布田一樹2021年5月31日 20時03分 北九州市で2011年、暴力団排除運動に取り組んでいた建設会社役員の男性(当時72)が指定暴力団工藤会系の組員らに射殺されたとされる事件で、男性の子ども2人が31日、工藤会トップで総裁の野村悟被告(74)=別の事件で殺人罪などで公判中=ら3人に、総額約8800万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。 男性は11年11月26日夜、同市小倉北区の自宅前の路上で射殺された。福岡地検は17年2月、工藤会系の組員ら8人を殺人罪などで起訴し、一部の被告について有罪が確定した。 原告側は、実行犯とされる工藤会系組員の中西正雄被告(55)の不法行為責任を問うほか、野村被告と、会長でナンバー2の田上不美夫被告(65)には暴力団対策法に基づく指定暴力団の代表者としての責任があるなどと訴えている。 原告は弁護団を通じ、「事件直後は思い出すのもつらくて忘れようとしていたが、心の整理をつけなければいけないと、提訴に踏み切った」とコメントを出した。 工藤会が市民を襲撃したとされる一連の事件では、12年の福岡県警元警部銃撃事件や14年の歯科医師刺傷事件などで、被害者らが野村被告らに損害賠償を求めて提訴。賠償責任を認める判決が確定したほか、和解金の支払いで和解が成立するなどしている。(布田一樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
石垣市、独自の非常事態宣言 15日間の自宅待機求める
新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が出されている沖縄県で、石垣市が31日、市独自の非常事態宣言を出した。症状の有無に関わらず自宅待機するよう市民に強く求める内容で、期間は6月1~15日。 これにあわせて市教育委員会は6月2~13日、市内の小中学校を臨時休校にすると発表した。児童や生徒には、不要不急の外出をしないことや、部活動などをしないよう求めている。 石垣市では5月以降、約300人の感染者を確認。直近1週間でも100人を超えるなど感染に歯止めがかかっていない。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪市水道局職員、競馬関連の賭博の疑い 10人以上か
2021年5月31日 21時00分 大阪市水道局の職員らが競馬に関連して賭博をしていた疑いがあることがわかった。2月下旬に市水道局へ匿名の投書があったという。市から相談を受けた大阪府警が捜査している。 市水道局などによると、投書には賭博にかかわったとされる職員の実名が記されていた。同局は3月上旬に府警に相談し、市のシステム上で職員個人が管理しているデータを任意提出した。府警の調べで、10人以上が賭博行為をしていたことをうかがわせるやりとりが見つかったという。 庭窪浄水場(大阪府守口市)や柴島(くにじま)浄水場(大阪市東淀川区)など同局の複数の浄水場の職員のほか、市外部の人物もかかわっていたとみられる。 中央競馬のG1レースなどに出る競走馬の馬主になりきって互いに金を賭け、馬の実際の獲得賞金額に応じて賭け金の配分を受けていた疑いがあるという。 市水道局の担当者は朝日新聞の取材に「警察の捜査によって事実が判明した段階で厳正に対処するとともに、徹底した原因究明と再発防止策を講じていく」とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マウスシールド姿で初刈り神事 ハナショウブ満開
吉本美奈子2021年5月31日 21時00分 福岡県福津市の宮地嶽神社で31日、晴天の中、初夏を告げる「初刈り神事」があった。 境内には、例年より早く見頃を迎えた紫や白のハナショウブ約7万株が咲き誇る。マウスシールドを着けた神職が神前に供える花を刈り取り、巫女(みこ)が奉納の舞を披露した。 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、コンサートやフォトコンテストなどのイベントは中止した。(吉本美奈子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
漫画海賊版サイト被害、過去最悪 「巣ごもり」も影響か
人気漫画を不正に複製した「海賊版サイト」の被害が過去最悪とされる状況にあることが、出版社などでつくる対策団体の調査でわかった。社会問題になり、2年前に摘発された海賊版サイト「漫画村」の最盛期に比べ、アクセス数ははるかに上回っているという。何が起きているのか。 「特効薬はなく、できる対策を続けるしかない。あきらめたらそこで試合終了、ですから」 大手出版社の集英社(東京)で海賊版対策を担当する伊東敦さんはそう話す。 集英社は、自社の漫画が海賊版サイトに掲載されるたび、サイト側に対し削除要請を送っている。業者の協力を得ながら、海賊版サイトを数え切れないほど巡回。海賊版漫画が掲載されたページのアドレス(URL)を特定していく。 海賊版サイトやそのサーバーの運営会社などへ、「(著作権の)侵害物の削除を要求します」といった要請を多い月で約12万件は出す。刑事告訴の件数も年間約10件に上る。伊東さんは「以前は1人で削除要請を送っていた。マウスの操作しすぎで、腱鞘(けんしょう)炎になったこともあった」。 伊東さんは、出版社や通信事業者などが加わった海賊版対策の一般社団法人「ABJ」(東京)の広報・法務部会長。漫画の海賊版サイトによる被害の現状について「史上最悪。『漫画村』の最盛期を超えてしまった」との認識を示す。 「漫画村」とは、かつて存在した日本最大の海賊版サイト。ABJの集計で、月間で最大約1億件のアクセスがあった。スマートフォンでの読みやすさが利用者を集めた要因とされる。 海賊版が社会問題化するきっかけとなった漫画村は2018年4月に閉鎖。他のサイト消滅も相次ぎ、被害は一時的に減った。しかし翌年秋ごろから再び増加に転じる。「読みやすいサイトが次々と生まれてしまった」(伊東さん) ABJが確認している海賊版サイトの数は約750。アクセス数が多い上位10サイトの集計だけで、月間のアクセス数が計約2億4千万回に上り、漫画村をはるかに超えてしまった。 さらに上位3サイトの合計をみると、昨年1月から今年4月にかけて約14倍に激増した。伊東さんは「コロナ禍での『巣ごもり』の結果なのかもしれない」とみる。ほかに動画サイトへの違法配信などもあり、全容は把握できないのが現状だ。(吉沢英将、編集委員・須藤龍也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海賊版サイト、拠点国の実態は ホワイトハッカーが探る
漫画やアニメなどを不正に複製し、無料で公開する「海賊版サイト」の被害が「過去最悪」の状況になっていることが、出版社などでつくる対策団体の調査でわかった。その背景を調べていくと、ある特定の国でサイトの運営にかかわるやりとりがなされている実態が浮かんだ。何が起きているのか。調査を手がけた男性が取材に応じた。 男性は「Cheena(チーナ)」という通称で活動する23歳のホワイトハッカーだ。専門的に手がけているのは、インターネットのセキュリティーや海賊版対策の調査。これまでに大手出版社やIT企業の依頼を受け、数々の調査を請け負ってきた。 チーナは2017年8月、日本最大の海賊版サイト「漫画村」の運営者をいち早く特定し、ブログに公表したことで知られる。 出版業界や、捜査に着手しようとしていた警察はブログに色めき立った。数カ月後に栃木県警の捜査員がチーナに情報提供を求め、運営者の逮捕につながる手がかりの一つとなった。その時の謝礼は3千円だった。 ネット上に点在する情報の断片を丹念に集め、漫画村の運営実態に迫った実績は、その後の活動にもつながっている。 ベトナム系、「巣ごもり」で急増するアクセス 記者が取材を依頼したところ、チーナは一通のリポートを作った。表題は「2021年の漫画海賊版とベトナム系運営のサイトの台頭」だった。 「ベトナム系」とはどういう意味なのか。 チーナはレストランで出されたホームメイドパイをほおばりながら、調査結果の説明を始めた。 海賊版サイトを取り巻くシステムが主にベトナム国内に存在し、役割分担と分業が徹底されている、といった内容だった。 チーナによれば、日本の出版… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:3073文字/全文:3782文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら フカボリ 旬の話題の舞台裏から事件の真相まで、気になるニュースの深層に迫ります。世の中に流れる情報の一歩先へ。「もっと知りたい」「ちょっと気になる」に応えます。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アクリル工場で火災、1人の遺体を発見 大阪・河内長野
2021年5月31日 21時26分 31日午後5時ごろ、大阪府河内長野市日野の「日高アクリル工芸」の木造2階建ての工場付近から出火、火は約2時間後にほぼ消し止められたが、1階から1人の遺体が見つかった。工場で作業をしていた芝本智一さん(58)と連絡が取れておらず、警察が身元の確認を進めている。 河内長野署によると、出火当時、工場では芝本さんと父(88)、弟(55)の3人がアクリル板を削る作業をしていたという。2人は避難してけがはなかったという。署が出火原因も調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
平山郁夫らの版画、贋作120点 特殊シール貼り返却へ
2021年5月31日 21時30分 平山郁夫(1930~2009)ら日本画家3人の作品を元に作られた偽の版画が流通していた問題で、真贋(しんがん)を鑑定していた専門機関・東美鑑定評価機構(東京)は31日、3人の10作品計201点の鑑定を終え、6割にあたる120点が偽物だったと発表した。 ほかにも数十点の鑑定依頼を受けており、機構は「作業を続ける」としている。被害規模が明らかになったのは初めて。 偽物が見つかったのは、平山と片岡球子(1905~2008)、東山魁夷(1908~99)の版画。全国の愛好家や百貨店が購入した画商を通じ、機構に鑑定を求めていた。結果が出た作品には真贋を確認できる特殊なシールを貼り、持ち主に返却するという。 問題が発覚したのは昨春。約40の画商でつくる日本現代版画商協同組合(日版商、東京)の会員が、真作と色合いやサインが異なる作品が流通していることに気づいた。 その後の調査で、大阪市北区で画廊を経営していた日版商会員の男性が偽物を販売していたことを認め、日版商などの調査委員会が今年3月、機構に鑑定を依頼。4月には著作権法違反などの疑いで警視庁に告発状を出した。警視庁は男性宅から押収した資料を分析するなどして経緯を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奨学金訴訟、教え子の保証人になった恩師は何を思う
会員記事 川村さくら、平岡春人2021年5月31日 21時30分 拡大する札幌地裁の判決後に会見した原告の男性(左)と女性=2021年5月13日午後3時、札幌市中央区、川村さくら撮影 奨学金の返済をめぐり、日本学生支援機構が半額の支払い義務しかない保証人に全額を求めたのは違法だとして、北海道内の保証人ら2人が過払い分の返金などを求めた訴訟で、機構が札幌高裁に控訴したことで、保証人の救済はまた遠のいた。控訴が明らかになった5月31日、原告からは失望の声があがった。 「法律を順守すべき立場の機構が、裁判所の見解を無視するわけないと思っていたのに……」。機構の控訴を知り、原告の一人の元高校教諭の男性(75)=北海道小樽市=は絶句した。 札幌地裁は5月13日、半額を超える分を機構の不当利得と認め、計約139万円の返金を命じた。機構はこの判決を不服として、29日付で札幌高裁に控訴した。 この男性は控訴について、「訴訟の決着が遅れれば、それだけ過払い分が戻ってくる日が遠ざかる。声を上げていない保証人らが置き去りの状況も続く」と憤った。 男性は道内の工業高校で教壇に立っていたとき、教え子から保証人になってほしい、と頼まれた。座学は苦手だが実技を一生懸命に取り組む教え子の「学びたい」という思いに感銘を受けた。快く引き受けた。 教え子は大学を出て就職した… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:556文字/全文:1047文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
辻幸江さん死去 長崎初の被爆者組織立ち上げメンバー
榎本瑞希2021年5月31日 18時47分 1955年に長崎初の被爆者組織「長崎原爆乙女の会」を立ち上げた一人、辻幸江さんが5月26日に95歳で亡くなった。70年の長崎市の平和祈念式典では、被爆者代表として初めて「平和への誓い」を読み、「核兵器の禁止は、被爆国である日本国民こそが率先して広く世界に訴えなければならない」と訴えていた。 三菱長崎製鋼所で勤務中、全身に閃光(せんこう)を浴びた。会の後身「長崎原爆青年乙女の会」が編んだ体験記によると、戦後出産した男児を生後9日目に亡くし、離婚。「ケロイド、子供の死、離婚、鉄槌(てっつい)で打ちのめされたように二重三重の苦しみを背負いこんだ」 その後、被爆者の渡辺千恵子さん(93年に死去)らと知り合い、一緒に編み物の内職に励んだ。55年、渡辺さんらと女性5人で乙女の会を旗揚げし、新聞配達や学校の事務補助をしながら活動した。 同年8月、広島で開かれた第1回原水爆禁止世界大会に山口美佐子さん(故人)と会を代表して参加。「生きていてよかった!」と口にしたことを、体験記に記している。80年代には国家補償を求める運動にも参加した。 70年代から親交を結んだ長崎原爆被災者協議会の副会長・横山照子さん(79)は葬儀で、ひつぎに2羽の折り鶴を捧げた。「被爆者が口を閉ざしていたころに表舞台に立ち、長崎の運動を立ち上げてくれた人。私の基礎になっている」と話す。運動について辻さんは横山さんに、「この火を消してほしくない」と話していたという。 遺族によると10年ほど前に認知症になり、めいの介護を受けて暮らしていた。(榎本瑞希) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル