東京電力福島第一原発の大事故は、国内の原発産業の経営環境も一変させた。低調な再稼働、凍結が続く新増設、そして輸出に頼る活路も途絶えた。この先、技術や人材が不足し、廃炉作業などで安全性の確保に支障が出かねないという懸念も現実味を帯びる。たそがれの時を迎えた一大産業は、どこへ向かうのか。(編集委員・大月規義、大津智義) まるで巨大な刀鍛冶(かじ)のように、真っ赤に熱せられた150トンの鋼の塊に大型ハンマーが落とされ、轟音(ごうおん)とともに火花が散る。塊は回されながら鍛えられ、直径2メートル弱の円柱に仕上がる。 昨年12月、世界有数の鋳鍛造技術を持つ鋼材メーカー「日本製鋼所M&E」(北海道室蘭市)の工場を取材した。円柱は火力発電所の発電機の回転軸だ。「鍛錬ライン」では、発電所や化学プラントなどの大型の鋼鉄部材が造られる。 この工場は100年以上の歴史… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
復興は「再出発」 双葉町の案内標識、英訳に込めた思い
福島県双葉町の国道に「復興」を「Re-Start(再出発)」と英訳した案内標識が立っている。東京電力福島第一原発事故で、いまだ全ての住民の避難が続く町だ。英訳には町職員たちの思いが込められている。 除染廃棄物を運ぶ大型ダンプや工事関係者の車が行き交う町中心部の国道6号。青い案内標識に白い文字で「中野復興拠点」、その下には「Nakano Re-Start Base」の英語表記。 一般的に「復興」は「reconstruction(再建)」と訳され、政府の復興の司令塔、復興庁も「Reconstruction Agency」と表記される。なぜ、案内標識は「Re-Start」なのか。 町復興推進課に尋ねると、主幹の田中聖也さん(29)は「やっと気づいてもらえましたか。標識は1年前にできて、聞かれたのは初めてです」と明るい声で答えた。 町では昨年3月、面積の4・6%で原発事故による避難指示が初めて解除された。国の避難指示が出た11市町村のうちで最も遅く、インフラが整わず、人が住めるのは来春の予定だ。そんな中、町は地場企業など27社(予定含む)が進出する「中野復興拠点」(約50ヘクタール)を新たな町づくり拠点と位置づける。津波で被害を受けた沿岸部に整備された。 国道の案内標識は昨年2月に設置。事前に道路を管理する国土交通省から復興拠点の表記について町に相談があり、課内で話し合った。「reconstruction」は「長くて難しい」と見送った。それよりも、町づくりがここから始まる「再出発」との意見が出て、国交省も受け入れたという。 田中さんは「他の市町村の復興が進む中、双葉町はまだ1人も帰還できていない。ごく一部ですが避難指示が解除され、単に元に戻す『再建』より、やっとスタートラインに立てた、という思いを込めました」と話す。震災からまもなく10年。町の復興は動き始めたばかりだ。(小手川太朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海外ギャンブルサイト、日本の「客」急増 捕まらない?
オンラインカジノなど海外を拠点とするネットギャンブルサイトへの日本国内からのアクセスが増えている。参加への登録は手軽で、日本語で参加を促すサイトもある。日本では賭博が禁じられており、海外のサイトであっても賭けていれば違法になりうるが、証拠が集めにくく摘発のハードルは高いという。 ギャンブルサイトは主にオンラインカジノと、スポーツを賭けの対象とするスポーツベットがある。サイトの多くは、ギャンブルが合法な国でライセンスを取得し、運営しているとされる。氏名や住所、銀行口座などをサイトに登録すれば利用でき、クレジットカードや暗号資産(仮想通貨)を使って入金し、賭けに参加。払戻金は日本の口座などで受け取る仕組みだ。 朝日新聞は、イスラエルに本社を置くデジタル分析支援会社「シミラーウェブ」の日本法人(東京)に依頼し、海外を拠点とするネットギャンブルサイトへの日本国内からのアクセス件数を調べた。 オンラインカジノで最多は「ベラジョンカジノ」で、2018年12月に約64万8千だった月間のアクセス数が、20年1月には約7751万に激増。1年ほどで約119倍になった計算だ。同8月には約1988万まで落ちたが、11月には約4938万と、再び増加傾向に転じた。 同サイトは、カリブ海にあるオランダ領キュラソーでライセンスを取得したと記載。日本語で「皆様が安心して安全に楽しめる公平かつ公正なゲームを提供しています」「賭博で捕まっちゃう?!なんて心配は無用です!」と記載し、日本人の参加を促している。 スポーツベット部門でアクセスが最多の「bet365」は、18年12月の約86万から、ピークだった20年7月には約1320万に増加していた。同サイトによると、南欧マルタでライセンスを得ているという。 ギャンブルサイトへのアクセスが増えた背景には、暗号資産の普及やSNSでの広告戦略が容易になった点があるとみられる。 日本の刑法は、国内で行う賭博を禁じており、海外のネットギャンブルで国内から賭ければ違法になりうる。ただ、胴元であるサイトの拠点国が合法であれば、捜査当局はサーバーの管理者の協力などが得られず、証拠を集めにくいのが現状だ。摘発のハードルは高いといえるが、過去に参加者を摘発した例もあり、警察庁担当者は「可能な限り摘発していく」と話している。 朝日新聞の取材に対し、ベラジョンカジノは「弊社はライセンスにのっとり運営されているため、キャッシュで賭けを行っても問題はありません」と回答した。bet365は質問に回答がなかった。(鬼原民幸、田内康介) 参加率が最も高かったのは 国際カジノ研究所(東京)は昨… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
肩代わり翌日に70万円借金 ギャンブルに溺れた長男
インターネットを通じて海外企業のサイトで賭けをするネットギャンブル。千葉県に住む50代の男性は、大学生の長男がのめり込み、借金の返済に追われるなど苦しんだ。朝日新聞の取材に「息子はブレーキが壊れた自動車のようだった」と語った。 長男が関東地方の大学にスポーツ推薦で入学したのは6年前のことだ。中学、高校とバスケットボールで活躍した長男は、大学でも下宿をしながら練習に明け暮れていた。 だが、前期が終わった半年後、大学から自宅に送られてきた「成績表」を見て男性は驚いた。授業で計6単位しか取得できていなかったからだ。「いくらバスケの練習が忙しいとはいえ、これはおかしい」。男性は長男の下宿先に飛んでいったという。 「取ろうと思っていた単位がうまく取れなかった」。そう話す長男を信じ、「後期は頑張れよ」と励ました。だが、その後も単位の取得は増えず、後期も11単位のみ。さすがに不審に思い、再び下宿先に向かった。長男は留守だったが、何げなく部屋にあったリュックサックを開けると、中から学生ローンの借用書が数枚出てきた。 ローンの額面は、3社から計1… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
下手だった祖母の中国語 残留婦人の隠されていた苦労
さいたま市の巻口清美さん(55)は、中国残留邦人の体験を伝える「戦後世代の語り部」として活動している。語るのは、76年前の敗戦前後の混乱の中、中国残留婦人となった祖母・シズさんの生涯だ。祖母の人生にそれほどの関心はなかったが、2007年、思いを変えた。きっかけは、前年に93歳で亡くなった祖母が残した手記との出会いだった。 《自分の過去を考えるとくやしくてなりません。けれど自分にあたえられた運命と自覚しております》 祖母・シズが広告の裏に書きつづっていた手記の一節だ。 シズは新潟県柏崎市の貧しい家庭に生まれた。12歳のころから繊維工場で働き、21歳で結婚。夫は和装小物の卸販売店を営んでいたが、満蒙開拓に夢を抱いた。1942年、父親の反対を押し切って、3男2女を連れて一家で中国東北部に渡った。慣れない地で三男が死亡したが、シズは農作業に精を出しながら2男を出産した。 戦況が厳しくなった45年8月初め、夫は根こそぎ動員で応召。まもなく旧ソ連軍が参戦して敗戦となり、混乱の中、シズらは逃げ惑った。途中で下の2人の子どもが息を引き取った。 5~10歳の4人の子どもを抱え、食べるものにも困った。生きるために、シズは貧しい季節労働者だった中国人男性と結婚した。 53年、日本への集団引き揚げがあった。18歳になっていた長男が「みんなで日本に帰ろう」と誘った。ほかの3人は「母が帰るなら帰る。母が帰らないなら帰らない」と言った。 シズは手記にこう書く。 《私の心はくるいそうです。5人の命を助けてもらった中国人の夫には、どうして話してよいのか。彼との間に2人の子どもも生まれていたのです。5人の命を助けてもらった恩人と子ども2人をすててどうして帰れましょう》 元夫の死「何のためにこんな運命に」 結局、長男がひとりで日本に戻… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
近所に警察、消える住民…軍政の恐怖「またあの闇が」
8日で発生から1週間となるミャンマー国軍のクーデターは、アウンサンスーチー国家顧問らを拘束したままで、10年近く続いた民政を根底から崩す可能性がある。半世紀以上続いた軍主導の政治に苦しめられた人たちは日本にもいる。「暗黒の時代に戻してはいけない」と声を上げる。 「人の命が平気で奪われるようなことが繰り返されるのではないか」。2007年9月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでデモを取材中、軍の銃撃で殺害されたフリージャーナリストの長井健司さん(当時50)の妹、小川典子さん(61)=愛媛県今治市=は言葉に力を込めた。当時、テレビニュースのテロップで兄と同姓同名の日本人がミャンマーで死亡したと知り、直後に外務省から連絡を受けた。「何が何だかわからなかった」という。 僧侶らのデモをハンディーカメラにおさめていた長井さんは、倒れてもそのままカメラを回し続けた。当時の軍事政権は「流れ弾に当たった不幸な事故だ」と結論づけた。だが、長井さんが倒れる瞬間を撮影した映像には、近くで銃を構える兵士が映っていた。日本の警察の司法解剖では「腰の位置に地面と平行に構えたライフル系の銃で至近距離から撃たれた」と判断された。 小川さんが外務省を通じて軍政に抗議すると、「ビデオはCG(コンピューターグラフィックス)だ」などという反応しかなかった。長井さんが最後まで手にしていたカメラは「見つからない」という理由で返却されていない。 事件の解明が進まない中、事件… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
妻を殴った疑いで原田元マクドナルド会長逮捕 容疑否認
自宅で妻を殴ったなどとして、警視庁は6日、日本マクドナルドホールディングス元会長兼社長の原田泳幸(えいこう)容疑者(72)を暴行の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。容疑を否認しているという。 捜査関係者によると、原田容疑者は5日、東京都内の自宅で50代の妻に対し、足を殴るなどの暴行を加えた疑いがある。妻からの通報で警視庁が事情を聴いていたという。 原田容疑者は、米アップルコンピュータ日本法人の社長やベネッセホールディングス会長兼社長も歴任した「プロ経営者」として知られる。2019年12月からは、タピオカティーで知られる台湾茶カフェ「ゴンチャ」を展開するゴンチャジャパン(東京都)の会長兼社長を務めている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Former Mariners reliever Yoshihisa Hirano returning to Japan with Orix
Seattle – Reliever Yoshihisa Hirano, currently a free agent after leaving the Seattle Mariners, is set to return to the Orix Buffaloes in Nippon Professional Baseball, sources close to the matter said Friday. The 36-year-old, who signed a one-year deal with the Mariners in January 2020, had a 0-1 record […]
陰謀論の浸透「近代市民社会の前提崩壊」 片山杜秀さん
投票不正が行われ、トランプ氏を陥れている……。昨年の米大統領選においては様々な陰謀論が飛び交い、日本国内でもそれに同調する声が聞かれた。陰謀論が勢力を増しつつある背景には、何があるのか。政治思想史に詳しい片山杜秀・慶応大教授は「近代市民社会の前提の崩壊」をみる。そしてそれは「バベルの塔」の破滅へとつながっていくのではないかと指摘する。 拡大する陰謀論 溶けゆくファクト⑧グラフィック・米沢章憲 ――陰謀論が盛んに語られるようになった現状について、どう思いますか。 近代までの人類の歴史、ことに不安定な時期は陰謀論やデタラメなうわさに支配されてきたとも言える。 日本国内でみると、明治10年代、コレラの流行によって大量の死者が出た。全国各地で一揆が起こり、それによる死者も出るという事態にまで発展した。その際、特に困窮した農村漁村部などでは「コレラ患者を隔離して家族を死に目にあわせない政策は、政府が患者の生き肝を米国の要人らに売るためのたくらみだ」という陰謀論が流布した。 大正時代の関東大震災においても、「ソ連の工作だ」「富士山が噴火した」などと様々な流言が飛び交った。最も顕著だったのが、「多くの朝鮮人が朝鮮独立や日本社会主義革命の組織的陰謀に加担し、火を付けたり、井戸に毒を流したりしている」というものだ。 ――むしろある時代までは、陰謀論やうわさが横行する状態が普通だったと。 日本に限らず、何事にも陰謀論が出てくるのが、世の中のスタンダードだったと理解したほうが良い。陰謀論に支配されない健全な社会を造ろうと、特に19世紀以降、近代市民社会は公教育の水準を上げてきた。同時にテレビ、ラジオ、新聞などのメディアを通じ、確固たる情報に触れるための基盤も築いた。日本で言えば、そうした社会の機能は1980、90年代に一つの高みに達した。 日米の「陰謀論」を追うシリーズ。インタビューの後半では、陰謀論に向き合うために必要な「三本の矢」を示してくれます。 だが、その前提は瓦解(がかい… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
吉井中央中、志木中など全国へ 西関東アンサンブルコン
第26回西関東アンサンブルコンテスト(西関東吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が6日、群馬県高崎市の高崎芸術劇場で始まった。新型コロナ対策で無観客のなか、中学校と大学の部が行われ、群馬、埼玉、新潟、山梨の4県の代表計38団体がステージで演奏を披露(2団体は出場を辞退)。金賞受賞団体のうち、群馬県の高崎市立吉井中央中学校(打楽器三重奏)、埼玉県の志木市立志木中学校(打楽器八重奏)、山梨県の都留文科大学吹奏楽部(木管八重奏)が、3月20日に宮崎市で行われる全国大会の代表に推薦された。7日は高校と職場・一般の部がある。 結果は次の通り(◎は全国大会出場。金=金管、木=木管、管=管楽、打=打楽器、ク=クラリネット、フ=フルート、ホ=ホルン。数字は重奏の数)。 【中学校】 ◆金賞 川口市立青木(打八、埼玉)、朝霞市立朝霞第一(ク四、埼玉)、朝霞市立朝霞第一(金八、埼玉)、新潟市立坂井輪(ク四)、新潟市立上山(ク四)、鳩山町立鳩山(打七、埼玉)、高崎市立塚沢(ク四、群馬)、◎高崎市立吉井中央(打三、群馬)、滑川町立滑川(打八、埼玉)、三郷市立早稲田(打四、埼玉)、久喜市立鷲宮東(ク四、埼玉)、◎志木市立志木(打八、埼玉) ◆銀賞 長岡市立宮内(管八、新潟)、八潮市立八條(打八、埼玉)、飯能市立加治(フ五、埼玉)、さいたま市立土屋(ク七)、本庄市立本庄西(ク三、埼玉)、みどり市立笠懸南(打六、群馬)、新潟市立葛塚(打三)、新潟県立柏崎翔洋中等教育(木三)、新潟市立上山(管打六)、高崎市立塚沢(フ三、群馬)、志木市立志木(管八、埼玉)、坂戸市立千代田(ホ三、埼玉)、山梨市立山梨南(フ三) ◆銅賞 新潟市立黒埼(木八)、伊勢崎市立第四(打三、群馬)、伊勢崎市立第一(打八、群馬)、伊勢崎市立第三(打八、群馬)、久喜市立鷲宮東(金八、埼玉)、甲州市立塩山北(管打八、山梨)、太田市立城東(金七、群馬)、上越市立城西(木八、新潟)、妙高市立新井(木八、新潟)、甲斐市立玉幡(木三、山梨)、山梨市立山梨北(金打八)、北杜市立高根(管打八、山梨) 【大学】 ◆金賞 ◎都留文科大吹奏楽部(木八、山梨) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル