世界初となる宇宙空間での光通信ネットワーク事業を目指す筑波大発のベンチャー企業「ワープスペース」(茨城県つくば市)は17日、開発した超小型人工衛星を国際宇宙ステーション(ISS)に向けて21日に打ち上げると発表した。 つくば市内で記者会見した常間地(つねまち)悟CEOによると、米ノースロップ・グラマン社の補給船「シグナス」に載せ、米バージニア州のワロップス島から打ち上げる。ISSには野口聡一飛行士が滞在中で、時期は未定なものの数カ月以内をめどに宇宙空間に放出してもらう。軌道投入されれば、県内の民間企業としては初めてとなる。超小型人工衛星は最長で2年間地球を回りながら、電波や放射線の環境などを調べる実証実験を行う。 同社は、地上500~800キロメートルを周回する数多くの観測・気象衛星が、低軌道のため一日に短時間しか地上と交信できていない点に着目。高度1万キロメートルに中継衛星を複数打ち上げてネットワークをつくり、衛星事業者向けに、24時間高速な通信を提供するサービスを計画する。中継衛星は2022年末に打ち上げる。 常間地CEOは「民間が参入して盛り上がる宇宙ビジネスは今後飛躍的に発展する。今回の実証実験をステップにして、通信インフラの分野で地歩を築きたい」と話した。(庄司直樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
登校見守り中の男性、車にはねられ死亡「長年熱心に…」
広島県福山市新市町宮内の市道交差点付近で17日午前7時40分ごろ、近くの無職吉永忠久さん(73)が右折中の無職女性(74)運転の乗用車にはねられた。吉永さんは頭などを打ち、病院に運ばれたが、18日未明に死亡した。 県警福山北署によると、吉永さんはボランティアで子どもたちの登校の見守り活動をしていた最中だった。現場は、吉備津神社近くのT字路。信号機や横断歩道はなかった。 事故当時も一緒に見守り活動していた80代の男性は「口数は少なく、まじめ。長年にわたり熱心に見守りに取り組んでいた」といい、「地域で育てているバラの世話でも、しんどい力仕事をかってでてくれた」と地域の活動にも力を尽くした姿を振り返った。(佐藤英法) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
河村たかし市長「へたするともう1種類ある」 署名疑惑
名古屋市の河村たかし市長は17日、愛知県の大村秀章知事へのリコール署名で名古屋市選挙管理委員会に提出された署名の8割に無効の疑いがあったとして、地方自治法違反容疑で被疑者不詳で愛知県警に告発状を提出した。県警によると、捜査2課が受理した。 市によると、「市長として看過できない」と真相解明を求める内容。河村氏は「真相を明らかにするための第一歩。警察にはぜひ逮捕してほしい」と述べた。署名活動を支援した自身にも説明責任があるとして、独自に調査を続ける考えも示した。 この署名を巡っては、愛知県選管もすでに同法違反容疑で刑事告発し、県警が受理している。 一方で、河村氏は同日午前、署名活動団体の事務局長が、佐賀市で書き写されたとされる署名簿は提出していないとの認識を示したことに対し、「署名が使われとるのは事実。へたすると他にもう1種類ある」と、別の場所でも書き写しが行われた疑念を朝日新聞などの取材に述べた。(小林圭、関謙次) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地に心寄せた上皇ご夫妻 元宮内庁長官が見た決意
東日本大震災発生後間もなく、上皇ご夫妻は被災した7都県を連続して訪れた。被災地訪問にはどんな思いが込められていたのか。当時、宮内庁長官だった羽毛田信吾さんに聞いた。 ――2011年の東日本大震災発生時に天皇だった上皇明仁さまは、皇后だった上皇后美智子さまとともに3月末から5月にかけて7週連続で被災者を見舞いました。 震災発生直後から「できるだけ早く見舞いたい」との気持ちを示されていました。同時に「いまだ行方不明の人も多く、救援や復旧活動のため苦労している関係者の支障になることは避けなければならない」ともお考えでした。 【特集】東日本大震災を語る 東日本大震災から3月11日で10年となります。被災地の復興や支援、福島第1原発事故への対応など、様々な分野で思いを寄せる人たちにインタビューしました。 ――訪問は東京や埼玉から始まり、千葉、茨城、宮城、岩手、福島の被災地へそれぞれ日帰りする厳しい日程でした。 私たちは、まず被害の大きな東北地方を訪れることを考えました。しかし皇后陛下(当時)が「首都圏を先行させてもよいのでは」と提案され、東京や埼玉を先に訪れることになった。「被害の大きいところを先にしようとしても、しばらく待つことになる。規模が小さくても、被害に遭った一人ひとりの苦しみは変わらない」とのお考えからでした。 ――東北3県での被害が巨大すぎて、千葉や茨城など関東地方の被害が注目を集めにくい状況がありました。 忘れられた被害がないかとたえず気にされていました。たとえば東日本大震災翌日の11年3月12日に発生した長野県北部地震で被害を受けた長野県栄村には、11年暮れにも訪問の予定でした。天皇陛下(当時)が体調を崩されて延期したため、残された宿題のようになり、翌12年7月に訪問が実現するまで、ずっと気にとめておられました。 ――上皇さまは12年2月、心臓の冠動脈バイパス手術を受けました。じつは10年秋にすでに発作があり、震災1カ月前の11年2月に冠動脈に異状がみつかって手術も検討された。しかし「薬で抑えながら様子を見る」として手術が見送られていたことが、震災後に明らかになりました。 手術を震災の直前に受けていた… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
倉持医師に中傷ビラ容疑で逮捕 「テレビに出たから」
新型コロナウイルスについてテレビ番組などで発言している倉持仁医師(48)の病院に中傷ビラを貼ったなどとして、栃木県警は17日、宇都宮市北若松原2丁目、無職坂本淑子容疑者(67)を信用毀損(きそん)の疑いで逮捕し、発表した。「信用を毀損するつもりはなかった」と容疑を一部否認しているという。 県警によると、坂本容疑者は1月16日午後10時ごろ、倉持氏が院長をつとめるインターパーク倉持呼吸器内科の建物や駐車場の車などに「コロナが拡大したのは(倉持院長が)テレビに出たから」などと虚偽の事実を記したビラを貼り、病院の信用を損ねた疑いがある。倉持院長と面識はないという。 調べに対し、坂本容疑者は「倉持院長のところに行ったことで大丈夫だと安心し、行動を控えない人が出てきてコロナが拡大した。テレビに出てほしくなくて抗議をした」と供述しているという。 倉持院長は取材に対して「なぜこのようなことをしたのか動機を聞きたい。私が中傷を受けたように、今度は容疑者が過度な中傷を受けるようなことがないことを願いたい」と話していた。(平賀拓史、中野渉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
移住した町には映画館がない だから作る、30代の夫婦
鳥取県湯梨浜町に小さな映画館を作ろうと、大阪から移住したばかりの夫妻が準備を始めた。27、28日に最初のプレイベントを予定している。小規模でも多様な映画が見られる場を提供したいという。 柴田修兵さん(39)と三宅優子さん(36)は長男(2)の誕生をきっかけに大阪市内から移転を検討。県内のあちこちで移住体験をした。そんな中、湯梨浜町の東郷池かいわいにひかれた。ひらけた池の風景、ゲストハウス、書店、カフェ、そのスタッフとの交流。心地よく、生活しやすいと感じ、今年2月に移り住んだ。 2人とも映画好き。柴田さんは2013年に神戸市で開かれた、濱口竜介監督による即興演技ワークショップに参加し、映画「ハッピーアワー」(2015年、5時間17分)にも出演した。映画は国内外で高く評価され、主演の4人が国際映画祭で最優秀女優賞を受けた。 柴田さんはこの作品が原点となり、映画館の運営に関心を持つように。大阪ではサイレント映画に電子音楽をつけた上映イベントを手がけたこともある。 原点の映画「ハッピーアワー」上映 県内には、大手映画会社の作品がかかる映画館はあるが、常設の単館系ミニシアターはない。それなら作ろう、と思い立った。「自分たちのできる範囲の映画館ができれば」と優子さん。まずは、その都度、上映会場を手配してプレイベントを重ねて認知度を上げ、今後は機材をまかなうためのクラウドファンディングなども検討している。 映画館の名前は「ジグシアター」とした。ジグ(治具)とは、加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために使う器具。組み立てが済めば不要になる。「観客が映画の中に入ってしまえば映画館の設備は意識しなくなる。治具と同じ」と柴田さん。濱口監督からは「映画館(文化)とは、社会の組み立てをどこかで誘導する役割があるのかも」と後押しをされた。 プレイベントは27、28の両日を予定。27日は、「ハッピーアワー」を3部に分けて上映。3部通し2千円。28日は14時から、濱口監督がオンラインで登壇し会場の柴田さんとトークする。無料。 いずれも湯梨浜町松崎の旧桜小学校3階の会議室で。定員30人。問い合わせは柴田さん(090・1145・2992)。(角谷陽子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地震で川へ灯油が流出か 4万戸が断水、仙台など3市
仙台市は16日、大倉ダム下流にある大倉川(青葉区)の水から油のような臭いを確認したと発表した。この川を水源とする仙台市や塩釜市の浄水場計3カ所が停止した影響で、仙台、塩釜、多賀城の3市内にある計4万2200戸が断水となった。 仙台市によると、異常が分かったのは16日午前9時半ごろ。「国見浄水場」と「中原浄水場」(いずれも仙台市青葉区)の職員が、大倉川にある取水口付近から採取した水を検査したところ、「灯油のようなにおい」を確認。塩釜市が管理する「梅の宮浄水場」の水源にもなっており、この3カ所の浄水場で取水を停止した。 国見と中原の浄水場が給水するのは仙台市内の計14万5千戸。市は同日夜、うち1万8600戸が17日午前0時から8時間の断水となると明らかにした。 一方、梅の宮浄水場は、塩釜市の全約2万3600戸のうち2万1千戸(約89%)のほか、多賀城市東部の約2600戸に給水。停止の影響で16日午後5時から断水となり、両市は公共施設に給水所を設置した。 原因を調べている仙台市によると、取水口は大倉ダムから約1・5キロ下流。近くの民家で暖房用の灯油を入れたタンクが地震で破損し、最大250リットルが川に流れ込んだ可能性があるという。(申知仁) 「これで夕食の肉じゃが作れる」 ほぼ全域が断水した塩釜市では… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
巨大ITが個人情報を不当取得か ネット広告で公取委
公正取引委員会は17日、ネット広告市場に関する実態調査の最終報告を公表した。圧倒的な市場シェアを握る巨大IT企業について、利用者との契約にあいまいな部分があり、個人情報の不当な取得や利用にあたる可能性があると指摘。独占禁止法上の問題があれば、厳しく対応するとした。これを受け、政府は巨大IT企業に対する規制強化策の具体化を急ぐ。 IT企業はネット上で、検索やSNSなどのサービスを無料で提供しているが、それと引き換えに個人情報を集め、ネット広告に利用して自らの収益につなげている。 報告書では、IT企業が利用規約に記載している情報収集の手段や目的について、あいまいな部分があると指摘。規約上で個人情報の取得方法と利用目的の関係をより明確にするよう求めた。また、消費者が個人情報の利用を拒否する機能を提供することが望ましいとし、拒否したにもかかわらず広告に使った場合は、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたるとした。 広告仲介業者やメディアなどと結ぶ契約についても、IT企業が内容を一方的に変更したり、理由なく契約解除をしたりする例を問題視。この場合も、独禁法上の優越的地位の乱用にあたる可能性があるとした。 検索結果表示の広告はグーグルが7割超、寡占進む 新聞などのメディアが提供する記事についても取り上げた。クリック数などによって広告枠の価値が判断されると、アクセス数稼ぎを目当てにした不正確な記事が生まれやすいと指摘。ポータルサイトで掲載される記事が、正確性や信頼性に基づき判断されるような取り組みがなされるべきだとした。また、記事の配信料の算出方法に関する情報が開示されていないことにメディアから不満が出ていることをふまえ、配信料の算定基準や根拠を明確にすることが望ましいという見解も示した。 ネット広告市場は年々増える傾… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
双葉病院、50人はなぜ死んだ 避難の惨劇と誤報の悲劇
静まりかえった雑木林の先にタイル張り6階建ての建物が現れた。人の気配はない。聞こえるのは身に着けた防護服が擦れる音とマスク下の自分の息づかいだけだ。 記者が歩く 東日本大震災10年 東日本大震災から間もなく10年。余震はいまも続き、13日夜にも最大震度6強の揺れが襲った。復興に向けた人々の歩みは、前に進んだのか。被災地を記者が歩き、考えました。 私(28)が近づいているのは福島県大熊町にある「双葉病院」。あの日、そばの系列の介護老人保健施設も含め、患者や入所者436人がいた。 拡大する双葉病院の東病棟。柵の向こうの敷地には背丈ほどある草木が生い茂っていた=2021年1月23日、福島県大熊町、小手川太朗撮影 町内に立地する東京電力福島第一原発が爆発して放射性物質が降り注ぐ中、救出活動は混乱した。全員の避難までに地震発生から5日かかり、約50人が死亡した。 救える命だったのでは――。その後の裁判の経過をたどっても、政府の事故調査・検証委員会の報告を読んでも疑問が晴れない。改めて現場に向かった。 350床あり、精神科を中心とした地域最大の病院だった。事故を起こした原発からは南西4・5キロ。放射線量が高く、今も立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域にある。 拡大する取材の前に防護服を身につける小手川太朗記者=2021年1月31日、福島県大熊町、峯俊一平撮影 1月下旬。町の許可を得て病院を目指した。立ち入りを規制するバリケードの手前で貸与の防護服と線量計を受け取り、案内役の町民男性の車に同乗させてもらった。復興工事のトラックが行き来する大通りからわき道に入って約200メートル先に病院が見えた。 わき道はアスファルトで舗装されているが、きれいなのは途中まで。病院に近づくと、路面は色あせ、ひびが入り、盛り上がった跡が残る。男性がつぶやいた。 「この先はあと10年は人が住めねえよ」 実際に避難指示解除の見通しはまったくたたない。 拡大する双葉病院の正門へと続く道。病院の手前で色あせたアスファルト舗装に変わり、路側帯の白線は途切れていた=2021年1月31日午前11時、福島県大熊町、小手川太朗撮影 正門は白い鉄扉で固く閉じられ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
橋本聖子五輪相に一本化 新会長候補、検討委が最終調整
女性蔑視発言で辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の後任を選ぶ検討委員会が、五輪相の橋本聖子氏(56)を候補として一本化する方向で最終調整していることが分かった。検討委が17日、都内で2回目の会議を非公開で開催して候補を絞り込んだ。 橋本氏は17日夕、国会内で記者団に「ちょっと分からないです」と語った。要請があれば引き受けるのか問われたが、「何もないので」と述べるにとどめ、態度を明らかにしなかった。 組織委は18日に第3回の検討委を開くと発表。会長は週内にも、理事会の互選で決まる。 橋本氏はスピードスケートで冬季五輪に4回、自転車競技で夏季五輪に3回出場した経験を持つ五輪メダリスト。女性で初めて日本オリンピック委員会(JOC)で強化本部長を務めるなど、スポーツ界でも要職をにない、政治家として菅義偉首相ら政府とのパイプもある。 検討委が16日に開いた会議では会長の資質として、五輪・パラリンピック、スポーツに対する深い造詣(ぞうけい)がある▽男女平等などの五輪憲章や東京大会の理念を実現し、将来にレガシーとしてつなげていくことができる▽国際的な活動の経験があり、国際的な知名度や国際感覚がある▽東京大会のこれまでの経緯や準備状況について理解している▽組織運営能力や多様な関係者の調和を図る調整力を備えている――の五つの基準を挙げていた。 組織委は17日、「五つの観点を踏まえて、具体的な候補者の検討が行われた。本日の内容は具体的な候補者の人選に関わるため、新会長決定後に選考プロセスなどあらためて説明する」などとする声明を出した。 橋本氏をめぐっては、自民党幹部からは「彼女以外には思い浮かばない」との声があがっていた。大臣規範には「兼職」を禁止する規定があり、仮に橋本氏が会長に就く場合、五輪相は退くことになる。 新会長選びでは、森会長が元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)を後任に要請した経緯が「密室」と批判された。批判を受けて設置された検討委も、座長で組織委名誉会長の御手洗冨士夫氏(キヤノン代表取締役会長兼社長CEO)以外、メンバーは非公表で、16日には加藤勝信官房長官や東京都の小池百合子知事らから、透明性を確保するよう求める発言が相次いだ。 関係者によると、検討委のメンバーは男女4人ずつの8人で御手洗氏以外はすべて組織委理事。JOC会長の山下泰裕、スポーツ庁長官の室伏広治、東京都副知事の多羅尾光睦、元バレーボール日本代表の荒木田裕子、五輪柔道で2大会連続金メダルの谷本歩実、元体操選手の田中理恵、パラリンピック競泳金メダリストの成田真由美の各氏が選ばれていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル