笹川翔平2021年6月28日 21時00分 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の出展作品を集めた大阪市内での展覧会をめぐり、会場側が利用承認を取り消した問題で、実行委員会は週内に大阪地裁に処分の取り消しを求めて提訴し、同時に処分の執行停止を申し立てる方針を決めた。予定通り7月16~18日の開催を目指すという。 展覧会「表現の不自由展かんさい」は大阪府の施設「エル・おおさか」(大阪市中央区)を会場とする予定だが、施設の指定管理者が25日、抗議の電話やメールが相次いでいることなどを理由に承認を取り消した。実行委は28日に協議し、「脅迫などの現実の脅威はない」として、提訴する方針を決めた。実行委は市民有志でつくり、展覧会への公金支出はない。 吉村洋文知事は26日、記者団の取材に対し、指定管理者の決定に「賛成する」として「法的措置が取られれば徹底的に対応する」と語った。実行委の一人は「抗議活動を理由にした取り消しを容認すれば、表現の自由を脅かすことにつながる」と反論している。 19年の「表現の不自由展」では、慰安婦を表現した「平和の少女像」や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品「遠近を抱えて」などに抗議が殺到した。「表現の不自由展かんさい」でもこれらの作品の展示を予定している。 東京都内でも6月25日から同様の展覧会が予定されていたが、会場となるギャラリーの辞退が相次ぎ、実行委が延期を決めた。当初予定されていた新宿区のギャラリーでは、開催の告知直後から大声で中止を求める抗議活動が周辺で相次いだほか、別に確保した会場も「近隣に迷惑がかかる」として提供を取りやめた。 一方、7月6~11日に予定されている名古屋市での展覧会では、市所管の会場の隣の展示室を「反移民」などを掲げる政治団体の関係者らが予約。ヘイトスピーチ(差別扇動表現)への抗議を続けてきた市民団体が、市に使用許可の取り消しを求める要望書を提出する事態になっている。(笹川翔平) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
市長室の家具購入に1千万円 市川市、シャワー室に続き
大嶋辰男2021年6月28日 21時08分 千葉県市川市の市長室の家具の購入費用が約1千万円だったことが28日、わかった。市議会の一般質問で取り上げられ、市幹部は「すべて国内メーカーで調達されており、市民の理解を得られると思っている」と答えた。この質問に村越祐民市長は答弁しなかった。 大久保貴之市議(創生市川)が情報公開請求で得た開示資料(税抜き)によると、執務机約157万円▽執務用イス約23万円▽応接ソファ約302万円▽会議テーブル約344万円▽イス8脚計約67万円――などとなり、合計約1058万円だった。いずれも、村越市長在任中の昨夏の新庁舎完成に合わせて購入されたという。 大久保市議は市議会で「このような高額な支出は市民の理解が得られるのか」と村越市長に質問。市長は答弁せず、田中雅之財政部次長が答えた。 大久保市議は一般質問後、朝日新聞の取材に「理解を得られるはずがない。市長自ら説明するべきだ」と話した。 シャワー室問題、市長給与の減額案は否決 市川市では、市長室に約360万円かけて設置されたシャワー室も問題になっている。 市議会では、シャワー室の設置・撤去の費用分を市長に負担させるため、市長の半年分の給与を4割減額(約395万円)する条例案が出されていたが、同日、「市長の責任追及手段としては議会の権限を越えている」との理由で賛成少数で否決された。市長は6月の会見で「災害時に女性職員と市長が使う」と述べ、撤去しない考えを表明しており、市議会は改めて市長の説明とシャワー室の撤去を求める決議を賛成多数で可決した。(大嶋辰男) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
機内で怒鳴る行為も 旭川医大問題「社会人として疑問」
会員記事 井上潜、斎藤徹、本田大次郎2021年6月28日 22時11分 旭川医科大学(北海道旭川市)の学長選考会議(議長・西川祐司同大教授)は28日、記者会見を開き、不祥事が相次いだ吉田晃敏学長の解任を萩生田光一文部科学相に申し出た理由を説明した。新型コロナウイルス患者の受け入れに関する不適切発言や職員に対するパワーハラスメント、執務時間中の飲酒、不正支出など計34件も問題行為が確認されたとし、「学長以前に社会人としての適性に疑問を持たざるを得ない」と厳しく指摘した。(井上潜、斎藤徹、本田大次郎) 会見には西川議長と川辺淳一議長代行(旭川医大教授)、佐々木順三事務局長らが出席。西川議長によると、外部の弁護士3人からなる第三者委員会が3月28日に調査を開始。5月28日に調査結果の報告を受けた。選考会議で審議した結果、教職員(5人)に対するパワーハラスメント9件▽大学の信用を害する行為6件▽不正支出9件▽その他の問題行為10件――の計34件の非違行為を認定したという。 付属病院の古川博之前院長の解任については、「解任決議をするよう、吉田学長が学内の理事に圧力をかけていた可能性がある」とした。西川議長は「絶対に解任する、と(吉田学長が)理事や事務局にそのような発言をしていた。音声記録もある」と説明した。 教職員へのパワハラについては、「人事権を背景に叱責(しっせき)の域を明らかに超えて辞職や辞任を迫ったり、解雇や解任を示唆したりした」と指摘。市内の民間病院からのコロナ患者の受け入れ許可を求めた古川前院長に対する「代わりにお前が辞めろ」との発言も、パワハラと認めた。 第三者委が指摘した、契約切れの学長特別補佐に対する報酬の支払いについても「不正支出」と認定。不正な支出は2020年7月~21年1月の7カ月分で、計693万円に上るという。佐々木事務局長は「大学としてしっかり調査し、今後の対応を検討する」と述べた。ほかに会議費に関する虚偽記載(7万6830円)もあったという。 このほか、旅客機内で乗務員を長時間怒鳴り続けた行為も確認されたとし、「公的空間における秩序や規律を理不尽に破るものであって、社会的に決して許容されるものではない」と批判。学長室での執務時間中の飲酒、学内の重要な行事への欠席や遅刻、不適切な言動も「明らかになっている」とし、「学長以前に社会人としての適性に疑問を持たざるを得ない」と指摘した。 選考会議、学長評価の過去も 吉田学長の問題行為を厳しく… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:762文字/全文:1778文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「記者、スマホで録音していた」逮捕した旭川医大が説明
本田大次郎2021年6月28日 22時12分 旭川医科大学(北海道旭川市)で学長解任を議論する会議が開かれた際、校舎内に許可なく入ったとして、北海道新聞社の記者(22)が建造物侵入容疑で大学関係者に現行犯逮捕された事件について、旭川医大は28日、記者がスマートフォンで会議内容を録音したと説明した。この日、学長選考会議が吉田晃敏学長の解任申し出について説明した会見で明らかにした。 記者は22日午後に大学関係者に逮捕され、道警旭川東署に引き渡された。署によると、関係者以外立ち入り禁止の看護棟4階に入っていたという。22日の学長選考会議では、吉田学長の解任を文科相に申し出ることが決まっていた。記者は24日に釈放され、署は在宅で捜査を続けている。 28日の会見での旭川医大の説明によると、選考会議があった会議室から職員が出ようとした際、記者が両開きの扉の隙間からスマホで録音していたという。職員が記者を問いただしたところ、「いなくなります」と話し、身分を明かさず立ち去ろうとしたため、学外者が無許可で侵入しているとして逮捕し、警察に通報したという。 旭川医大の佐々木順三事務局長は「『学生ですか』という問いに対しては否定し、『上司に確認しなければいけない』との発言もあった。身分を一切明かさなかったので、関係者ではないと判断した」と説明した。 北海道新聞社は旭川医大の説明について、「現在、社内で逮捕に至る経緯を調べており、現時点ではコメントできない。調査結果は改めて読者に説明する」(法務広報グループ)とコメントした。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学長解任を申し出た旭川医大 選考会議会見の詳細は
旭川医科大学(北海道旭川市)の学長選考会議の西川祐司議長らが28日会見し、吉田晃敏学長の解任を文部科学相に申し出た理由を説明した。34件もの問題行為を明らかにし、「学長以前に社会人として適性に疑問」と指摘した。明らかにされた問題行為や会見でのやり取りは次の通り。 吉田学長の解任申し出をめぐる旭川医大学長選考会議の西川議長の記者会見での主なやりとり。 ――14年間に及ぶ吉田学長の長期政権の影響は。 「学長の問題行動は3年間で急激に増えてきた。14年という異例の在任期間がガバナンスの崩壊に至ったという認識はある。任期は一定の制限を設けるべきだと私は思う。今後は任期を設けていく方向で議論が進むのではないかと思う」 ――学長選考会議の責任も重いのでは。 「前回の選考会議で私は学長補佐の立場だった。おかしいと思うことはあったが、声を上げることができなかった。選考会議のメンバーは吉田学長が指名していた。会議として機能していなかったのは私たちも反省しないといけない。ただ、学長の独裁的運営で口を出せなかったというのが正直な思いだ」 ――声を上げられなかった理由は。 「学長に異を唱えれば翌週には執行部から解任されるということで、会議で誰も意見を出さないのが当たり前になっていった。誰も勇気がなかった。言い訳がましいが、ものを言えない体制ではだめなんだということが身にしみてわかった」 ――吉田学長側は選考会議の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1475文字/全文:2088文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
阪急神戸線で人身事故、一時運転見合わせ
2021年6月28日 23時15分 【阪急電鉄発表】28日午後8時45分ごろ、神戸線塚口―園田駅間で人身事故が発生した。神戸線は大阪梅田―西宮北口駅間の上下線で運転を見合わせていたが、29日午前0時前に運転を再開した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
授業時間の最大1割、学校裁量で配分 小中の特例校で
文部科学省は、小中学校の各教科の授業時間の配分について、学校の裁量で変えられる新制度を来年度から導入する。文科相が認めた特例校には、国が各教科で定める最低限の授業時間のうち最大1割を減らし、別の教科に上乗せすることを認める。国語や算数など大半の教科が対象で、上乗せした授業時間は、課題を調べて考える探究学習などの充実にあててもらう。 小中学校の授業時間は、義務教育の質や機会を確保するため、国が教科や学年ごとに「標準授業時数」を定め、各校が子どもや地域の実情に応じて決めている。ICT(情報通信技術)の活用や探究的な学習が進むなか、学校の授業編成の裁量を拡大し、弾力的に運用できる制度の導入を中央教育審議会(文科相の諮問機関)が求めていた。 新制度では、文科相が「特別の教育課程」の編成を認めた特例校は、各教科の標準授業時数を最大1割減らすことが可能となり、その分を別の教科に上乗せすることができる。上乗せして充実させる学習内容の例として、学習指導要領が求める言語能力や情報活用能力などの育成、伝統文化教育、主権者教育、消費者教育などを挙げた。教科を横断した力や探究的な学習活動の充実を図る狙いがある。高校・中学入試を目的とした教科への上乗せは想定していない。 対象教科は、国語、社会、算… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:257文字/全文:805文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
外国人イラストに「差別」と批判 三重県がHPから削除
黄澈2021年6月28日 22時00分 三重県のホームページ(HP)に掲載された「外国人の不法就労・不法滞在の防止について」のお知らせで使ったイラストに対し、SNSで「差別的」などの批判が相次ぎ、県がこのイラストを削除したことが28日、分かった。 お知らせは、県警本部生活環境課が作成し、今月1日、県のHPにアップした。不法滞在の外国人の多くが「不法就労しているものと思われる」と指摘し、地域住民に警察への情報提供を求めるなどの内容で、イラストには「在留資格 調理師」のカードを手にした男性が、資格外の工事現場で働く人の姿で笑う様子などが描かれていた。 これに対し、ツイッターなどでは「排他主義的な悪意が見える」「外国人への偏見をあおる」などの批判が相次いだ。HPを管理する県の職員がこれに気づき、26日朝に急きょ削除を決めたという。 県警本部の担当者は「他県の警察関係者が作成したイラストを使用した。差別助長の意図はなかった」と説明。HPを管理する県広聴広報課の担当者は「県警から原稿を預かった際に、人権上問題があるのではとの意見も一部にあったが、不法滞在の事案があるのも事実で、そのまま掲載した」と話した。 社会問題を巡る外国人の描写では、NHKの国際情報番組が公式ツイッターで投稿した米国の人種差別抗議デモについてのアニメ動画が、黒人を粗野な様子で描き、「差別的」との批判を浴びた事例などがある。 ヘイトスピーチ問題に詳しい宮下萌弁護士(東京弁護士会)は「マイノリティーは犯罪に加担する危険な存在とのイメージを植え付ける典型的なヘイト事例。本来、ヘイトの解消に当たるべき公的機関による行為だけに、問題はより深刻だ」と指摘している。(黄澈) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
この景色、また会えた 熊本城天守閣の内部公開始まる
堀越理菜2021年6月28日 22時01分 2016年の熊本地震で瓦や石垣が崩れるなどし、今春に復旧工事を終えた熊本城の天守閣で28日、内部の公開が始まった。当初は4月に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期していた。 城内では多数の建築物が被災。熊本市は「復興のシンボル」として天守閣の早期復旧をめざし、3月末に完了した。耐震補強を施し、エレベーターを新設。一新された展示では地震の被害も伝えている。 新型コロナ感染防止対策で当面、同時に入館できる人数を650人に限定する。熊本市内の女性(35)は「小さい頃から見てきた熊本城はなくてはならないもので、被災したときはショックだった。やっとこの景色が見られた」と話し、天守閣からの眺めを楽しんでいた。 大西一史市長は内部公開を発表した25日の会見で、「熊本地震からの復興を実感していただくよい機会。復興のシンボルでもあり、皆さんの心の支えになるものでもある。厳しい状況の中でも前向きになってもらえる公開にしていきたい」と話した。(堀越理菜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パワハラ・不正支出など34件 旭川医大学長めぐり確認
国立の旭川医科大学(北海道旭川市)で、吉田晃敏学長の解任を学長選考会議(議長=西川祐司・同大教授)が萩生田光一文部科学相に申し出た問題で、選考会議は28日、解任を申し出た具体的な理由を明らかにした。主な理由として、①新型コロナウイルス患者受け入れに関する不適切な言動②職員へのパワーハラスメントなど不適切な言動③執務時間中の飲酒など不適切な言動④公共の場での不適切な行為⑤業務委託費の不正支出、を挙げた。 パワハラは9件、不正支出は9件・金額ベースで693万円が確認され、ほかの信用を害する行為などを合わせ、問題行為はのべ34件が確認されたという。 吉田学長は今月17日に突然、文科相に辞表を提出。選考会議の議論について、代理人を通じたコメントで「解任という結論ありきで拙速だ」と批判していた。選考会議は学長の弁明や提出資料もふまえて事実認定をする予定だったが、学長は事情聴取が予定された18日の選考会議に出席しなかった。 選考会議は、多数の問題が学… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1379文字/全文:1808文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル