精悍(せいかん)な姿で愛される柴犬。今いるすべての柴犬の「祖」と言われる2匹の犬がいます。資料や証言をもとに、記者が島根県と高知県で、その痕跡をたどりました。 拡大する石が飼われていた下山信市氏の家。2019年に石像が建てられた=島根県益田市、太田匡彦撮影 日本海に注ぐ益田川とその支流に沿うように国道191号を走り、中国山地へと入っていく。左手に、長く一帯を支配した益田氏によって築かれた四ツ山城跡が見える頃、山が深くなってきたことに気付く。 萩・石見空港(島根県益田市)からだと車で1時間弱。いくつかトンネルを過ぎた先に、かつて二川村と呼ばれた、古い街並みを残す一角が開けていた。 一帯で人が集まる場所といえば、ふるさと創生資金で掘り当て、1991年に開業した「美都温泉」くらい。そんな山間の地が最近になって「柴犬(しばいぬ)の聖地」として盛り上がっている。地域の自治組織「ぬくもりの里二川」の潮隆人(うしおたかと)会長(71)も「めったにない明るい話題だ」と喜ぶ。 話は昭和初期にさかのぼる。1948(昭和23)年4月、1匹の柴犬が生まれた。雄で、「中(なか)」と名付けられた。第2次世界大戦中の食料難や毛皮としての需要により激減していた戦後の柴犬にとって、「中興の祖」といわれる犬だ。「天然記念物柴犬保存会(柴保)」会長の照井光夫さん(66)は「今いる柴犬の血統の中心。戦後の柴犬発展の原点と言える」と説明する。 さらに10年以上前、中の曽祖父母にあたる犬が誕生している。30年に生まれた雄犬「石(いし)」と、35年に生まれた雌犬「コロ」。実はこの2匹こそ、「現在の柴犬のすべての祖と言える。血統図を見れば明らかです」と「日本犬保存会(日保)」顧問審査員の金指光春(かなさしみつはる)さん(85)は言う。 生家が判明した雄犬「石」 2017年、石の生まれた家がにわかに特定された。もともと日保に残された血統書から、「島根縣(けん)美濃郡二川村字種ケ山」の「下山信市(しもやまのぶいち)」氏が石の繁殖者であることは、日本犬に詳しい一部の人の間ではわかっていた。ところが「地元では全く知られていなかった」(潮さん)。 そんな中、島根県内で地域振興活動などに携わってきた河部真弓さん(63)が、地元出身の柴犬を飼い始めたことを機に石の存在を知り、文献の調査や、県内の日本犬関係者らへの聞き取りを重ねた結果、下山信市氏の子孫と、いまも残る生家が判明したのだ。 その家は、美都温泉のそばで国道191号に交わる県道34号を10分ほど走った場所にあった。県道を折れ、車1台がやっと通れる山道を進むと、わずかに開けた場所に出る。 棚田に水が張られ、初夏の青… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ライチョウの卵確認 中央アルプスで半世紀ぶり自然繁殖
近藤幸夫2021年6月19日 12時12分 中央アルプスでは絶滅したとされてきた国の特別天然記念物・ライチョウの「復活作戦」を進める環境省信越自然環境事務所(長野市)は18日、木曽駒ケ岳(2956メートル)周辺などで巣と卵を確認したと発表した。今月中旬までの生息調査で3つがいの巣を見つけており、半世紀ぶりに自然繁殖による産卵、抱卵が確認された。順調にいけば来月上旬にも孵化(ふか)し、ケージ保護を実施する。 公開された卵は、2018年に飛来が確認され、「復活作戦」のきっかけとなったメスが産んだ。環境省は、19年には生息地の北アルプス・乗鞍岳から、20年には動物園などから移送した有精卵と、このメスが産んだ無精卵を入れ替えて孵化(ふか)させる作戦を実施。しかし、いずれも孵化には成功したが、10日以内にヒナが全滅していた。 一方、同省は昨夏、乗鞍岳から3家族計19羽(母鳥3羽、ヒナ16羽)を移送して中央アルプスで放鳥。すると、今年4~6月の生息調査で5つがいが確認できた。このうち1つがいは、18年に確認されたメスと若鳥のオスのペアだった。 5つがいのうち、4つがいは木曽駒ケ岳周辺で、1つがいは宝剣岳~空木岳の間で生息が確認された。同省は今年産まれた卵の孵化後、木曽駒ケ岳周辺の4家族を木枠と金網で作ったケージで保護して「個体群復活」の足がかりとする予定だ。(近藤幸夫) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪有観客なら「最大限の対応措置が前提」 秋田知事
秋田県の佐竹敬久知事は18日、東京五輪・パラリンピックについて「(観客を入れて開催するなら、新型コロナウイルスへの)最大限の対応措置を取ることが前提だ」と報道陣の取材に述べた。佐竹知事は以前から「開催するなら無観客が望ましい」と主張している。 佐竹知事は、開催地のほとんどが感染の多い地域であることを指摘。「多くの人が移動し、宿泊や飲食をする。感染の増加要因は絶対あり、どう抑えるか難しい」と話した。また「(人口の)約3割の高齢者全員がワクチン接種を終えても、実際に動く(競技場へ行く)のは若い人だから、感染確率が減るのはせいぜい1割だ」とも述べた。 9都道府県の緊急事態宣言が20日に解除されることが決まったことについては「(まん延防止等重点措置に切り替わる)7都道府県は緊急事態とそう変わらないと認識しているので、この地域との往来は、真にやむをえない場合を除いて控えてほしい」。7都道府県以外でも連続的に感染者が出ている所との往来には十分に注意し、会食などはなるべく避けるよう呼びかけた。 20日から大潟村でデンマークの五輪ボートチームが始める約1カ月間の事前合宿について「日本で最も『3密』になりにくい環境なので、しっかり練習して良い成績を残し、秋田に良い印象を持ってもらえばいい」と語った。(増田洋一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
私が夢を仕事にしない理由 タラレバ娘の東村アキコさん
会員記事 聞き手・笠井正基2021年6月19日 9時00分 あなたの夢は? こう問われ、即答できる大人は案外多くありません。夢がキーワードの「東京タラレバ娘 シーズン2」を連載中の漫画家、東村アキコさん(45)は夢は大切だけれど、仕事と結びつけてはいけない、と説きます。その理由を聞きました。 1975年生まれ。99年デビュー。著書に「かくかくしかじか」「東京タラレバ娘」。「東京タラレバ娘 シーズン2」は「Kiss」(講談社)で連載中。 会社員は安定した職業ではない 小学生になりたい職業を聞いた第一生命保険による「大人になったらなりたいもの」の調査で、男子の1位が会社員というのは信じられません。クラスで1人、眼鏡をかけたマジメな子がなりたいというのなら分かりますが……。「大人向けに用意した答え」で、本音はSNSで語っているような気もしますね。 もしかしたら、コロナ禍で在宅勤務する親を間近に見て「ラクそうだ」と思ったのかもしれません。でも、会社員は決して安定した職業ではありません。知り合いの会社員は、会うたびに会社が変わっています。スキルアップしながら、転職を重ねていく。「濁流の中にある岩をぽんぽん渡り歩く」。私にとってはそんな危ういイメージです。 記事の後半では、東村さんが漫画家を志した理由や、アラサー女性たちの夢について語っています。 会社員志向は、職業や肩書で… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1257文字/全文:1703文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ネコはネズミを本当に食べるの? 人とのかかわり…
「ネコはネズミを本当に食べるの?」 大阪府・西野仁さん(小5)からの質問 ののちゃんのDo科学 ののちゃんは、朝日新聞に連載されている漫画の主人公で、小学3年生。学級担任の藤原先生を相手に、身の回りの不思議を質問します。聞いてほしい疑問はこちらへ。<br>science@asahi.com ののちゃん この前、公園でかわいいネコを見かけたの。 藤原先生 あら、よかったね。 のの でも、近づいてよく見ると、口にネズミをくわえていてびっくりした! 先生 ふふ。ネコとネズミは切っても切れない関係だからね。 のの そういえば「トムとジェリー」というアニメでも、ネコがネズミをしつこく追いかけ回していたよ。どうしてなの。 先生 ネコには狩りをする本能があって、小さな動くものを捕まえようとするの。目の前でネコじゃらしを揺らすと、喜んで取ろうとするのを見たことがあるでしょう。 のの たしかに。じゃあ、ネ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:882文字/全文:1179文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌を重点措置の対象に 酒類提供自粛の緩和、実効性は
北海道に出されている新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言は20日で解除され、21日から「まん延防止等重点措置」に切り替えられる。道は18日夜の対策本部会議で新たな対策を決定。札幌市を対象区域として強めの対策を行うほか、旭川市、小樽市、石狩振興局管内も経過区域として飲食店の時短を求める。ただ道内全体では飲食店への時短や酒類提供の自粛要請は緩和され、感染再拡大の防止に向けて対策の実効性がカギになる。 重点措置は21日から7月11日まで。鈴木直道知事は18日夜の対策本部会議で「21日以降も決して楽観できない状況にあり、特に札幌市では通常の医療に支障が生じる施設があるなど医療提供体制は厳しい状況にある。感染の抑制を図り、医療への負荷を低減させていくため、全道で感染防止行動の徹底を図る対策に取り組んでいく」と述べた。 重点措置の対象区域となる札幌市では、飲食店に午後8時までの時短を要請する(酒類提供は条件付きで午後7時まで)。酒類提供の条件として、利用者は原則4人以内▽アクリル板の設置や座席の距離をあける▽滞在時間の制限(2時間程度を目安)▽手指消毒の徹底やマスク着用などの感染対策を求める。 百貨店など大型商業施設の営業時間は午後8時までとすることを求める。イベントの人数上限は5千人とし、学校の部活動も原則休止とする。 緊急事態宣言下では特定措置区域として札幌市と同様の対策を行った旭川市と小樽市、石狩管内の7市町村(江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村)は経過区域として、飲食店への午後9時までの時短要請(酒類提供は午後8時まで)を行う。道内の他地域では飲食店の時短や酒類提供の自粛要請は行わない。 従来の重点措置では、対象区… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:852文字/全文:1587文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パワハラで減給処分 総務省出先機関トップが威圧的言動
2021年6月18日 22時19分 総務省は18日、威圧的な言動などのパワーハラスメントで部下の職員に精神疾患を発症させたとして、同省の地方出先機関トップの50代男性幹部を減給10分の1(2カ月)の懲戒処分にしたと発表した。総務省では、パワハラによる懲戒処分は初めてという。 同省秘書課によると、男性幹部は2020年7月に、精神疾患を発症した職員を含む複数人に威圧的な言動をとったほか、21年3月と4月には、職員をきつく問い詰めたり、必要以上に大きな声を出したりして精神的な苦痛を与えた。具体的な発言内容は公表できないという。この男性幹部は職員が「管理職としての職責を十分に果たしていないとの認識だった」などと話しているという。 今回の事案は、精神疾患を発症した職員が申し出たことで発覚した。パワハラ防止のために人事院が懲戒処分の指針を20年4月に改めており、総務省はこのルールに基づいて、今回の処分を決めたとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
巨額買収生んだ選挙戦の責任は 地元県議「他人の裁判」
法相まで務めた河井克行被告に実刑判決が下された。過去最大規模の選挙買収の背景には、地元の反発を顧みずに妻の案里氏を擁立した政権主導の選挙構図があった。厳しい選挙戦を余儀なくされた被告が買収したのは、計20万票を得票する力を持つ地元議員たちだった。 判決を受け、自民党幹部からは「猛省を促したい」(佐藤勉総務会長)などと克行被告を突き放す発言が相次いだ。二階俊博幹事長は報道各社が要請した対面での取材に応じず、「政治の信頼を揺るがせるような事態を深刻に受け止めるとともに、引き続き党全体の規律の徹底と信頼回復に努めていく」とのコメントを発表しただけだった。 人ごとのような姿勢に終始しているのは、2019年参院選広島選挙区(改選数2)をめぐる事件の背景に、安倍晋三前首相ら政権主導による異例の選挙構図があるためだ。 当時、自民党広島県連は現職の溝手顕正・元国家公安委員長の支援を決めていた。溝手氏は、広島選出の岸田文雄・前政調会長が率いる岸田派(宏池会)の重鎮。岸田派が主流を占める県連は、溝手氏を落とすわけにはいかなかった。 ところが、党本部は2人目の公認候補として、克行被告の妻で新顔の案里氏=公職選挙法違反(買収)の罪で有罪確定=を擁立。これを主導したのが当時の安倍首相と菅義偉官房長官だった。この決定に県連は猛反発。党本部と県連の分裂選挙に至った。 200万円を受け取った県議は「他人の裁判なので」と取材に答えるのみだった。記事の中盤では、現金が配られた地元広島県議の反応や背景を、記事終盤では総選挙を控える菅政権の懸念を紹介します。 溝手氏はかつて、安倍氏を「… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1827文字/全文:2424文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウガンダ選手、20日に大阪へ 地元「バタバタしたが」
西江拓矢2021年6月18日 22時30分 東京五輪に出場する東アフリカ・ウガンダの選手団が事前合宿のため、20日にホストタウンの大阪府泉佐野市に到着することになった。市が18日に発表した。選手団は当初予定していた同市の関西空港ではなく、ドーハ経由で19日夕方に成田空港に到着する予定。貸し切りバスに乗って、泉佐野市へ移動するという。 市は当初、ウガンダ側から、ドバイ経由で16日に関空に到着する予定と伝えられていた。だが、16日にドバイから関空への直行便はなく、市がウガンダ側に改めて確認。その後、ウガンダでの新型コロナウイルスの感染拡大でドバイ行きの航空便を利用できなくなり、ルートを再調整していた。 五輪の選手団はボクシング、重量挙げ、水泳の選手とコーチら計9人。受け入れ期間は、7月19日までの予定。パラリンピックの選手も当初は一緒に来日する予定だったが、選手村に直接入ることになったという。市の担当者は「バタバタしたが、決まってよかった」と話した。(西江拓矢) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大宮の立てこもり、容疑者の男確保 発生から33時間後
2021年6月18日 22時52分 さいたま市の大宮駅近くのネットカフェで、男が女性従業員を人質にして17日午後から立てこもった事件で、埼玉県警は発生から約33時間後の18日午後10時半過ぎ、店内から女性を保護し、男の身柄も確保した。 県警によると、さいたま市大宮区桜木町1丁目にある店から17日午後4時5分すぎ、「女性従業員が客に呼ばれてブースに入り、それから応答がない」と110番通報があった。男がネットカフェの個室ブース内に20代の女性従業員を人質に立てこもっていた。 現場はJR大宮駅西口近くのビルの7階。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル