現金1億5千万円が入ったスーツケースを盗んだとして、警視庁は茨城県取手市井野団地の職業不詳、林大雄容疑者(33)を窃盗の疑いで逮捕し、21日発表した。マンションの購入費として被害者に現金を用意させ、持ち逃げしたとみられるという。調べに対して、「スーツケースは持っていったが、だましたり盗んだりはしていない」と容疑を否認しているという。 組織犯罪対策2課によると、林容疑者は3月1日午後3時半ごろ、東京都千代田区のホテルのロビーで、中国籍の職業不詳の男性(23)から現金やパスポートが入ったスーツケースを盗んだ疑いがある。2人は、男性の親族を介して知り合ったという。 林容疑者は、東京・麻布にあるマンションをめぐり「本来は5億だが、コロナの影響で安くなったので1億5千万で買える」と男性に売買契約を持ちかけて、呼び出していた。 ホテルで会った際に「他の商談があるので待っていてほしい」「多額の現金を持つのは危ないので私が預かる」と男性にうそを言い、スーツケースを持ち去ったという。 林容疑者が戻ってこないことを不審に思った男性が110番通報していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子どもの命、3割は「救えた」 事故検証続けるCDR
全国で年間4千人近くにのぼる子どもの死には、どれだけの「防げたはずの命」があったのか――。 18歳未満で亡くなった全ての子どもの死因を多角的に検証し、予防策を考える取り組みが各地で始まっている。滋賀県の検証では「県内の死亡事例の3割は防げた可能性がある」と分析された。どのような取り組みなのか。何が再発を許していたのか。 昨年7月。大津市内にある県の合同庁舎で開かれた会議に、約20人が集まった。 県内の主要病院の小児科医師、医師会の理事、県警の検視官室長、地検検事、子ども家庭相談センターの所長、県の健康医療福祉部の幹部……。会議の冒頭で、とりまとめ役の医師の一杉正仁(ひとすぎまさひと)・滋賀医科大教授(社会医学)は「医療機関だけでさまざまな死因調査をするのは困難です。関係機関の垣根を越えて臨みたい」と連携を呼びかけた。 事故や病気、虐待、自殺などで亡くなった全ての子どもについて、死亡の経緯や治療状況、家庭環境などの情報を集約して関係者や専門家が多方面から検証、予防策を導き出す取り組みは、「チャイルド・デス・レビュー」(CDR、予防のための子どもの死亡検証)と呼ばれる。米国や英国では定着している制度で、死亡例を減らす効果が報告されている。 だが国内では、子どもの死亡事故が学校で起きれば文部科学省、保育施設で起きれば厚生労働省、製品が原因なら経済産業省や消費者庁……と縦割りで情報を管理。検証作業が分断され、有効な再発防止策が共有されにくかったり、はざまで抜け落ちたりするケースがあると専門家らは指摘する。 そこで厚労省は昨年4月から、滋賀県を含む7府県に予算を補助し、CDRの取り組みを試験的に開始。各府県は検証の結果を3月末までに報告書にまとめ、知事と厚労省に提出する予定だ。 「究極の目標は子どもの死亡事故をゼロにすること。再発防止策を講じれば、今すぐにでも救える命がある」。一杉教授はそう訴える。 滋賀県では、関係機関の調整や情報収集にあたる「連絡調整会議」と、会議のメンバーに有識者を加えた「検証委員会」を設置。2018年1月~20年12月に亡くなった18歳未満の子ども、計131人のケースを一つ一つ分析した。 検証のための基礎資料は、死亡診断書に基づいて作成され、保健所で管理される「死亡小票」。本来は厚労省の人口動態調査のための資料だが、県はCDRに使うための目的外使用を同省に申請。同省によると、死亡小票を用いた死因検証は全国的にも珍しいという。 滋賀医科大に設置された事務局… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「1日も忘れたことはねぇ」 石に刻んだ望郷の思い
10年がたった復興への歩み。東日本大震災の被災地を写真で伝えます。 拡大する故郷への思いや旧居までの距離、方角を刻んだ石=2020年12月27日午後、福島県本宮市、福留庸友撮影 東京電力福島第一原発の事故で、福島県浪江町から県央の本宮市に避難した今野幸四郎さん(84)は、新居の庭にテーブル状の石を置いた。顔なじみに囲まれ、自然の中で酪農を営んでいた故郷への思いを刻むためだ。 浪江の家は帰還困難区域にあり、自由に帰ることができない。将来の見通しは立たないままだ。「希望が持てない。何にも悪いことはしてない。自然の中で周りの人とつつましく生きていただけなのに」と悔しさを隠せない。 拡大する今野幸四郎さんが盆や彼岸に墓に供えるのは、避難先の本宮市で夫婦で育てた菊。墓参りに来られない集落の人の分も合わせ、40ほどの墓に菊を供える=2020年9月18日、福島県本宮市、福留庸友撮影 酪農は息子に引き継ぎ、時々手伝っている程度だが、浪江とは夫婦で関わり続けている。 盆と彼岸には墓へ足を運び、来られない親戚や知人の分まで花を供える。年末には神社のしめ縄を取り換え、年越しの準備。地域の仲間が集まって親睦を深め、牛を弔った「牛魂祭」は、震災後は夫婦だけで続けている。 石には旧居までの距離と方角も彫った。毎晩、寝る前には故郷の方角を見つめる。「1日だって、むこうの生活を忘れたことはねぇ」(福留庸友) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マラソン開催の北海道も落胆 五輪海外客断念
今夏の東京五輪・パラリンピックで、海外在住の一般観客を受け入れないことが決まった。道内では札幌市でマラソン、競歩、サッカーの開催が予定されており、競技を通じ世界に北海道の魅力を訴えたかった関係者は落胆する一方、今後の準備に切り替えるべきだという声もあがった。 北海道陸上競技協会・橋本秀樹専務理事は「海外のファンに自然豊かな札幌のコースを見てもらいたかった」と語った。「選手は自分の人生をかけてトレーニングを積んでいる。アスリートファーストを考え、大会運営に万全を期したい」と競技のある8月まで入念な準備を進める方針だ。 サッカーは札幌ドームで1次リーグの男女、計10試合が予定されている。北海道サッカー協会の石井肇専務理事は、2002年日韓ワールドカップ(W杯)や19年ラグビーW杯では、「大通公園で、ファンが国を越えて交流しあっていた」と、国際色豊かな交流が大会を彩ったという思いがある。SNSでの発信など観戦に訪れられないファンへの展開力を強化する必要性を訴え、「(海外客見送りは)非常に残念だが、新しいチャレンジをしなければならない」と話した。 道内の観光業界では、コロナ禍… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ばんえい最強」の牡馬が引退レース 激戦も及ばず
帯広競馬場(北海道帯広市)で開かれたばんえい競馬で21日、ばんえい重賞最多記録25勝の「オレノココロ」(牡(おす)11歳、槻舘重人厩舎(きゅうしゃ))が、引退レースに臨んだ。最高峰の重賞レース「ばんえい記念」に出走し、10頭中4着で最後を締めくくった。 オレノココロは、2012年5月にデビュー。13年に重賞初制覇を果たし、通算成績173戦52勝と一時代を築いた。最重量の1トンのソリを引く「ばんえい記念」を17、18、20年の3度制し、重賞レースは歴代最多の25勝で「ばんえい史上最強」の呼び声も高い。 21日の「ばんえい記念」では、19年の覇者「センゴクエース」(牡9歳)や、地方競馬・中央競馬の連勝記録31を持つ「ホクショウマサル」(同10歳)、重賞15勝で同じく引退レースとなる「コウシュハウンカイ」(同11歳)など、実力馬10頭が名を連ねた。 オレノココロのオッズは単勝2・7倍の一番人気。第2障害手前まで各馬ほぼ横並びだったが、第2障害に苦戦。最後の追い上げも及ばなかった。激戦を制したのは、昨年、このレース3着で連勝記録が途切れたホクショウマサルだった。 オレノココロの手綱をとった鈴木恵介騎手は「自分自身でこのレースに向けて完璧に仕上げていたのですが、悔しい。(この日積もった雪で)馬場が軽かった。ラストランを迎えたオレノココロ、本当に頑張ってくれました。ありがとう」とコメントした。(中沢滋人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
餓死の三男へ「ごめんね」 トイレ隠れメモ、女に不満も
福岡県篠栗(ささぐり)町のマンションで昨年4月、5歳の男児を餓死させたとして母親と知人の女が逮捕された事件で、男児らへの食事制限を強める女に対し、母親が不満の言葉をメモに書き残していたことが捜査関係者への取材でわかった。トイレなどで隠れて書いており、福岡県警は母親が女の指示通りに動くようになっていた一方、内心では反発していたとみている。 母親は碇(いかり)利恵容疑者(39)、女は赤堀恵美子容疑者(48)。2人は2019年8月ごろから碇容疑者の三男、翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事を制限し、昨年4月18日に餓死させたとして保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された。碇容疑者は容疑を認め、赤堀容疑者は「一切やっていない」と否認している。 県警によると、赤堀容疑者は「あなたの夫が浮気している」「他の保護者が悪口を言っている」とうそをつき、碇容疑者を不安にさせたり孤立させたりする一方、架空の訴訟やトラブルを解決したように装うことで信頼させ、指示通り動くようマインドコントロールしていったとみている。 その上で、架空の裁判費用を捻出するためだとして、一家の食事制限を指示。翔士郎ちゃんに対しては、一人で留守番ができないとして、たたいたり押し入れに閉じ込めたりしたという。 捜査関係者などによると、県警は碇容疑者のマンションを家宅捜索した際、碇容疑者が書いた複数のメモを発見。赤堀容疑者に対して「顔も見たくない」といった不満を書いたもののほか、「翔ちゃん、きょうも食べれんかったね。ごめんね」と書かれたメモも見つかったという。 メモは碇容疑者が自宅のトイレ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
衆院議員元スタッフら4人逮捕 コロナ給付金を詐取容疑
新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、愛知県警は21日、衆院議員事務所元スタッフで会社役員加藤裕容疑者(34)=名古屋市中村区=ら4人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。セミナーで「私ども自民党としましては、みなさんが持っていない情報を持っている」などと話し、不正受給を持ちかけていたという。 ほかに逮捕されたのは、三重県鈴鹿市の行政書士檀野真澄(71)、名古屋市中区の会社役員永井大貴(27)、高松市のアルバイト森本塁(21)の3容疑者。捜査2課によると、4人は共謀して昨年7月、森本容疑者の名義で国の持続化給付金100万円をだまし取った疑いがある。認否は明らかにしていない。 自民党の熊田裕通議員(56)=衆院愛知1区=の事務所などによると、加藤容疑者は2019年10月ごろから約1年間、雇用関係のないボランティアスタッフとして事務所に出入り。熊田氏の名前入りの名刺を持ち、新規党員獲得や街頭演説の手伝いをした。昨秋ごろ、事務所側の聞き取りに不正受給への関与を否定したが、事務所の許可なくセミナーで給付金の説明をしたと認めたため、名刺を回収し出入りを禁じたという。 関係者によると、加藤容疑者は… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中村哲医師のアーカイブ、九大に完成 言葉や功績伝える
アフガニスタンで人道支援に尽力し、2019年に73歳で凶弾に倒れた医師、中村哲さんの功績や志を映像や言葉で伝える「メモリアルアーカイブ」が母校の九州大学に完成し、21日に記念セレモニーがあった。 アーカイブは、伊都キャンパス(福岡市西区)にある中央図書館の一角の約40平方メートル。アフガニスタンでの活動を振り返る映像や中村さんの著書が展示されているほか、学生たちが選んだ中村さんの13の言葉がガラスに刻まれている。 セレモニーで石橋達朗・九大総長は「突然の訃報(ふほう)は九大にとってもいまだ深い悲しみだが、中村先生の資料や映像は私たちを後押しし、心を揺さぶる。中村先生の生き方、思いをつないでいければ」とあいさつした。アーカイブの設立には中村さんを支えた「ペシャワール会」も協力した。村上優会長は「多くの方が研究し、後世に伝える拠点を大学に置いていただいたことは喜ばしい。多くの方に知ってもらえれば」と期待を込めた。 メモリアルアーカイブは新型コロナウイルスの感染が落ち着けば一般来館も受け付ける予定。生前の新聞記事などをインターネットで自由に閲覧できる「中村哲著述アーカイブ」も、九大付属図書館のサイトでこの日から公開が始まった。 中村さんは1973年に医学部を卒業。2014年から特別主幹教授を務めた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
官民連携の温泉がオープン 目的は「市民の健康増進」
三重県桑名市多度町小山に日帰り温泉型の健康増進施設「神馬(しんめ)の湯」が完成し、22日にグランドオープンする。同市が民間提案による「官民連携」の手法で実現させた施設で、市にとっては、大きな公費を投入せずに目的に沿った施設を整備できる利点がある。 上げ馬神事などで知られる多度大社に近い敷地約1万2400平方メートルに、鉄骨2階建て延べ約2800平方メートルの温泉施設を建てた。駐車場は168台分を確保。入場者が多い場合は、臨時駐車場からシャトルバスによる送迎もする。 天然のアルカリ性単純温泉で、内湯と露天風呂のほか、10度以下の「極水風呂」、炭酸泉、つぼ湯、ジェットバス、サウナ、岩盤浴などが楽しめる。天気がよければ露天風呂や屋上テラスから名古屋の市街地や岐阜、長野の山並みが見渡せる。130席のレストラン、土産店、キッズスペースなども備えている。 「健康増進施設も、保育園と同じ公共事業」 市によると、合併前の旧多度町が温泉を掘り、高齢者向けの入浴施設を計画した。2004年、桑名市との合併で計画は新市に引き継がれたが、箱物行政が難しくなる世間の流れもあり、民間の力を借りる方式を検討した。 16年度に民間の提案を受ける窓口「コラボ・ラボ桑名」を設けたところ、道路関係の土木工事などを請け負う名古屋市の会社「蔦井」が、この地での温泉を活用した健康増進施設の整備、運営を提案した。同社は保育園の整備なども手がけており、「健康増進施設も同じ公共事業」との考えから参入を決めたという。 施設の建設費約16億円は同社が出し、施設の所有権は同社が持つ。一方、市は同社に土地を貸し、月額約40万円の賃料を得ながら、「市民の健康増進」という目的の達成を図る。 営業は平日が午前9時~午後11時。金曜と祝日前は夜12時までで、土日祝日が午前7時~夜12時。料金は平日が大人(中学生以上)880円、4歳以上の小人360円。土日祝日は大人1100円、小人420円。問い合わせは神馬の湯(0594・82・5450)へ。(中根勉) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中田英寿が語った旅と人生 たどりついた日本酒ビジネス
元サッカー日本代表として、W杯3大会連続出場に貢献した中田英寿さん(44)。現役時代、「孤高の人」とも言われた彼は引退後、世界と日本国内をめぐって、日本酒の蔵元や伝統工芸の作家らと信頼関係を築き、現在は伝統産業の「改革者」として活躍しています。その中田さんにとって、仕事とは、旅とは、人生とは――。中田さんがその信念を語ります。 拡大する蔵元が持参した純米吟醸の利き酒をする。「昨日、今日でなく、長い時間をかけてやり、自分が成長を感じられた瞬間に、人間って、幸せを感じるものだと思う」=東京都港区、長島一浩撮影 旅に出た理由は ――引退後、なぜ旅に? サッカーが仕事になったのは、子どもの頃から好きなことをやり続けた結果でした。やめた後、次にやることを決めるために、好きなことを探さなければならない。そのためには、自分が何に興味があり、何をやりたいのかを知る必要がある。それまで海外に行っても、ホテルとスタジアムの往復だけということが多かったので、まずは海外を旅することにしました。 これまで100カ国以上行きましたが、偏見を持たず、色んな角度で物を見るよう心がけた。それが僕にとっては、肌感覚を持つ、世界を知ることにつながると考えたからです。 途上国といわれるような地域には、インフラが整っていないからこそ、色んな工夫や仕組みがあり、独自の発展がある。興味深く感じました。 ――それから、47都道府県をめぐる旅へ。 海外では自分は日本人として扱われ、日本のことを度々聞かれる。その中で、日本のこと、日本文化をもっと知らなければならないと感じました。「文化」の定義を考えたとき、人々の一定期間続く、一定の行動で、それを細かく切ると、日々の生活になる。食べたり、飲んだり、つくったりすること。それが長い年月続けば、伝統産業に発展する。毎日の生活の積み重ね、つまり、地域で長く続く生活習慣、伝統産業こそが文化になるということでした。 そして、そういう情報はオンラインにはなかなか出てこず、現地に行かなければ分からない。それこそが価値なのではないかと思い、2009年に、南から北へ旅を始めました。 ――理屈から入って、手法を決めていくんですね。 考えているようだけど、実はそうでもなくて、それを決めている時には感覚で、あとで振り返って、結果、そうだったということが多いです。だから、僕は自分の感覚をすごく大切にしています。ただ、感覚も訓練しないと養われないと思っている。 ――子どもの頃からそうでした? 頑固で、自分の意見を持ってい… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル