厚生労働省の職員だった男性(33)がうつ病を発症したのは、上司からの暴言などのパワーハラスメントが原因だったとして、同省が民間企業の労災認定にあたる「公務災害」に認定していたことがわかった。男性側が26日、公表した。 認定は3月2日付。男性は2017年4月、政策調整や国会対応などをする部署に異動。男性によると、着任直後から、上司から「潰してもいいの?」「死ねっつったら死ぬのか」といった暴言を受けたり、同僚の前で罵倒や無視をされたりすることが繰り返されたという。 この上司は、省内のハラスメント防止のため各課に配置された「パワハラ相談員」を務めていた。月に100時間を超える時間外労働も重なり、男性はうつ病と診断されて休職し、20年3月に退職したという。 厚労省は「個別の案件には答えられない」としている。(岡林佐和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
春の女神すぐそこに 生きた展示と青く輝く蝶の壁に感嘆
ソメイヨシノの咲く頃に姿を現し、「春の女神」とも呼ばれるチョウと出会える場所がある。そこには、不思議な壁があった。 拡大する青く輝くモルフォチョウの標本。来館者からは「すごい」「きれい」と驚きの声が上がった=岐阜市 メタリックの深いブルーが壁一面を彩る。青く輝く羽から「世界一美しい」とされる中南米産のモルフォチョウ。アマゾンの森では1キロ先でも飛んでいるのが分かると言われるそのチョウを、482匹も使った縦176センチ、横280センチある巨大な標本は、まさに「蝶(ちょう)の壁」だ。 名和昆虫博物館(岐阜市)の展示スペースの一番奥にあり、見る角度によって青みがかった光沢が変化する。「1匹1匹の角度を前後左右に少しずつ傾けて配置し、光の反射が異なるように仕上げています」と5代目館長の名和哲夫さん(65)は説明する。 拡大するモルフォチョウの標本の写真を撮る来館者=2021年2月28日、岐阜市、西岡臣撮影 記事後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 拡大する名和昆虫博物館の北側にある「記念昆虫館」。過去には標本収蔵庫として使われた=2021年2月28日午前、岐阜市、西岡臣撮影 同館は1919年に昆虫専門の… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
声を震わせ「息子の苦しみが…」 野球部員自殺の遺族
岡山県立岡山操山高校の野球部マネジャーだった2年生の男子生徒(当時16)が2012年7月に自殺した問題で、原因は当時の監督の激しい叱責(しっせき)だとする第三者調査委員会の報告書がまとまった。原因究明を願い続けた両親は「息子と過ごした日々は戻らないが、無念に少しは寄り添えた」と語った。 「中立・公正な調査を実施してもらい、大変感謝している」。亡くなった生徒の父親は岡山市内で会見し、報告書の内容に一定の評価をした。母親は「苦しんでいたことが証明されたよ、と息子に伝えてあげたい。こうなると信じていた」と声を震わせた。 両親によると「真面目で誠実。人の話をよく聞ける子」だった。東日本大震災の際は「何かしたい」と望んでいた。「命を大切に思う子なのに、言われたことを全て受け止めようとして苦しくなったのかな」と母親は追い込まれた息子の心を推し量った。 息子を失って8年という長い時… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
少年が道で刺され死亡、トラブルの3人組立ち去る 鎌倉
27日午前4時5分ごろ、神奈川県鎌倉市笛田1丁目の路上で、「男性が倒れているようだ」と近くの住民から119番通報があった。県警鎌倉署によると、横浜市瀬谷区の少年(18)が背中の複数箇所を刃物のようなもので刺され、病院に運ばれたが約1時間半後に死亡が確認された。少年を刺したとみられる人物の行方はわかっておらず、殺人容疑で捜査している。 署によると、少年は友人の男性(18)と歩いていたところ、乗用車に乗っていた3人組の男とトラブルになった。少年と男らとの面識はなかったという。少年とトラブルになった3人組は現場を立ち去ったが、刺したとみられる刃物は現場に残されており、同署が当時の状況を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
2階建てアパートで火災、男女が心肺停止 東京・文京区
27日午前6時ごろ、東京都文京区千石3丁目の2階建てのアパート兼集会所から出火し、アパート一室のうち約20平方メートルが焼けた。東京消防庁によると、住民とみられる70代の男性と80代の女性が救出されたが、心肺停止の状態だという。同庁と警視庁富坂署が2人の身元や出火原因を調べている。 富坂署によると、火災があった建物は1階が地区の集会所、2階が8戸のアパートとして使われている。アパートは3戸に人が住んでいたとみられ、このうちの一室が焼けたという。延焼しなかった部屋に住む女性が煙に気づいて、119番通報した。 現場は東京メトロ丸ノ内線新大塚駅から東に約700メートルの住宅街。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
視野5%のスケートボーダーが舞う 「楽しさ伝えたい」
スケートボードを自在に操り、宙を舞う技を決める大内龍成さん(21)の手には常に白杖(はくじょう)が握られている。小学生の時に難病の「網膜色素変性症」と診断され、現在は視野の95%が失われているという。 拡大するスケートボードの技を決める大内龍成さん=埼玉県所沢市、関田航撮影 「うまく説明できないけど、見える残りの5%が、視野の中に散らばっている感じ」。白杖(はくじょう)から伝わる感覚を頼りにさまざまな技を繰り出す。何度転んでも、あきらめない。笑顔が絶えないのは「最高に楽しいから」だ。 拡大する白杖からの感覚を頼りに段差を越える大内龍成さん=埼玉県所沢市、関田航撮影 スケートボードとは、視野が減りつつあった中学3年の頃に出会った。高校生になると、どんどん見えなくなっていく恐怖でスケートボードから心が離れたこともあったが、米国で活動する盲目のスケートボーダー、ダン・マンシーナの存在を知り、再びその魅力にのめり込んでいった。見えないという恐怖は、技が決まったときの楽しさをイメージして乗り越える。 拡大する大内龍成さん=埼玉県所沢市、関田航撮影 埼玉県所沢市にある国立障害者リハビリテーションセンターでマッサージ師の資格を取る勉強をしながら、スケートボードにいそしむ日々を送る。「朝から晩までスケボーのことばっかり考えています。学業は、劣等生です」と笑う。 スケートボードを通じて視覚障害者の認知向上と、ゆくゆくはその競技化も目指したいと話す。「目が見えないけど、楽しいこといっぱいあるよって。それを伝えていきたい」(関田航) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
兄の無実、60年信じ叩く再審の扉 名張毒ブドウ酒事件
三重県名張市で5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」から28日で60年になる。奥西勝元死刑囚は、無実を訴えながら獄中で40年以上を過ごし、2015年に病死した。妹の岡美代子さん(91)は、再審の扉を開かせようと、今も訴え続けている。 1961年3月28日夜、葛尾地区の公民館の懇親会で、農薬入りのブドウ酒を飲んだ女性17人が中毒症状を起こし、5人が死亡した。 現場にいた80代の男性は「地獄だった。思い出すとぞっとする」と振り返ったが、事件については「後味が悪い」と言葉少なだった。現場の公民館は取り壊され、別の場所に建てられている。 当時35歳だった奥西元死刑囚は逮捕、起訴された。一審は無罪。二審の名古屋高裁が逆転有罪で死刑を言い渡し、最高裁で確定した。無実を訴えて再審請求を繰り返したが、2015年10月、肺炎のため都内の医療刑務所で死亡した。岡さんは「刑を執行されず、病死したことは、せめてもの救いです」と話す。 手帳には「いいかげんしてくれよ」 遺品は、面会や支援活動を続けてきた稲生(いのう)昌三さん(82)が引き取った。世界中から届いた励ましの手紙。直筆の申立書の控え。手帳もあった。第7次再審請求で再審開始決定が出た05年4月5日は「感動」「嬉(うれ)しくて涙の面会」と喜びをつづった。3日後に名古屋高検が異議を申し立てると「残念である 又(また)いじめ もういいかげんしてくれよ」(原文のまま)。この異議申し立てにより、再審開始決定は翌年に取り消された。 兄の死後、岡さんは集まった支援者や報道陣に、か細い声で「兄を助けてやってください」と訴えた。関係者の証言が変遷したことなど、有罪判決に疑念を抱いている。「兄は『自分はやっていない』と言っていた。私もやっていないと信じている」 本人が亡くなった場合、再審請求ができるのは配偶者、直系の親族、兄弟姉妹だけ。ただ1人のきょうだいである岡さんが起こした第10次再審請求は棄却され、異議審が続いている。 事件発生から60年となる28日、名古屋市で支援団体が全国集会を開く。岡美代子さんのビデオメッセージのほか、大阪市で1995年に女児(当時11)が焼死した事件で再審無罪となった青木恵子さんらが登壇する。 午後2時から名古屋市中村区名駅4丁目のウインクあいち小ホール2。定員120人、入場無料。問い合わせは日本国民救援会愛知県本部(052・684・5825)へ。(大野晴香) 名張毒ブドウ酒事件の年表 1961年3月 事件発生 4月 奥西勝・元死刑囚を逮捕、起訴 64年12月 津地裁が無罪判決 69年9月 名古屋高裁が逆転死刑判決 72年6月 最高裁が上告棄却。死刑判決確定 73年~2002年 第1~6次再審請求。すべて棄却 05年4月 名古屋高裁が再審開始決定 06年12月 名古屋高裁が検察側の異議申し立てを認め、再審開始決定を取り消し 15年10月 奥西元死刑囚が死亡。第9次再審請求の審理終了 11月 岡美代子さんが第10次再審請求 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
聖火よ、夢舞台へ 10年前に桃田選手迎えた夫婦の願い
東京五輪聖火リレー2日目の26日、全国で唯一のスキー滑走によるリレーが福島県猪苗代町で行われた。小雨と霧のあいにくの天気だったが、同町出身で、フリースタイルスキー・モーグルで冬季五輪3大会連続出場の遠藤尚さん(30)が地元スキークラブの児童ら20人と一緒に鮮やかなシュプールを描いた。 ゲレンデから降りてきた聖火を特別な思いで見つめていたのは、同町でペンション「あるぱいんロッジ」を営んできた平山真さん(72)、とし子さん(60)夫妻だ。「この聖火が、あの子たちの夢の舞台までつながってほしい」 2011年4月、ペンションに旅行会社の男性が突然やってきて、こう切り出した。「バドミントンをやっている富岡高校と富岡一中の子どもたちを受け入れてもらえませんか」 両校は県や富岡町などの方針で06年からバドミントンの強化に力を入れ、全国から選手が集まっていた。だが、東京電力福島第一原発から約10キロの場所にあったため、生徒たちは原発事故後に行き場を失っていた。 「困っているなら」とその場で受け入れを決めると、5月の連休明け、35人ほどの子どもたちがやってきた。築40年の別館の畳の10室に2段ベッドを入れた。 当時、原発から約80キロ離れ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐賀県警、暴行死の反省「認めていない」相談票は新しく
佐賀県警は26日、定例記者会見で、内部文書「相談等取扱票」を4月1日から一部新しくすると発表した。福岡県太宰府市での女性暴行死事件に絡んだ一連の対応が問題視されているなかでの取り組みだが、松下徹本部長は「特定の問題点や反省点が認められたということではない」と主張している。 事件では、女性が亡くなる前に、家族が鳥栖署に相談に訪れ、被害届の提出を求めていたという。しかし相談等取扱票では、被害届提出の意思を示す欄で、「現在のところなし」のところにチェックを入れていた。 遺族は1月13日、第三者による委員会を設置し、再調査するよう求める文書を県公安委員会に提出。これに対し県公安委は2月18日、相談等取扱票の見直しなどの3項目などを記した、紙1枚の「提言」を県警に出していた。再調査には一切触れていなかった。 新しい相談等取扱票では、被害… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学入試をふりかえる コロナ禍が変えた出題傾向
コロナ禍での入試シーズンが終わった。中学入試の問題の傾向に、未曽有の事態はどう影響したのか。(柏木友紀) 「紙・段ボール・和紙・Tシャツ・ビニール袋・ペットボトル、アルミホイル……(中略)。材料から3種類だけを選び、性能がよく快適に使用できるマスクを考えなさい」 今年2月、広尾学園中(東京都港区)の入試で出題された理科の問題だ。どの素材をどの場所に使ったのかが分かる完成図と、その理由を説明する。 「ふだん身のまわりで目にする事象を扱い、物事を科学的に捉える姿勢を問う良問」と、理科教室を主宰する古谷広高さんはみる。今回の中学入試の理科の問題全般を見ると、新型コロナをはじめウイルスについて正面から問う問題はそれほど多くなかったという。一方、コロナ禍で外出の機会が減ったこともあり、家の中の身近な題材を理科的に考え、実際に手を動かした経験を問う問題が目立った。 「アジの開き」題材に 海城中(新宿区)は「アジの開き」を題材に、背骨やはらわたの位置を図示させる問題を出した。鷗友学園女子中(世田谷区)では自転車やボールペン、マジックハンドなどを例にばねの仕組みを問う出題があった。「日頃から好奇心を持って自ら考える生徒を取りたいという学校のメッセージが伝わってくる。これらは大学入学共通テストで求められる力でもある」と古谷さんはいう。 コロナの影響が直接的に出題傾向に表れたのは社会だ。長年、入試問題を研究している文教大地域連携センターの早川明夫講師が私立中を中心に86校の問題を分析したところ、約50校でコロナ関連の出題があったという。 中でも感染症の歴史は頻出で、渋谷教育学園渋谷中(渋谷区)は年表を元に世界保健機関の英語略称の「WHO」などを答えさせた。マラリアやペスト、スペイン風邪などの流行を年表で示し、各時代の出来事や地理などを尋ねた学校もあった。 さらに、「現代の社会生活に与えた影響について考えさせる問題も目立った」とサピックス小学部の玉井滋雄事業本部長は言う。休校によるオンライン授業の課題を憲法26条の「等しく教育を受ける権利」に照らして考える市川中(千葉県市川市)の問題や、コロナ禍で株価が伸び悩んだ業種を選ばせる聖光学院中(横浜市)の問題が目を引く。玉井さんは「社会科は世の中の動きと連動する。日常の出来事に関心を持ち、知識だけでなく背景まで考える必要がある」と話す。(柏木友紀) 拡大する駒場東邦中の入試会場で、手指の消毒とサーモグラフィーによる検温を受けて入場する受験生=2021年2月1日午前7時1分、東京都世田谷区、瀬戸口翼撮影 停滞・閉塞感漂う問題文 国語はどうだったのか。 平山入試研究所の小泉浩明所長は、問題文の雰囲気が総じて非常に暗いことに驚いたという。国立・私立中を中心に81校の問題を分析した結果、日本の停滞や閉塞(へいそく)感を感じさせる主題を取り上げたのは少なくとも14校にのぼった。 早稲田中(新宿区)は、ロバート・キャンベル著「『ウィズ』から捉える社会」を題材に、パンデミック(世界的大流行)の中で他者との関係を見つめ直す問題を出した。災害で避難生活が長期になった場合、子どもたちに何を体験してほしいと考えるかを記述させる問題を出した学校もあった。小泉さんは「国語は現代の状況が反映される入試科目になりつつある。先行きが不透明な時代に、自ら考え生き抜く力をみたいのだろう」とみる。 学校やPTAへの不信感を募らせる家族の姿などを描いた工藤純子著の児童書「あした、また学校で」を長文読解の大問として取り上げたのは、駒場東邦中(世田谷区)だ。入試で使う題材としては「意欲的」(塾関係者)との受け止めもあった。 国語が専門の小家一彦校長は「あえて社会問題を取り上げたというよりも、様々な見方のある身の回りの現象を正確に読み取り、自身の感受性で主体的に物事を考えてもらいたかった」と出題の理由を語る。 正確な読解力と主体的な思考力は、1月に初めて行われた大学入学共通テストが求める学力でもある。(柏木友紀) 拡大する今年の中学入試に臨む受験生たち=2021年1月、東京都内 適性検査 より深い読解力を問う 公立中高一貫校では以前から、身近な事柄を題材に読み取る力や論理的に考える力、それを表現する力をみる「適性検査」を実施してきた。塾関係者によると、直接的にコロナの影響を感じさせる問いは見られなかったが、これらの力を試す傾向は今回も際立っていた。 都立小石川中等教育学校(文京区)では、おでんと豚汁に使うダイコンが、切り方によって味のしみこみ方に違いが出る理由や、それを検証する方法を文や図で記述させる問題が出た。都立大泉高校付属中(練馬区)では、ボールペンの芯の太さとインクの消費量の関係について説明させる出題があった。 栄光ゼミナールで公立中高一貫校受検責任者を務める宮田篤史さんは「適性検査では複数の資料などから大意をつかみ、自らの体験や意見をからめて説明させる問題が主だったが、今回はより細部まで読み取らせたり、社会の動きを踏まえたうえで、より深く考えを説明させたりする出題が目立つ」という。「家庭科や理科、社会など科目横断的な要素も増え、知識やパターンで覚えるのではなく、ふだんから論理的に自ら考える力を、学校も社会も必要としている表れではないか」とみる。(変わる進学) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル