学校法人・森友学園(大阪市)へ国有地が大幅値引きで売却された問題が、朝日新聞の報道で発覚してから9日で4年。現場には小学校になるはずだった建物が残り、値引きの根拠になった地中のごみの検証はいまだなされていない。大幅値引きは、公文書改ざんはなぜ起きたのか。法廷や国会で真相究明が続く。 大阪府豊中市の住宅地。無人の敷地に朱色の壁の建物が立つ。壁に「瑞穂の國(くに)記念小學(がく)院」の文字。敷地を囲うフェンスには「国有地 国土交通省大阪航空局」の掲示がある。森友学園が小学校の建設を進めた場所だ。 敷地内には工事資材が放置され、草も生い茂る。近くを散歩中の60代の女性は「残すのか、壊すのか。森友問題がきちんと終わるまでは、忘れないためにも残した方がいいと思うけど」と話した。 この建物と地表の下に、大幅値引きの根拠とされたごみが眠っているとされる。国会で野党は掘り返して検証するよう重ねて求めたが、国は応じていない。 小学校の校舎や体育館になる予定だった建物が残っているのは、土地を購入した学園側、校舎を建てた「藤原工業」(大阪府吹田市)、国の3者で協議が続いているからだ。 この土地は2016年6月、国が鑑定価格から地中ごみの撤去費8億1900万円などを差し引いて学園側に売却したが、問題が表面化したことなどで学園は小学校開設を断念。国は17年6月、学園側から売却額と同じ1億3400万円で買い戻し、土地の所有権は国に戻った。 問題になるのは建物だ。国が学園に土地を売った際の契約には特約が付き、国が買い戻した場合、原則として元通りにするという原状回復義務が盛り込まれていた。国は、民事再生中の学園の管財人や、藤原工業に対し、土地を更地にして返還するよう求めている。 校舎の所有権については藤原工業と管財人の間で争いが続くが、同社は校舎の建設費約20億円のうち、約15億円を学園側から受け取っていないと主張。同社は19年12月、国と管財人に対し、建築費の支払いに充てるために建物と国有地の一括売却を求める民事調停を大阪簡裁に申し立て、今も協議が続いている。 同社は調停で、建築費の支払いがあるまで土地を占有する権限があると主張。解体にも10億円程度かかるといい、同社側は「建物を利用することなく解体すれば、社会経済上も大きな損失だ」と訴えている。 土地の管理は国交省が担う。地中ごみについて、石井啓一前国交相は18年4月の衆院国土交通委員会で「相手方は建物に対する所有権、土地に対する留置権を主張され、現実に占有されている状況で様々な交渉を行っていることから、直ちに調査をすることは困難」と答弁した。 同省大阪航空局の担当者は今月8日、「相手方との調停中で、現状として変わりはない」と取材に説明。調停が終わった場合については「今後どうするか、今の段階ではお答えできない」と答えた。(瀬戸口和秀、矢島大輔) 「なぜ夫が」文書提出を申し立て 「知りたいのは、なぜ夫が改ざ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員間暴力で免職の元教諭宅に侵入容疑 動画を投稿か
他人の住宅の敷地に侵入したとして、兵庫県警は8日、大阪市西成区のユーチューバーの男(36)を邸宅侵入容疑で逮捕し、発表した。侵入したのは神戸市立東須磨小学校の教員間暴力・暴言問題で懲戒免職処分となった元教諭宅で、男は「インタビューするために無断で入りました」と容疑を認めているという。 県警によると、逮捕容疑は昨年11月8日、神戸市内にある男性宅の敷地内をうろつき、郵便受けの中を確認したというもの。 男はその様子を自ら動画撮影し、自分のユーチューブチャンネルに投稿していたという。動画を見た視聴者から情報提供があり、県警が男を特定した。動画はすでに削除されている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あおり運転1.5キロ、容疑の男逮捕 被害者が動画提供
「あおり運転」で相手の車の同乗者にけがをさせたとして、大阪府警は8日、堺市南区逆瀬川の無職、谷慎二容疑者(45)を道路交通法違反(妨害運転)と自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで逮捕し、発表した。「弁護士と相談した上でお話しします」と認否を保留しているという。 西堺署によると、谷容疑者は1月27日午後9時55分ごろ、堺市南区から同市中区の路上を軽自動車で走行中、男性(41)が運転する車に対し、後方から著しく車間距離を詰めたり、急に車線変更したりする妨害運転を約1・5キロにわたって繰り返し、さらに前方に割り込んで急停止させ、助手席にいた男性の妻(42)に約2週間の腰椎(ようつい)ねんざを負わせた疑いがある。 被害者の夫婦は後ろからパッシングを繰り返す車に気付き、事故を起こされた場合に備えてスマートフォンで様子を撮影し、署に動画を提供していた。 朝日新聞が入手した動画には約5分間にわたり、軽自動車がクラクションを鳴らしながら急接近したり幅寄せしたりする様子のほか、片側2車線の幹線道路上に急停車させた後、運転席から降りた男が、夫婦の車のドアを開けようとしたり、車体をたたいたりする様子が記録されていた。 取材に夫は「トラウマになった。今は車間距離を詰められただけで身構えてしまう」。妻は「原因に心当たりがなく、対策も難しいので恐怖心が大きい」と話した。 署は動画に映っていた車のナンバープレートなどをもとに、谷容疑者が関与したとみて行方を捜査し、島根県内で逮捕した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ドコモ口座不正引き出し、中国籍の「買い子」2人を逮捕
NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使って連携する銀行の預金が不正に引き出された事件で、警視庁は8日、引き出した預金を使いスマートフォン決済の「d払い」で買い物をしたとして、ともに中国籍で、留学生の男女2人=電子計算機使用詐欺容疑で逮捕=を詐欺容疑で再逮捕し、発表した。調べに対し、中国系の無料通信アプリ「WeChat(ウィーチャット)」で知り合った人物から指示を受けたと供述しているという。 逮捕されたのは樊瑩(28)=東京都板橋区常盤台4丁目=と斉好男(23)=東京都練馬区羽沢=の両容疑者。 サイバー犯罪対策課によると、2人は別の人物と共謀し、それぞれ岡山県と広島県の男性2人を装い、都内のコンビニと家電量販店で「d払い」を使って加熱式たばこ(15万6千円)とワイヤレスイヤホン(6万9千円)を買った疑いがある。被害男性らの中国銀行(本店・岡山市)の個人口座と、自らが管理するドコモ口座を不正に結びつけて購入していたという。 樊容疑者は「弁護士と会うまで何も話したくない」、斉容疑者は「私がやったことに間違いありません」と話しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
森会長発言にスポンサー企業が苦言 組織委は声明と説明
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言をめぐる批判が広がり、多様性の尊重をうたう大会の理念に賛同して支援してきたスポンサー企業から組織委に苦言が示されている。組織委は7日夜、改めて声明を発表。8日夜、スポンサー企業に改めて一連の経緯について説明した。 問題になったのは、3日にあった日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などの発言。森会長は4日の会見で謝罪し、撤回したが、その際の対応も「反省していない」などと批判された。 日本生命は朝日新聞の取材に「発言は女性蔑視ともとらえられ、男女平等がうたわれている五輪・パラリンピックの精神に反する表現で大変遺憾。組織委に対しても伝えた」と答えた。 東京海上日動火災保険の広報担当者も「五輪・パラリンピックの理念に反するもので、誠に遺憾だ。引き続き、多様性と調和を掲げる東京大会の成功、そして安心・安全な大会になるよう尽力していく」とした。 多くのスポンサー企業は海外でもビジネスを展開している。ある企業は「メッセージを出して終わりではダメ。森会長の発言のような大会にはしないときちんと分かるようにしてほしい」と組織委に伝えたという。幹部は「海外からどう見られているか。もはや会長が辞める辞めないという次元の低い問題ではない」と話す。 組織委は昨年12月末、国内スポンサー全68社が契約延長に合意したと発表。新型コロナの影響で経営に深刻な打撃を受けた企業もあるなか、追加協賛金は総額220億円にのぼった。 SNSでは「スポンサーにとっても迷惑だ」という声がある一方で、「なぜ辞任を求めないのか」「抗議の声をあげるべきだ」との意見も出ている。 P&Gの広報担当者は「お客様からいただく様々な意見の中には、批判的なものもある」とした上で、「私たちは平等な社会の実現など五輪のめざす精神、理念に共鳴しており、今後もパートナーとしてそのような大会が実現するよう協働していきたい」と答えた。 ある企業はジェンダー平等を掲げる国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)に賛同し、協力企業に順守を求めている。幹部は「時代錯誤も甚だしい発言。取引先だったら調達を打ち切る」と話した。 このほか企業の広報担当者からは「3月に聖火リレーが始まる大事なタイミングで水を差された。開催に前向きな人も大勢いるなか、先頭に立つ人とは思えない」「会社としては何も対応もしないし、検討もしない。別に森さんのスポンサーじゃない」といった声も上がった。 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言に反発が広がったことを受け、組織委は7日夜に公式サイトで発表した声明で「森会長の発言は五輪・パラリンピックの精神に反する不適切なもの」と認めた上で「ジェンダー平等は東京大会の基本的原則の一つ」と述べ、差別のない多様性ある大会を追求すると表明した。 参加予定選手のうち五輪は48・8%、パラは40・5%が女性で「最もジェンダーバランスの良い大会」と訴えた。 また、大会ボランティア約8万人にも、5~6日にかけて「不愉快な思いをされた皆様に深くおわびします」と謝罪メールを送った。ボランティアの辞退者数について「会長の発言後に増えているということは特段ない」とした。 関係者によると、組織委は週内にも臨時の会合を開き、女性蔑視発言問題について協議する予定だ。 オフィシャルパートナーの1社である朝日新聞社の広報部は「森喜朗氏の女性差別発言について、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長をすみやかに辞任するよう求める社説を2月5日付朝刊に掲載しています」とコメント。社説では、女性指導者の育成と女性幹部の登用はスポーツ界の喫緊の課題とした上で、「その取り組みを揶揄(やゆ)し、女性全般を侮辱した責任は極めて重い」と指摘した。 ◇ 〈東京五輪・パラリンピックのスポンサー〉最上位の14社は国際オリンピック委員会と契約し、世界中で五輪マークを使った販促活動を展開できる。国内では上位の「ゴールドパートナー」(15社)、中位の「オフィシャルパートナー」(32社)、そして「オフィシャルサポーター」(21社)がそれぞれ大会組織委と契約する。位置づけに応じて、大会エンブレムを使う権利などが与えられ、自社商品につけたり、関連キャンペーンを展開したりできる。組織委の最新の予算案ではスポンサー収入は4千億円超(追加分を除く)で、収入全体の約56%を占める。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
交番襲撃、元自衛官に死刑求刑 弁護側は「無期懲役を」
富山市で2018年、交番が襲撃され、警察官と近くの小学校の警備員が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた元自衛官島津慧大(けいた)被告(24)の裁判員裁判の公判が8日、富山地裁(大村泰平裁判長)であった。検察側は「凶悪非道な犯行」として死刑を求刑。弁護側は、拳銃を奪うために警察官を殺害しておらず、強盗殺人罪は成立しないと訴え、無期懲役を求めた。 被告は初公判以降、法廷で何も話していない。判決は3月5日の予定。 検察側は、被告の社会不適応の一因に自閉症スペクトラム障害(ASD)があった点を認めたうえで、「人への暴力を選んだのは被告の意思」として犯行への影響は間接的・限定的だと主張。周囲がASDに気付かず、社会的支援を受けられなかった点なども、「刑を軽くする方向に考える余地はない」とした。 起訴状によると、島津被告は18年6月26日、奥田交番付近で稲泉健一警部補(当時46)=殉職により警視=をナイフで刺殺して拳銃を奪い、その後、富山市立奥田小学校の正門付近で警備員の中村信一さん(当時68)を拳銃で撃って殺害したとされる。(竹田和博) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国内で新たに1216人が感染 大阪では死者1千人超え
新型コロナウイルスの国内感染者は8日午後8時現在で新たに1216人が確認された。2日連続で2千人を下回った。一方で、全国の死者は83人増えた。大阪府では新たに11人の死亡が確認され、累計の死者が1009人となり、東京都に次いで1千人を超えた。 東京都の新規感染者は276人。昨年12月7日(299人)以来約2カ月ぶりに300人以下となった。8日までの1週間の平均新規感染者は553・3人と、前週比で68%。都基準の重症者数は前日より7人減って104人となった。 大阪府では新たに119人の感染を確認。直近7日間の平均が300人以下となり、緊急事態宣言の解除を政府に要請するために府が設けた独自基準を満たした。府は実際に解除を要請するかどうかを、京都府や兵庫県と協議したうえで、専門家の意見もふまえて判断する。 また厚生労働省は、英国で報告されている変異ウイルスが、兵庫県と埼玉県で新たに8人から見つかったと発表した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪ボランティア390人が辞退 森喜朗氏の発言受け
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言の後、会場運営に関わる大会ボランティア約390人が辞退したことがわかった。組織委が8日夜、公表した。聖火ランナーについても、発言を理由に2人が辞退を希望したという。 組織委は8日正午までの数を公表。ボランティアの辞退者も大半は発言を理由に挙げたという。組織委のコールセンターには電話やメールで約4550件の意見が寄せられた。 一方、都によると、駅などで活動する都市ボランティアの辞退は8日夕方時点で53件に達した。都に寄せられた発言に関する電話やメールは計1162件。「会見でも謝罪しているように見えなかった」「日本社会全体が海外から誤解を招く」といった意見が多かったという。 問題になったのは、3日にあった日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などの発言。森会長は4日の会見で謝罪し、撤回したが、その際の対応も「反省していない」などと批判された。(斉藤佑介、長野佑介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発不正入室問題、東電に追加検査へ 「関門」機能せず
原子力規制委員会は8日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で昨年9月に東電社員が他人のIDカードで中央制御室に入った問題について、「安全確保に影響がある」と認め、東電に追加の規制検査を行うことを決めた。東電が不正入室を報告した2日後に、柏崎刈羽の再稼働に向けた審査が事実上終結したが、更田豊志委員長らは今年に入るまで不正入室を知らなかった。 規制委によると、不正入室は昨年9月20日に発生。自分のIDカードを見つけられなかった東電社員が、他人のIDカードを無施錠のロッカーから無断で持ち出し、その人物になりすまして認証手続きを通過し、中央制御室に入室した。 東電は核物質防護規定に反するとして、翌21日に規制委の事務局である原子力規制庁に報告した。規制庁は幹部まで情報をあげたが、軽微な事案として委員長らには四半期ごとの定期報告で伝えればよいと判断したという。今年1月に報道で発覚。その後、ミスやトラブルの深刻さを評価する手続きを進めていた。 規制委はこの日の非公開の臨時… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海自潜水艦、貨物船と衝突 高知県沖、見張りにミスか
8日午前11時ごろ、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が、高知県沖で民間船と衝突した。潜水艦の乗組員3人が打撲などの軽傷。関係者によると、民間船は香港籍の貨物船で、接触に気づかなかったとみられ、けが人の情報はないという。通報を受けた海上保安庁が、詳しい状況を調べている。国の運輸安全委員会も8日、船舶事故として調査を始めた。 海上幕僚監部などによると、発生場所は高知県土佐清水市にある足摺岬の南東約50キロ。「そうりゅう」には約65人が乗艦して訓練中で、潜望鏡やアンテナが海面に出る「潜望鏡深度」まで浮上するところだった。民間船を確認したが、よけきれなかったという。 海上自衛隊のホームページによると、そうりゅうは全長84メートル、幅9・1メートル、深さ10・3メートル、速力は約20ノット(時速37キロ)。広島県呉市の海自第1潜水隊群の所属で、2009年に就役した。今回の事故で潜望鏡やアンテナが壊れたが、自力で航行可能で、海保の指示に従って高知港(高知県)に入港する予定という。 通常、潜水艦が浮上する際は、海面に船舶がいないかどうかを潜望鏡やソナーで事前に確認する。海保や自衛隊が原因を確認中だが、海自幹部は「船から潜水艦は見えず、絶対にあってはならない事故。ソナーなどによる見張りにミスがあったのではないか」と話した。 一方、衝突した貨物船は、海上保安庁関係者によると香港船籍の「オーシャン アルテミス」で、鉄鉱石を積んでいた。乗組員にけが人はなかったという。 船舶の位置情報を公開するサイ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル