北海道は26日、札幌市内で新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあるとして、27日から4月16日までの3週間、札幌市を対象に、不要不急の外出自粛や他地域との往来自粛を要請すると決めた。一方、旅行需要喚起のための宿泊モデル事業は、札幌市を除いて来月実施する。 この日の道新型コロナ感染症対策本部会議では、札幌市で変異ウイルスを含めた感染者が増加していることが示された。こうした状況をふまえ道は、札幌市内での感染リスクを回避できない場合の不要不急の外出や他地域との往来を控えるよう、道民に要請することにした。 鈴木直道知事は「札幌の感染拡大を抑制し、道内他地域への拡大を防いでいく極めて重要な局面だ。道民には再び大変な負担をかけることになるが協力をお願いしたい」と呼びかけた。 一方、道独自に宿泊料を割引する「新しい旅のスタイル」事業は、全6圏域のうち、札幌市を除いた道央1(石狩、空知)▽道央2(後志、胆振、日高)▽道南(渡島、檜山)▽道北(上川、留萌、宗谷)▽道東(オホーツク、十勝、釧路、根室)で実施する。実施期間は4月2~30日。 事業では居住地の圏域内を旅行する場合に限り、道が宿泊事業者を通して宿泊料を最大半額補助する。ただ、事業検討の際に有識者からは「需要喚起策を打ち出すのは時期尚早」などと否定的な意見もあった。会議終了後、鈴木知事は「感染者が多い地域で人の往来を促す事業ではない。丁寧に説明し理解を求めたい」と話した。 ◇ 札幌市も26日、対策本部会議を開いた。定山渓観光協会が6月末まで実施している市民対象の宿泊・飲食代に利用できるクーポン券配布事業を、道からの協力要請を踏まえ、3月27日以降の新規予約分について一時停止することとした。(斎藤徹、芳垣文子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
文科省も5法案に誤り 古い条文記載や漢字まちがい
政府が今国会に提出した法案などにミスが相次いでいる問題で、文部科学省でも著作権法改正案など5法案22カ所に不適切な記載があった。萩生田光一文科相が26日の閣議後会見で明らかにした。萩生田氏は「国会提出後にこのような誤りが発見される事態になったことは誠に遺憾」とし、今後確認を徹底すると述べた。 文科省によると、今国会に提出した5法案すべてでミスが見つかった。いずれも条文そのものに誤りはなかったが、閣議に提出する際の参考資料として添付する「要綱」や「参照条文」、「新旧対照表」に誤りがあった。 計8カ所のミスが見つかった著作権法改正案では、「新旧対照表」の旧条文として、誤って現行より古い条文を記載してしまったという。政府が提供するオンラインの行政情報サービス「e―GOV」の法令検索から、更新が追いついていない部分を参照したためという。 文化財保護法改正案では、法案の概要を記した「要綱」に誤字があった。施行期日の説明に、「この法律は、公布の日から起算して三月(3カ月)を越えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること」とあるのは、正しくは「三月を超えない」だった。 担当者は「(担当課の職員同士が作成した文書を読み上げながら、資料と突き合わせて確認する)読み合わせをしていれば防げたミスだ」と言う。 このほか、「新旧対照表」で今回の改正に関係のない条文を省略する際の「(略)」や、新たな項目を設ける際の「(新設)」が抜けていたケースなどがあった。 ある文科省職員はコロナ対応が加わり、法案作成に伴う業務が増えたのは事実だとしつつ、「実務に支障はないがミスはミス。仕事が水準に達していなかったということ」と自嘲気味に語った。(鎌田悠) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発もサンマも来なくなった町 30年後漁師は葛藤する
東京電力福島第一原発の事故から10年。処理済み汚染水の海洋放出や、「核のごみ」最終処分場の誘致など、原子力を巡る問題は国と地方の関係を問い続ける。かつて原発計画を拒んだまちで、衰退する地方のいまと地域振興のあり方を考える。 2011年3月12日、東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋が水素爆発を起こした。この日、三重県熊野市の畑中伉(ただし)さん(75)は、造船所で漁船を手入れしていた。黒潮の流れる熊野灘を見つめながら。 その30年前、1981年3月のよく晴れた日。畑中さんは、サンマ漁船「宝幸丸」に大漁旗を掲げた。 熊野市井内浦(いちうら)への原発計画に反対する海上デモ。同県尾鷲市や和歌山県那智勝浦町など近隣の漁船を含む150隻が集まった。 拡大する1981年の海上デモの様子。漁師たちが大漁旗を掲げてパレードした=塩崎保夫さん提供 畑中さんが所属する熊野市遊木(ゆき)町の漁協は、サンマ漁で知られた。近辺のサンマは脂身が少なく、干物にも加工された。最盛期には26隻のサンマ漁船が港に並び、畑中さんも1日に15トンの水揚げがあった。 中部電力による原発計画が71年に持ち上がった井内浦は、遊木町から直線距離で約4キロのところにある。 漁師の妻が結成した「婦人の会」は、山あいの住民に干物を配り、「このサンマが食べられなくなる」と訴えた。名付けて「サンマキャンペーン」。畑中さんも軽トラックの荷台に大量のサンマを積み込んだ。 「原発? 何それ?」 「井内浦に原発が建つみたいですね」。畑中さんが計画を初めて聞いたのは、電線工事に来た中部電の下請け作業員からだった。 原発? 何それ? 拡大する原発計画があった三重県熊野市・井内浦=2014年5月10日、熊野市磯崎町 知り合いに聞くと、南島町と紀勢町(ともに当時)にまたがる芦浜では、推進派と反対派が対立し、原発計画が行き詰まっているという。若手の漁師仲間たちと南島町に出かけた。 反対派は、原発の温排水で周辺の磯がダメになると言った。推進派の高齢者は「これぐらいええもんはない。堤防、道路、加工場、何でもできる。一度に町が豊かになる」と語った。 帰りの車中。畑中さんは「磯がダメになったら漁師は生きていけへん。伊勢エビもサンマも食えへんくなる」と考えていた。しかし「ようけ金が落ちるらしいな」という声もあった。 中部電は、熊野市内の人たちを招待し、各地の原発を視察する旅行を始めた。畑中さんの知り合いも参加した。貸し切りバスで名古屋に向かい、大相撲名古屋場所を見た後で、原発へ。夜には宴席が用意され、参加費はほぼ無料だった。 あからさまな地元対策は反発を招き、市内の全6漁協が反対を決議。畑中さんも先導的な立場になった。「地域一丸」をめざした反対派は、市議会で5度に及ぶ反対決議を成立させ、87年に計画は立ち消えた。 もし原発があったら… そのころから、畑中さんは胸中… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
富士山噴火なら溶岩どこまで 想定マップ改定、量は倍に
山梨、静岡、神奈川の3県などでつくる富士山火山防災対策協議会は26日、富士山の噴火を想定したハザードマップの改定版を公表した。大規模噴火で流れ出す溶岩の想定が従来の7億立方メートルから約2倍の13億立方メートルに増加。溶岩流が到達する可能性がある範囲には、新たに相模原市(緑区)や静岡市(清水区)、山梨県大月市など3県の7市5町が加わった。 現在のハザードマップは、富士山直下で低周波の地震が多発したことを機に2004年6月に策定。その後の調査研究を踏まえ、18年度から改定作業が進められていた。これまで3200年前以降だった噴火の調査対象は5600年前以降に拡大。想定する火口の範囲も広げ、地形データも詳細に反映した。 溶岩流が到達する可能性がある範囲には、新たに7市5町が加わり、計27市町村となった。火砕流の噴出規模も、現在の240万立方メートルから約4倍の1千万立方メートルに改めた。 改定に伴い、毎秒あたりの溶岩の噴出量想定を大・中・小規模の噴火ごとに再設定。溶岩が到達する範囲や時間が改められ、前回マップよりも避難対象地域に加わる市町が増えた。(和田翔太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ再拡大 時短強化へ 大阪全域化、愛媛も開始
大阪や兵庫などで新型コロナウイルスの感染が急拡大している。大阪府は26日、飲食店への営業時間の短縮要請を府全域に拡大しての延長を決め、兵庫県も延長する方針だ。感染者が最多を更新した愛媛県でも時短要請を始める。 大阪府の25日までの7日間の感染者は、その前の7日間(12~18日)と比べて1・57倍多い1201人が確認された。26日は300人で、1月30日以来となる300人以上となった。 府は26日に対策本部会議を開き、大阪市内の飲食店に出している午後9時までの時短要請を4月1日から府内全域に広げ、21日まで延長することを決めた。 吉村洋文知事は会議後の記者会見で「(1日の感染者が)300人、400人になる日もそう遠くない。感染拡大の局面に入っている」と危機感を示した。その上で、改正特別措置法で新設された「まん延防止等重点措置」の適用要請についても「視野に入ってきている」と話した。緊急事態宣言を出す前の措置として位置づけられ、適用されれば、違反者に過料を科せる時短命令ができる。 3月上旬は大阪市外の感染者の伸びが目立っていたが、時短要請を続けていた大阪市内でも25日までの7日間の陽性者数は前の7日間から倍増した。政府の分科会が定めるモニタリング指標で「感染急増」段階にあたるステージ3の数値を市内に限ると超えた。 市中感染拡大のきっかけとなりやすい20代の感染者数も府域全体で倍増。専門家からは「若年者を中心に急増が見られ、第4波の兆し」「このまま放置すると、高い確率で第4波が襲来することが予測される」「時短要請は午後8時までの方が望ましい」といった意見が寄せられた。 兵庫県の26日の新規感染者数は116人で、3日連続で100人以上となった。井戸敏三知事は「このまま放置するような状況ではない。4月からも協力いただかないといけない」と述べ、神戸・阪神間の4市の飲食店を対象にしている時短要請を延長する方針を示した。期間は大阪府と歩調を合わせて21日とする方向で、対象を拡大する可能性にも言及した。29日に開く対策本部会議で決める。 松山市中心部の繁華街で変異ウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した愛媛県。最多59人の感染を発表した25日、中村時広知事は臨時の記者会見で「年末年始の第3波を上回る厳しい状況。第4波に入った」と危機感を示した。 26日も過去2番目に多い39人を確認。うち34人が繁華街クラスターの関連で、中村知事は、松山市の繁華街にある酒類提供の飲食店に対し、4月1~21日、午後9時までの時短要請を発表した。 大阪や兵庫に比べると感染者数が落ち着いている京都府も増加傾向にあり、26日には直近7日間平均の新規感染者数が16人になった。西脇隆俊知事は26日夕、報道陣に「非常に危機感をもっている」と述べ、感染者がさらに増えた場合には時短を再要請する考えを示した。(久保田侑暉、青瀬健、足立菜摘、権敬淑) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
死亡した市職員の労災認める 震災処理でアスベスト扱う
阪神・淡路大震災でがれきの収集などの業務にあたり、アスベスト(石綿)が原因とされる腹膜中皮腫で死亡した兵庫県明石市職員(当時49)の遺族が、公務災害(労災)と認定しなかった地方公務員災害補償基金の処分の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、神戸地裁であった。泉薫裁判長は業務と死亡の因果関係を認め、処分を取り消した。 訴えたのは市職員だった島谷和則さんの妻・弘美さん(57)。判決によると、島谷さんは1995年の震災後、石綿を含む震災のがれきなどの収集・運搬に従事。2012年に腹膜中皮腫と診断され、13年に死亡した。公務災害の認定を求めたが、基金は14年、公務との因果関係が明らかでないとして退けた。 泉裁判長は、島谷さんの業務が公務災害の認定基準にあたるとは言えないとしつつ、「日常的に粉じんにさらされる環境下での業務だった」などとして発症との因果関係を認めた。基金は「判決文を受け取ったばかりなので、コメントは控える」とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
MIKIKOさん、五輪開会式演出辞退の経緯を明かす
東京オリンピック(五輪)の開会式の演出の実質的な責任者だった振付師・演出家のMIKIKOさんが26日、自身のツイッターで、昨年11月に大会組織委員会に辞任を申し出た経緯についてコメントを発表した。 昨年3月に大会延期が決まって以降、組織委から準備再開の連絡がなかったという。そこで昨年10月、組織委の業務委託先だった電通に確認したところ、すでに別の演出家が任命されて新しい企画を作り、国際オリンピック委員会(IOC)に説明も済ませていたことを知ったという。 昨年11月に新企画、新演出家のもとで改めて演出に関わるように依頼があったが、「疑問を持ちながら参加するわけにいかない」として、辞任を決断したという。 MIKIKOさんは声明で、「企画に一から関わっていない以上、責任が取れるものではなかった。形は変わったとしても従前の制作物で生かせる部分は有効活用すべきだと考えていたし、これまでの企画案に尽力してくれた皆様との関係で道義にも反していると感じた」と説明した。 東京大会の開閉会式演出をめぐっては、組織委は昨年12月、新型コロナウイルスの感染拡大による簡素化を理由として、狂言師の野村萬斎さんを総合統括とする、MIKIKOさんら7人のチームを解散させた。 代わりに組織委が統括に選んだ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナで個別試験中止の横浜国大 理工学部で80人欠員
文部科学省は26日、国立10大学11学部・学域が欠員を補充するため2次募集をすると発表した。募集人数は、横浜国立大学理工学部の計80人を含め計146人で、昨年度の4大学計51人から大幅に増加。出願期間は28日か29日に設けられている。 10大学は26日午後3時までに文科省に報告があった。横浜国大は、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを重くみて今年度の個別試験を中止し、大学入学共通テストの成績で合否を決めた。大学によると、この影響で共通テストの高得点者以外が出願を控えたとみられるという。 このほか、北海道教育大教育学部、茨城大農学部、筑波技術大産業技術学部と保健科学部、金沢大医薬保健学域、山梨大生命環境学部、岐阜大教育学部、静岡大人文社会科学部、広島大医学部、大分大医学部が2次募集を行う。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
聖火が消えたまま走っていた スタッフに呼び止められ…
東京オリンピック(五輪)の大会組織委員会は26日、福島県飯舘村で一時、聖火ランナーがトーチに火が付いていない状態で走っていたと発表した。 組織委によると、走者同士がトーチで火を受け渡す際、周囲のスタッフらも含めて十分に点火を確認せずに走り始めたという。走者は次の中継地点に着く前にスタッフに呼び止められ、予備の火から再点火した。 トーチ内で燃料部分がきちんと装着されていなかったのが原因といい、組織委は「運営チームに対応を徹底するよう指示した」と話した。 このほか、猪苗代町と三島町でリレー順を急きょ、変更した。組織委によると、猪苗代町の出発が悪天で遅れ、次に向かう三島町で走者と列車が同時に映る撮影機会を逃す恐れが出たたという。三島町の鉄道橋「第一只見川橋梁」は鉄道ファンに有名で、地元からの要望もふまえ、組織委が変更を認めた。 そのため、猪苗代町のリレーを一時中断し、三島町でリレーを始めた。三島町内にはあらかじめ予備の火を準備していたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旭川医大問題、同窓会も吉田学長の解任を請求
コロナ患者の受け入れをめぐる不適切発言や、滝川市立病院からの高額報酬などの問題が指摘されている旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田晃敏学長について、同大の医学部医学科同窓会(会長・原渕保明同大教授)は26日、吉田学長の処分を検討している学長選考会議に対し、学長職の解任を要請したと発表した。 拡大する旭川医科大学病院=2020年12月、北海道旭川市 同会は2月26日~3月14日に、今回の問題について学外の会員にアンケートを行った。その結果、吉田学長の進退について「辞任すべき」、または「どちらかというと辞任すべきだ」との回答が95・3%を占めたことを重視した。 同会は「本会幹事会で審議した結果、吉田晃敏会員に学長職を自ら辞することを要求する共に、学長選考会議に解任を要請しました」との見解を示した。 吉田学長をめぐっては、学内の教職員らでつくる「旭川医科大学の正常化を求める会」が、全教職員(2083人)の半数以上にあたる1106人から吉田学長の辞任を求める署名を集め、学長選考会議に提出した。同大の元助教授らが中心となった「吉田晃敏旭川医科大学学長のリコールを求める全国有志の会」も、1万3354人分の署名を文部科学省などに提出している。(井上潜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル