満開の「桜」が、今も駅の構内で咲いている。「みんなに明るい春が来ますように」「新生活、頑張るぞ! あきらめない!」。花びらを模した紙に、思い思いのメッセージがあふれる。 兵庫県加古川市にあるJR加古川駅。書いたのは、駅を利用する通勤・通学客や駅職員だ。 「新生活応援メッセージ募集」 駅は3月初め、花びらの形に切った紙を駅のコンコースに置き、利用客に書いてもらうことにした。メッセージは1カ月で300を超えた。 きっかけは、2人の若手駅員だった。 2月上旬。駅員の大西広太さん(20)は、受験票を手にした学生らを駅改札前で見送っていた。 新型コロナウイルスの感染が再び広がり、2度目の緊急事態宣言が出ていた時期。緊張と不安が入り交じったような受験生の表情が気になった。 「みんなの背中を押したい。何かできないかな」 同僚に相談する中で、応援メッセージを駅の利用者に書いてもらい、届けることを思いつく。 そして、昨年入社した内山永哲さん(23)に声を掛けた。 2年目の内山さんはコロナで入社式がなく、大好きな旅行にも行けなかった。東京の実家にも帰れない日々が続いていた。「みんなつらいのは一緒。少しでもほっと安心してほしい」 2人は勤務時間の合間を見つけて桜の花びらをつくった。一枚一枚手作業で切る姿を見て、同僚たちも次々に加わった。駅職員約40人、みんなで協力して仕上げた。 隣の宝殿駅で倉庫に眠っていた黒板を引っ張り出し、3月31日の夜、メッセージが書かれた花びらを丁寧に貼り付けた。 4月1日の朝、メッセージで満開になった桜が駅にお目見えした。黒板には、白のチョークで「この現状がいつまで続くかわかりませんが、つらい経験はいつか人生の糧になります」。 駅員代表としての内山さんの言葉だった。「同じような経験をした人の言葉なら伝わるはず」と大西さんが頼んだ。 駅利用客らが足を止め、写真を撮り、SNSでも瞬く間に広まった。「心温まりました」「粋な計らいですね」「素敵な企画をありがとう」――。感謝を伝える書き込みであふれていた。 内山さんは言う。「こんな状況だけど、肩ひじ張らずに自分たちのペースで頑張ろうって思ってほしい」 満開の桜は、28日まで設置される予定だ。(岩本修弥) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ブルートレイン車両が遍路宿へ うどん店主が移設し修繕
福家司2021年4月20日 10時35分 【動画】鹿児島から香川に到着したブルートレイン車両=福家司撮影 鹿児島県阿久根市で雨ざらしになっていた寝台特急「ブルートレイン」の寝台車2両が移設され、18日に香川県観音寺市に到着した。善通寺市のうどん店主、岸井正樹さん(60)が車両を修繕し、今秋にも四国霊場八十八カ所の遍路宿としてよみがえらせる。 2両は15日夜、別々のトレーラーに牽引(けんいん)されて阿久根を出発。2人用個室「デュエット」車両には、「阿久根のみなさん、お世話になりました。観音寺のみなさん、よろしくお願いします」との横断幕が掲げられた。 一般道を夜間走り、宮崎県を経由し、大分県の臼杵港からフェリーで愛媛県の八幡浜港へ。出発から4日目の18日朝、移設先の四国霊場六十六番札所、雲辺寺に登るロープウェーの山麓(さんろく)駅駐車場に到着した。 鉄道ファンらが見守る中、あらかじめ敷かれた線路の上に台車を乗せ、大型クレーン車2台で1両ずつ車体をつり上げて慎重に設置した。 岸井さんは、2008年まで寝台特急「なは」(新大阪―西鹿児島間)などとして走っていたブルトレのデュエットと2段式のB寝台車の車両が、阿久根で雨ざらしになっているのを知り、1両100万円で買い取った。移設費用は岸井さん夫婦がクラウドファンディング(CF)で集めた資金のうち約900万円を充てたという。 CFに協力した愛知県大府市の宮田宜知(たかし)さん(48)は「実際に車両がレールの上に乗ったとき、ブルートレインに乗っていたころの感動がフラッシュバックして、しびれた」と話した。 今後は車両を塗り直し、傷んだ場所を修理したうえ、トイレ・シャワー棟などを併設した宿泊施設「四国遍路の駅 オハネフの宿なは・瀬戸」として、今秋のオープンを目指す。近くには岸井さんがうどん店を開くほか、花や亜熱帯フルーツの売店も開きたいという。2両の上には屋根も付ける。 岸井さんは「最高の気持ちだ。応援してくれた皆さんに見てもらい、歩き遍路の人がひと休みする時も接待したい。ブルートレインを知らない子どもにも触れてもらいたい」と話している。(福家司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あの日以来、ブルーインパルス本格始動 空に桜の花描く
コロナ禍で出番が途絶えていた航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が22日、富山県砺波(となみ)市のイベントで1年ぶりに飛行を一般向けに披露する。医療従事者へ感謝を伝えようと都心上空を飛んで以来だ。上空に描くのは五輪ならぬ六つの輪。7月に予定される東京五輪への参加は決まっていないが、今年の第一歩を踏み出す。 ブルーインパルスの正式名称は、宮城県の松島基地第4航空団に所属する「第11飛行隊」。イベントなどに合わせてアクロバット飛行を披露する専門チームだ。青と白のカラーリングの6機がスモークで文字や図形を描き、一糸乱れぬ動きを見せる。 コロナ禍の前は、月に数回、全国各地で活動していたが、イベントの中止が相次ぎ、昨年5月29日に都心上空を飛んだのが一般向けとしては最後になっていた。 そんな中、国内最大級の花の祭典「となみチューリップフェア」を主催する富山県砺波市が、22日に開幕するフェアへの出演を空自に依頼。昨年は緊急事態宣言で中止になっており、記念となる今年の第70回は「何としてでも開催し、盛り上げたい」(市の担当者)との思いがあった。 一方、空自もイベントの意義などを踏まえ、飛行を披露するタイミングと判断。依頼を受けた。 隊長として初めての飛行に臨む遠渡(えんと)祐樹隊長(41)は「我々にとっても念願の飛行」と語る。当日は「サクラ」と呼ばれる、桜の花びらを模した六つの輪を6機のスモークで描く予定だ。「ご覧いただける方々が少しでも晴れやかな気持ちになっていただけるよう、感謝の気持ちを込めてダイナミックなフライトをお見せしたい」と意気込む。(成沢解語) 過去にはW杯にも参加 東京五輪はどうなる? ブルーインパルスが誕生した… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:459文字/全文:1195文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Rangers’ Kohei Arihara holds ex-teammate Shohei Ohtani hitless in win
Anaheim, California – Texas Rangers rookie Kohei Arihara held former teammate Shohei Ohtani hitless in two at-bats Monday on the way to his second major league win in a 6-4 victory over the Los Angeles Angels. Arihara and Ohtani played together for the Hokkaido Nippon Ham Fighters of Japan’s Pacific […]
島崎和歌子さん聖火リレー 土佐弁で「五輪盛り上げる」
東京五輪の聖火リレーが19日、高知県内で始まった。高知市の桂浜を出発した聖火は県西部に向かい、いの町、土佐市、四万十市など計9市町を巡った。沿道ではトーチを掲げて走る聖火ランナーを多くの人たちが待ち受けた。聖火は20日も土佐路を駆ける。(冨田悦央、清野貴幸、今林弘、笠原雅俊) 桂浜では坂本龍馬像の前で午前7時半過ぎから出発式があった。市立浦戸小学校の児童6人が「東京オリンピックが世界中のコロナや災害で苦しむ人々の希望となるよう全力で応援します」と声を合わせた。 夫婦で出発式を見守った宮川篤さん(68)は「心待ちにしていた。オリンピックはコロナに負けずにガツンと開催してほしい」と話していた。 第1走者に選ばれたのは、南国市出身のタレント島崎和歌子さん(48)。「高知県からも東京オリンピックをこじゃんち(すごく)盛り上げたい」と土佐弁で意気込みを語り、トーチに聖火を受け取った。 島崎さんは沿道の観覧者に手を振りながらスタート。朝日が差し込む松並木を通って、同じ南国市生まれの歌手三山ひろしさん(40)が待つ広場へ。桂浜を背景に、2人は笑顔でトーチからトーチに聖火をつないだ。走り終えた三山さんは「炎が移った瞬間、ときめきのようなものを感じた」と笑った。 第5走者は高知市の近藤可連(かれん)さん(18)。市内の特別支援学校を今春卒業して働きだした近藤さんは、知的障害のある人たちのスポーツの全国大会「スペシャルオリンピックス日本」(2018年)の陸上800メートルで金メダルに輝いた。 力強い走りに母亜矢さん(48)は「自閉症の息子が立派に走る姿を見て感動した。実は私も聖火ランナー。夜、宿毛市で走ります」と話し、親子一緒に高知市を後にした。 近藤さんの聖火を受けた第6走者のプロランニングコーチ、金哲彦さん(57)が坂本龍馬記念館前まで走り、第1区間を締めくくった。 第2区間は、いの町。仁淀川橋近くの仁淀川に浮かぶ舟に聖火ランナーが乗り込んで川面を一周した。 第3区間の土佐市の国道56号(土佐市バイパス)では、中学生のころから卓球を続け、県卓球協会長と県スポーツ協会長も務める高知商工会議所会頭の青木章泰さん(78)が走った。一昨年、腰の手術を受けたため、リハビリと聖火リレーの練習を続けてきたという。 「病を乗り越え東京五輪出場が内定した水泳の池江璃花子選手の復活に純粋に感動した。スポーツが夢と希望、感動を与えるものだと走りながら改めて感じた」 1964年の東京五輪では、愛媛県から高知入りした聖火リレーは4日間かけて土佐路を巡り、徳島県へつながれた。57年前の聖火ランナーは切れ目のないルートを走ったが、今回は場所も時間もとぎれとぎれのルートが設定された。 聖火は、清流四万十川に架かる長さ約290メートルの佐田沈下橋(高知県四万十市)も駆け抜けた。 高知市の自転車競技選手、矢野賢児さん(57)は、若葉の中を気持ちよさそうに走った。矢野さんは「大好きな佐田沈下橋という最高の舞台で走れて光栄です。四万十川の風が気持ちよかった」と話した。 5年前に東京から佐田に移住した辻沢康友さん(79)は懸命にカメラのシャッターを切っていた。前回の東京五輪は夜間の仕事が忙しく、全く見られなかったという。「四万十川で聖火が走る光景を見られて本当に夢のよう。五輪の風を少し肌で感じて満足です」 聖火は土佐清水市の後、第10区間の宿毛市へ。地元出身の井筒親方(37)=元関脇豊ノ島=が午後7時半すぎにゴール地点の「海風公園」(宿毛湾港新田緑地)に到着し、第1日の日程を終えた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マスクせず乾杯、「朝まで営業」満席 大阪・東京の夜
新型コロナウイルスの感染拡大により、大阪と東京で3度目の「緊急事態宣言」発出が現実味を帯びる中、カギとなるのが人の流れの抑制だ。宣言に準じる「まん延防止等重点措置」は効果があったのか。記者がそれぞれの繁華街を、19日の同時刻に歩いた。 大阪・ミナミ、午後5時 観光地・道頓堀。インバウンド(訪日外国人客)であふれた以前のにぎわいには遠く及ばない。かつては大勢の観光客を乗せていた観光船が道頓堀川を通ったが、乗客は数人だった。 だが「グリコ」の巨大看板近くにかかる戎(えびす)橋より北側に延びる心斎橋筋商店街は、行き交う人々で埋め尽くされていた。飲食店の同僚と買い物に来た大阪市の20代女性は「コロナは『うつるときはうつる』と思うから気にしない」という。 重点措置により、飲食店などで酒類の提供が終わる午後7時には、近くの飲食店街の看板の電気が少しずつ消え始める。居酒屋の男性店主(49)は「午後7時まででは商売も成り立たず、マスク会食のお願いもしんどい」と漏らした。 同、午後8時 飲食店は閉店の時間。飲食店街から少し離れると、ビルの階段や公園でたむろする若者らの姿が見られた。中にはマスクをせず、飲酒するグループも。公園で缶ビールを飲んでいた大阪市の会社員男性(30)は「1年前の緊急事態宣言は緊張感があったけど、今はない。また宣言を出しても効果はないのでは。こんな状態で五輪をやっても、大失敗すると思う」。 一方、キャバクラなどが集まる一角には、この時間でも若者を中心に一定の人出があった。通りに立つ女性らが「飲み放題1500円」と書かれたボードを手に客を呼び込んでいた。 同、午後10時 この一角では、「無料案内所」を利用する客もまだ見られた。酔客相手にこう声をかける客引きの姿も。「今から、どうですか」(新谷千布美) 東京・歌舞伎町、午後5時 「歌舞伎町一番街」と記されたアーチをくぐると、営業中の飲食店がほとんど。しかし客の入りは少ない。客引きも手持ちぶさたのようだ。友人2人とカラオケ店から出てきた20代の会社員女性は「マスクをしてるから大丈夫かなって」と、そのままゲームセンターへ。 映画館に面した広場に向かうと、ここにも若者の姿が。中には路上で抱き合うカップルも。近くの路地裏では、会社員の男性(28)が後輩とマスクを外して缶チューハイで乾杯。「レンタルルームを借りて飲み会をする知人もいる。みんな『自粛』に疲れているよ」 この街で30年以上続く花屋を営む宅野貴洋(たかひろ)さん(47)は昨春までは24時間営業をしていたが、客足が減り、現在は午後7時に店を閉める。2回の緊急事態宣言、その後の重点措置。「だんだんと人の減り方が鈍くなっている」と感じる。「仮に宣言が出ても、劇的に減ることはないのでは」 同、午後8時 明かりが少しずつ消え、駅へと向かう人も増え始める。同僚と飲みに来た会社員の女性(47)は「午後8時までにみんなが駆け込むせいで、かえって密になっている気も」と話した。 午後9時を過ぎても通りを歩くたび、客引きから「まだ居酒屋空いてますよ」と声がかかる。 路上では若者が複数のグループに分かれ、酒を飲んでいる。都内の男子大学生(21)は「1年も我慢したけれど、コロナは収まらなかった。どうせ我慢しても無駄だと思う気持ちが強いから、みんなここに来るんじゃないかな」。 同、午後10時 大通りを曲がると「朝まで営業」と書かれた飲食店の看板が目に入る。店内をのぞくと、サラリーマンや若者で満席だった。(武田啓亮) ミナミの「人流」、下げ止まりの傾向 緊急事態宣言に準じる「まん… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
客来ないカウンターふき8時閉店 嘆く「錦三」バー店主
会員記事 小林圭 東谷晃平2021年4月20日 22時31分 愛知県で20日、新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」が始まった。5月11日まで、名古屋市のすべての飲食店やカラオケ店に午後8時までの営業時間短縮(時短)を要請。ほかの市町村でも飲食店には午後9時までの時短を求める。 この日は190人の新規感染を確認し、15日連続の100人超となった。19日夜時点で入院者389人、重症者12人。過去7日平均でみると新規感染者198・0人、入院患者数347・6人と、ともにステージ3(厳重警戒)の基準を超えている。 県によると、3月31日以降の「第4波」では職場や学校、高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が出た一方で、飲食店は出ていない。にもかかわらず、今回も飲食店に時短要請した理由を大村秀章知事は、記者会見で「飲食、会食で飛沫(ひまつ)が飛んで密な状態になり、そこで感染し、家庭や施設に移っていることは明らかなので飲食店対策をしっかりやる」と説明した。 名古屋市の浅井清文・市保健所長は、「飲食店の時短に焦点が当たっているが学校、会社でも対策をしっかりしてほしい」と指摘。変異株は感染力が強いとされており、「マスクをしていれば大丈夫という感覚があったかもしれないがそれが通用しない状況があるかもしれない」と、換気の徹底や共用の電話、パソコンの消毒などを呼びかけた。 県内では19日までに434人が変異株に感染。ゲノム解析では英国型のみが確認されている。(小林圭) 20日午後7時半。この日からまた早めた閉店を前に、佐山義則さん(70)は客がいない店内でカウンターの拭き掃除を始めた。席の間には飛沫(ひまつ)対策のアクリル板。とはいえ、客が来ることはまずない。「拭かなくてもいいんじゃないかって思うよね」とこぼす。 名古屋市中区錦3丁目、通称「錦三(きんさん)」。このまちでバー「アクアヴィット」を営んで36年になる。何回か移転を重ね、いまの店は雑居ビルの4階、一番奥まったところにある。 9人がけのカウンターと小さ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:817文字/全文:1659文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
組織人はつらいよ 思い切って辞めるか残るか春の決断
有料会員記事 聞き手・藤田さつき 聞き手・岸善樹2021年4月20日 16時00分 新しい職場で新年度を迎えた人も多いでしょう。組織人になると、思うようにならないことばかりです。そんな時、思い切って辞めるか、しぶとく残るか。それぞれの春の決断を考えます。 半沢直樹が示す「辞められない理由」 「わたし、定時で帰ります。」の朱野帰子さん 総務省の不祥事で、官僚が相次いで辞職しましたよね。公務員にあるまじきことをしたのだから当然ですが、怖いな、とも感じました。彼らに「辞める」という選択権はあったのか? 組織に過剰適応した末にしっぽ切りされたのでは、と思ったからです。 思い出したのは「半沢直樹」です。昨年、続編のドラマが大ヒットするなかで、「こんな理不尽な目に遭って、なぜ銀行を辞めないのか」という見方も出ました。それで原作を読んでみたんですが、そこにはドラマにはあまり描かれていなかった「辞められない理由」が世代論を交えつつ、かなり具体的に書かれていました。 半沢が社会に出たバブル期、メガバンクの行員はエリートの象徴でした。待遇を保障されて安泰な一生を手にする一方で、銀行を出ればその看板は使えない、銀行の外では自分に価値はないという「刷り込み」がある。そう「半沢直樹」の原作には描かれていました。「銀行の悪いのは、(略)銀行員じゃなきゃ食えなくなるような恐怖感を煽(あお)ることだろうよ」と半沢の同期は語ります。 この意識は、「組織」に拠(よ)って生きている人たちに、ある程度共通するのではないでしょうか。会社が新卒から定年まで面倒をみるメンバーシップ型組織では、キャリアは上司の差配次第。バブル景気の頃に思い描いていたサラリーマン生活の計画が崩れ、会社では様々な理不尽な目に遭い、あげくに「上」がやったことの責任を負わされたりする。転勤や出向を命じられても断れない。それでも辞めることは「死ぬこと」に等しい――。組織の論理の内側で生きるなかで、そうたたき込まれてしまう。 しかしバブル後の氷河期世代を境に、この価値観は変わりました。就活で「組織」に拒まれ、やっと入れたのは非正規か長時間労働で心身を壊す職場だった。このままでは家庭も持てず、死ぬかもしれない。そんな状況から脱出し、「生きる」ために辞める人が増えました。 記事後半では、会社員生活33年の間に3回転職した企業研修講師・大杉潤さんが「どうしても合わなければ土俵を替えればいい」と辞めた決断に基づく心得を語ります。 ドラマ化された私の小説「わ… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1878文字/全文:2821文字 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国慶節に止まった攻撃の謎 日本狙った中国ハッカー集団
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などへサイバー攻撃に関与したとして、警視庁が20日、30代の中国籍の男を書類送検した。一連の攻撃は2016年、国内の防衛や航空関連に携わる約200の研究機関や企業に及んだとされる。 これらサイバー攻撃を仕掛けたのは、中国人民解放軍の影響下にあるとされるハッカー集団「Tick(ティック)」だと警視庁ではみている。 このティックこそが、日本の防衛や重要インフラを担う企業や官公庁を長年ターゲットにしてきたハッカー集団だ。20年1月に発覚した三菱電機へのサイバー攻撃でも、5年近くにわたり同社を断続的に攻撃してきた実態が、内部資料からも明らかになっている。 その攻撃手法は年々巧妙さを増し、日本を狙うことに特化した手口なども見られるようになった。その実態はどのようなものなのか。 5年前、あるリポートに注目が集まった。 拡大するセキュリティー企業ラックが2016年8月に公表したリポート「日本の重要インフラ事業者を狙った攻撃者」の表紙 大手セキュリティー企業ラック(東京)が16年8月に公表した「日本の重要インフラ事業者を狙った攻撃者」(https://www.lac.co.jp/lacwatch/pdf/20160802_cgview_vol2_a001t.pdf)がそれだ。ティックについて詳述したリポートは、今回、警視庁が書類送検した事件の時期と調査内容が重なる。 リポートによれば、13年3… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宗教史から日本を見直す 「消滅すべきもの」から一転
『近代日本宗教史』(春秋社、全6巻)に『日本宗教史』(吉川弘文館、全6巻)。昨年夏から今年にかけて、日本の宗教の歴史を振り返るシリーズ本の刊行が重なっている。宗教史は、近代史の中でも研究が遅れているとされてきた。なぜ、近年になって関心が高まっているのか。 拡大する「近代日本宗教史」(春秋社、全6巻)。第4巻「戦争の時代」は5月、第6巻「模索する現代」は7月に配本予定 本格的な通史は初めて 『近代日本宗教史』は昨年9月から刊行が始まり、これまでに4冊が発売された。幕末・明治維新期から平成までの宗教史を時代順に取り上げている。編集委員に、島薗進、末木(すえき)文美士(ふみひこ)、大谷栄一、西村明の各氏が名を連ね、約80人の研究者が執筆した。 東大名誉教授の末木さんは「近代日本宗教史の本格的な通史の刊行は、今回が初めてだと思う」と話す。「日本の近代史は政治史や経済史が中心で、宗教史は周縁の小さな分野と見られてきた。とりわけ、マルクス主義が全盛の時代には、宗教は消滅すべきものだと考えられてきたし、その影響を受けた戦後の知識人にも、近代史のなかで宗教が大きな役割を果たしたと考える人は少なかった」と言う。 ■タブー視された国家神道… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル