いま子どもたちは:学校でともに成長【中】 昨年11月、記者が取材で通っていた新潟市立浜浦小学校の5年2組に車座ができた。学活の時間だ。こんな話し合いが始まった。 授業に入る時におしゃべりをやめるには? 友達の注意をどう聞く? 「オンオフの切り替えができてない」「自分のことしか考えてない」。一人一人の発言を、担任教諭の山下信孝先生(47)が黒板に書いていく。授業の終わりには子どもから「相手のことをしっかり考えよう」と提案があった。 話し合いのきっかけは「注意したら言い返された」という中身の投書だった。夏休み明けに一部の子たちが思いつき、紙を折って作った「もやもやボックス」に入っていた。 発案者の一人、ユリナさん(11)は、自分も含めクラスが時々騒がしくなることや、一人だけの子がいることが気になっていた。「そういうのが続くと、自分もいやになる」。面と向かって言いにくいことも伝え合ってクラスを良くしたいと、周りの子と考えた。 「もやもやボックス」話し合う契機に ユリナさんは活発で物おじしない性格だ。昼休みはいつも体育館で友達と鬼ごっこや縄跳びをして遊んでいる。楽しいことに夢中で、4年生まではクラスのことまであまり考えてこなかった。 変わってきたのは5年生になっ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊方原発差し止めを取り消し 10月末にも運転再開へ
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた昨年1月の広島高裁の仮処分決定を不服として四電が申し立てた異議審で、同高裁(横溝邦彦裁判長)は18日、異議を認め、仮処分を取り消す決定をした。 3号機はテロ対策施設の整備などで停止中。仮処分が取り消されると直ちに法的拘束力がなくなるため、四電は、10月末にも運転を再開したい考えだ。 仮処分を申し立てていたのは、伊方原発から約50キロ圏内にある瀬戸内海の島の住民3人。 異議審の主な争点は、四電が想定した地震規模と、火山のリスク評価が適切かどうかだった。 地震について、住民側は原発近くに国内最大規模の活断層「中央構造線断層帯」に関連する活断層が存在する可能性が高いとし、四電の調査を不十分だと主張。2016年の再稼働を認めた原子力規制委員会の判断を「過誤ないし欠落があった」とした。 これに対し、四電側は調査の結果「活断層はない」と反論し、地震規模の設定は適切で、原子力規制委の判断にも誤りはないと主張した。 火山については、原発への火山の影響の評価方法をまとめた国の「火山ガイド」の合理性や、原発から約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)でどの程度の噴火を想定すべきかが焦点になった。 住民側は、現在の火山学の水準では噴火の時期や規模の正確な予測は困難だとして、噴火の規模は「過去最大」で考えるべきだと主張。火山ガイドは噴火の中長期的な予測が可能であることを前提にしている点で不合理だと強調した。 これに対し、四電は現在の阿蘇山は大規模な噴火が起こるような状態ではないと主張し、火山ガイドは火山学的な根拠があり、不合理ではないと反論した。 昨年1月の広島高裁決定は、地震規模の評価について四電の調査が不十分としたうえ、規制委の判断も「過誤・欠落がある」とした。火山評価についても、四電の想定は過小だと指摘し、差し止めの仮処分を決定した。 本訴にあたる差し止めをめぐる訴訟は、住民側が17年12月に山口地裁岩国支部に提訴し、現在係争中。(西晃奈) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ホームレス襲撃死論告 検察側が懲役8年と6年を求刑
岐阜市内で昨年3月、路上生活をしていた男性(当時81)が襲われて死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた元少年2人(ともに20歳)の裁判員裁判が18日、岐阜地裁(出口博章裁判長)であった。検察側は「高齢の弱者を追い詰め、重大な結果を招いた」などとして、2人に懲役8年と同6年を求刑した。判決は25日に言い渡される予定。 起訴状などによると、2人は無職の元少年(20)=傷害致死の非行内容で少年院送致=と共謀し、昨年3月25日未明、長良川にかかる河渡(ごうど)橋の下で生活していた渡辺哲哉さんを襲撃。約1キロにわたって石を投げながら追いかけ、土の塊を投げつけた際、渡辺さんを転倒させ、脳挫傷などにより死亡させたとされる。 被告2人のうち、検察側が「犯行を主導し土の塊を投げた」として懲役8年を求めた1人について、弁護側は「同4年6カ月が相当」と主張。「従属的だったが、投石の合図をした」などと検察側が指摘したもう1人に対しては、執行猶予付きの判決を求めた。(松山紫乃、伊藤智章) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
柏崎刈羽原発のテロ対策「最悪」評価 東電社長が会見へ
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で不正侵入が長期間検知できなくなっていた問題で、東電は18日、安全確保への影響が大きいとした原子力規制委員会の暫定評価に異議がないと表明した。テロ対策の不備が極めて深刻だったことを認めた形で、4段階で最悪の「赤」の評価が確定した。小早川智明社長が午後7時から記者会見し、一連の経緯などを説明する。 東電によると、柏崎刈羽原発では昨年3月以降、計15カ所で不審者の侵入検知装置が故障し、10カ所では30日以上検知できない状態だった。規制委は16日、テロリストの侵入など重大な事態につながりかねなかったとして、赤、黄、白、緑の4段階で最悪の「赤」の暫定評価を示し、異議があれば1週間以内に表明するよう東電に求めていた。東電は18日、「意見陳述の要望はない」などと規制委に文書で提出した。 規制委は今後、第三者による検証結果などを半年以内に報告するよう求めるとともに、延べ約2千時間の追加検査で根本原因などを調べる。17日には、東電が再稼働をめざす7号機に核燃料を搬入するのに必要な手続きを当分の間保留することを決めている。(桑原紀彦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
見舞いの送迎に昼食、わいた情 戻らぬ老後資金5千万円
家庭用磁気商品のオーナー(販売預託)商法で約1万人から約2100億円を集めたとされる「ジャパンライフ」。破産手続きが進むなか、東京地裁で18日、出資法違反(預かり金の禁止)の罪で起訴された元同社幹部の公判が始まった。被害者はやり切れない思いを抱え、その行方に注目している。 「誘い文句につられ、老後の生活資金を奪われてしまった」。大阪府内の女性(78)は悔いる。投資した約6500万円のうち、約5千万円が戻っていないという。代理人弁護士が口座の出入金をチェックし、破産管財人にも確認しておおまかな被害額を特定した。 女性は地方公務員だった。定年退職の前、友人宅に呼ばれ、ジャパンライフの役員を紹介されたのが投資のきっかけになった。 大阪市内の店舗で毎月のように… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「急な緩和」避けたい4知事 解除後も慎重行動呼びかけ
東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏4都県に出されていた新型コロナウイルスの緊急事態宣言の解除が決まった。2度の延長を経て宣言期間は約2カ月半に及んだが、感染を封じ込めることはできず、再拡大(リバウンド)への懸念が強まる中での解除となる。4都県の知事たちは、何を呼びかけたのか。 4都県の知事は18日にテレビ会議を開き、宣言解除後の22日以降、飲食店などに要請している営業時間の短縮を4都県全域を対象に、午後8時から同9時に緩和することを決めた。22日から31日までを「段階的緩和期間」とし、酒類の提供は午前11時~午後8時とする。宣言下では1日あたり6万円だった協力金は、解除後は1日あたり4万円となる。不要不急の外出自粛要請も継続する。4月以降も時短や外出自粛の要請を続けるかは、今後の感染状況や医療提供体制などを見た上で、改めて決める。 4都県知事はこの日、共同メッセージとして、「外出時は3密回避」「飲食は、換気が良くアクリル板のある店で、家族か少人数で短時間」などと呼びかけた。 「宣言の解除は、リバウンド対策の徹底に向けた新たなスタート」。東京都の小池百合子知事は、18日夜の緊急会見でそう強調した。卒業旅行や彼岸の帰省も自粛を求め、会食相手は「家族かいつも近くにいる4人まで。短時間、会話の際はマスク着用。お花見は宴会なし、謝恩会、歓送迎会もなし」と呼びかけた。 5月の大型連休見据え、協議続ける ただ、宣言解除による「気の緩み」に向けた強い対策は打ち出さなかった。ある都幹部は「感染拡大防止に向けたメッセージとしては弱かった」と会見の印象を語った。 都内では2月25日ごろから、… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
飲食店への時短営業要請、21日で解除 福岡県が方針
福岡県は18日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除後も、県内の飲食店に要請していた時短営業を期限の21日で解除する方針を固めた。関係者への取材でわかった。新規感染者数は下げ止まっているが、高齢者施設などでの感染拡大を一定程度に抑えれば、医療提供体制を維持できると判断。19日のコロナ対策本部会議で正式に決定する。 福岡県は1日に宣言が解除されたが、感染状況が「ステージ2(感染漸増)」相当になるまで対策を続けるよう求める国の方針に沿って、飲食店などに酒の注文は午後8時半まで、営業は午後9時までとする要請を続けてきた。 県内の病床使用率は17日時点で31・9%で、ステージ2相当の20%未満には届いていない。それでも県は、最近の新規感染者は感染経路が判明している割合が高く、高齢者施設や病院の入所者と職員が多いとみる。こうした施設でのクラスター(感染者集団)を施設内で抑え込めば、病床の逼迫(ひっぱく)は避けられると判断した。 ただ、感染の再拡大を防ぐため、県は時短要請の解除後も会食は2時間以内とするよう県民に求める。高齢者施設の職員らが無料で受けられるPCR検査や、感染防止策を指導するアドバイザー派遣事業などの積極的な活用も呼びかける方針だ。(山田佳奈) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
黒川氏の立場考慮し一転、略式起訴 賭けマージャン問題
検事総長に次ぐ法務・検察ナンバー2だった黒川弘務・元東京高検検事長が、賭けマージャン問題で一転起訴された。検察審査会が重視した「検事長としての立場」を踏まえた対応だったが、告発した市民団体は公開の正式裁判が開かれない略式起訴とした検察の判断を疑問視した。 「被告黒川の立場などを考慮し、起訴すべきものと判断した」。東京地検の山元(やまもと)裕史・次席検事は、18日の会見でそう述べた。記者ら3人を再び不起訴としたことについては、「必要な捜査をし、改めて4人の関係性などを考慮した」とした。 約8カ月前の昨年7月、前任の斎藤隆博・次席検事(当時)は黒川元検事長を不起訴にした理由を「賭博罪は公務員だから重く処分する犯罪類型とは規定されていない」と説明していた。しかし、12月の検審の議決書は、黒川氏の処分を判断するうえで重要なのは「検察官として刑罰法規をよく承知しているうえに、東京高検の長という重責にあったこと」と強調。身分犯ではないという検察の主張は「的外れだ」と退け、黒川氏は「起訴相当」、記者らは「不起訴不当」と差をつけた。 黒川元検事長らの不起訴は、証拠が足りないという嫌疑不十分ではなく、犯罪の成立は認めたうえで悪質性などを鑑みて起訴を見送る起訴猶予だった。検察幹部は「罪を証明する証拠が十分でない嫌疑不十分を覆して起訴はできないが、今回は起訴猶予。検事長という属性で起訴を求める市民感覚は重く受け止めるしかない」と起訴に転じた理由を語った。 ただ、公開の法廷での裁判を請求する正式起訴ではなく、非公開の書面審理で簡易的に処理する略式起訴とした。山元次席検事は会見で「同種事案と比較して略式が相当と判断した」と説明。単純賭博罪の法定刑は50万円以下の罰金か科料で、勤務中に職場で賭けマージャンをした警察官や消防隊員が同罪で略式起訴され、罰金10万円の略式命令を受けた例が過去にある。 黒川元検事長の不起訴を維持した場合は、検審が2回目の審査を行い、再び「起訴すべきだ」と議決されれば検察官役の指定弁護士が強制起訴し、正式裁判が開かれる可能性があった。告発した市民団体「検察庁法改正に反対する会」の岩田薫代表は「市民の視点が司法の場に届いた」と起訴を評価する一方、「公開の裁判が開かれないのは残念。身内をさらし者にする強制起訴は避けたかったのだろう」と語った。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【動画】翼をコロナが… 3人の18歳、卒業までの軌跡
コロナ禍で参列者や規模が制限される中で開かれた、今年の卒業式。休校になったり部活が禁止されたり、進路にも制約があったりと、今年度の高校3年生は数多くの「できなかった」が積み重なった1年間を過ごし、学校を後にする。3人の高校生の卒業式を訪ね、味わった挫折や葛藤と、4月から踏み出す新たな一歩への思いに耳を傾けてみた。(白井伸洋、細川卓、井手さゆり) 拡大する卒業式を終えて、慣れ親しんだ教室の外を見る三田村大志君=2021年2月20日、大阪府大東市、白井伸洋撮影 四條畷学園高校 三田村大志(みたむら・たいし)君 夢はマーチングの本場アメリカへ渡り、テナードラムを学ぶことだった。が、その夢は新型コロナウイルスに阻まれた。 音楽を始めたのは、保育園のころ。最初は鼓笛隊でシンバルを握り、やがて大太鼓やスネアドラムを担当するようになった。楽器が変わるにつれリズムもだんだん複雑になっていったけれど、その分、たたけるようになったときの楽しさは増していった。 「ドラムってテンポを支えて陰ながら周りを引っ張る役割だけど、いざとなったら格好良さを見せつけられるパート。そういうところが、好きになったところかな」 高校生で本格的に始めたテナードラム。振り付けをつけ演奏することの魅力にもはまっていった。高校2年の頃から、指導の先生に勧められ、卒業後もアメリカでテナードラムを続けることを考え始めた。 youtubeで見た本場の映像からは、一人一人が自分で考え、表現したい音を鳴らし、振り付けをしていることが伝わってきた。 「ここでやってみたい」 いろいろなことを学べるだろうと、両親も背中を押してくれた。 3年になった昨年の春、渡米の気持ちを固めたちょうどその頃に新型コロナウイルスの感染が世界や国内に広がりつつあった。授業は自宅での課題学習が中心になり、部活動も停止。国際線の飛行機も飛ばなくなっていた。 「あれ? 俺、アメリカに行けるの?」 感染者数を伝えるニュースを不… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生徒の演奏は著作権対象外 JASRACが部分敗訴
音楽教室でのレッスン時に講師や生徒が楽曲を演奏する際、著作権料を日本音楽著作権協会(JASRAC)に支払う必要があるかが争われた訴訟の控訴審判決が18日、知財高裁であった。菅野雅之裁判長は、JASRAC側の主張を認めて講師や生徒の演奏に著作権が及ぶと判断した一審判決を一部変更し、生徒の演奏には著作権が及ばないとする判断を示した。 この訴訟は音楽教室を運営する約250の事業者・団体がJASRACを相手取り、著作権料を徴収する権利がないことを確認するよう求めたもの。 音楽教室での演奏が著作権法22条が定める「公衆に直接聞かせることを目的とする演奏」といえるかが争点となっていた。 音楽教室側は、レッスンは数人で行われ、講師と生徒の顔ぶれも固定されるため、不特定多数である「公衆」は教室に存在しないと主張。演奏の目的についても、講師は「演奏技術の手本を示すため」、生徒は「技術を学び練習するため」だと訴えた。音楽教室は営利事業である一方で、学校教育を補完する役割を果たしてきた点も考慮されるべきだとも述べていた。 JASRAC側は、レッスン時の講師と生徒の演奏は、教室を運営する事業者の管理下にあり、演奏によって利益を得ている事業者が楽曲の利用者にあたると主張。契約すれば誰でもレッスンを受けられることから、生徒は「公衆」にあたると訴えた。教室の事業者に支払い義務がある、と結論づけた一審・東京地裁判決を「法律論において堅牢」「説得力に富む」などと評価した。 菅野裁判長は、生徒の演奏は「自らの技術の向上が目的」で、その本質は「あくまでも教師に演奏を聞かせ、指導を受けること自体にある」と指摘。公衆に聞かせることが目的とはいえないと結論づけた。 また、教室を運営する事業者との関係についても、事業者が楽曲を選び、設備を提供していても、生徒は事業者の管理支配下にあるとはいえないと述べ、生徒の演奏を事業者の演奏とみなすことは難しいと結論づけた。講師の演奏については、一審と同様に著作権の徴収対象と認めた。(赤田康和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル