進学で明日にはふるさとを発つ。高校を卒業したばかりの大内海斗さん(18)はその日、母校にある野球部の室内練習場で、祖父の栄さん(69)とキャッチボールをした。山口県防府市。空は快晴だった。 ジャージー姿のじいちゃんは「2、3球しか投げられんと思うよ」と言いながら、手渡したグラブに拳を2度たたきつけた。一緒にキャッチボールするのは、かれこれ6年ぶりだ。 初球は胸の前に真っすぐ伸びてきた。やっぱりすごい。「久しぶりやね」「ほんと」。白球とともに、たわいのない言葉が行き交った。 2人で初めてキャッチボールをしたのは幼稚園に行く前だったらしい。小学1年で野球を始めると、40代まで社会人チームでプレーしていたじいちゃんは試合のたびに応援に来てくれた。勝っても、まるで自分が監督のようにダメ出しをする。でも暗くなるまで球を受けてくれたあとは、いつも焼き肉店で一緒に腹いっぱい食べた。じいちゃんを連れていきたかったのに、高校最後の夏はコロナで甲子園への夢を絶たれた。かわりに開かれた県の独自大会で優勝すると、真っ先にメダルを首にかけてあげた。 2、3球だけのはずだったキャッチボールは休憩なしで続いた。30分ほどたってから「そろそろやめようか」とじいちゃんは言うと、そのままベンチで横になった。グラブを外した左手を額に当てて、深呼吸を繰り返した。 昨年1月、じいちゃんに肺が… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:485文字/全文:1075文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アパート火災で男女の遺体、男性には刺し傷 大阪・柏原
2021年5月15日 19時34分 【動画】大阪府柏原市で火災 2人死亡=朝日放送テレビ撮影 15日午前8時ごろ、大阪府柏原市旭ケ丘3丁目のアパートで、2階の部屋の一部(約3平方メートル)が焼ける火災があり、この部屋に住む会社員嶋口友康さん(33)と、知人で近くに住む無職乾真樹子さん(35)の遺体が見つかった。嶋口さんの左胸には刺し傷があったという。府警が2人の死因や詳しい経緯を調べる。 府警柏原署などによると、嶋口さんは一人暮らしで、風呂場の浴槽で座った状態で見つかった。乾さんは居室で仰向けに倒れ、目立った外傷はなかった。玄関は施錠されていたという。 同日午前5時40分ごろ、乾さんが行方不明になっていると親族から署に届け出があった。署員が知人である嶋口さんのアパートに着いたところ、部屋から煙が出ているのを見つけて119番通報した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岐阜県で新たに139人の感染確認 過去2番目の多さ
岐阜県と岐阜市は15日、0歳から90代までの男女139人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内では9日連続で100人を超え、1日の発表としては14日の155人に次いで過去2番目に多い。県内の感染者は延べ7322人になった。入院中の各務原市の80代女性が亡くなり、県内の死者は計143人となった。 新たなクラスター(感染者集団)は県が4件、岐阜市が2件を認定した。関市の中部学院大学の運動部では、部員11人が感染。このうち10人は寮で共同生活をしていたという。県によると、この運動部では以前にもクラスターが発生した。 県立岐阜商業高校でも生徒3人と生徒の家族3人の感染が判明した。このほか大型連休中に飲食をともにした友人や家族らによるクラスターも2件あった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
AIと恋に落ちたらどうなる…? 三田麻央が描く近未来
元「NMB48」メンバーでタレントの三田麻央が、小説家デビューを果たした。第1作「夢にみるのは、きみの夢」(小学館ガガガ文庫)は、構想から完成まで約2年。アニメやゲームにのめり込む会社員の「美琴」と、見た目は人間そのままのAI(人工知能)ロボット「ナオ」との恋愛ストーリーを通じ、ヒトとロボットの未来を展望する。 拡大する「夢にみるのは、きみの夢」に込めた思いを語る三田麻央 周囲とコミュニケーションをとるのが苦手で、恋愛経験もゼロ。好きなのは「乙女ゲーム」、憧れの相手はゲーム内のキャラクター「金堂町先輩」――。 そんな美琴のいつもの朝から物語は始まる。2次元の世界に自分の理想を詰め込む一方、実社会ではとんとさえない日々を送る美琴。その前にある日、現れたのは思い描いた通りの親切な青年。研究施設から脱走してきたという自称ヒト型AIロボットのナオだ。その言動を怪しみながらも家にかくまい、奇妙な共同生活を送るうちに美琴の中にいくつもの変化が生じる。やがて美琴に、ヒトである会社の先輩と、ロボットであるナオのどちらかを本当の恋愛相手として選ばないといけない局面が訪れる――。 アイドルグループNMB48に在籍していたころから、アニメやゲーム通として知られた三田の面目躍如というべき設定だ。 「美琴はほぼ私自身なので、その意味でキャラクター作りの苦労はありませんでした。細部の描写にも気を使ったし、何より普段の妄想めいた思考まで再現したので、自分の頭の中を全てさらしちゃったような恥ずかしさもあります」 人間と、人工知能をもったロボットとが出会い、織りなす悲喜こもごもの物語は、SF小説における古典的なプロットの一つだ。2020年代のロボット小説としてのリアリティーを持たせるため、何冊もの関連書籍や文献に目を通し、最新のAI技術の到達点を作品に反映させた。執筆に時間を要したのは、初めての小説執筆だったということに加え、こうしたインプットのためだったという。 ヒトとロボットのどちらを選ぶのかという選択を突きつけられた美琴が、苦悩の末に選ぶ答え。ナオの開発者たちを巻き込んで繰り広げられるその後の急展開。結末は切なさに満ちているようにも、ハッピーエンドにも読みとれる不思議な雰囲気をまとっている。 三田はいう。「最後の解釈はあえて読者一人ひとりの感性にゆだねました。作者として言えるのは、作中のキャラクターは全員が自分なりの『正解』を信じ、必死に生きたということ。だから、主人公が最終的に誰なのかということも読者の皆さんに決めてほしいです」 小説は、甘い雰囲気の恋愛小説のかたちをとりつつ、AIロボットに「心」をもたせることはできるのか、「心」をもたせたときに何が起きるのかというテーマに迫る。開発倫理の議論が未成熟なまま、AI技術だけが急激な発展を遂げた先にある近未来を予想した作品ともとれる。この点について三田は「技術の発展は止められないし、社会はどんどん便利になっていく。人間とAIが未来もいい形で共存してゆくためには、向き合い方をきちんと考える必要があると思います。それはこの小説を書く過程でも改めて感じました」と語る。 大阪府出身。11年、2期生としてNMB48に加入した。親しみやすいキャラクターに加え、アニメやゲームへの造詣(ぞうけい)の深さで異彩を放ち、グループ内で独特の地位を築いた。19年に惜しまれて卒業し、現在はタレントのほか声優としても活躍する。 近くにいるように見えても、友達のように会話しても、実は遠い世界の住人。信頼のみで結ばれるその関係性は切なく、はかないものであるゆえに「尊い」――。そんな美琴とナオの世界は、アイドルとファンの関係そのものではないだろうか。アイドルの世界に身を置いていた三田の経験と思考こそが、この世界観に反映されているようだ。 そう問うと、しばらく考えて「そうかも知れません。だから、美琴とナオのラストは、私個人は『ハッピーエンド』だと解釈しているんです」と笑った。 「夢にみるのは、きみの夢」は4月20日発売。イラスト・あおのなち。704円(税込み)。(阪本輝昭) 拡大する「夢にみるのは、きみの夢」の表紙 拡大する「夢にみるのは、きみの夢」を著した三田麻央 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
困っている人の支えに 中高生、志願のおにぎり
コロナ禍で失業者や生活困窮者の増加が懸念される中、東京都東久留米市の私立校「自由学園」の生徒たちが、手作りのおにぎりで路上生活者を支援する活動に取り組んでいる。 拡大するNPO法人「TENOHASI」と「世界の医療団」の支援活動に参加し、生徒たちが作ったおにぎりを手渡した=2021年3月24日、東京都豊島区、瀬戸口翼撮影 メンバーは中学1年から高校3年の生徒たち。放課後や休日に集まり、保護者など賛同者から寄せられたお米でおにぎりを100個以上作っている。 生徒らは東京・池袋を中心に生活困窮者らを支援しているNPO法人「TENOHASI」と「世界の医療団」の活動に参加。池袋駅周辺を見回り、路上生活者の相談を聞き取る「夜回り」に同行し、支援物資と一緒におにぎりを添えて手渡す。昨年7月から始め、2カ月に1度の頻度で取り組んできた。 活動のきっかけは休校中の昨年春。発起人の高校3年生の中村侑人さん(17)が、手作りマスクを医療従事者や自治体に寄付する同年代の活動の記事を目にし、「僕たちに出来るアクションはないか」と思い立った。仲間や教師らの協力を得て、今では毎回20人ほどが参加している。中村さんは「一部には、知的障害を抱えている方もいて、放ってはおけない問題」と話す。 拡大する生活困窮者を支援するためのおにぎりを作る自由学園の生徒たち=2021年3月24日、東京都東久留米市の自由学園、瀬戸口翼撮影 拡大する生活困窮者を支援するためのおにぎりを作る自由学園の生徒=2021年3月24日午後、東京都東久留米市の自由学園、瀬戸口翼撮影 拡大するNPO法人「TENOHASI」と「世界の医療団」の支援活動に参加し、生徒たちが作ったおにぎりを手渡した=2021年3月24日午後、東京都豊島区、瀬戸口翼撮影 しかし、1月の2度目の緊急事態宣言では活動自粛となった。最も冷え込む時期だけに「困っている人を支えることもできなくなるのが悲しかった」と中村さんは振り返る。 「支援は続けることが大事」。3度目の宣言では、参加メンバーらと学校側に掛け合い、宣言中も校内の調理室が使えることになった。「夜回り」同行は見送ったが、おにぎり作りを継続できることに胸をなで下ろした。中村さんは「宣言が出ても、助けを必要としている人々がいる。おにぎりを作ることだけでも、僕たちに出来ることを続けたい」。(瀬戸口翼) 拡大する生活困窮者を支援するためのおにぎりを作る自由学園の生徒たち=2021年3月24日、東京都東久留米市の自由学園、瀬戸口翼撮影 拡大する生活困窮者を支援するためのおにぎりを作った自由学園の生徒たち=2021年3月24日、東京都東久留米市の自由学園、瀬戸口翼撮影 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「基地のない沖縄への願い進まず」 復帰49年で訴え
福井万穂2021年5月15日 16時40分 沖縄が日本に復帰して49年を迎えた15日、米軍基地の負担軽減などを求めるアピール行動が、沖縄県北中城村のキャンプ瑞慶覧ゲート前であった。平和団体の代表ら約30人が集まり、普天間飛行場(宜野湾市)の早期の閉鎖・返還や、名護市辺野古への移設反対などを訴えた。 復帰後の1978年からこの日に合わせて開かれてきた「平和行進」は、新型コロナウイルスの影響で2年連続の中止となった。行進は、米軍基地や沖縄戦跡をめぐりながら平和を訴えるもので、例年県内外から数百~数千人が集まっていた。中止を受け、今年はせめて少人数でも現状を発信したいと企画された。 実行委員長の山城博治・沖縄平和運動センター議長(68)は「来年は(復帰から)50年を迎えるが、基地のない平和な沖縄への願いは遅々として進まない。この日を機に、私たちが戦争の餌食となるようなことは絶対に許さない、との思いを新たにしたい」と語った。(福井万穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
100円カレンダー、居酒屋で思わぬ効能 防犯協会作成
1枚のカレンダーが群馬県内で存在感を放っている。値段は100円(税込み)。今年分は2万枚以上刷られたが、すぐに在庫がなくなるほどの盛況ぶりだ。このカレンダー、思わぬ「効能」が人気の秘密という。 前橋市大手町2丁目にある「やきとり居酒屋明星」。まもなく開店30年になる老舗の壁に、そのカレンダーは貼ってあった。白バイに乗った2人の警察官。背景には、雪化粧の壮大な浅間山。「群馬」の「警察」であることが一目で分かるようにと、今年は初めて合成写真にした。 「お客さんとして来る警察官が毎年持ってきてくれる。これが貼ってあると、警察官が寄っている、と思われるのか、うちでは変なトラブルは全然ない」と店主の木原義隆さん(78)は語る。 カレンダーをつくっているのは県警の関係団体「県防犯協会」だ。毎年2万数千枚を刷る。 カレンダーには「群馬県警察」「群馬県防犯協会」「群馬県交通安全協会」の3団体が名を連ねる。県警のマスコットキャラクター「上州くん」「みやまちゃん」も登場し、県防犯協会のスローガン「みんなでつくろう 安心の街」の言葉を掲げる。 「合成しないでアピールしたい」 協会によると、カレンダーは運送業界や金融機関などの民間のほか、各警察署が数百枚単位で購入してきた。 ただ最近は、個人で買い求める人も増えている。購入者の中には「一人暮らしの親に玄関に貼ってもらう」「店の外から見えるところに貼りたい」という声があるという。 「特殊詐欺などで自宅に来る犯罪者を退散させる効果を狙ってのことでは」と協会の久保雅則・事務局次長は話す。昨年11月に発行した広報「防犯ぐんま」でも「詐欺や押し売りの対策になるなど、防犯に役立っているとの声が多く寄せられた」と紹介している。 今年のカレンダーの在庫はなく、増刷する予定もないという。協会ではすでに来年分の図柄を検討している。「できるだけ合成しないで群馬の防犯をアピールできる写真にしたい」と久保次長は話している。 カレンダーの注文は毎年10月ごろから受け付ける。問い合わせは県防犯協会(027・221・2230)。(寺沢尚晃) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
イルカのオキちゃん、沖縄と半世紀 何度も荒波乗り越え
半世紀近く前、日本に復帰してまもない沖縄に移り住んだ1頭のイルカがいる。沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)で、日本最長の飼育記録を更新中の「オキちゃん」だ。観光ブームやテロ事件の波紋、念願の出産、コロナ禍と、荒波も乗り越えながら、オキちゃんはきょうもジャンプ。 「オキちゃん」は、1972年5月15日の日本復帰を記念した一大事業のマスコットマークの名前だった。75年から開かれた沖縄国際海洋博覧会(海洋博)。当時の資料には「世界の人々が従来の暗い沖縄観を拭い去り、沖縄に対する認識を新たにする機会になる」と書かれている。 復帰前、米軍統治下の沖縄を訪れるのは慰霊や戦跡巡りが中心だった。広大に残された米軍基地をめぐる問題もある。海洋博は、そうした「暗い」イメージを塗り替えようと、政府などが主導した観光戦略だった。 青い海にサンゴ礁、亜熱帯の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
美味しいにおいがしてきそう 食品サンプルの動画公開中
添田樹紀2021年5月15日 14時00分 大阪・ミナミにある食品サンプル職人の養成校「デザインポケット食品サンプルクリエイターズスクール」が、卒業制作展をインターネット上(https://www.frajschool.jp/exhibition2021)で開いている。卒業生の20~30代の女性5人が、和洋中の様々な作品をそれぞれ動画で紹介中だ。 作品は「肉」がテーマ。みそ汁やご飯、漬けものが付いたとんかつ定食や、アイスコーヒーやフライドポテトと並ぶハンバーガー、サシが入ったすき焼き用の牛肉など、各自の集大成となる作品がそろう。 拡大する漬けたソースから持ち上げた瞬間の串揚げの食品サンプル 漬けたソースから持ち上げた瞬間の串揚げや、グラスが結露しているように加工してキンキンに冷えた様子を表現した生ビールなど、こだわったポイントや苦労した点を解説した動画もある。 スクールは、食品サンプルの製造販売会社「デザインポケット」(大阪市中央区)が2015年に始めた。5人は9期生で、これまでに約40人が修了したという。オンラインでの卒業制作展は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて初めて実施した。 動画は公開を続け、今後の卒業生の作品も追加していく予定という。同社の倉橋幸子社長(39)は「外出自粛中ですが、自宅から目で楽しんで」と話した。(添田樹紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「フィアンセに」60代女性の来店 主任はピンときた
SNSなどを通して外国人との恋愛だと信じ込ませてお金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」の被害を未然に防いだとして、熊本中央署は11日、ゆうちょ銀行熊本支店(熊本市中央区)に感謝状を贈った。 熊本中央署と同支店によると、3月29日午後2時ごろ、1人で来店した熊本市の60代女性が「フィアンセに送金したい」と言い、窓口で現金約100万円の送金を申し出た。対応した同支店主任(当時)の高松奈津代さん(55)が不審に思い、窓口責任者に相談。責任者らが女性を説得し、同署に通報した。 女性が相手とやりとりしたメールには不自然な日本語が並び、カタカナで書かれた外国の名前と口座番号があった。それでも女性はだまされているとは思ってもいない様子だったが、窓口責任者から、国際連合広報センターが注意喚起をしているホームページを見せられ、納得したという。 同署によると、女性はフェイスブックで相手とやりとりを始めたといい、「イエメンで国連の医師として仕事をしている」「帰国の資金がほしい」といったメッセージが送られていた。 高松さんは「『フィアンセ』と聞いてピンときた」と振り返った。熊本中央署によると、国際ロマンス詐欺では被害者に恋愛感情を錯覚させるため「フィアンセ」という言葉を使うことが多く、高松さんもそれを認識していた。「国連」の関係者などを名乗ることも、被害者の信用を得るために多く使われる手口だという。 支店長の田島晋一さん(59… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:175文字/全文:791文字 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル