今夏の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、海外在住の一般観客の受け入れを断念した決定を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は20日、「IOCと国際パラリンピック委員会(IPC)は海外からの観客に対する日本側の決定を尊重し、受け入れる」と声明を発表した。 20日に日本政府、東京都、大会組織委員会、IOC、IPCの5者の代表者協議で、日本側から断念する報告を受けたと説明。全ての大会参加者の安全を守るために、日本側が出した結論を全面的に尊重し、受け入れるとしている。 IOCのトーマス・バッハ会長は「世界中の熱狂的な五輪ファン、そして参加する選手たちの家族や友人たちと同じように、我々も残念な気持ちでいます」と説明。そして海外の一般客らに向け「これについては本当に申し訳なく思います。みなさんにとって、大変な犠牲であることを理解しています。我々はこのパンデミック(世界的大流行)が起きた当初から、犠牲が必要になると言ってきました」とわびた。 ただ、大会開催で最優先すべきは参加者の安全と強調し、放送関係者と協力して様々な形で大会を届けることも約束した。「全ての判断は、安全第一の原則が尊重されなければならない。我々は日本のパートナーや友人たちが、熟慮した末に結論に至ったことも知っている。大会参加者だけでなく、親切なホストである日本の人々にとって、今もこれからも安全を最優先にしていく。日本側と並び立ち、東京大会を大成功させるために取り組んでいきたい」とコメントした。(ロンドン=遠田寛生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
津波注意報、街中にサイレン 石巻、日和山に続々避難
宮城県石巻市の沿岸部にある朝日新聞石巻支局では、ビンが倒れ、棚から本が落ちるなどした。2月13日の地震よりも強い揺れに感じられた。直後に防災行政無線のサイレンが鳴り響き、「津波注意報が発表されました。沿岸付近には近づかないでください」と呼びかける放送が流れ続けた。 記者は支局から車で5分ほどの高台にある日和山公園に午後6時15分ごろに避難。すでに車が数台きており、住民が集まっていた。 復興の建設事業で昨年5月に群馬県から来ていた男性(67)は、「この前の地震よりも強かったので、驚いた。社宅にいたもう一人が『津波が来るからすぐ逃げよう』と叫び、あわてて車を走らせた」と話した。 ともに17歳の市内の女子高校生2人は、地震時はJR石巻駅にいた。駅構内のコンビニの店員に「タクシーですぐに日和山に逃げなさい」と言われ、2人でタクシーで避難してきたという。(岡本進) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
識者「プレート内部なら東日本大震災影響」 今後も注意
宮城県沖を震源とする20日の地震について、東京大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は「約60キロという震源の深さから考えて、太平洋プレートの沈み込みによるものだが、プレート境界であるか、プレート内部であるかはまだ分からない。短周期の揺れが強かったのが特徴で、大きな津波にはならなかったが、震源が深いため広い範囲に揺れが出た」と話した。 2月13日の福島県沖の地震は震源がプレート内部だった。古村教授によれば、今回の震源もプレート内部なら、東日本大震災の影響がまだ大きく残っていると考えられ、今後も同様の地震が続く恐れがあるという。もともと地震が多い場所でもあり、注意が必要だという。 名古屋大地震火山研究センターの山岡耕春教授(地震学)は、深さや断層のずれ方から、太平洋プレートが沈み込むプレート境界で起きた地震の可能性があるとみる。「先月の福島県沖の地震よりも震源が陸に近かったため津波注意報が出された。ただ、今のところ潮位はそれほど変動していない」と話した。 【動画】地震発生直後の仙台総局=村田悟撮影 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海外客のキャンセル料、誰が負担? ホテルも航空券も
今夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、海外からの一般客の受け入れを見送ることが決まった。海外在住者向けチケットの払い戻しの手続きや減収分の補塡(ほてん)が今後の課題となる。 大会関係者によると、海外向けのチケットは100万枚ほどが用意されており、販売済みのチケットは各国の代理店を通じて順次全額払い戻しされる予定だ。だが、セットで販売されたホテルや航空券などは、払い戻しの際にキャンセル料が発生する可能性がある。 「興行主である国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会はチケット以外のキャンセル料を負担する義務はない」と大会関係者は見るが、購入者の自己負担となれば、訴訟などのリスクは残る。この関係者は「多くの事業者が絡み、払い戻しにかかる事務も複雑。丁寧なコミュニケーションが今後必要になる」と話す。 また、昨年末の時点で、海外分やパラ大会も含めて900億円と見込まれていたチケット収入が減るのも確実だ。延期を受け、国内分は販売済みの約445万枚(五輪)の18%にあたる約81万枚が払い戻された。 4月には観客数の上限が決まる。新型コロナの感染状況が落ち着き「フルスタジアム(満席)」に近づけば、「海外の払い戻し分を国内向けに再販売できる」との見方も関係者の間にある。だが、実際は「50%」を軸に検討が進んでおり、状況の悪化で「無観客」となる可能性もある。 観客が減れば減るほどチケット… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
連鎖する心の「暴力的な孤独」 社会全体で断ち切るには
■コラム「社会季評」 臨床心理士・東畑開人さん 先月、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置された。英国の「孤独担当相」の日本版だ。誰も信じられなくなった孤独な大臣が、氷で覆われた執務室で悲しそうにハンコをついている。ついついそんなSF的な風景を想像してしまうのだが、これはシリアスな政策だ。 背景にあるのは、つながりの希薄化だ。私たちは今同じマンションに住んでいても、お互いのことを知らないし、むしろあまり知りたくない。無理やり誰かと付き合うのは面倒くさい。元気なときはそれでいいのかもしれない。自由だし、楽だ。だけど、ケアを必要とする高齢者や子ども、障害者、生活困窮者は、それだと孤立してしまう。そうやって付き合いがなくなり、孤独になると、自殺やうつをはじめとした様々な心身の問題が引き起こされる。これに国家が本腰を入れて取り組もうとしたのが、英国の孤独担当相であり、わが国もそれに続いた。 とうはた・かいと 1983年生まれ。臨床心理士。十文字学園女子大学准教授。著書「居るのはつらいよ」で大佛次郎論壇賞受賞。 違和感を持つ人もいるかもしれない。孤独は良きものではないか。そういう声が聞こえてくる。実際、五木寛之の著書「孤独のすすめ」をはじめ、孤独の豊かさを説く本は少なくない。わずらわしい人付き合いから離れ、自分と向き合う。すると、個が磨かれ、成熟がもたらされる。そういう立場からすると、政府が孤独という内面的でプライベートな問題に介入することには疑問符がつくことだろう。 ここには誤解がある。確かに「… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「遺族の存在アピールすることが闘い」サリン事件26年
オウム真理教による「地下鉄サリン事件」から20日で26年となった。標的にされた東京メトロ霞ケ関駅(東京都千代田区)では発生時刻に近い午前8時、駅員ら13人が献花台の近くで黙禱(もくとう)し、犠牲者を悼んだ。 助役だった夫の高橋一正さん(当時50)を奪われた妻のシズヱさん(74)も献花に訪れた。「悲しみが薄らいでいくことはない。教団の後継団体が存続する限り、私たち(遺族)の存在をアピールしていきたい。それが闘いです」と話した。 静岡県の鉄道会社員の男性(56)も「事件を忘れないようにしたい」と話し、手を合わせていた。 新型コロナウイルスの感染防止対策のため、霞ケ関駅で一斉に黙禱をする職員は昨年の半数ほどに絞られた。ほかの職員は個別に慰霊した。多くの被害者が救出されるなどしたほかの5駅にも終電の時間まで献花台が設けられる。 事件では、オウム真理教が地下鉄日比谷線、千代田線、丸ノ内線の計5本の電車でサリンを散布し、乗客と駅員の21~92歳の14人が亡くなり、6千人以上が負傷した。松本智津夫・元代表ら13人の教団元幹部の死刑は2018年7月に執行された。(鶴信吾) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
発行部数が減、SNSでは揶揄 苦境の報道に未来あるか
根津朝彦のメディア私評 日本はジャーナリズム文化を育む社会になるだろうか。 人々の知る権利に奉仕する報道活動に社会が役割を認め、公共財として支えようとする。そうした関係性が、厚みを持った文化として存在している時、そこにはジャーナリズム文化があると言えるのだと私は思う。それは今ここにあるものというよりは、創っていくものである。読者の投稿や、記者を主人公とした映画やドラマ、日本新聞博物館(横浜市)といったミュージアムなども、この文化を育み支える営みである。 しかしデジタル化に伴ってニュースは「無料」だという認識が広まる中、紙の新聞は部数を減らし、苦戦している。デジタル版の新聞で収益をあげようとしているが、転換はまだ難しい。2月にはオーストラリア議会が、グーグルやフェイスブックなどの巨大IT企業を想定し、ネット上のニュース表示に関して報道機関へ対価を支払うよう義務づける法案を可決した。これも、ニュースは「無料」だという潮流に異議を提起したものである。 私は勤務大学で、メディアを学… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幻の巨大ダム計画「関東の琵琶湖」 駅も水没予定だった
「東京都のみならず関東一円の水問題解決の本命」「何とか人間の力で琵琶湖に代わる貯水池を」……。戦前、戦後の電力業界をリードし、「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門(1875~1971)が晩年、月刊誌に寄せた文章だ。首都圏の水がめ、洪水抑制の切り札のように語られ、昨年3月に完成した八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)のことではない。松永はその8倍の貯水量のダム建設により、関西における琵琶湖のような存在の人造湖の出現を夢見た。 地理の教科書でも有名な河岸段丘がある群馬県沼田市。NHKの人気番組「ブラタモリ」でも2016年2月、タモリさんが地形好きに目覚めた場所として紹介された。この河岸段丘を湖岸に変える沼田ダム計画を、松永が率いたシンクタンク「産業計画会議」が1959年に国へ勧告した。同会議は東名、名神の両高速道路建設の推進役でもあった。 沼田ダム計画の源流は戦後間もなく。47年、カスリーン台風に襲われた利根川流域で起きた土石流や洪水で、少なくとも約1100人が犠牲になった。これを受けた国の治水計画に盛られた。松永らは、首都圏の人口急増に伴う生活用水や農業用水の需要増に応じたダム活用に焦点を当て、規模を膨らませた。 勧告をまとめた冊子「東京の水は利根川から」は、大胆な計画を記す。利根川は洪水を繰り返しているとし、「水が余っている。(沼田ダムで)東京の水不足は根本的に解決される」と必要性を訴えた。ダムには水力発電所も設けるほか、「風光のいい湖水ができれば山あり、水あり、温泉ありの大観光地となり、沼田市の発展の大きな原動力となる」とした。 総貯水量の9億トンは、現在国内最大の徳山ダム(岐阜県揖斐川町、6億6千万トン)を大きく上回る。ダム湖の面積は2700ヘクタールで芦ノ湖(神奈川県箱根町)の4倍。事業費は1629億円で、消費者物価指数などによる現在の貨幣価値で1兆円近くになった可能性もある。国内最高額とされるのは八ツ場ダムの5320億円だ。 住民らは猛烈な反対運動を起こし、市や県も容認しなかった。当時の国鉄沼田駅などを含む2千戸以上の人家が水没する見通しが示され、あまりに犠牲が大きかったからだ。 松永が亡くなった翌72年、田中角栄内閣は沼田ダムの計画中止を決めた。当時は成田空港の建設や東京湾埋め立ての反対運動も盛り上がっていた。沼田ダムの歴史に詳しい沼田市歴史資料館の高山正館長(63)は「沼田ダムに政治的エネルギーを使うことが得策ではないと判断したのだろう」とみる。 計画中止から間もなく50年。高山さんによると、ダム建設の水没予定地を通る国鉄上越線の付け替えルートをなぞるように関越道が整備され、「新沼田駅」予定地近くに沼田インターチェンジ(IC)が建設された。沼田ダム予定地を迂回(うかい)するような前橋IC―湯沢IC間は85年開通だが、高山さんは「計画当時は沼田ダム構想が消えておらず、ダムを避ける必要があった」と説明する。沼田駅周辺の街路が細く複雑に入り組むのも、ダム計画による整備の遅れだという。「ダムの計画で地元地域が翻弄(ほんろう)されるのは常。幻となった今も尾を引いている」(森岡航平) ◇ 〈沼田市歴史資料館〉沼田ダム計画を常設展示で解説している。資料館は午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)、祝日を除く水曜と、祝日の翌日、年末年始は休館。一般220円、中学生以下無料。問い合わせは資料館(0278・23・7565)。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
住宅火災、6棟まで燃え広がり1人死亡 大阪・住之江
19日午後11時半ごろ、大阪市住之江区中加賀屋3丁目の木造2階建ての松本宰児さん(61)宅付近から出火、近隣の民家などにも燃え広がった。火は約1時間後にほぼ消し止められたが、松本さん宅から性別不明の遺体が見つかった。大阪府警によると独り暮らしの松本さんと連絡がとれなくなっているといい、府警は亡くなったのは松本さんとみて遺体の身元確認を進めている。 住之江署によると、当時、周辺をパトロール中だった警察官が松本さん宅付近から煙や炎が上がっているのを見つけた。消防車40台が出動したが、大阪市消防局によると、周りの民家や空き家、マンションの一部など計6棟約150平方メートルが焼けた。府警が出火原因を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
埼玉県、主要駅などでPCR検査 第1弾は20日から
埼玉県は19日、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、緊急事態宣言が解除された後の22日以降の取り組みを決めた。「段階的緩和措置」と位置づけ、月内まで、県内全域の飲食店などの営業時間は「午後9時まで」とする緩和要請を決定。また、感染再拡大の兆候を早期につかむため、県内の主要駅・繁華街などでPCR検査を行い、感染状況をモニタリングする。 モニタリング第1弾は20~22日、主要駅の自由通路を訪れた人を対象に「スポット型検査」を実施。3日間で600個程度の検査キットを配り、検体を送り返してもらう。4月以降、毎月第3土曜日から3日間行う。順次、実施場所を増やすという。 県によると、18日時点、県内の1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は11・3人で、前週の10・3人より増加。感染者1人が何人に感染させているかを示す実効再生産数は1・067で、感染再拡大が懸念されている。こうしたモニタリングを国と連携して行うことで感染拡大の兆しを把握し、対策に役立てていくという。 県内の事業所や工場の従業員らを対象にした「団体型検査」も併せて行い、1日計1千件程度の検査数を目指すという。また、県民には改めて「不要不急の外出自粛」や飲食を伴う花見、歓送迎会を控えるよう求めた。 大野元裕知事は会議後の記者会… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル