離婚した父母間で不払いが後を絶たない養育費の請求権を子の権利として民法に明記する法改正が、法制審議会(法相の諮問機関)で検討されることになった。学者や法務省、裁判所が参加する「家族法研究会」(座長=大村敦志・学習院大学法科大学院教授)がまとめた報告書を踏まえ、3月中にも議論が始まる。支払いに関する事前の取り決めを親に義務づけ、取り決めがなくても法定額の請求を可能にする仕組みの導入も論点となる。 離婚すると母親が子を引き取るケースが圧倒的に多いなか、厚生労働省の調査によれば、母子世帯の7割以上が養育費を受け取っておらず、子の貧困は深刻な状況にある。支払いについて取り決めをしているのが4割超にとどまることが一因に指摘される。 養育費の請求権は、離婚後に子を監護する親がもう一方の親に対し、必要な費用の分担を求める権利とされる。ただ、現行の民法に明文規定はなく、報告書ではこれを、扶養義務に基づく扶養料を親に請求できるとされる子の権利を代わりに行使するものと位置づけ、民法に明示する規定を新設するといい、子自身の権利であることを明確にする。 そのうえで報告書は、具体的に… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
児童に暴行、担任が誘導か 「やっちゃいな」と呼び掛け
秋田市の小学校で今月、3年生の学級担任の50代の女性教諭がクラスの複数の児童に対して、特定の児童をたたくよう誘導する発言をしていたことが22日、市教育委員会への取材で分かった。学校の調査に対し、教諭は事実関係を認めているという。 市教委によると、教諭は今年3月、昼休みの鬼ごっこで児童間のトラブルがあった際、数人の男子児童に「やっちゃいな」などと呼びかけ、トラブルの原因となった男子児童をたたくよう誘導。複数の児童らはこの男子児童の腹部を1回ずつたたいた。また、学校が児童から聞き取った証言では、教諭が「私がたたくと退職になっちゃうから代わりにやれ」と発言したほか、女子児童が暴力に反対した際に、「この子は殴られないと覚えないから」と言ったとされる。教諭はこれらの発言については「覚えていない」と学校に説明しているという。 また、市教委によると、昨年5月ごろ、教諭は児童らに「好きな人や嫌いな人はいるか」と尋ね、嫌いな人として名前があがった2人の児童に「これが現状だ。これからはみんなに好かれるように頑張らないといけないよ」と発言。発達障害が疑われる転校生の児童に対し、「前の学校の子たちもあなたがいなくなって喜んでるでしょうね」と発言したことがあったという。このほか、欠席しがちな児童が映画を見に行った話をした際に、「映画を見に行くよりも、学校に来て勉強したら」と諭したこともあったとされる。 保護者の有志6人が今月15日に来校し、被害を訴えて発覚。16日以降は、教頭など別の教員1人を同席させた上で、担任教諭が授業を続けた。教諭が勤務を続けたことについて、市教委は「こういう事案があったとはいえ、学級担任の仕事があるので優先させた」と説明している。 学校は19日に緊急保護者会を開き、担任教諭と校長が謝罪した。現時点で心身に不調をきたした児童は確認されていないという。教諭の処分は未定で、市教委が事故報告書を提出した後、県教委が決定する。(高橋杏璃、野城千穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「4号機燃料プールに水ない」米が誤判断 原発事故当時
東京電力福島第一原発で事故が発生して間もない2011年3月16~18日、米政府が4号機の使用済み燃料プールに水がないと誤って判断したのは、同原発構内の一部で放射線が人の死亡に直結する高線量率になっているとの情報が根拠の一つだった――。そんな事情が米政府側の記録や関係者の話でわかった。 実際にはプールに水はあった。が、米政府はプールに水がないため、大量の放射性物質が火災で大気中に巻き上げられ、首都圏まで運ばれかねないと懸念。原発80キロ圏内の自国民に避難を勧告した。首都圏に放射能汚染が及ぶ最悪の事態の恐れをめぐり、日米の深刻な認識の相違が生じていた。 4号機の原子炉建屋は3月15日朝に爆発。最上階のプールには1331体の使用済み燃料が保管されていた。記者が参加した「福島原発事故10年検証委員会」(座長=鈴木一人・東京大教授)事務局に対する東電の回答によると、東電は当時、燃料が水面に露出すれば建屋周辺は毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)の線量になると試算していた。 だが実際には、10シーベルトと比べれば線量は桁違いに低く、東電が3月中旬に建屋外で測定した最高値は毎時400ミリシーベルト。急性放射線障害になった人もいなかった。東電は当時、測定した線量を逐一公表しており、政府も東電もプールに水があると判断していた。 米原子力規制委員会(NRC)… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
感染リバウンドの兆し 夜の人出100%増の街も
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が21日までで全面解除されたが、全国の新規感染者は増加傾向が続いている。1週間平均の感染者数でみると、2日に973・3人にまで減ったが、その後は増加基調で、21日には1273人となった。感染者数が下落から上昇に転じる再拡大(リバウンド)の兆しがみられる。専門家は「『第4波』を起こさないために警戒が必要。解除後の対策が重要だ」と指摘する。 朝日新聞の集計では、1週間平均の感染者数が最も多かったのは1月11日までの6480・9人。緊急事態宣言下、夜の会食を中心とした対策で、3月2日にはこの約15%まで抑え込んだ。 しかし、その後は「下げ止まり」が指摘され、急増地域では独自の緊急事態宣言を出すところもある。 直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数が27・2人となり、全国で最も多い宮城県。感染状況が落ち着いてきたことから飲食店に対する営業時間の短縮要請を解除し、2月23日には国の飲食店支援策「Go To イート」のプレミアム付き食事券の販売を再開した。だがその後、仙台市を中心にかつてないペースで感染者が増え、県は3月18日、緊急事態の宣言に追い込まれた。仙台市全域で接待を伴う飲食店などに時短を要請することも決まり、村井嘉浩知事は22日の記者会見で、「もうこれ(時短要請)以外に方法はほとんど残されていない。このままいったら、救える命が救えなくなってしまう」と危機感をあらわにした。 「時短営業・会食の頻度、緩やかに戻して」 さらに、飲食店に営業時間の短… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪「性的ハラスメント目的の撮影禁止」新体制の組織委
東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は22日、会場での禁止行為に「性的ハラスメント目的の疑いがある選手の写真や映像の撮影」を新たに追加した。また、会場に入場した者の順守事項に、「主催者から撮影画像の確認を求められた際には応じること」との項目を追加した。この日の理事会で報告された。 選手への写真や動画による性的ハラスメントをめぐっては昨夏、日本陸連に対し、女子選手から、競技中に性的な意図で撮影された写真がひわいな言葉とともにSNSに投稿されたなどの訴えがあった。日本オリンピック委員会(JOC)など7団体は昨年11月、「アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為」との声明を発表していた。 アーティスティックスイミングの五輪銅メダリストで、組織委のジェンダー平等推進チームをまとめる小谷実可子スポーツディレクター(SD)は記者会見で「現役時代はハラスメントへの不安を持っていた。はっきりと禁止行為として記すことは大きな一歩。これから発信にも取り組んでいきたい」などと述べた。 組織委では先月、森喜朗氏がJOCの臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかります」などと発言し、会長を辞任。橋本聖子新会長は、小谷SDをまとめ役とするジェンダー平等推進チームを発足。今月3日、女性理事の数も12人増やし、女性理事の割合も目標の4割を超えた。この日は新体制での初の理事会だった。 理事会前には、新理事で「日本スポーツとジェンダー学会」会長の來田(らいた)享子氏(中京大教授)が講演し、「取り組みを記録しておく必要がある」と述べた。 新理事に就任した五輪陸上金メダリストの高橋尚子氏は「大会と社会の人たちと気持ちが少し離れている。アスリートも、(大会が)あるかないのか本当に不安な気持ちで、いま戦っている。組織委員会、アスリート、社会、その三つをしっかりとつなげられるような発信をしていきたい」と語った。(前田大輔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
都心満開 でも遠い笑顔満開 飲食・旅行業者、我慢の春
2カ月半におよぶ首都圏の緊急事態宣言が明けた22日、東京都心の桜は満開となった。新型コロナウイルスの再拡大を防ぎながら、にぎわいを取り戻せるのか――。花見客でにぎわう飲食店も、観光復活に期待する旅行業者も、笑顔満開とはいかない。 東京都目黒区の目黒川沿いは、五分咲きのソメイヨシノを楽しむ人々でにぎわっていた。「花見はお控えください」と書かれた看板が並び、ベンチには座れないようにロープが張られている。それでも立ち止まってビールや料理を楽しむ人がいた。 「緊急事態宣言も終わったし、桜くらい見にいってもいいかなと」。専門学校に通う女性(21)は、友人2人と桜並木の下で写真を撮っていた。宣言期間中は飲み会もせず、家にこもる日々が続いた。この日も飲食はせず、「感染に気をつけながら、できる範囲で楽しみたい」と話した。 川沿いの飲食店にとって例年、この時期はかき入れ時だ。宣言解除で、時短要請は午後8時から午後9時に延びた。 近くにあるバーの60代の女性店主は「花見の時期に間に合ってよかった」と喜んだ。宣言が出た1月から店を休業し、3月中旬から午後8時閉店で営業を再開。22日からは午後9時まで営業するといい、「1時間は大きい。『花見がてら1杯飲もう』という気持ちも高まるのでは」と期待を寄せる。飛沫(ひまつ)防止用のついたてを客席に置くなど対策はしており、「なんとか花見という日常を取り戻したい」と話す。 ジンギスカンが名物の「中目黒ひつじ 目黒川店」は宣言が延長された3月8日から時短要請には応じず、午後11時までの営業を続けている。昨春の売り上げは9割減。1階や2階から桜を眺めることができ、午後9時以降も盛況だ。店主の西原宏視さん(33)は「1年の売り上げを左右するこの時期に時短に応じるのは難しい」と話す。 一方で、イタリア料理店の男性店主(52)は「3月に入ってから明らかに人出が増えた。まだ宣言を解除するべきではなかった」と不安そうに話す。高血圧で、感染すれば重症化の恐れがある。テイクアウト販売に限定して営業していたが、赤字が増え続け、22日から店内飲食も再開した。「飲食店としては多くの人に料理を食べてほしいけど、感染防止のためには花見を控えて欲しい気持ちもある」と複雑な表情をみせた。 東京・新宿のバスターミナル「バスタ新宿」にいた東京都足立区の女性(42)は、宣言解除を受けて、70代の母と長野県まで桜を見にいくという。昨年末から外食を控え、2人で自宅にいる時間が増えた。「久しぶりに外の空気を吸って、リフレッシュしたい」 横浜市中心部を流れる大岡川沿いでも「お花見クルーズ」を楽しむ光景が見られた。乗船客は、咲き始めた川べりの桜をスマートフォンで撮影したり、道行く人に手を振ったり。川崎市の60代女性は「旅行はしにくいので、川からの景色はいい気分転換になりました」と話した。 主催する会社の一つ「レクシステム(レクトラベル)」によると、今年から乗船中の飲食は禁止し、検温や消毒を徹底する。4月11日までで、すでに満席の便もあるという。「オープンエアの船で安心して景色を楽しんでもらえるよう、感染対策を徹底してお待ちしています」と担当者は話す。(増山祐史、林知聡) 「地道に観光客を増やしていくしかない」 観光・行楽の関係者も、期待と不安が入り交じる。 「はとバス」(東京都大田区)は22日、約2カ月半ぶりにツアーを再開した。乗車時の手指の消毒や検温といった対策を徹底し、バスの座席も定員の7割ほどの使用にとどめている。宣言解除が報道されるようになった先週あたりから、申し込みが増えてきたという。 それでも、桜を楽しむツアーの予約は現時点で約2千人にとどまり、例年の1割程度だという。広報担当者は「やるべき対策をしっかりと進め、地道に観光客を増やしていくしかない」と話す。 千葉県御宿町。民宿や海の家を営む加田政和さん(70)は、感染の「第4波」を心配する。昨夏はコロナのため海水浴場を開けなかった。「町の宿泊業者はもうぎりぎり」。町観光協会は4月1日から、宿泊客の料理を豪華にするイベントを始める予定で、感染防止対策の徹底を訴えながら、観光客を取り戻したいという。「今夏は海水浴場をなんとしても開きたい。『第4波』がこないよう、祈るしかない」 ◇(木村浩之、稲田博一) 都立公園での花見の禁止・注意事項 ◆禁止 ・酒類を伴う宴会 ・広場や園地でシートなどを広げての飲食 ◆注意 ・野外のテーブルでの飲食は短時間に ・歩きながら桜を楽しむ場合はマスクを着け、混雑を避ける (東京都や都公園協会による) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田さん差し戻し審始まる 姉「もう50年。勝つしか」
1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で死刑確定後に釈放されている袴田巌さん(85)の第2次再審請求審で、最高裁がやり直しを命じた審理が22日、東京高裁で始まった。高裁は、弁護側が証拠捏造(ねつぞう)を疑う「5点の衣類」に関して検察側に意見書を出すよう求めた。弁護側は、無罪につながる再審を速やかに開くよう訴えたという。 審理は裁判官、検察官、弁護人が出席し非公開で行われた。次回は6月21日。 確定判決では、袴田さんの逮捕から1年後にみそタンクから見つかった衣類が「犯行着衣」とされ、証拠の柱となった。衣類には赤みの残る血痕があったが、弁護側の実験で血の赤みはみそにつけて1カ月後に黒褐色に変化。みそに長期間つかっておらず、第三者による捏造の可能性があると弁護団が主張し、最高裁は昨年12月、血痕の色をめぐる化学反応に絞って審理のやり直しを高裁に命じた。 弁護団によると、弁護側は審理のなかで、「検察の実験でも血液の赤みが消えた」と指摘。「検察側が赤みが残る条件を明らかにできないなら、速やかに審理を終結させ(再審を開くかどうかの)決定を出してほしい」と訴えた。 また、高裁に対し、公判に提出されていない証拠のリストを検察側に開示させるよう求めた。(植松敬、根津弥) 「長い短いと言っても始まらない」 「再審開始が決まれば、巌も少… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海外ボランティアも受け入れ断念 五輪、約2300人
東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日、海外在住のボランティア約2300人の受け入れを断念したと発表した。海外からの一般客の受け入れ断念を受け、ボランティアについても同様の判断をした。日本で確保が難しい専門性の高いボランティアは例外として受け入れる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
わいせつ免職隠し勤務30年 埼玉の62歳講師懲戒免職
過去に生徒にわいせつ行為をしたとして懲戒免職処分になった履歴を隠して働いていたなどとして、埼玉県教育委員会は22日、富士見市内の公立校の講師(62)を同日付で懲戒免職処分にし、発表した。講師は約30年間、県内の中学校や特別支援学校で講師や教諭をしていったん退職しており、退職手当の返還を求めるという。 県教委によると、講師は福岡県内の中学校の教諭時代に生徒にわいせつ行為をしたとして、1985年に懲戒免職処分を受けた。その後、埼玉県で88年に講師として臨時採用され、90年から教諭として特別支援学校など計5校で勤務。2018年2月に自己都合で退職したが、昨年8月に再び臨時採用された。いずれの採用時にも処分歴などを書類に記載していなかったという。 懲戒免職で教員免許を失った教員の名前などが調べられる「官報情報検索ツール」で2月から過去40年分が対象になると知り、「うそがばれる」と思って1月に自ら申し出た。ただ、当時は教員免許を失っていなかったため、このツールでは講師の処分歴は分からないという。 講師は県教委に対し「子どもが成長する姿を見たかった。本当のことを言わなければいけないと思い、罪悪感があったが、申し出る勇気がなかった」と説明しているという。(山田暢史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宮城震度5強、「さらに強い揺れの恐れ」 地震調査委
宮城県で最大震度5強を観測した20日の地震について、政府の地震調査委員会は22日、臨時の委員会を開いた。今後の見通しについて、「さらに強い揺れをもたらす地震が起きる恐れがある」と指摘。今後1週間程度は警戒するよう呼びかけた。 今回の地震は、日本列島の下に沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートの境界で起きた。1978年に起きた「宮城県沖地震」(マグニチュード〈M〉7・4)の震源域の西側の一部と重なる可能性があり、断層の一部を破壊した恐れがある。 調査委によると、22日午後6時までに、最大震度1以上の地震が26回発生。ただ、最大のものでM4・2で、一般的な余震の起き方と比べて、M4~6程度の大きめの地震が少なく、今後起こる可能性もあるという。 また、地震調査研究推進本部は、今回の震源の近くでは、M7級の地震が今後30年以内に高い確率で起こるとしている。 宮城県沖地震は、東日本大震災前は30~40年の周期で起きていたが、震災によって断層に加わる力が変化し、ひずみがたまりやすくなり、間隔が早まる可能性があるという研究もある。 委員長の平田直・防災科学技術研究所参与は「余震の起き方がこれまでと違ううえ、もともとこのあたりでM7級の地震の発生確率は高い。少なくとも1週間程度は、M7程度の地震に注意してほしい」と呼びかけた。(藤波優) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル