東京の菓子メーカーで働く実川桃子さん(37)は、商品のイメージや味、作り方などを「イチから」手がけています。ずっと心に抱いていた「ものづくり」へのあこがれが、いまの仕事に飛び込むことを後押ししました。 拡大する自身が製作した菓子を手に取る実川桃子さん。長男や長女のおもちゃを参考にすることもある 夢を追い続けてきた。スーパーやコンビニに並ぶ自らの商品を見て、やりがいを改めて感じている。 2008年に多摩美術大学を卒業し、大学の就職課で紹介された広告会社に入社。デザインの仕事を希望して採用されたものの、実際は資料のコピーなど事務作業が中心だった。「一度は入社した会社。数年は経験を積まなければ、自分のためにならない」と言い聞かせ、机に向かっていた。 やっぱり「ものづくり」がしたい――。3年後、転職活動を始めた。デザインの実務経験がないハンディキャップは感じていた。 菓子メーカー「ハート」(東京… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かんぽ不正、幹部ら3351人を処分 保険勧誘を再開へ
かんぽ生命で不正販売が多数発覚した問題で、日本郵便とかんぽは24日、新たに計1301人を処分し、両本支社幹部を含む処分人数が3351人に達したと発表した。両社は同日、自粛していた保険勧誘を4月1日から本格的に再開させる方針も明らかにした。 現場の郵便局員への懲戒処分は累計2196人となった。不正と認定した局員の上司の処分は累計686人。このほか、日本郵便とかんぽの両社長を含む本支社役員と担当幹部ら396人が処分されている。 ただ、保険勧誘をした現場の郵便局員には懲戒解雇を含む厳罰が下る一方、上司や幹部は多くが「実態把握が不十分」との理由による軽めの処分で済まされる傾向がある。 かんぽの不正営業は2019年6月の新聞報道で発覚した。同年秋に金融庁が立ち入り検査を始め、年末には日本郵便とかんぽ生命に3カ月間の一部業務停止を命じた。両社は処分や再発防止策の実施を進め、19年7月から自粛していた保険営業の再開を模索してきた。営業の本格再開は1年9カ月ぶりとなる。(藤田知也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
表現の現場でハラスメント横行 アーティストら調査
「レッスン室に連れ込まれレイプ直前までされた」「殴る蹴るの暴行を受け、撮影され、映画として公開された」――。美術や演劇、映像などの「表現」に関わる人たちに深刻なハラスメントが横行している実態が、24日に発表された現代美術のアーティストらの調査で明らかになった。作品制作や演技指導に絡むものなど表現の現場特有の被害がある。調査は今後も続け、必要な法改正などを求めていくという。 調査は、現代美術作家の笠原恵実子さんらが立ち上げた「表現の現場調査団」が、一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」(荻上チキ代表)の協力を得て昨年12月~今年1月、ウェブ上で実施。24日に結果を発表した。笠原さんは「ハラスメントを可視化する動きが社会全体で強くなり、ジェンダー・イクオリティ(平等)という言葉も頻繁に聞かれるようになってきた。そうした社会的な動きともリンクしている」と調査のきっかけを話す。 調査団の一人でアートユニット「キュンチョメ」のホンマエリさんは「表現の現場はハラスメントが非常に多いが、それが言いづらく、隠されてしまう環境にある」と指摘する。「表現というのは今までの価値観を疑い、更新してきたものであるにもかかわらず、ハラスメントがずっと横行する場所でいいのか。『仕方ない』とあきらめないためにもきちんと調査し、可視化して構造を変えていく動きをすることが必要だと思った」と言う。 調査に回答したのは1449人。女性が62%、男性が25%、その他は「回答しない」など。活動分野は「アート/美術」が約29%と多く、「演劇/パフォーマンス」が約16%「映像/映画」が約13%。 1449人のうち、過去10年以内に「(何らかの)ハラスメントを受けた経験がある」と答えたのは1195人。「セクハラ経験がある」は1161人、「パワハラ経験がある」は1298人、「ジェンダーハラスメント経験がある」が1042人いた。 具体的には、ヌードの現場での… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
突然の調査に隠れたホテル従業員 でもバレた偽りの休業
新型コロナウイルスの影響で休業した人への手当などを国が補助する雇用調整助成金(雇調金)を不正に受給したとして、秋田県にかほ市のホテルが秋田労働局から545万円の返還を命じられた。実際には従業員が勤務していたにもかかわらず、「休業した」と偽って申請していたという。不正を裏付ける証拠となったのは、ホテルが取り組んでいたコロナ対策だった。 ホテルは、秋田市から電車で約1時間の人口2万3千人ほどの港町にある。地元では「唯一のシティーホテル」とされる「ホテルエクセルキクスイ」(従業員約50人)に秋田労働局が立ち入り調査に入ったのは昨年10月だった。 「社長はいますか?」。 複数のホテル関係者によると、社長は一時不在だったが、労働局職員らは構わずに、不正を裏付けるタイムカードなどの資料を捜し始めた。 ホテルには緊迫した雰囲気が広がった。なぜなら、勤務表では「休業」とし、タイムカードに記録しないまま勤務している従業員ら数人がいたからだ。実際は勤務しているのに「休業」と偽って雇調金を申請する方法だけに、見つかれば一発アウトとなりかねない。 これらの従業員らは「2階にあ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
演出家から「セックスが必要」 表現の場でセクハラ横行
現代美術家らが立ち上げた「表現の現場調査団」が、美術や演劇、映像などの「表現」に関わる人たちが受けたハラスメントの実態調査を行った。回答した1449人のうち、1195人が、過去10年以内に「(何らかの)ハラスメントを受けた経験がある」と答えた。セクハラやパワハラ、ジェンダーハラスメントなど、「表現の現場」で横行する様々なハラスメントが浮かび上がった。 24日に発表された調査結果で示された具体的な事例は次の通り。 ・立場と年齢が上のスタッフに、マッサージをしてほしいという建前のもと宿泊していたホテルに連れて行かれ無理やり性行為をされた。(30代、女性、監督) ・館長から密室でキスを求められ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かんぽ不正、局員調査「5分」 扇動の上司には甘い追及
日本郵便とかんぽ生命の両社長が24日夕に記者会見し、不正が多数発覚した保険営業の本格再開について発表する見通しだ。だが、現場の郵便局員には解雇を含む厳罰が科される一方、不正を黙認・扇動した上司らが厳しく追及された形跡はない。実態に即した反省もなく営業再開を急げば、信頼はさらに遠のきかねない。 東京都内のある郵便局で数カ月前、保険営業に携わる局員が一人ずつ、総務部長に呼ばれた。不正営業への上司の関与を調べる「調査」となるはずだった。 「ここ数年で(上司の)パワハラはありましたか」 不正営業で懲戒処分を受けた局員の一人は、総務部長にそう問われ、「あります!」と答えた。総務部長は「何年何月何日?」ときいてきた。「えっ、そこまではちょっと覚えていないです」と言うと、総務部長は「じゃあ報告するのは難しいな」と話を切り上げた。「調査」という名の面談は、わずか5分ほどで終了したという。 この局員には、研修でインスト… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
おきあがりこぼしで被災地支援、何度でも立ち上がる
2017年の九州北部豪雨からの復興を目指す福岡県朝倉市のスギを使ったおきあがりこぼしの展示会が福岡市で開かれている。被災地支援を続ける全国のアーティストが手がけた330点が展示されている。 九州北部豪雨では、朝倉市で大量の流木が発生して被害が広がった。九大の大学院の研究室やデザイナーら有志が、被害をもたらした地元のスギを活用した復興支援として、何度でも立ち上がる、おきあがりこぼしの制作を始めた。地元の木工会社が提供する木材で、アーティストらが作品に仕上げている。 展示会は18年から続き、昨年はコロナ禍のためオンライン開催だった。 今回の展示作には、朝倉市を流れる佐田川をイメージしたり地元の鵜飼(うか)いを表現したりした作品が並ぶ。サポートする若林宗男さんは「いろんな人が参加する、発想豊かな作品を楽しんで見てほしい」と話す。 朝倉特産のイチジクやイチゴなどをアクリル絵の具で描いた福岡市西区の犬井由紀子さん(49)は「コロナ禍で現地入りが難しい人も、頑張り続ける住民を思ってもらえたら」。福岡市東区のグラフィックデザイナー永瀬順子さん(68)は「当時は家や車が流木と土砂に埋まっていたが、やっと復興を感じるようになった」と語り、絵を描いた。 博多阪急で30日まで。寄付金3千円で作品1点がもらえる。開業10周年を迎えた博多阪急が九州各地の被災地支援のため企画し、27、28日には絵付けのワークショップがある。(高木智子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京出身51歳、大船渡で漁師めざす 妻と伝える海の味
「海のそばで猫と暮らしたい」。そんな夢を持った東京出身の岡田薫省(くにあき)さん(51)と真由美さん(46)夫妻が岩手県大船渡市に移住して1年。薫省さんは23日、「いわて水産アカデミー」を修了し、漁師への道を歩み出す。真由美さんは市の地域おこし協力隊員として三陸の海の魅力を発信している。 釜石市の県水産技術センターで修了証書を受け取った薫省さんは「一つステップが上がった感じ。技術はもちろんですが、漁師のみなさんの力強い生き方を学んだ」と1年間を振り返った。 旅行会社に勤め、福島県内や盛岡市で勤務した。果樹園や農家を回るツアーを企画する中で、「自分で生産したい」との思いを強くしていった。釣りが趣味で、海産物が大好き。世界3大漁場と言われる三陸沖に絞り、市の水産担当者の丁寧な対応にひかれ、大船渡市三陸町に移住した。 昨年4月から地元の漁師に弟子入りし、水産アカデミーを受講。大好きなホタテやカキ、ワカメの養殖を学んできた。今後も師匠の下で修業をしながら独立をめざす。「観光業に携わった経験を生かし、漁業体験などを通じて海の幸を味わってもらい、首都圏などと食のつながりをつくっていきたい」という。 カキが大好きという真由美さんは市の地域おこし協力隊員として、水産業の魅力をインスタグラムやフェイスブックで発信している。「宮古の漁師の妻とも連携し、三陸全体の魅力を伝えている。多くの人に海のことを知ってほしい」 愛猫のベティーちゃんと海が見える家で、ワイングラスを傾け、ホタテやカキを味わう暮らしが続く。(大久保泰) 「いわて水産アカデミー」は、… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
千葉小3殺害、控訴棄却 極刑求める父「納得できない」
2017年に千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、東京高裁の23日の控訴審判決をうけ、父親が同日、会見した。求めていた極刑は「殺害の計画性が認められない」などと退けられ、「納得できない」と憤りをあらわにした。 判決によると、元保護者会長の渋谷恭正(やすまさ)被告(49)=一審・千葉地裁判決は殺人や強制わいせつ致死などの罪で無期懲役=は17年3月24日、登校中のリンさんを軽乗用車で連れ去り、わいせつな行為をした上で首を圧迫し窒息させて殺害。遺体を我孫子市の橋の下に捨てた。高裁は一審判決を支持し、検察側と弁護側の控訴を棄却した。 父親のレェ・アイン・ハオさん(38)は、極刑を求める署名活動を続け、ベトナムや日本から130万以上の署名を集めてきた。今も毎月、遺体発見現場などを訪れているといい、法廷でも「(リンさんを思い出すと)苦しくて、感情を抑えられなくなる」と訴えていた。 会見では、検察側に上告してほしいと伝えたことも明らかにした。 事件、風化させない 地域の試み続く リンさん殺害事件は24日で4年を迎える。リンさんが通う小学校の保護者会長だった男の逮捕は地域に衝撃を与えた。この地域では子どもを守る意識が一層根付き、「事件を風化させない」との思いを持ち続ける人もいる。 事件後の六実地区では、高校生… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
聖火リレー、逆風の号砲 機運を左右する「両刃の剣」
延期決定から1年。東京五輪の聖火リレーが25日、福島県から始まる。辞退者が相次ぎ、コロナ禍が続く中でランナーに不安や迷いがないわけではない。それでも伝えたい思いがある。 平和や友愛といった五輪の理想・精神を伝え、大会の機運を盛り上げるための聖火リレーだが、これまで逆風が続いた。昨年3月20日にギリシャから日本に到着したものの、リレー出発の2日前、東京五輪の延期が決まった。 「五輪をコロナに打ち勝った証しに」と掲げた安倍晋三前首相は昨年8月に退き、今年に入っても組織委の森喜朗前会長が2月、女性蔑視発言で辞任し、島根県の丸山達也知事は「コロナの感染が拡大しかねない」とリレーの中止検討を表明。著名人ランナーの辞退も相次いだ。 一方、コロナで社会に暗いムードが続くなか、聖火リレーを心待ちにしてきた人たちもいる。大会関係者は「今はコロナで五輪開催への支持率は低いが、リレーが始まれば少しずつ盛り上がる」と期待する。 リレーは121日間かけて約1… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル