2011年9月、鹿児島県出水市で女子中学生(当時13)が自殺したのは吹奏楽部内でのいじめが原因だとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟が6月にも和解する見通しになった。原告の祖父を支えてきたのは「孫の死の真相を知りたい」という思いだった。 亡くなったのは、市立中学2年だった中村真弥香(まやか)さん。11年9月1日、始業式の朝に命を絶った。幼い頃に両親が離婚。父と祖父母、弟と5人で暮らし、ふだん生活の世話をしていたのが祖父母だった。 学校は全校生徒にアンケートを実施。真弥香さんの部活動ノートや楽器を拭く布がなくなったことがわかったが、市教育委員会は約3カ月の調査をまとめた報告書で「直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった」と結論づけた。 孫の自殺の原因は何だったのか――。 祖父幹年さん(71)は市教委にアンケートの開示を求めたが、拒否された。14年、開示を求める訴訟を起こす。鹿児島地裁は15年に訴えを認め、個人を特定する情報を除いて開示を命じた。アンケートには吹奏楽部でのいじめを疑わせる複数の記述がみられた。 これをもとに再調査を依頼したが、市は応じなかった。17年5月に起こしたのが、いまも続く訴訟だ。 市を相手にした2度目の法廷での争い。幹年さんらは「いじめがあり、教諭は自殺の防止策をとらなかった安全配慮義務違反がある」と市側の責任を追及した。一方で悔しい思いも味わった。「家庭に要因があったのではないか」「幹年さんの厳しいしつけが原因では」。そんな反論が返ってきた。 裁判所の勧告に基づく和解協… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:405文字/全文:1072文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
重い障害抱え励むサーカス 出会い、悟った演出家の思い
【動画】ありのままの姿で 重度障害者パフォーマーたちの挑戦=藤原伸雄撮影 重い障害を抱えながら、サーカスの稽古に励むパフォーマーや演出家がいる。ありのままの姿をみてほしい――。開催まで100日を切った東京パラリンピックにも関わってきたこの演出家は、そんな思いを舞台に込める。 夕刻の東京・池袋の野外ステージが幻想的な光と音楽に包まれた。森に迷い込んだダウン症の旅芸人らが、虫に扮する車いすのダンサーやコミカルに踊る盲目のアリなど、個性的なメンバーと出会うストーリーだ。 横浜市のNPO法人「スローレーベル」が4月末、関係者向けに開いたサーカスイベント「True Colors CIRCUS SLOW CIRCUS PROJECT TOKYO~虫のいい話~」の一幕。新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言で一般公開は中止となったが、6月以降に日英字幕付きで動画配信するため、障害の有無や性別、年齢を問わず集まった計43人が迫真の演技をみせた。 都心の夜空を優雅に舞ったの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「五輪は延期にしませんか!?」 歩き、問いかける
「オリンピックは延期にしませんか!?」。東京の下町で、こんなメッセージを「着て」散歩する男性に出会った。コロナ禍での東京五輪開催の是非が問われる中、ひとり黙々と意思表示を始めた。 男性は年金生活をおくる台東区在住の74歳。地元浅草の商店街などを午前と午後、一日3時間ほど歩く。大型連休明けから始めた。コロナ禍の感染防止を考え一人で歩く。声は発さない。 拡大する声を発することなく黙々と散歩する男性。できる範囲内で、感染対策もしてひとりで続けられる方法を考えたという=2021年5月13日、東京都台東区、福留庸友撮影 緊急事態宣言中の浅草。人通りは少なく、臨時休業でシャッターが下りたままの店舗が目立つ。多くの人は無反応。だがすれ違いざまに振り返ったり、うなずいて同意を示してくれる人や、「俺もそう思うよ」と声をかけてくれる人もいれば「選手がかわいそうだ」と反対意見を言う人もいた。 拡大する雷門近くを歩く男性。前も後ろも同じメッセージが書かれている 男性は「本当は恥ずかしいですよ。できればやりたくない」と笑う。だが見過ごせなかった。「コロナでまだみんなが苦しんでる。選手もどうしたら良いのか迷ってる。オリンピックをやるのは今じゃない」 コロナ禍の1年半、テレビ報道を見ては「医師や看護師がかわいそうだ。申し訳ない。この状況はひどいよね」とばかり言う男性に、長女が「そんな事ばっかり言って、何もしない」と言った。自分の考えを示し、他の人はどう思っているのか問う決心をした。「自分の生活の中で出来ることはこれくらいしかない。まあ仕事してないから出来るんだけど」 男性は五輪中止ではなく、もう1年延期するのが良いと思っている。「ここまでお金を使って準備してきたから中止しなくてもいい。ワクチンが広がり状況が良くなれば、外国から観客を入れられるかもしれない。そうなればホテルも他の業種も喜ぶ。中止になり次が3年先になれば諦める選手がいるかもしれないけれど、1年なら頑張れる選手もいる」と考える。 拡大する仲見世を通る男性。多くの店は緊急事態宣言で休業を続けている=5月13日、東京都台東区、福留庸友撮影 男性は「五輪開催は変えられないだろう」と心の奥では思っている。だが延期や中止を口にすると国に盾突くとも見られかねない状況で「多くの人が本音を話していないように見える。せめて『自分の声は届けようとやることはやった』と思いたい」。五輪の開催方法が正式に発表されるまで、メッセージを着て散歩を続けるつもりだ。(福留庸友) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北朝鮮の貨物船が浸水、島根沖を漂流 乗員21人は無事
大久保直樹2021年5月22日 10時37分 21日午後10時55分ごろ、島根県隠岐の島町の北約50キロの海上で、航行中の北朝鮮籍の貨物船「チョンボン」(約5500トン)から「貨物倉庫が浸水した」と第8管区海上保安本部(京都府舞鶴市)に救助要請があった。乗員21人は近くにいた北朝鮮籍のタンカーに全員救助されたが、無人になった貨物船が漂流している。 8管によると、貨物船は右側に大きく傾き、時速4キロほどで東へ漂流を続けている。巡視船2隻と航空機、ヘリコプターで監視を続けているが油や積み荷の流出は確認されていない。 8管が貨物船の乗員らに無線などで事情を聴いたところ、北朝鮮の清津港から松林港へ向かっていたという。 現場は風速12メートル、波の高さは3メートルで視界は悪くなかったという。(大久保直樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あじさい寺の1万株、切るべきか 密回避、住職は悩んだ
【動画】奈良・矢田寺のあじさい園公開中止 つぼみ刈り取る=浅田朋範撮影 梅雨の時期を迎え、「あじさい寺」として全国から観光客が訪れる奈良県大和郡山市の矢田寺が、境内で開花を待つアジサイ約1万株のつぼみをすべて刈り取った。コロナ禍のなか、観光客が殺到するのを未然に防ごうと、昨年に続く苦渋の決断だった。今年も「切るべきか、切らざるべきか」。住職の心は揺れた。 矢田寺は近鉄郡山駅から西へ約4キロ。山肌に沿って2万5千平方メートルほどの寺域が広がる。参道など境内のあちこちには約60種、全国有数の約1万株のアジサイが植えられている。 例年6~7月に咲き誇り、「あじさい園」として公開している。新型コロナウイルスの感染拡大前には、関西を中心に首都圏をはじめ全国から毎年7万~8万人が訪れていた。 4月に京阪神などに緊急事態宣言が出され、寺は5月15日から6月30日まで山門を閉じることを決めた。ただ、山門を閉じても参道以外に、ハイキングコースや地元住民の生活道路など地域に開かれた道が境内を複数走る。 こうした道を抜けてアジサイ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
タマネギみじん切りはモヤシで代用 子ども向けレシピ本
コロナ禍で休校になったとき、子ども向けのわかりやすい料理本があれば――。そう考えた岐阜県垂井町大石のフリーカメラマン兼編集者の瀧知子さん(44)が、簡単な手順の料理を紹介するレシピ本「今日からぼくがクッキング」を自費出版した。子どもたちの大好きなメニューを、豊富な写真で紹介している。 瀧さんは県内の情報誌編集長などを経て、現在は食育フリーペーパーや企業ウェブサイトなどの写真撮影や編集を仕事にしている。 小学校6年の長男(11)とこども園に通う長女(5)がおり、新型コロナウイルスによる昨年3月からの休校時には、子どもたちと料理する機会が増えた。子ども向けの料理本を探したが、説明が難しかったり、手順が複雑だったりして、大人の協力が必要なものが多かったという。 瀧さんは「レシピを見ただけで理解できる、初心者の小学生でも手に取りやすい料理本が作れないか」と考えた。子どもがいる仕事仲間で愛知県在住のデザイナー、フードコーディネーター、料理研究家の女性3人に声をかけ、本づくりに取り組んだ。30人近くの小学生らに料理の好みやつまずくポイントなどを聞いてメニューを選び、わかりやすい作り方や説明を心がけた。 キャッチコピーは「世界一!… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Dodgers ace Clayton Kershaw says surge of no-hitters not good for game
Los Angeles – Los Angeles Dodgers ace Clayton Kershaw is one pitcher who isn’t thrilled to see no-hitters piling up at a remarkable rate this season. “It’s not good, I’ll tell you that,” Kershaw said after New York Yankees pitcher Corey Kluber became the sixth hurler this season — and […]
「生活必需品の衣料品」って? 都の要請に百貨店混乱
「豪奢(ごうしゃ)品」とは、「生活必需品」とは何か――。高級衣料品などは生活必需品でないとして、東京都が日本百貨店協会に対し売り場を休業するよう要請し、百貨店が混乱している。「高級品」の線引きをめぐり、海外ブランド店の休業を決めた百貨店もあれば、営業を続ける百貨店もある。 緊急事態宣言の延長から1週間が過ぎた20日。東京・銀座の百貨店には、奇妙な光景が広がっていた。「松屋銀座」の1階にはルイ・ヴィトンが2店舗あるが、1階南側の「ウォッチ&ファインジュエリーサロン」は休業中。一方で、北側のバッグや洋服を扱うルイ・ヴィトンの店舗は営業を続けている。 また、松屋銀座では4階の一角にある「カルティエ」などの宝飾・時計サロンは商品を店頭から下げ休業していたが、隣の「銀座三越」では時計売り場は営業しており、カルティエの時計も売られていた。いずれの百貨店も平日の日中ということもあり、特に上層階の客足はまばらだった。 こうしたちぐはぐな対応の背景には「豪奢品」の定義があいまいなことがある。 緊急事態宣言に伴い、東京都… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
病床のあなたにつながる 若松英輔さんに学ぶオンライン
東京五輪・パラリンピックの開催の是非で揺れるいま、思い出す光景がある。 2013年9月8日早朝、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長が「TOKYO」と書かれた紙をかざす生中継の映像を、私は東京都内の病院のベッドの上で見ていた。 この街に五輪が来る。 その時、私はどうしているのだろう――。 記者としてアテネ、ロンドンの五輪を取材してきた。生中継を見ているほどだから、気持ちが高ぶらなかったといえばウソになる。 でも安倍晋三首相や猪瀬直樹東京都知事(いずれも当時)が歓喜に沸く様子は、どこか冷めた気持ちで見ていた。 さいわい病気は快癒した。でも、あの時の、社会と切り離されたような気持ちは、今も忘れられず、心のどこかにひっかかっている。 新型コロナウイルスの感染拡大で、朝日新聞の編集局内もテレワークが導入されている。打ち合わせも取材もオンラインが増え、東京では同僚と酒を飲みながらの懇親の場も失われてしまった。 人とじかに会えないことに寂しさや味気なさを感じている時、批評家の若松英輔さんのツイートに接した。 「オンラインの講座は色んな… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1442文字/全文:1937文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北海道に梅雨がないのはなぜ? 前線がとどく前に……
「北海道に梅雨がないのはなぜ?」 神奈川県・内山千尋さん(48)からの質問 ののちゃんのDo科学 ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。<br>science@asahi.com ののちゃん また梅雨がくるね。ああ、うっとうしい。 藤原先生 そうね。大雨で災害がおきやすいので注意しようね。でも、夏にむけて農業用の水をたくわえるのに、梅雨は必要なのよ。 のの 洗濯ものがかわきにくくてたいへん。そうそう、学校で北海道には梅雨がないときいたけど本当? 先生 ビンゴ!… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル