10年前の桜の季節、両親の戸籍から籍を抜き、名前をかえた。咲来美波(さくらいみなみ)さん(33)。過去と決別し、長く途切れていた人生を再び歩みだした。 18歳になるまで、母親に自宅で軟禁された。小中学校も高校も通わせてもらえなかった。 虐待の記憶は物心ついたときから。難産だったことを繰り返し聞かされたが、それが理由だったのかはっきりしない。 両親と姉、兄の5人暮らし。保育園に通っていたころ、隣に座る子が食べきれなかった給食を食べてあげた。それを保育士から聞いた母親に、髪を引っ張られて引きずられるように自宅へ連れ戻された。「お前は卑しい。明日から保育園に行かんでいい」。それから軟禁生活が始まった。 勝手に外出しないよう、床に正座したまま両手足と口を粘着テープで巻かれた。耳をちぎれるほど引っ張られ、木刀で殴られた。そのせいでけがをしても「勝手に血を流すな」とまた怒られた。 母親の「許し」が出れば「食事… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
府中の浄水所で高濃度の化学物質検出 05年~10年度
東京・多摩地区にある府中武蔵台浄水所(府中市)の水道水で少なくとも2005年度から、環境への高い残留性や健康への影響が指摘される有機フッ素化合物が検出されていたことがわかった。朝日新聞の情報開示請求を受けて東京都が開示した。都はこれまで、11年度以降の水質検査結果しか残っていないとしていた。 都が新たに開示したのは、05~10年度に多摩地区にある11カ所の浄水所で行った水質検査の結果。19、20年に朝日新聞が請求した際には開示されなかったが、昨年末に改めて請求したところ、都は「(該当する記録は存在しないとした)当時の判断は誤りだった」としてデータの存在を認めた。 開示された資料によると、03年に多摩川から、代表的な有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス、ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ピーフォア、ペルフルオロオクタン酸)が検出されたことを受けて、都水道局は水質検査を始めたという。 このうち、もっとも濃度が高かった府中武蔵台浄水所では05年度に5回、06~10年度は各12回の検査を実施。各年度の最大値は、水道水1リットルあたり両物質合計で70~105ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。すでに公表している11~18年度は80~150ナノグラムの間で推移していた。 厚生労働省が昨年設けた飲み水の暫定目標値は、1リットルあたり両物質合計で50ナノグラム。1日2リットルを70年飲んでも健康に影響はない値とされる。同浄水所では、19年6月に地下水源からの取水を止めるまで少なくとも15年間、水道水は現在の目標値を超えるレベルだったことになる。 同浄水所の地下水源の濃度は、05~10年度に最大値が279~514ナノグラム。発生源について都の担当者は取材に「わからない」としている。 両物質は日用品の防水加工や空港、基地の泡消火剤の薬剤に使われていた。健康への影響について世界保健機関(WHO)は評価を定めていないが、米国ではPFOAが腎臓がんなどのリスクを高めるという疫学調査の結果もある。体内に取り込まれると半減するまでに数年かかり、現在は両物質とも製造や使用が規制されている。 今回の開示について、都水道局は「10年度までのデータは測定の方法や回数が統一されておらず、採水計画に基づいて検出したものはないため公表してこなかった。だが、参考値でも都民に提供すべきだと考えを改めた」と説明した。 また、水道局は26日、05~20年度までに測定した、2千件を超える検査結果をホームページに掲載した。(諸永裕司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
組織委「やむを得ない」 大阪の聖火リレー「中止論」に
東京オリンピック(五輪)の聖火リレーについて、大阪府の吉村洋文知事が1日、「大阪市内では中止すべきだ」と発言。大阪市の松井一郎市長も同調した。大会組織委員会が府と調整中だが、大会関係者の間には「中止はやむを得ない」との空気が急速に広がっている。 「大阪の皆さんの方がリレーをやりたがると思っていたが、この感染状況では中止の方向がいい」。大阪府と市のトップが中止に言及したことを受け、大会関係者の一人はそう話した。 聖火リレーは、3月25日に福島県をスタートした。平和や友愛といった五輪の理想・精神を伝え、大会の機運を盛り上げる狙いがある。延期決定から1年越しの出発に、当初は「これで五輪本番の支持率も上がってくれる」と期待を寄せる関係者もいた。 だが、大阪の感染者数が3月30日に432人、31日に599人と急増し始めると、不安視する声が出始めた。聖火が大阪府に入るのは4月13日で、2日間予定されている。組織委のある幹部は3月末、「(他県の)沿道の感染対策より大阪が心配。リレー中止の現実味が出てきた」と話した。別の幹部は「大阪市だけ別の措置ということもある」と厳しい見通しを示していた。 長野市では到着式を無観客に 大阪府が「まん延防止等重点措置」(まん防)の適用を政府に要請する方針であることが報じられると、丸川珠代五輪相は30日、まん防適用地域について、ルートを変更する可能性を示唆していた。 組織委はこれまで、実施地域で… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪府で616人感染 600人超えは1月16日以来
大阪府は1日、新型コロナウイルスの感染者が新たに616人確認されたと発表した。600人を超えるのは629人だった1月16日以来。新たな死者は確認されなかった。府内の感染者は延べ5万2883人、死者は計1184人となった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
殺人容疑の母「枕で顔を押さえた」 福岡・1歳女児死亡
福岡市早良区の団地で1歳の女児が死亡した事件で、殺人の疑いで逮捕されたルーマニア国籍で母親のエネ・ディアナ容疑者(34)が逮捕前、福岡県警の任意聴取に「枕で顔を押さえつけた」と話していたことが、捜査関係者への取材でわかった。逮捕後は黙秘しているという。 県警によると、エネ容疑者は3月30日午前10時ごろ、自宅の寝室で長女の高山夕利亜(ゆりあ)ちゃん(1)を窒息死させた疑いがある。 捜査関係者によると、同日午後7時ごろに帰宅した夫が意識のない夕利亜ちゃんを発見したが、その際エネ容疑者は自宅におらず、数時間後に帰宅。当初は動揺して話ができない様子だったが、31日の県警の任意の調べには「夕利亜ちゃんの顔を枕で押さえつけた」といった説明をしていたという。 県警は1日午後、エネ容疑者を殺人容疑で福岡地検に送検する方針。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
無人自動運転サービス、事業者の審査も 有識者ら報告書
政府が2022年度ごろの実用化をめざす無人自動運転移動サービスについて、警察庁が設けた有識者らの調査検討委員会は1日、安全確保のためのルールの方向性を示した報告書をまとめた。運転者の存在が前提となっている今の制度では対応できないため、無人運転の車両を走らせる事業者を審査する新しい枠組みが必要だとしている。 委員会は今後、ルールの具体的なあり方を議論する。警察庁はそれを踏まえ、道路交通法の改正も含めて検討し、制度を整えていく方針。 自動運転の技術は、システムがどこまで関与するかによって5段階に分かれている。 特定の環境でシステムが操作し、非常時などに運転者がかかわる「レベル3」については、渋滞中の高速道路でスマートフォンなどを使うことが、昨年4月施行の改正道交法で認められた。今年3月には、世界で初めて「レベル3」を実用化した乗用車「レジェンド」をホンダが発売した。 次に実用化が検討されているのは、特定の場所や環境でシステムがすべての運転操作をする「レベル4」。車内に運転者がおらず、遠隔で監視する無人自動運転移動サービスもレベル4にあたる。委員会は、廃線跡といった限られた場所で車両に客を乗せるサービスを想定して検討した。 報告書では、車から離れた監視所で複数の車両を監視し、状況の把握や連絡などを担う人を「関与者」と位置づけた。 運転の操作はシステムがするため、関与者が運転免許を持っている必要はないが、サービスの事業者などの「運行主体」が関与者に教育を施すことが重要だと指摘。運行主体が適格かどうか事前に審査して安全を確保する仕組みが必要だとし、基準など具体的な制度のあり方をこれから検討すべきだとした。 レベル4では、速度制限や信号… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新入社員全員PCRの企業も 門出の春、今年もコロナ式
コロナ禍の中で2度目となる「門出の春」が訪れた。新型コロナウイルスの感染再拡大が進むなか、企業や官公庁は1日、入社式などを開いたが、少人数やオンラインによる訓示のみの実施が相次いだ。 1日に東京都庁のホールで開かれた入都式には、新入職員約1700人の代表として4人が参加した。例年は東京芸術劇場(豊島区)に全員を集めて開いてきたが、昨年に続いて取りやめに。代表以外の新入職員は、オンラインで式の様子を視聴した。 迎える幹部側の出席者も限られるなか、式辞を述べた小池百合子知事は「私たちは新型コロナとの闘いという未曽有の難局に直面している。チーム一丸となって乗り越え、開催間近に迫る東京2020大会を成功へと導きたい」とあいさつした。 コロナ対策の中心を担う厚生労働省。今年は約250人が入省したが、昨年に続き、入省式の開催を見送った。担当者は「どのような形で開催するか検討したが、新型コロナが感染拡大している状況を見て判断した」と説明する。 同省では、職員23人が参加する送別会を3月下旬に深夜まで開いていたことが発覚し、会合を主催した課長が事実上更迭された。1日は、田村憲久厚労相が新入職員向けに訓示する動画を事前収録して配信し、各職員がオンラインで閲覧した。新入職員は今後、主にオンラインで1週間程度の研修を受けるという。 「密」を避けて、入省式を開催した省庁もある。 防衛省では例年、地方防衛局など出先機関の採用者も合わせて東京・市谷の本省に集め、大臣が直接訓示してきた。だが、昨年からはコロナ感染防止のため、全国約150カ所の採用先で分散実施している。 1日にあった本省講堂での入省式には、新入職員約500人のうち本省採用の約50人のみが参加。スクリーンに映された岸信夫防衛相の訓示は事前録画され、岸氏や事務方トップの事務次官は感染防止のために出席を見合わせたという。 内閣府では加藤勝信官房長官が訓示し、「政府としてコロナ対策に全力で取り組んでいるところだが、合わせて少子高齢化を始め様々な課題を抱えている。内閣府は、それぞれの役所との連携をしていく重要な役割を担っている」と新入職員にあいさつした。(軽部理人、遠藤隆史、伊藤嘉孝) 企業でも 出席者全員PCRで実施 新年度が始まった1日、福岡県内でも各地で辞令交付式や入社式があった。 福岡県庁では、新規採用職員228人が部署ごとに分かれ、辞令交付式に臨んだ。コロナ対策の中核を担う保健医療介護部には34人が配属。代表して宣誓した渡辺健太さん(31)は「医療のことを一から学んで、県民の安心安全のために取り組んでいきたい」と話した。 知事不在の中、式では知事職務… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「東日本大震災の余震」発表取りやめ 明確な判断困難に
気象庁は1日から、東北沖などで地震が起きた時に、「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の余震と考えられます」と発表することをやめた。東北沖などで起きる地震の発生数が、震災前の2001~10年の年平均にかなり近づくまで減り、「余震かどうか明確に判断するのが難しくなってきた」としている。 震災後、気象庁は東北から千葉県の沖合を中心にした長方形の「余震域」を設定。域内で起きた最大震度5弱以上のすべての地震について、発生直後に「東北地方太平洋沖地震の余震と考えられます」と発表してきた。 一般的に「余震」かどうかの科学的な判断は難しいが、気象庁は注意喚起の意味もあり、こうした発表を続けてきた。だが地震の発生が減り、震災から10年が経過したことを「区切り」と位置づけた。今後は、政府の地震調査委員会が海域別に発生確率や想定される規模などをまとめた「長期評価」に基づき、注意を呼びかけていく。(山岸玲) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子ども食堂普及 鳥取は3位、お隣の島根はなぜ最下位?
低額で食事を提供し、子どもの居場所にもなっている「子ども食堂」。全国でその数は増加傾向にあるが、山陰両県の普及度は鳥取が全国3位の一方、島根は全国最下位。この差はどこから来るのか。 2017年に立ち上げた島根県益田市の「たかつ子ども食堂」は、高津地区の民生委員らが中心になり、幼児から中学生までの子どもを受け入れている。代表の永本つる枝さん(73)は「子どもの孤食を減らし、居場所作りをしたい」と話すが、運営については率直に「苦しい」と言う。 年に6回開く会には、毎回平均160人が参加する。参加者から100円を受け取り、あとは民生委員の活動費や地区の社会福祉協議会の資金に頼る。フードバンクや地域の人が米を提供してくれることもあるが、施設代や保険料もかかり、資金面でいまの開催数が限界だ。人手の確保にも苦労している。幾度か行政に窮状を訴えたが支援は得られなかったといい、「行政は居場所作りという子ども食堂の意義を分かっていない」と感じている。 NPO「全国こども食堂支援セ… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
障害あるぼくは助けるべき存在か 農場で働き得た自信
北海道の十勝地方、新得町にある「共働学舎新得農場」では、全国から集まった様々な人が共同生活をしながら働いている。 障害者、引きこもりだった人、社会で居場所を見つけられなかった人。立場の異なる人たちが酪農で汗を流し、一緒に生活して学び合う。そんな場所だ。 同じ十勝地方の豊頃町で生まれ育った山田卓耶さん(34)は、学舎ではタクと呼ばれている。15年前からここで働いている。 拡大する高校卒業後から共働学舎に住む「タク」こと山田卓耶さん。ここに来て15年が経った=2020年11月18日、北海道新得町 タクは農場での共同生活を通して「できること」を積み上げてきた。だから、障害者の「できないこと」ばかりに注目し、「異質で、助けるべき存在」としがちな世の中に疑問を感じている。自分は助けられるべき人間なのかと。 タクは発達障害と軽度の知的障害があり、小中学校では特別支援学級に通った。高校卒業後すぐ、ガソリンスタンドでアルバイトを始めた。 だが、おつりの計算が暗算でで… 【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル