会員記事 三島あずさ、伊木緑、藤野隆晃2021年6月23日 21時56分 【動画】最高裁の合憲判断を受け、報道陣の取材に応じる弁護士と申立人=関田航撮影 夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」とした23日の最高裁決定。同姓にするか、別姓にするか、選べるようにしてほしいと求めてきた若者たちの間には、落胆や怒りの声が広がった。 「次世代へのメッセージ」と期待したが 「日本は私たち若者が選びたい人生を選べる国なのか、そうではないのか。今回の決定は次世代へのメッセージでもあると思っていただけに、とても残念。でも『やっぱり』という気持ちもある。裁判官の男女比がいびつすぎるのも問題だと改めて感じました」 30歳未満によるプロジェクト「#男女共同参画ってなんですか」代表の桜井彩乃さん(26)は、取材にそう語った。最高裁決定が報じられると、共に活動する仲間たちの間ではSNSで「絶望した」「人権問題なのに、なぜ」との言葉が飛び交ったという。 桜井さんらは政府の第5次男… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1594文字/全文:1957文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夫婦同姓の規定は「合憲」 最高裁大法廷、6年前と同様
【動画】最高裁の合憲判断を受け、報道陣の取材に応じる弁護士と申立人=関田航撮影 夫婦別々の姓(名字)での婚姻は認められない――。最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日の家事審判の決定で、夫婦同姓を定めた民法などの規定は憲法24条の「婚姻の自由」に違反しないと判断した。2015年に初めて「合憲」とした大法廷判決を踏襲して、「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」と指摘した。 裁判官15人のうち11人の合憲判断。「違憲」としたのは4人で、15年判決の5人から減った。法相の諮問機関「法制審議会」は1996年に選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を答申したが、自民党を中心に「家族の一体感が失われる」との反論が上がり、法改正は見送られている。 家事審判を申し立てたのは、18年に別々の姓で婚姻届を役所に出して不受理とされた東京都内の3組の事実婚カップル。夫婦同姓を求める規定は「法の下(もと)の平等」を保障する憲法14条と「婚姻の自由」を定めた24条に反すると訴えた。 大法廷は今回の決定で、民法750条と婚姻届の手続きを定めた戸籍法74条は、15年判決の趣旨に照らして合憲であるのは明らかだと指摘した。前回判決から女性の就業率や選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人が増えたという事情をふまえても、「(15年の)判断を変えるべきとは認められない」とした。 また、夫婦の姓についてどのような制度をとるべきかという立法政策と現行法が憲法に適合するかという問題は「次元を異にする」としたうえで、「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」と結論づけた。申立人は憲法14条に反する「信条による差別」も訴えたが、実質判断はしなかった。 一方、違憲とした4人のうち、弁護士出身の宮崎裕子裁判官と学者出身の宇賀克也裁判官は「婚姻は国家が提供するサービスではなく、両当事者の終生的共同生活を目的とする人間の営み」と言及。同じ姓の婚姻届を出させて初めて法律婚を認める現在の仕組みは「婚姻を希望する者に夫婦同氏(姓)を強制している」と指摘し、憲法24条に反しているとした。 一、二審は、夫婦同姓には「家族の一員と対外的に知らせる」「家族と実感できる」という合理性があるとした15年判決を引用。「民法の規定は夫婦になろうとする人に一律の扱いを定めたもので、信条にもとづく差別はしていない」として訴えを退けていた。(阿部峻介) ボールは再び政治に 夫婦別姓をめぐる2度目の憲法判断で、ボールは再び政治にかえされた。6年前の最高裁判決は、「国会で論じ、判断されるべき事柄」と国会に「宿題」を出したが、市民団体や経済界が選択的夫婦別姓の実現に向け動いていたにもかかわらず、政治の怠慢で空白が続いた。 特に政権与党の自民党の責任が大きい。安倍晋三前首相が夫婦別姓に反対していたから、忖度(そんたく)して鳴りを潜めていた。安倍氏の退陣で初めて議論が動き出し、別姓賛成派による議員連盟も出来た。 賛成派には今回の決定で違憲… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
別姓訴訟、及び腰の最高裁 理由説かず…判事は男性中心
【動画】最高裁の合憲判断を受け、報道陣の取材に応じる弁護士と申立人=関田航撮影 夫婦別姓を認めないのは合憲か違憲か。5年半ぶりの最高裁の回答は再び合憲で、「国会マターだ」と積極的に関与しない姿勢も変わらなかった。ボールを受け取った政治側だが、自民党では賛否が割れる。司法と政治のはざまで当事者らが置き去りにされた状況が続く。 「決まり文句」使い前回判決を踏襲 2015年の大法廷判決の「趣旨に徴(ちょう)(照ら)して明らか」――。23日に示された最高裁決定の多数意見は、判例を踏襲して説明を終えるときの「決まり文句」を使って、夫婦同姓は合憲との結論を導いた。 その分量はA4で2ページ。10ページだった15年判決の5分の1しかない。夫婦別姓について「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」という締めくくりに使った言い回しも、まったく同じだった。 子どもを含めた家族の姓を同じにすることは対外的に「家族」と認識させる合理性があり、違憲と判断できるのは国会が制度設計を著しく怠ったときだ――。15年判決は、こうした判断の枠組みを詳しく示した。だが今回の決定は、判断理由の詳細を自ら説かず、多数意見に賛成した3人の裁判官による「補足意見」に委ねる形をとった。 今回の新たな論点の一つとなった戸籍法の規定についても、詳しく触れたのは補足意見の中だった。 弁護団は、民法だけが審査対象になった15年判決で「違憲」とした少数意見をふまえ、戸籍法により婚姻届の提出が婚姻の「絶対条件」となっていると新たに訴えた。この点について、補足意見は戸籍の仕組みは婚姻を選んだ人への「間接的な制約」であって、意に沿わない人にまで制約を課していないと言及した。 合憲から判断を変えうる「社会の変化」についても、補足意見が分析した。 前回の判決から決定が出るまで5年半たったが、実際の審査対象期間は、婚姻届が不受理となった18年2~3月までの2年余りと説明。この間に女性の就業率が48%から数ポイント上がったことや、17年の世論調査で選択的夫婦別姓を「導入してよい」とする意見(42・5%)が「必要ない」(29・3%)を初めて上回ったことなどをふまえても、まだ結論を変えるには至らないとした。(阿部峻介) 「違憲」選択した裁判官の反対意見 「いつ誰と結婚するかは、単に婚姻という法制度を利用するかどうかの選択ではない。その後の人生を共にする伴侶に関する選択であり、個人の幸福追求について自ら行う最も重要な意思決定の一つだ」 夫婦同姓の規定を11人の判事が合憲とした23日の最高裁大法廷の決定で、違憲と判断したのは4人の裁判官。検察官出身として初めて違憲を選択した三浦守裁判官はこう述べたうえで、合憲とした意見への反論を重ねていった。 まず、同姓規定は、夫婦で姓… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夫婦同姓は「合憲」 最高裁の決定要旨、反対意見も紹介
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」と判断した23日の最高裁大法廷決定の要旨は次の通り。 夫婦同姓を定めた民法750条の規定と、婚姻届に「夫婦が称する氏」を記載すると定めた戸籍法74条1号の規定は、憲法24条に違反しない。民法750条の規定を「合憲」とした2015年の最高裁大法廷判決の趣旨からも明らかだ。 15年の大法廷判決以降、女性の就業率の上昇や管理職に占める女性割合の増加など社会の変化や、いわゆる選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人の割合が増えるなど、国民の意識の変化があった。これらの諸事情を踏まえても、大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。 なお、夫婦の姓についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題は、夫婦同姓を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効かどうかという憲法適合性の審査の問題とは次元が異なる。この種の制度のあり方は、国会で議論し、判断すべき事柄だ。 深山卓也、岡村和美、長嶺安政裁判官の補足意見 憲法24条1項は、婚姻を当事者間の自由で平等な意思決定に委ねている。当事者が姓を改めたくないと考え、夫婦同姓が意に反するとして婚姻しないことを選ぶことがあるとしても、夫婦同姓の規定が憲法24条1項に違反するとはいえない。 現行の夫婦同姓のもとでは、長期間使用してきた姓を改めることで、アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会生活上の不利益を被ったりするため、婚姻を事実上断念する人がいる。このような実情を踏まえ、現行制度が、当事者の一方に姓を改めるか婚姻を断念するかの選択を迫るもので姓に関する人格的利益を尊重していないとして、選択的夫婦別姓のほうが合理性があるとの意見があることも理解できる。 しかしながら、婚姻や家族に関する法制度は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における様々な要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての総合的な判断によって定められるべきだ。したがって、夫婦の姓に関する法制度は国会の合理的な立法裁量に委ねられている。 夫婦が同一の姓を称することの意義や、婚姻前の姓を通称として使用することなどを総合的に考慮すると、夫婦同姓の規定が「個人の尊厳と両性の本質的平等」に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超えるものと断ずることは困難だ。 15年の大法廷判決以降、女性の就業率は上昇するとともに共働き世帯の数も増加している。これに伴い、姓を改めることによって職業活動で不利益を被る女性がさらに増加していることがうかがえる。17年に内閣府が実施した世論調査などで、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人の割合が増加しているなど国民の意識の変化がみられる。 一般論として、法制度の合理性に関わる事情の変化によっては、夫婦同姓の規定が、立法裁量の範囲を超えて憲法24条に違反すると評価されることもあり得ると考えられる。 しかし、国民の意識がどのような状況にあるかは、国民を代表する議員で構成される国会で評価、判断されることが原則だ。選択的夫婦別姓制度の導入については、今もなお国民の意識が明確と言える状況にあるとはいえない。 通称使用の拡大によって、夫婦別姓への違和感が減少し、戸籍上同一の姓を称するとされることの意義に疑問を生じさせる側面があることは否定できない。だが、15年の大法廷判決が示すとおり、姓を改める人が受ける不利益を一定程度緩和する側面が大きいものとみられる。 また、全国の地方公共団体の議会から国や関係行政庁に対し、選択的夫婦別姓制度の導入や国会審議の促進を求める意見書が提出されている。16年には、国連の女子差別撤廃委員会から法改正などを勧告されている。こういった事情を考慮しても、15年の大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。 本来、法制度の合理性に関わる国民の意識の変化や社会の変化などは、立法機関である国会が不断に目を配り、対応すべきだ。選択的夫婦別姓制度導入に関する議論の高まりについても、まずは国会で受け止めるべきだ。15年の大法廷判決の判断は、国会で立法政策に関して検討し、結論を出すことを何ら妨げるものではない。 選択的夫婦別姓制度の採否など夫婦の姓に関する法制度については、子の姓や戸籍の制度を含め、国民的議論、すなわち民主主義的なプロセスに委ねることで、合理的な仕組みのあり方を幅広く検討して決めるようにすることこそ、ふさわしい解決というべきだ。国会で、国民の様々な意見や社会状況の変化などを十分に踏まえた真摯(しんし)な議論がされることを期待する。 三浦守裁判官の意見 法が夫婦別姓の選択肢を設けていないことは、憲法24条の規定に違反する。 問題となるのは、例外を許さない夫婦同姓が婚姻の自由の制約との関係で正当化されるかという合理性だ。時代の推移とともに、婚姻と家族をめぐる状況は大きく変化してきた。晩婚化・非婚化が進んだ上、離婚と再婚も増加し、夫婦と子どものみの世帯の割合が大きく減少し、多様化してきた。日本国民と外国人の婚姻も増え、その間の子も生まれている。婚姻と家族に関する法制度は、長い年月を経て、多様化する現実社会から離れ、例外を許さない根拠を説明することが難しくなっているといわざるを得ない。 同姓による家族の一体感を考慮するにしても、このような実感は、種々の困難を伴う日常生活の中で、相互の信頼とそれぞれの努力の積み重ねによって獲得されるところが大きい。各家族の意思に委ねることがふさわしく、夫婦同姓の例外を許さないことを説明しうるものではない。 長年にわたり、夫婦になろうとする者の間の協議の結果、夫の姓を選択する夫婦が圧倒的多数を占めており、現実に多くの女性が婚姻の際に姓を改めることによる不利益を受けている。 女性の就業率の上昇とともに、いわゆる共働きの世帯が著しく増加しただけでなく、様々な分野で継続的に社会とかかわる活動をする女性も大きく増加し、婚姻前の姓を維持する利益の重要性は一層切実なものとなっている。 性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現することは、緊要な課題である。社会における制度や慣行が、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立的なものとすることが求められる。 国際的な動向をみると、我が国も批准した女子差別撤廃条約は、姓を選択する権利を含め女性に対する差別の撤廃を義務づけ、女子差別撤廃委員会は繰り返し、女性が婚姻前の姓を使い続けられるような法改正を勧告している。国際的な規範に関する状況も考慮する必要がある。 夫婦別姓の選択肢を設ける場合は子の姓の取り扱いや戸籍のあり方を定める必要があり、1996年に法制審議会が民法改正案を答申して四半世紀が経過するなか、国会では具体的な検討や議論がほとんど行われなかった。 こうした事情の下、法が夫婦別姓の選択肢を設けず、婚姻の自由を制約している状況は、合理性を欠くと言わざるを得ない。国会がこの選択肢を定める措置をとっていないことは、憲法24条の規定に違反する。 夫婦別姓の選択肢を設けるには、戸籍制度を見直す必要がある。こうした措置が講じられていない以上、夫婦が称する姓を記載していない届け出を受理することはできないから、申し立てを却下すべきだとした原審の結論は是認できる。 宮崎裕子、宇賀克也裁判官の共同反対意見 夫婦同姓の規定は憲法24条に違反する。決定を破棄し、婚姻届を受理するよう命ずるべきだ。 生来の氏名が失われることのアイデンティティーの喪失を受け入れることができず、生来の姓を使うことを希望する人に夫婦同姓を婚姻成立の要件とすることは、生来の氏名に関する人格的利益が侵害されることを前提に婚姻の意思決定をせよというに等しい。 当事者の意思に反して夫婦同姓を受け入れることに同意しない限り、婚姻が法的に認められないというのでは、婚姻の意思決定が自由で平等なものとは到底いえない。憲法24条1項の趣旨に反する。 なお、夫婦になろうとする者の対等な協議によって姓を選ぶことはこの結論に影響しない。なぜなら、夫婦同姓が婚姻成立の要件であることを所与として認める条件つきの協議でしかなく、双方が生来の姓を選ぶ選択肢は最初からないのだから、自由かつ平等な意思決定とは言えない。 日本は80年に女子差別撤廃条約を締結し、85年に国会で批准された。条約は「姓を選択する権利」を明記し、締約国に夫と妻が個人的権利を確保するための適当な措置をとる義務を定めている。女子差別撤廃委員会により16年、この義務の履行を要請する3度目の正式勧告がされたことは、両性の本質的平等という憲法24条2項の理念にも反していたことを映し出す鏡でもあったといえる。 正式勧告以降も何ら法改正がされなかった事実に照らすと、夫婦同姓が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超えるものであることを基礎づける有力な根拠の一つとなり、憲法24条2項違反とする理由の一つとなると考えられる。 夫婦同姓に加えて別姓も認める法制度は世界中に多数存在するはずであり、96年には法制審議会の検討も終えて、夫婦同姓の改正の方向を示す法律案要綱も答申されたことを勘案すると、国会が夫婦別姓を希望する人の婚姻を認める法改正をするにあたり、子の姓の決定方法を含めて法改正を速やかに実施することが不可能であるとは考え難い。全ての国民が婚姻について自由かつ平等な意思決定をすることができるようにし、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した法律の規定とすべく、各規定を改正し、別姓を希望する夫婦についても、子の利益を確保するため、関連規定の改正を速やかに行うことが求められよう。 草野耕一裁判官の反対意見 夫婦同姓規定が立法裁量の範囲を超えるほど合理性を欠くかを判断するには、現行制度に代わり最も有力とされる選択的夫婦別姓制度の導入により、国民の福利が向上するか減少するかを比較するのが有用だ。 人生で慣れ親しんだ姓に強い愛着を抱く人は多く、そうした人たちにとって、婚姻のためでも姓の変更を強制されるのは福利の減少だ。さらに、姓の継続的使用を阻まれるのは社会生活を営む上で福利の減少をもたらすのは明白で、共働きや晩婚化が進む今日、一層深刻な問題だ。この点を払拭(ふっしょく)しうる点で、選択的夫婦別姓は確実かつ顕著に国民の福利を向上させる。 問題となるのは、別姓を選択する夫婦の間に生まれた子の福利だ。だが、減少する福利の多くは、同姓が社会標準となっていることを前提とするものだ。導入後、多くの別姓夫婦が輩出されれば、影響はかなりの程度で減少する。 当事者以外で福利が減少しうる人が存在するとすれば、夫婦同姓を我が国の「麗しき慣習」として残したいと感じている人々かもしれない。しかし、制度を導入しても伝統が廃れるとは限らない。多くの人が麗しき慣習と考えるなら、今後も存続する可能性が高い。人々が残したいと考える伝統的文化が今後どうなるかは、最終的には社会のダイナミズムがもたらす帰結に委ねられるべきだ。導入した結果、夫婦同姓が廃れる可能性が絶対にないとはいえないが、現実になった際、一部の人々に精神的福利の減少が生じる可能性があるからといって、結婚する当事者の福利の実現を阻むに値する理由と見ることができない。 以上によれば、導入で向上する福利が、減少する福利よりもはるかに大きいのは明白だ。制度を導入しないことは、あまりにも個人の尊厳をないがしろにするもので、立法裁量の範囲を超えるほどに合理性を欠いており、憲法24条に違反すると断ずるほかない。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
クローゼットに閉じ込められた2歳児死亡 容疑の母逮捕
会員記事 平岡春人、佐野楓、芳垣文子2021年6月23日 23時00分 自宅のクローゼット内に長男(2)を閉じ込めたとして、札幌市北区の母親(20)が22日、監禁容疑で逮捕された。長男は23日、病院で亡くなった。札幌市は支援が必要な家族と判断し、母親と面談もしていた。2年前の池田詩梨(ことり)ちゃん(当時2)が衰弱死したとされる事件を教訓に、母子を守る対策が進む。それでも、小さな命を守る難しさが改めて突きつけられた。 札幌北署によると、逮捕されたのは札幌市北区北38条西2丁目、無職の松原愛華(まなか)容疑者。逮捕容疑は、22日午後、長男の莉蒼(れいあ)ちゃんを備え付けのクローゼット内に閉じ込めたというもの。愛華容疑者は「言うことを聞かなかったので、30分ほど閉じ込めた」と供述しているという。 22日午後に愛華容疑者と電話で話した母親が、会話の内容から莉蒼ちゃんが閉じ込められているのに気づき、119番通報。救急隊が駆けつけたところ、莉蒼ちゃんは心肺停止の状態だったという。 「夜に子どもの鳴き声」 司法解剖の結果、心停止から蘇生したあと、酸素が足りなくなって脳症になったことが死因とわかった。目立った外傷はなく、署は死亡の経緯を調べている。 現場は地下鉄南北線・麻生駅… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1089文字/全文:1598文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウガンダ選手新たに感染 成田から移動、当初から疑問も
西江拓矢2021年6月24日 0時28分 東京五輪に出場するウガンダの選手団9人の中の1人が成田空港で新型コロナウイルスの陽性と判明し、残る8人が大阪府泉佐野市へ移動した後に濃厚接触者と特定された問題で、このうち20代の選手1人がPCR検査で陽性と判明した。市が23日、発表した。 市によると、この選手から22日に採取した検体のPCR検査で、陽性と判明したという。 これを受け、大阪府の泉佐野保健所はこの選手の濃厚接触者がいないかどうか、新たに調査している。市は、成田まで迎えに行った職員を自宅待機させた。 選手団8人は濃厚接触者にあたるかどうか調査を受けないまま、成田から貸し切りバスで泉佐野市に移動。同市に到着後、練習を自粛し、ホテルの個室で待機している。8人全員と、ウガンダから同行してきた市職員の計9人が22日に濃厚接触者と特定され、7月3日まで健康観察の期間となっている。毎日実施するPCR検査では、市職員がキットを選手らに渡し、検体を回収している。 8人が濃厚接触者にあたるか調査を受けないまま泉佐野市に移動した問題では、地元の首長らから疑問の声が出ていた。大阪府の吉村洋文知事は22日、「本来、成田にとどめ置くのが筋ではないか」と指摘。泉佐野市の千代松大耕市長も同日、「早い段階で濃厚接触者の判断をすることが必要ではないか」と語っていた。(西江拓矢) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「違憲」信じ、夫婦で書いた婚姻届 「あと何年かかる」
【動画】最高裁の合憲判断を受け、報道陣の取材に応じる弁護士と申立人=関田航撮影 結婚しても別姓を選べる社会を求めた人たちの声は、またも届かなかった。夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」とした23日の最高裁大法廷決定に、失望が広がった。 「すごく期待して、婚姻届を書いてきたのに……」 今回、夫婦別姓での婚姻届の受理を申し立てた東京都の40代女性は、最高裁の決定書を受け取った後の会見に、婚姻届を持って臨んだ。違憲判断が出れば役所に提出しようと夫と相談して準備し、婚姻後の名字の欄には「夫」「妻」の両方にチェックを入れた。 互いを尊重し、それぞれの姓を名乗りたいと事実婚を選んだが、結果は2015年の最高裁判決と変わらなかった。女性は「裁判所は個人の権利に真摯(しんし)に向き合わない」と声を詰まらせた。 夫婦には小学生の子どもがいる。会見に同席した夫は「子どもたちに選択肢を作るのが私たちの役割。裁判で時代を変えられると思ったが、あと何年かかるのだろうか」と憤った。 もう1組の申立人の40代夫婦は昨年、新型コロナウイルスに対応する緊急事態宣言が出た際、やむなく同姓での婚姻届を用意した。もし感染して重篤な症状になっても、医療行為に対する家族の同意書が事実婚では有効とされない不安があった。そんな心配をしなくていい結果を期待したが、かなわなかった。妻は「いろんな家族の形を認めてほしい」と訴えた。 弁護団は、女性の就業率の上昇、夫婦別姓を容認する人が増えたことを示す様々な世論調査などを、何度も書面で最高裁に提出。「社会や国民意識の変化、国際社会における日本の異様さをしっかり把握してほしい」と求めてきた。1980年代半ばから活動に関わる榊原富士子・弁護団長は「世論は変わっているのに残念だ。国会が動くと信じている」と話した。 同種の訴えは全国的に広がっている。ソフトウェア会社「サイボウズ」の青野慶久社長が原告となった訴訟も、一、二審で敗訴して最高裁に係属中だ。妻の名字に変えた青野社長は仕事では旧姓の「青野」を使うが、「旧姓の通称使用は余計なコストがかかり、生産性を下げる」と語った。一方で「裁判があるたびに世論が動くことに意味がある」と強調した。 「結論を出すことを押し付け合う司法と立法」 市民団体「選択的夫婦別姓・… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
戦争末期の特攻機か 種子島沖で旧日本軍機引き揚げ
具志堅直2021年6月23日 23時51分 太平洋戦争時の旧日本軍機が沈む種子島沖(鹿児島県西之表市)で遺骨収集に向けた作業を進めていた厚生労働省などは23日、海底から機体の一部を引き揚げた。遺骨や遺留品はまだ確認されていない。海に沈んだ旧日本軍機の引き揚げを伴う収集作業は初めてという。 機体が沈んでいたのは、島北端の喜志鹿崎(きしがさき)から約300メートル沖合で、水深は約20メートル。潮の流れが速い海域で、年間で最も流れが穏やかなこの時期を選び、15日から確認調査と遺骨収集の準備を進めていた。 23日は潜水士らが機体の胴体部分にロープを巻き、クレーンでつり上げを試みたが、機体が腐食しており難航した。操縦席前方のエンジン部やタイヤなど、全体の6割程度を引き揚げた。台船に移し、今後、遺骨や遺留品がないか調べる。 厚労省から作業を委託された日本戦没者遺骨収集推進協会などによると、機体は旧海軍の「九七式艦上攻撃機」(九七艦攻)とみられる。両主翼の半分が失われて裏返しになり、全体が砂で覆われた状態で沈んでいた。残存していた機体は長さ8・8メートル、幅7・3メートル。操縦席の砂は手作業で除去された。 地元漁師らの証言をもとに機体を2015年に発見したのは、市内でダイビング店を営む林哲朗さん(74)。「遺骨が見つかったら、一刻も早く遺族に返したい」との思いで調査に協力してきた。調査団は24日も調査を続ける方針。 同協会の名雪文明・調査団長は報道陣に「引き揚げられた機体を見て、(操縦士は)つらい思いをされたんだろうなと思った。遺骨収集を最後までやり遂げたい」と話した。 九七艦攻は戦争末期に特攻などに使われ、当時の串良海軍航空基地(鹿児島県鹿屋市)から沖縄方面に出撃したといわれる。(具志堅直) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
濃厚接触のウガンダ選手が感染 成田から泉佐野市へ移動
西江拓矢2021年6月24日 0時28分 東京五輪に出場するウガンダの選手団9人の中の1人が成田空港で新型コロナウイルスの陽性と判明し、残る8人が大阪府泉佐野市へ移動した後に濃厚接触者と特定された問題で、このうち20代の選手1人がPCR検査で陽性と判明した。市が23日、発表した。 市によると、この選手から22日に採取した検体のPCR検査で、陽性と判明したという。 これを受け、大阪府の泉佐野保健所はこの選手の濃厚接触者がいないかどうか、新たに調査している。市は、成田まで迎えに行った職員を自宅待機させた。 選手団8人は濃厚接触者にあたるかどうか調査を受けないまま、成田から貸し切りバスで泉佐野市に移動。同市に到着後、練習を自粛し、ホテルの個室で待機している。8人全員と、ウガンダから同行してきた市職員の計9人が22日に濃厚接触者と特定され、7月3日まで健康観察の期間となっている。毎日実施するPCR検査では、市職員がキットを選手らに渡し、検体を回収している。 8人が濃厚接触者にあたるか調査を受けないまま泉佐野市に移動した問題では、地元の首長らから疑問の声が出ていた。大阪府の吉村洋文知事は22日、「本来、成田にとどめ置くのが筋ではないか」と指摘。泉佐野市の千代松大耕市長も同日、「早い段階で濃厚接触者の判断をすることが必要ではないか」と語っていた。(西江拓矢) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
都庁前で五輪反対デモ 道の向かいで賛成派が訴えたのは
2021年6月23日 20時58分 東京都新宿区の都庁前で23日夕、東京五輪・パラリンピックの中止を求めるデモがあった。 五輪の開幕まで1カ月に合わせ、反対運動を続けてきた複数の市民団体が呼びかけた。100人を超える人たちが「利権まみれの五輪は中止」「その資金をコロナ対策に」などと書かれたプレートを掲げ、「生活を破壊する五輪を終わらせろ」などを訴えた。 「オリンピック災害おことわり連絡会」によると、韓国やパリ、ロサンゼルスでも同様のデモが行われる予定だという。 一方、付近では五輪開催を訴える別の団体が「そんなに集まれるんだったら五輪、できるんじゃないですか」「五輪賛成」などと訴えていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル