50年前、中学校では女子は家庭科、男子は技術科を学び、高校では女子のみ家庭科が必修だった。1971年3月14日の朝日新聞の連載「男と女」の「料理と剣道」の回では、高校時代に校内でただ1人、家庭科を選択した男性の言葉が紹介されている。 最初は気軽に考えた。うちは女手が多くて、家事なんてやったことはない。だけど将来、家事が必要なこともあるんじゃないかな、そう思った。 エエ、一番びっくりしたのは、女性たちの不満でした。「なぜ男の人も家庭科を勉強しないの。家庭って、男と女でつくるものでしょ」――。 金沢工業大学の大箸信一教授(76)。都立戸山高校の卒業生だ。「家庭科の授業のこと、そして、大学院生時代に取材を受けたことはよく覚えていますよ」と懐かしそうに話す。 男女は平等なのに、女子だけ家庭科が必修というのはおかしいのではないか。数人の男子とそんな話をしていたという。高1の担任が家庭科の先生だったこともあり、「ぼくたちも家庭科をとれないのですか?」と聞いてみたら、「いいですよ」。ただ、一緒にとるはずだった友人は転校してしまい、女子の中にたった1人で授業を受けたという。 50年前の記事では、「女子だけ必修」についての現役高校生たちの議論も紹介されている。 「女子だけ努力しても家庭は向上しない。男性も協力する姿勢としてやるべきよ」「ボクは家事好きな女性を選ぶ」「二人で働くことが多くなるのよ。女に全部押しつけたら、家庭なんてこわれちゃうよ」 ジェンダーをめぐる状況は何が変わり、何が変わらずにきたのでしょうか。50年前の新聞と、今とを行き来しながら考える連載です。 結婚し、父親となった大箸さん… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
グラミー賞に佐世保出身ドラマー「僕しか出せない音を」
グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞したバンド「スナーキー・パピー」には、ドラマーでパーカッション奏者の小川慶太さん(38)が参加している。長崎県佐世保市出身で、米ニューヨーク在住。2度目の受賞となる小川さんは「とてもうれしい。キャリアを積む中で、僕にしか出せない音を自分なりに成長させていけばいいと思えるようになった」と話した。郷里の恩師も祝福した。 小川さんは15歳のときにサッカー部の仲間とロックバンドを組んだのがきっかけでドラムを始めた。県立佐世保北高在学中は、市内のライブ喫茶に通って腕を磨いた。甲陽音楽学院(神戸市)を経て、2005年に渡米した。 ベースのマイケル・リーグさんと知り合い、「スナーキー・パピー」に10年から参加。バンドは19人のメンバーを抱え、ジャズやファンクをはじめ、ジャンルを超えた演奏が特徴だ。小川さんは「個々のスキル(技能)が高く、年を取るにつれて音楽性も発展し続けている」と話す。今回はアルバム「ライブ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール」が賞に輝いた。参加アルバムの受賞は17年に続き2回目だ。 小川さんの高校時代にライブ喫茶でドラムを教え、現在は佐世保市で喫茶店「音食亭(おんしょくてい)Brownie(ブラウニー)」を営む小田隆さん(68)は「慶太はセンスもよかったが、進みたい方向を見定めて人一倍の努力を重ねてきた。(賞は)ご褒美だ」と祝福した。渡米後も南米や中東に出かけて現地の音を吸収し、表現の幅を広げる様子を見てきた。「会うたびに新しい世界を見せてくれる。どんどん輪を広げてほしい」と期待を込めた。(榎本瑞希) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女性役員30年までに30% 経団連「あえて高い目標」
経団連は、企業の役員に占める女性の割合を「2030年までに30%以上」とする目標に賛同するよう会員企業に呼びかける一方、その達成までは求めないことにした。個別企業の事情に配慮したという。 経団連で多様性の推進を担当する三井住友海上火災保険の柄沢康喜会長は15日、東京都内で会見を開き、「ダイバーシティー(多様性)がなければイノベーションは起きないし、競争に勝てない。今後の成長を考えれば(目標は)マスト(必須)だ」と述べた。一方、できるだけ多くの企業が取り組みに参加できるよう、目標の達成は求めないことにした。事業を成長させるためには経営陣に女性や外国人といった多様性が欠かせないことに気づいてもらうことを優先した、という。 「足元の状況からすると野心的だが、あえて高い目標を掲げる。取り組みを加速し、ムーブメントを作る」と語り、目標の達成は簡単ではないとした。 日本の女性役員の比率は、上場企業で6%(20年7月時点)。欧米先進国の4~2割に比べてかなり低い。女性が少ない製造業などでは、社内登用や外部からの人材獲得が間に合わない可能性もあり、「30年30%」は必達目標にしなかった。現在は経団連の主要企業を中心に53社が賛同しており、今後、約1600社の会員企業に呼びかける。 柄沢氏とともに多様性推進を担… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エルメスが放つ体の魅力と自由さ 世界3都市からライブ
エルメスは本拠地のパリだけでなく、ニューヨークと中国・上海の3都市からライブ中継で新作を発表した。朝のニューヨークと夜の上海では、ダンサーたちの生き生きとした踊りのパフォーマンス、昼のパリではデザイナーのナデージュ・ヴァンヘシビュルスキーによる新作の数々が披露された。 欧州と米国、アジア。場所や時差など様々な制約に関わらず、人間の体の魅力やファッションの自由さが常に存在することを、改めてさらりと訴えかけた。 パリから見せた新作で目立つのは、黒の多用。ほっそりとつかず離れず体に沿うシルエット。しなやかな黒革のトップスは小さなビスのような金具で留められ、ブルゾンにはこのブランドらしい独創的な抽象柄が刺繡(ししゅう)される。パンツのパイピングやジャケットのフリンジ、ドレスの刺繍など手の込んだディテールが効いている。 各都市の会場の舞台装置として、ブランドの象徴的な色であるオレンジ色が効果的に使われた。ニューヨークではオレンジ色のカーテンが揺れる中、体にぴったりとした、いかにも上質なプルオーバーとタイトスカートにロングブーツ姿などの女性たちが、楽しそうに踊り歩く。上海では、モノクロの格子柄のトップスに革のパンツをはいたダンサーが、オレンジ色の箱を積み重ねたり移動させたりしながら激しいダンスを繰り広げた。パリではオレンジ色の大小の円柱の間をモデルが歩いた。(編集委員・高橋牧子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
会社員自殺は労災、地裁認定 上司から「偽善的な笑顔」
福岡県内の会社員の20代男性が自殺したのは、長時間労働や上司からのパワーハラスメントでうつ病を発症したことが原因として、遺族が国に労災補償を不支給とした決定を取り消すよう求めた訴訟で、福岡地裁(小野寺優子裁判長)は決定を取り消す判決を言い渡した。12日付。 判決によると、男性は2009年4月に県内の建設会社に入社。10年9月から長時間労働が続き、11年2~3月は月100時間を超える残業をした。上司から「腹黒い」「偽善的な笑顔」と言われ、うつ病を発症。3月に自殺した。 遺族は14年9月、福岡中央労働基準監督署に労災補償の支給を申し立てたが、労基署は15年3月に不支給とした。遺族は17年2月に提訴していた。 この日の判決は、うつ病の発症を長時間労働とパワハラが主な要因とし、上司の発言について「長時間労働で疲弊していた男性に対して追い打ちをかける形で心理的負荷がかかった」と認定。労基署の決定を違法と結論づけた。 厚生労働省は「判決内容を確認して関係部局と協議のうえ、今後の対応を検討する」としている。(横山翼) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ご当地アイドルの卒業ライブ中に火災 徳島の雑居ビル
14日午後1時40分ごろ、徳島市仲之町1丁目の雑居ビルの3階エレベーターホール付近から出火、ホールの床や壁など約18平方メートルが焼けた。当時、4階の飲食店ではご当地アイドルグループ「Baby dolls」のメンバーの卒業ライブが開かれていたが、出演者や客ら計約70人は非常階段を使って屋外へ避難し、全員無事だった。ビルに入居する飲食店の経営者の50代男性が煙を吸って病院に搬送され、軽傷だという。 徳島県警によると、現場は鉄筋コンクリート造り4階建ての雑居ビル「アクティ・アネックス」。2階の飲食店従業員から「爆発音が出て、煙が上がっている」と119番通報があり、駆けつけた消防が約20分で火を消し止めた。 3階エレベーターホール付近から燃料の持ち運びに使う携行缶が見つかり、県警が、放火と失火の両面で調べている。 現場のビルはJR徳島駅の南方約1キロの繁華街の中にある。(吉田博行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
誘拐後の殺害を認定、男に懲役30年の判決 名古屋地裁
名古屋市で2018年2月、岡田亮祐さん(当時28)が誘拐後に殺害された事件で、殺人や生命身体加害誘拐、死体損壊などの罪に問われた住所不定、元会社役員野間裕司被告(33)の裁判員裁判の判決公判が15日、名古屋地裁であった。斎藤千恵裁判長は「計画性が高く残虐だ」として求刑通り懲役30年を言い渡した。 判決によると、野間被告は知人の男ら3人=いずれも生命身体加害誘拐、逮捕監禁、傷害罪で有罪判決が確定=と共謀し、18年2月23日、岡田さんを誘拐して監禁し、暴行。同24日にかけて殺害し、包丁などで遺体を切断後、同25日までに元大学生の男=死体損壊罪で有罪が確定=に手伝わせて愛知県稲沢市内で遺体を焼却した。 斎藤裁判長は、野間被告が遺体を切る道具を準備していたことなどから「被告が殺害したことが強く推認される」とした。その上で「抵抗できない状態でバッグに詰め込まれ、殺害された被害者の恐怖心は計り知れない。徹底的な死体損壊行為で遺骨すら発見されておらず、遺族の処罰感情も極めて厳しい」などと量刑理由を述べた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
火力発電増設めぐる環境アセス、違法性認めず 大阪地裁
神戸製鋼所が神戸市で進める石炭火力発電所の増設工事で、工事前の環境影響評価(環境アセス)に対する国の審査は違法として、近隣住民ら12人がアセスの結果を適正とした国の通知の取り消しなどを求めた訴訟の判決が15日、大阪地裁であった。森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は原告側の請求を退けた。原告側は控訴する方針。 原告側弁護団によると、石炭火力発電所の設置や増設を認めた行政判断を問う初の司法判断だった。 判決によると、神戸製鋼所は2022年度までに2基(計130万キロワット)の増設を計画。18年5月、環境アセス法に基づき、大気汚染などの予測や対策を示した「環境影響評価書」を経済産業相に提出した。経産相は審査の結果、環境への適正な配慮がなされていると通知し、工事が着工した。 判決は、通知によって工事に着工できる法令の仕組みに着目し、通知が取り消し訴訟の対象となる行政処分にあたるとした。住民らが大気汚染で健康被害を受けるおそれがあるとして原告適格も認めた。 そのうえで、評価書の審査の違法性を検討。評価書の作成にあたり神戸製鋼所側がPM2・5(微小粒子状物質)排出の影響を考慮しなかった点を、発生源などに科学的に解明すべき課題が残され、不合理といえないとした。燃料として石炭に代わる天然ガスなどを検討しなかった点については、アセス法に「燃料」について複数案の検討を義務づける規定はないと指摘。アセスを適正とした経産相に裁量権の逸脱乱用はないと結論づけた。 判決後の会見で、原告団長の広岡豊さん(73)は「不当な判決だ。気候変動や大気汚染は死活問題。(控訴して)現在と未来の安心のために頑張りたい」と語った。弁護団の池田直樹弁護士は「司法が苦言を呈し増設を止めることを期待した。裁量の壁は厚かった」と話した。経済産業省は「国の主張を裁判所から理解いただけた」などとするコメントを出した。(米田優人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日テレに原因究明申し入れ 不適切表現でアイヌ協会
日本テレビの情報番組「スッキリ!」で、アイヌ民族を傷つける不適切な表現があった問題で、北海道アイヌ協会は15日、日本テレビに原因究明を求める申し入れをしたと明らかにした。 協会によると、13日に番組の責任者に口頭で申し入れた。①日本テレビとしての認識②放送に至った経緯を含めた原因究明③再発防止策について、文書での回答を求めた。同協会は「謝っておしまいではなく、今後に向けた動きを確認していきたい」としている。 「スッキリ!」では15日の番組冒頭でアナウンサーが「制作に関わった者に表現が差別だという認識が不足し、番組としての確認が不十分だった。深くおわび申し上げるとともに再発防止に努める」と陳謝した。(芳垣文子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
根深い企業の接待文化 「贈賄防止ハンドブック」作れど
「業務上の何か要請を行ったり、便宜を図っていただいたりしたことはございませんので、『贈賄防止ハンドブック』の規定には反しないと考えております」 谷脇康彦・前総務審議官ら同省幹部3人に計18万円を超える接待をしていたNTT。15日の参院予算委員会に参考人として招致されたNTTの澤田純社長は、社員向けの「贈賄防止ハンドブック」との整合性を問われ、そう答えた。 ハンドブックは2015年に定められ、表紙や目次がNTTホームページ上で公開されている。贈賄規制の考え方のほか、過去の摘発事例から問題回避の手がかりを考える内容になっている。NTT広報は「策定当時はグローバルにビジネスを展開しようとした時期で、国内外の法令順守を周知する必要性があった」とその目的を説明する。 「クリーンな企業だと思っていたのに」 具体的な内容は「社外秘」だが… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル