新型コロナウイルスの感染拡大の深刻化で、医療現場が逼迫(ひっぱく)し、国は一部地域の緊急事態宣言の延長を決定した。入院が必要だったり、家族内感染の恐れがあったりしても、自宅療養せざるを得ない人が急増。症状の急な悪化で亡くなる人もいる。自宅療養の注意点や準備について、白鷗大の岡田晴恵教授にきいた。(聞き手・吉田美智子) 岡田晴恵さんのプロフィール おかだ・はるえ 1963年生まれ。共立薬科大(現慶応義塾大薬学部)大学院修士課程修了、順天堂大大学院博士課程中退、医学博士。アレクサンダー・フォン・フンボルト財団の奨励研究員として、独マールブルク大医学部ウイルス学研究所留学。国立感染症研究所などをへて現職。専門は感染免疫学、ワクチン学。近著に「新型コロナ自宅療養完全マニュアル」(実業之日本社)など。 ――自宅療養者が増えています。 たとえ高熱が出て、せきがひどくても、国の基準で「軽症」と判定されれば、ホテルなど軽症者向けの療養施設か、自宅療養となります。家庭内感染を防ぐために、療養施設に入ることを希望しても、そこにも空きがないこともあります。さらに大変なのは、本当は入院が必要な「中等症」なのに、病床に空きがなく、自宅待機せざるをえない人です。自宅療養者は1月下旬には全国で3万5千人を超えました。 ――家族と同居する場合、家庭内感染が心配です。注意点はありますか。 初期対応が肝心です。まず、感染者を個室に移し、家中の換気を徹底しましょう。テレビのリモコンやソファ、椅子など感染者が触れた可能性があるものは、消毒液で拭き取るか、洗濯をして下さい。水道の蛇口や電気のスイッチ、冷蔵庫の取っ手、トイレのレバーや便器のふたなどの消毒も忘れないように。 寒いですけど、部屋の換気は1時間に2回、5分以上は行って、完全に空気を入れかえましょう。加湿器があれば、湿度50~60%に設定しておくのもいいです。感染者は家族との会話はなるべく携帯電話かメールで、食事は部屋の前に置いてもらって下さい。 ――トイレやお風呂は? 感染者は家族の中で一番最後に… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
洋画家の偽版画も流通 6作品を鑑定、真作と異なる点
平山郁夫など日本画家3人の作品を元に作った偽物の版画が流通していた問題で、別の画家の作品の偽物もあることが、関係者への取材でわかった。販売元は不明だという。画家の遺族らが経緯を調べている。 偽物が見つかったのは、1985年に38歳で早世した洋画家の有元利夫(1946~1985)の作品の版画。遺族や美術商などの専門家でつくる鑑定委員会によると、昨年12月、外部から「MAGIC 占いの部屋」や「遊戯」などの6作品の版画について真贋(しんがん)鑑定を依頼された。調べたところ、いずれも色合いやサインなどに真作と異なる点があった。複数枚の偽物が確認された作品もあったという。 鑑定委員会は今年1月末、6作品の版画の真贋鑑定をする「登録委員会」を設立。今後購入者から相談を受け付けるという。委員の一人は「誤って偽物を買ってしまう人を一刻も早く守りたい」と話している。 この問題では、日本画家の平山郁夫、東山魁夷、片岡球子の計10作品の偽物の版画の流通が発覚。全国約40の画商でつくる「日本現代版画商協同組合」(東京都)の調査に、大阪府の画商の男性が販売していたことを認めており、昨年末に除名された。関係者から相談を受けた警視庁も著作権法違反容疑で捜査している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
池袋暴走「私の前で真実明らかに」 民事訴訟で遺族陳述
東京・池袋で2019年、暴走した車により妻と長女を失った松永拓也さん(34)らが、運転していた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)=自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪で公判中=などに対し、計約1億7千万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が9日、東京地裁(鈴木秀雄裁判長)であった。 飯塚被告側は請求の棄却を求めたが、被害者救済のため早期の和解を希望するともした。検察側が刑事裁判で主張したブレーキとアクセルの踏み間違いについては、認否を留保した。 松永さんはこの日の法廷で、「何に代えても守りたい大切な命だった。私の前で、真実を明らかにしてほしい」と言葉を詰まらせながら訴えた。 陳述要旨は以下の… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鳥か?アザラシ?いや人だ! 流氷に乗ると命の危険にも
北海道網走市にある網走地方気象台が「流氷接岸初日」を告げた1月31日、記者は取材中に信じられない光景を目撃した。接岸した流氷の上に、海鳥やアザラシではなく人が乗っていた。 拡大する接岸した流氷の上を歩く男性。そこは海の上でもある=2021年1月31日、北海道網走市、神村正史撮影(一部を加工しています) 拡大する男性が流氷の上にいた場所を同じ位置から同じアングルで撮影した。そこは、白波が立つ海になっていた=2021年2月2日、北海道網走市、神村正史撮影 肉眼では米粒ほどの大きさにしか見えない。超望遠レンズで確認してみる。男性が流氷を撮影しているようだ。 その場所は流氷の上でもあるが、海の上でもある。男性の乗っている流氷はすぐにでも沖に流れ出すかもしれない。 男性はまもなく岸に戻ったが、これは危なかった。下手したら死ぬぞ。 この日の網走市の最低気温は零下10・5度。最大瞬間風速は10・6メートルを観測した。流氷は、前日までは一部で接岸する程度だったが、北寄りの風におされて沖合から一気に岸に寄った。そして沿岸の広い範囲を埋め尽くし、船舶の水路をふさいだ。まさに「流氷接岸初日」の条件を満たす状況だった。 記者の目から見ると、男性がいる流氷の連なりは岸から沖に向かって数十メートルで途絶えていた。その先には白波が立ち、砕けた氷が海面を大きく上下していた。男性は足元の流氷が動かないと信じているのか、岸から10メートル以上沖へ流氷の上を歩いて行き、カメラを設置していた。 その間、数分くらいだっただろ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
死刑しかない、でも長く生きて 被告に語った遺族の真意
富山市の交番襲撃事件の裁判員裁判で、検察側は8日、強盗殺人の罪などに問われた島津慧大(けいた)被告(24)に死刑を求刑した。この日は、亡くなった警察官稲泉健一さん(当時46)と警備員中村信一さん(同68)の遺族も法廷に立ち、事件後の過酷な歩みや被告への激しい怒りを吐露した。 意見を述べたのは、稲泉さんの妻と長男、中村さんの弟と妻の計4人。稲泉さんの妻と長男の周りには、傍聴席から姿が見えないようついたてが置かれた。 稲泉さんの妻は、寡黙ながら優しく頼りになった人柄をしのび、「主人のことが大好きだった」と振り返った。稲泉さんの遺体と対面したのは勤務先の病院で、隣の部屋では被告の救命措置が行われていたという。以来、病院に行けなくなり、退職を余儀なくされた。パトカーのサイレンを聞くと、いまも当日を思い出すといい、「どんなに時間が経っても忘れられない」。そして「6月26日、すべてを奪われた」と続け、最後に「犯人を死刑にしてください」と2回繰り返した。長男は、マスコミの心ない取材に苦しんだことにも言及。「こんな理不尽な思いをすることになったのも被告のせい」と語り、「一生恨み続ける。死刑以外は絶対にあってはならない」と訴えた。 「島津慧大さん」。最後に意見を述べた中村さんの妻は時折、被告をまっすぐ見て、名前を呼びながら言葉をつないだ。被告と面会した際、「悪いとは思えない。警察官と見誤ったことが悔やまれる」と言われたことを明かした。「責任を感じているように思えなかった。でもその後、『こんな自分で申し訳ない』と言いました。不思議な言葉でした」と振り返った。 そして、「(障害の)治療を受け、苦しみや命の尊さを理解できるようになってもらわないと」。事件の理不尽さ、夫の無念を思うと「科すべき刑は死刑しかない」。そう語りつつ、こう締めくくった。「あなたにはできるだけ長く生きてもらいたい。遺族以上に悩み、苦しみ、後悔して、生涯を終えてもらいたい」 被告は中村さんの妻が話す間、その姿をじっと見つめていた。 弁護側の弁論の一部は9日に持ち越しになった。(竹田和博) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
排水弁閉め忘れ…水道代600万円 県職員が半額支払い
兵庫県庁の西館(神戸市中央区)地下にある貯水槽で2019年10月、職員が排水弁を閉め忘れたため、約1カ月にわたって水が流れ続け、水道代約600万円が余分にかかっていたことがわかった。県が取材に明らかにした。 県管財課によると、外部業者が貯水槽内部を定期清掃した際、50代の職員が排水弁を閉める作業を引き受けたのに、失念したという。貯水槽は一定量がたまると水の供給が止まる仕組み。ただ弁が開いていたため、総量9千トンあまりの水が流れ出たという。 翌11月になって、神戸市水道局から「水道の使用量がものすごいことになっている」との指摘があり、発覚した。通常なら水道代は2カ月で約200万円だが、流出分だけで602万6773円かかったという。 県はいったん全額を税金で納付したが、監査からの指摘を受け、この職員に半額を請求し、すでに納付された。管財課は「損害を出してしまい申し訳ない」としている。再発防止のため県は毎月2回の巡回点検を始めたほか、定期清掃時の職員の立ち会いを1人増やして2人態勢にしたという。(武田遼) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
亡き母探し来日女性の物語 映画の全国公開向け資金募る
太平洋戦争後、5歳の頃に米兵の養女となって海を渡った女性が66年ぶりに来日し、母親の足跡を訪ね歩いた。その様子を記録したドキュメンタリー映画が、世界各国で受賞を重ねている。制作した大学教授は日本全国での映画館公開を目指し、資金を募っている。 主人公の女性は米テキサス州に住むバーバラ・マウントキャッスルさん(73)。神奈川県横須賀市で日本人の母と米国人の父親との間に生まれ、元々の名前は木川洋子だった。母子家庭で育ち、生活困窮のため1953年に国際養子縁組で米国に渡った。「母親とは一緒に人形劇を見たりした、楽しい思い出しか残っていない」と話す。 5歳でアメリカの地を踏み、言葉も通じず、時には虐待を受けながら必死で生き抜いてきた。バーバラさんは「唯一、母との思い出だけが、人生で生き残るための心のよりどころでした」と振り返る。 結婚し4人の子どもに恵まれたが、顔を忘れてしまった実母への思いは募るばかりだった。「お母さんに会いたい」。2018年、高齢となったバーバラさんの願いをかなえようと、子どもたちが母親のルーツについて調べ始めた。 「木川信子という女性を知りませんか?」。バーバラさんの長女が木川という名前の日本人をネットで検索し、たまたま見つけた木川剛志(つよし)・和歌山大観光学部教授(44)にSNSでメッセージを送った。 都市計画の研究者で、観光映像にも造詣(ぞうけい)が深い木川教授は「全く心当たりがなかった」というが、苦難に満ちたバーバラさんの半生を知り、母親の信子さん探しに協力することにした。 度重なる調査で信子さんは亡くなっていたことが判明したが、生前の足取り解明や関係者探しに奔走。19年10月、バーバラさんを日本に招き、渡米前に母親と暮らしていた家や、その後預けられた児童養護施設などを訪問。生前の母を知る人らとの交流会も実現させた。 来日の様子を木川教授が記録したドキュメンタリー映画「Yokosuka1953」(54分)は、アイスランドとアメリカの国際映画祭で最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、世界で高い評価を受けている。 木川教授は、戦後混乱期の時代背景などを掘り下げた100分超の長編バージョンを準備中で、全国での映画館公開を目指してクラウドファンディングで資金の一部を募っている。「親や祖父母世代の『語られなかった戦後史』を知り、苦難の時代を生きた彼女らの人生に寄り添うきっかけになれば」と話す。 バーバラさんは、長編映画化の動きについて「今も私の人生の物語に興味を持ち続け、取り組んでくれていることはとても光栄です。私が日本に滞在し感じたことを多くの人に伝えてほしい」とメッセージを寄せている。 目標額は150万円で制作費などに充てる。朝日新聞社のクラウドファンディングサイト「A―port」(https://a-port.asahi.com/projects/yokosuka1953_movie/)で2月末まで受け付けている。1口1千~10万円で、寄付額に応じて作品のエンドロールに氏名を掲載するなどの返礼がある。(白木琢歩) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「司法にも殺された思い」 危険運転の壁、苦悩する遺族
津市の国道で2018年、時速140キロ超の乗用車がタクシーと衝突し乗客ら4人が死亡、1人が大けがを負った事故で、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた被告(58)の控訴審判決が12日、名古屋高裁である。同罪の成立を認めなかった一審判決が維持されるのかが焦点だ。同罪の適用例は少なく、遺族の抱く処罰感情とは隔たりがある。 拡大する報道陣の取材に応じる大西朗さんの母まゆみさん(中央)ら=2020年12月1日午後、名古屋市中区 「危険運転を認め、事故の抑止力になる判決がほしい」。事故で亡くなった大西朗(あきら)さん(当時31)の母まゆみさん(61)は控訴審に望みをかける。 「亡くなった人たちの意味を示したい。それがなければ本当につらいだけの事故で終わってしまう」 一審・津地裁は、元ソフトウェア会社社長の末広雅洋被告について「危険の認識があったとまではいえない」と判断。同罪ではなく同法違反(過失運転致死傷)の罪を適用し、懲役7年(求刑懲役15年)を言い渡した。 事故と裁判に二度苦しみ 「危険運転」の立証の壁は… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海自潜水艦が貨物船と接触 けが人はいない模様
8日午前11時ごろ、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が、高知沖の足摺岬の南東で、貨物船と接触した。防衛省によると、隊員3人が軽傷を負った。そうりゅうはマストなどに損傷があるが、航行に支障はないという。 貨物船側は接触に気づかなかった可能性があり、けが人はいない模様。通報を受けた海上保安庁が詳しい状況を調べている。 加藤勝信官房長官は会見で、官邸危機管理センターに情報連絡室を設置し、状況の把握に当たっていると明らかにした。「政府としては総理の指示を踏まえ、関係機関との連携を図りながら一体となって全力を挙げて対応してまいる所存であります」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
深夜のヤミ営業、ばれた 行政からのメールに震えた店主
「貴店舗におかれましては、確認できた範囲では、営業されているとの報告がございます」 1月下旬。大阪市内の居酒屋に1通のメールが届いた。送り主には「大阪府」とあった。 店主の40代男性は読みながら震えが止まらなかった。時短要請に応じる代わりにもらえる協力金の申請時、府に伝えたアドレスに送られてきた。 「ヤミが、ついにばれたんか」 店は、昨年11月末から大阪市… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル