったことの是非が争われた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は24日、「特定の宗教を援助したと評価されてもやむを得ない」とし、無償で公有地を使わせるのは政教分離を定めた憲法に反するとの判決を出した。裁判官15人のうち14人の多数意見。1人は「合憲」とする反対意見を付けた。 戦前の反省を受け、国や自治体は宗教と結びついてはならないとする政教分離をめぐり、大法廷が違憲判決を出したのは3件目。これまで神社との関わりが問題になったが、儒教施設に関する判断は初めて。 裁判の対象になったのは、那覇市の松山公園にある「久米至聖(くめしせい)廟」。1335平方メートルの敷地に、孔子像を置く建物や儒学と沖縄の歴史を学べる施設などがある。一般社団法人「久米崇聖(そうせい)会」が2013年に建て、市が公益性を認めて敷地の使用料(年576万円)を免除したため、市民運動家の女性が政教分離に反すると市を訴えた。 大法廷は、孔子の霊を迎える年に1度の祭礼は宗教的意義を持ち、祭礼を行う目的で施設の建物が配置されていると指摘。儒教が宗教かどうかには言及せず、崇聖会が「祭礼の観光化」を拒む姿勢を示す閉鎖性や免除額の大きさを踏まえ、市が使用料を免除したのは「宗教的活動」に当たると判断した。 その上で使用料については、市に決めさせるべきだとした二審・福岡高裁那覇支部判決を破棄。「市に裁量はない」とし、全額を徴収すべきだとした一審・那覇地裁判決を確定させた。 訴訟をめぐっては、18年の那覇地裁判決、19年の福岡高裁那覇支部判決も違憲と判断。高裁が徴収額を示さなかったため、女性と市の双方が上告していた。 この日の判決は、今年2月に最高裁判事に就任した長嶺安政氏が審理に加わらず、前任の林景一氏が判断した。 那覇市の城間幹子市長は「判決文を読んで市として改善すべき点を検討して対応したい」とした。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南極観測船しらせ帰国 コロナ禍、無補給・無寄港の往復
南極観測船しらせ(基準排水量1万2650トン)が22日、神奈川県横須賀市の海上自衛隊基地の横須賀港に帰国した。新型コロナウイルス感染予防のため、日本と南極間の往復2万9千キロを無補給・無寄港で往復。1956年11月の1次隊出発以降初めてだった。 1月19日に昭和基地沖を離れ、61次観測隊越冬隊28人と62次夏隊13人と乗員、総勢220人が初めて一緒に赤道を越えて帰国した。初の感染が確認される前の一昨年11月に出発し、1年余り南極で暮らした61次越冬隊にとって新型コロナのある世界は初めて。数日前から船内でマスクを着けて慣れる準備をした。 コロナ禍で異例づくし 今季の62次隊は、コロナ禍で異例づくしだった。観測計画を縮小し、隊員は半数以下に。出発前は2週間の隔離期間も設けた。例年は隊員は日本と豪州間は空路で、しらせは先に出発し、豪州で燃料や食料を補給する。無寄港で最も大変なのは燃料だ。万一に備え、出発前に日本近海で洋上補給の訓練もした。いかに燃料消費を抑えるかが課題で、昨年11月の出港から行程は95日間と、例年のしらせ行動日数の6割に短縮した。 海氷が厚い所は船をバックさせ、勢いをつけて前進し体当たりする。この砕氷航行「ラミング」は通常の何倍も燃料を使う。船体が「ゴン、ガガガ」と大きな音をたてて氷をかき分けるが、進めないことや押し戻されることもある。衛星画像や気象のデータを見て航路を選び、燃料を綿密に計算したが、岩瀬剛航海長は「実際の氷の厚さや硬さはその場でないとわからない」。竹内周作艦長は艦橋で細かい指示を出し続けた。「燃料を無駄にできない。1メートルでも進まなければ」との思いだった。「氷海を抜けた瞬間は心の中でガッツポーズしました」 観測の継続は死守 観測隊は夏隊を減らしたが、越冬隊の態勢は維持した。「長年続けている観測データの継続や国際観測網の一翼を担う観測を優先した」と橋田元(げん)62次隊長は語る。 注目されるのが、温暖化による南極大陸の氷床や海の変化だ。氷床の融解が懸念される一方、湿った大気の流入で降雪が増える可能性もあり、昭和基地で降雪の観測を始める。大陸沿岸など各地で位置や重力も測り続けている。重しになっている氷床の質量が変われば大陸も動くからだ。 氷がとければ海に淡水が入り、塩分や海洋循環にも変化は及ぶ。温かい海水が氷河末端をとかし、氷流失を加速している可能性もうかがえる。氷床の変化と地球規模の海洋循環の連動がみえてきたが、メカニズムは複雑だ。地球環境の将来を予測するため、南極観測は重要性を増している。(中山由美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
所持金13円、餓死した親子 水も停止「2人孤独死」
誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」。無縁と思われがちな2人世帯でも、助けを呼べぬまま共に倒れ、遺体で見つかるケースが相次いでいる。一方が老いや病を抱える場合は特に注意が必要だ、と専門家は指摘する。 昨年のクリスマス、大阪府吹田市の団地の一室で、夫婦の遺体が見つかった。ともに67歳。夫は玄関付近で壁にもたれかかるように座り込み、妻はトイレの中で横向きに倒れていた。そばに妻の車いすがあった。 吹田署によると、夫に重い持病はなく、死因は虚血性心疾患。12月上旬に急死したとみられる。 一方、妻は足が不自由だった。死因は低体温症で、胃の中に固形物はなかった。介護を担っていた夫が先立ったため、十分な食事をとれなくなり、1~2週間後に亡くなった可能性があるという。 遺体が見つかった12月25日… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ハトのフン掃除しても怪電波 見つけたビッグバンの証拠
村山斉の時空自在<46> 昔のテレビに使われていたブラウン管は加速器だったが、ビッグバンの証拠も示していた。放送終了後などに見える砂嵐のような画像の一部は、ビッグバンから来た電波だったのだ。 ビッグバンを最初に「見た」のは、米ベル研究所のアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンの両氏だ。使命を終えた通信アンテナを宇宙観測に使おうとした。しかしなぜかノイズが入る。最初は近くのニューヨーク市からの電波かと思い、別の方向に向けた。でも入る。アンテナ自体に問題があるかと思って中を見ると、ハトが巣を作ってフンが落ちている。これが原因だと思ってハトを追い出しフンを掃除したがまだ入る。どうしても入るノイズは宇宙全体から来るとしか思えない。 そこで2人は近くのプリンスト… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不謹慎だけど…もうかる時短 協力金バブルに不公平感
新型コロナウイルス対応で、営業時間短縮の要請に応じた飲食店への支援が義務付けられる中、立地や規模にかかわらず一律で1日6万円が支給されることへの不公平感が渦巻いている。識者は制度設計を見直すべきだと指摘する。(河野光汰) 2月上旬、時短要請への協力金で利益を得ることを揶揄(やゆ)する「協力金バブル」という言葉がツイッター上でトレンド入りした。 「不謹慎かもですが、正直言ってもうかっています」。店のドアに「Close」の札が掛かる大阪市内のバーで取材に応じた30代の男性オーナーはそう声を潜めた。2019年夏にオープンした15席ほどの小さな店。家賃やアルバイトの人件費、仕入れ費用などを差し引くと、毎月100万円の売り上げが必要だが、赤字続きだった。 昨年4月、最初の緊急事態宣言… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「かんごしになりたい」書いた小6、コロナと母への思い
和歌山県九度山町立九度山小学校で、手形をうろこに見立てた、こいのぼり作りがあった。1本を手形入りに仕上げ、不要になった家庭などから寄せられた約100本のこいのぼりとともに、近くの丹生川の上に4月11日から5月5日まであげる予定だ。 町商工会青年部が2年前から同小学校に呼びかけて取り組んでいる。9日、1年生と6年生の約50人が、アクリル絵の具を手につけて、長さ約6メートルの白い布に手形を押した。 布の反対側には願いを書き込んだ。「かんごしになりたい」と書いた6年の中谷璃音(りおん)さん(12)は「母がなりたかった仕事。コロナがはやっていて困っている人を助けたい」と話した。(高田純一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幕下ろす「レジェンド」薬物捜査官 目付き変わった瞬間
柔和で相手を包み込むような目は、経験のたまものか。岡山県警組織犯罪対策1課の戸部裕之さん(66)は薬物密売ルートの解明に人生をかけ30年余り。警察庁認定の薬物捜査を専門とする「広域技能指導官」は、全国約30万人の警察職員でわずか5人だ。数々の大型事件を手がけた「レジェンド」が3月末、警察人生に幕を下ろす。 薬物の危険性に触れたのは岡山県警に入って数年後。岡山東(現岡山中央)署に少年係の巡査として赴任した頃にさかのぼる。 中高生にシンナーが横行した当時、管内だけで年百数十人が逮捕、補導されていた。まるで魂が抜けたようにシンナーを吸う少年たち。錯乱して屋根から落ち、命を落とした少年もいた。 いったん別の警察署へ出て岡山東署に戻った時、密売所で覚醒剤を買った疑いで30代の男女を逮捕した。2人の子は引き取り手が見つからず、児童養護施設に預けることになった。女は涙を流して過ちを悔やんだ。子どもがふびんで、1人の人間として胸が痛んだ。 末端の客がバケツから漏れる水滴だとすれば、密売人や運び屋はそこに水をあふれさせる水道の蛇口。ここを閉めないと薬物犯罪は撲滅できない――。これが捜査を積み重ねた結論だ。 若い頃には「ブツ燃やされた」失敗も 2004年、県警本部の薬物銃… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海のプラごみをアクセサリーに 突破口は障害者の創造性
海岸に散らばるプラスチックごみを使ったアクセサリーを、金沢市諸江町のリハビリ型就労スペース「リハス」が制作販売している。環境問題の啓発とともに、障害があっても稼げる事業として期待される。 ペットボトルのふた、プラスチック製品の破片など色とりどりのごみを洗い、アイロンで板状に固めてカットし、イヤリングやネックレスに仕上げる。作業や販売業務は施設の利用者十数人が担う。2019年秋に始めた当初は石川県内の海岸で材料を拾い集めていたが、今では全国各地の協力者が送ってくれるという。 金沢市内を拠点とするクリエーターチーム「カエルデザイン」の一員でリハスのディレクター高柳豊さん(58)は「障害のある人の仕事は単純作業で低賃金になりやすく苦労している。今回のような創造性のある仕事がそうした現状の突破口になると思う」と話す。 商品(税別2800~4500円)はオンラインショップ(https://kaerudesign.net/)でも購入できる。(堀越理菜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル