モーツァルトは自由に、軽やかに、ラフマニノフでは超絶技巧がさえる。音楽との特別な縁はない家庭で育った若手ピアニスト藤田真央さん(22)が、天真らんまんな人柄と観客を魅了する演奏で、世界中のマエストロに愛され、たびたび共演を果たすまでの道のりとは――。音楽との向き合い方から趣味までたっぷりと語ります。 拡大するピアニストの藤田真央さん=2021年3月28日、東京・銀座、長島一浩撮影 藤田真央さんのプロフィール ふじた・まお 1998年、東京生まれ。東京音楽大学卒業。2017年、18歳でクララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝、19年にチャイコフスキー国際コンクール2位入賞。ミュンヘン・フィルほか国内外の主要オーケストラと共演を果たす。CD『ショパン:スケルツォ/即興曲』(ナクソス)は「レコード芸術」誌で特選盤に選ばれた。テレビ朝日系『題名のない音楽会』などでも注目される。今年度は各地でリサイタル、オーケストラと共演のほか、ヨーロッパの音楽祭にも出演予定。 ――2019年のチャイコフスキー国際コンクールで2位になりました。もともと入賞するとは思わなかったとか。 ウクライナ生まれの天才ピアニストのホロヴィッツが永住先の米国から旧ソ連に戻り、約60年ぶりにモスクワ音楽院大ホールで開いた演奏会のCDを小さい頃から愛聴していて、自分もそこで弾いてみたかっただけなんです。 私はモーツァルトなど古典が好きで、得意にしていますが、音楽の解釈や奏法が個性的だといわれるので、1次で落ちるか、ファイナルまで行けるか、どちらかだと思っていました。 聴衆に愛され 血だらけのファイナル ――ロシアの聴衆にはかなり愛されたようですね。ただ、ハプニングも……。 1次ではモーツァルトを弾き終わった時、観客も審査員もみんな大拍手だったので「やったー!」って。「受け入れてもらえたんだなあ」とうれしかったです。セミファイナルでは、ファイナルにすすめる人の発表の時にに、自分を飛ばして演奏順が次の人が名前を先に呼ばれて、あれは超どっきり。審査委員長のデニス・マツーエフがいたずらっ子なんですね。ファイナルでは爪がぱっくり割れて、指が3カ所ぐらい血だらけで。すごく痛かった。でも、弾かないと終わらない。こればかりは恐怖でしたが、満身創痍(そうい)で1時間半をなんとか弾ききりました。 拡大するチャイコフスキー国際コンクール2位の賞状とメダル=2021年3月28日、東京・銀座、長島一浩撮影 1位のアレクサンドル・カントロフは本当にうまかった。すごくいい人なんです。音楽だけで、あとは何も執着がなくて、色んなことを知っている。2位が決まった時、彼と熱いハグをした。指導を受ける野島稔先生らから「君はまだ勉強することがあるから、2位で良かった」と言われましたが、悔しかったですね。でも、勝負だから仕方ない。 初めて、記者会見もしましたよ。「だれに伝えたいですか」って聞かれて「(飼っている)猫ちゃん」と答えたら、「はーっ?」となって。「おじいちゃん」とか言えばよかったのかな。 ――コンクールの審査員だったピアニストの中村紘子さんからは生前、アドバイスがありましたか。 コンクールで弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲3番は、浜松国際ピアノアカデミーで紘子先生にすごく厳しく指導されました。アカデミーのコンクールではその教えを100%消化しきらずに演奏したけど、1位になって。あとで、楽譜まで自作されたアドバイスの手紙が届きました。今回もあまり自信が持てず、弾きながら「先生、怒ってるかなあ」と思いました。 それでも、紘子先生はとてもかわいがって下さった。アカデミーの後も携帯に何度かお電話をいただいた。「レッスンでは(ピアノのペダルを踏む感触がわかりにくいから)スニーカーを履くな」といった基本的なことから、音楽の解釈や奏法まで、たくさんの教えがちゃんと心に残っています。コンクールをお見せできなかったのは本当に残念でした。 拡大するピアニストの藤田真央さん=2021年3月28日、東京・銀座、長島一浩撮影 マオはコンクールの「サプライズ」 ――ガラでは、ロシアを代表する指揮者、ワレリー・ゲルギエフとの共演も。ゲルギエフは「マオの存在は、今回のコンクールの『サプライズ』だ」と言ったとか……。 マリインスキー歌劇場でチャイコフスキーのピアノ協奏曲を演奏した。あの方の指揮って、手をひらひらさせる。まったくわかんない。最初は、どこが拍なのかも分からない。でも、何度も呼んで下さって、マエストロのすばらしさが分かってきました。バランス感覚や一音出した時に、オケを抑え込んで、わーっと盛り上がっていく感じとか。トータルでつくりあげていくものなんですね。世界的指揮者のすごみに気づきました。 実は共演させていただくまでは、オーケストラがうまい、慣れているんだろうと思っていたら、違う。私の先入観がはなはだ稚拙だというのが、うかがい知れます。流れや音楽の作り方、構成も考えられていて、即興もできる。いつも刺激的です。私もくらいついていきます。 ――お父さんは医師で、音楽とはあまり縁がない家庭で育ったそうですね。 ピアノは3歳から始めました… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
体罰被害「届け出てない」保護者7割 熊本市教委の調査
堀越理菜2021年6月5日 7時57分 熊本市教育委員会は4日、市立学校での体罰・暴言などに関する保護者へのアンケート結果を公表した。子どもが被害に遭っても届け出なかった人が約7割に上った。 4月28日~5月14日に学校が保護者への連絡に使う安心メールを使ってアンケートし、2万631人から回答があった。子どもが被害に遭ったと答えた382人中、届け出なかった人は280人で73%だった。「相談しても無駄だと思った」「訴えた後のことが心配だった」といった理由が多かった。被害を市教委などに届け出ると市体罰等審議会にかけられる「相談票」について、知らないとの回答が全体の65%を占めた。 結果は、審議会に報告。委員から「言っても無駄だという保護者の不信感があると解決が難しくなる可能性がある」との指摘があったという。 昨年度に審議会が認定した体罰や暴言等は計21件で、内訳は小学校12件、中学校8件、高校1件。委員から「身体の小さな低学年ほど強い指導に出がちだと分かる。全ての子どもに対してしっかりした人権意識を持って対応してほしい」との指摘があったという。(堀越理菜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
男子生徒のほおにキス、練習遅刻で平手打ち…教諭ら処分
小林圭2021年6月5日 8時03分 愛知県教育委員会と県は4日、生徒に対するわいせつ行為や同僚への傷害事件があったなどとして、計3人の教諭や職員に対し停職や減給などの懲戒処分とし、発表した。 三河地区の県立学校の男性教諭(29)は担任として受け持っていた男子生徒へのわいせつ行為で停職6カ月の懲戒処分とした。県教委によると、教諭は昨年9月下旬~今年3月下旬に5回、生徒を車に乗せ、車内でほおにキスしたり、抱きしめたりした。教諭は4日付で退職した。 岡崎市の県立岩津高校の男性教諭(44)は体罰をしたとして、戒告の懲戒処分。県教委によると、教諭は昨年12月、部活動中、グラウンドで男子生徒の尻を蹴り、別の男子生徒に頭突きをした。今年1月には、練習に遅刻した生徒2人のあごをつかんで壁に押しつけ、うち1人に対し平手打ちをした。匿名の告発が県教委に寄せられたという。 尾張農林水産事務所の課長補佐級の男性職員(53)は同僚への傷害で減給10分の1(2カ月)の懲戒処分。県によると、昨年6月、職場トイレで同僚職員ともみ合いになり、顔面を殴ってけがを負わせた。職員は今年5月、豊田簡裁から傷害罪で罰金10万円の略式命令を受けた。(小林圭) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
介護施設の高齢者殴りあばら骨折させた疑い 職員を逮捕
山田暢史2021年6月5日 8時12分 勤務先の埼玉県越谷市の介護老人福祉施設で入所者の男性(84)に暴行して重傷を負わせたとして、越谷署は4日、介護職員の久志隆史容疑者(23)=同市大沢=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認め、「介護中に抵抗されて頭にきて暴力を振るった」と供述しているという。 署によると、逮捕容疑は5月31日午前5時15分ごろ、勤務先の介護老人福祉施設「越谷よさこいホーム」の個室内で男性の胸や腹を殴るなどし、あばら骨骨折や大腸損傷の疑いなど全治1カ月の重傷を負わせたというもの。久志容疑者はこの日は夜勤で、男性の介護を担当していたという。 同日朝に男性が体の痛みを訴えたことから別の施設職員が男性とともに病院へ行き、「別の職員から暴行を受けた可能性がある」と説明。病院が署に通報したという。(山田暢史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪パラ準備で交通規制 8日から国立競技場で3カ月超
斉藤佑介2021年6月4日 20時36分 東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は4日、オリンピックスタジアムである国立競技場(東京都新宿区)や、東京体育館(渋谷区)の周辺で今月8日~9月30日まで大規模な交通規制を行うと発表した。規制対象は車で、7月23日の五輪開会式を前に、周辺に警備用フェンスを設けるためという。 車の規制区間は段階的に変わるが、イチョウ並木は期間中、車の通行ができない。国立競技場と聖徳記念絵画館との間にある歩道も一部閉鎖されるが、そのほかの競技場周辺やイチョウ並木の歩道は通行できる。 大江戸線・国立競技場駅の一部出入り口も7月3日から閉鎖する予定という。 組織委は、大会の開閉会式を想定したバスの輸送訓練を今月19日午後11時半から行うこともあわせて発表。翌日午前5時ごろまでバス150台を走らせるため、競技場周辺や青山通りを中心に通行止めになるという。 詳細は組織委のホームページ(https://olympics.com/tokyo-2020/ja/news/transportation-notice/tra-ols-tgy)へ。(斉藤佑介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
解雇の元社員?「頭取に会いに」 役員室に侵入の疑い
2021年6月4日 23時09分 福岡銀行などを傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)の本社ビルの役員室に侵入したとして、福岡県警は4日、福岡県柳川市三橋町の自称会社員、与田将史容疑者(36)を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕し、発表した。 発表によると、与田容疑者は4日午後4時28分ごろ、福岡市中央区大手門1丁目のふくおかFG本社ビルの役員室に侵入した疑いがある。職員通用口から入ったといい、午後4時半すぎに応対した社員が通報、駆けつけた中央署員に約40分後に現行犯逮捕された。 中央署によると、与田容疑者は昨年12月ごろに同社を解雇され、「理由を聞くため頭取に会いに来た」と話しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元留学生が警視庁に語った、「面識のない女」からの指示
宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内の約200組織がサイバー攻撃を受けた事件で、攻撃に使われたサーバーを偽名で契約したとして警視庁公安部が事情を聴いた中国籍の元留学生が、中国軍関係者から日本製セキュリティーソフトの購入などを指示されていたことがわかった。公安部は、新たな攻撃につなげる目的で軍に近いハッカー集団が入手しようとした疑いがあるとみている。 一連のサイバー攻撃は、JAXAや三菱電機、岐阜県、慶応大などが標的となった。組織内のパソコンを遠隔操作できる資産管理ソフトの欠陥を突かれ、外部から送り込まれたウイルスに感染するなどの被害が相次いだ。 公安部は、攻撃に使われたサーバーをうその会員情報で契約したとして、30代の中国共産党員の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで4月に書類送検した。捜査関係者によると、元留学生の存在は、攻撃に使われた別のサーバーの偽名契約をめぐる捜査で浮上した。公安部が元留学生に事情を聴いたところ、2016年に中国在住の女からサーバー契約に関する指示を受けたと説明。日本製セキュリティーソフトを購入するよう指示を受けて、実際に購入を試みていたことも明かしたという。 関係者によると、元留学生は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
薬局役員ら23人が優先接種 医療者含まれず「不適切」
栃木県を中心に中央薬局などの名称で34店舗を展開している「パワーファーマシー」(宇都宮市)は4日、渡邊和裕社長を含む役員や職員計23人が、医療従事者等として、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けたと発表した。同社はホームページで「医療従事者等の範囲を広く捉え過ぎた不適切な解釈」と釈明。渡邊社長は栃木県薬剤師会の会長を務めている。 厚生労働省によると、医療従事者等の対象として「薬局において感染症患者(疑いを含む)に頻繁に接する機会のある薬剤師その他の職員」と定めている。 同社によると、同社本部所属の渡邊社長ら役職員は常に薬局で業務に従事していないものの、薬品や備品の送配などをしており、「患者に接する可能性があった」と説明。役職員らが医療従事者等に含まれると考えたとした上で、役職員らについて「実際には必ずしも弊社の薬局に所属していたとはいえないにもかかわらず、弊社の薬局に所属している」として申請し、4月23日~6月3日に23人が接種を受けた。 同社はHP上で「医療従事者等の皆様を始め、ワクチン接種を待たれている皆様にお詫(わ)び申し上げます」と謝罪。渡邊社長が接種を受けたことについて、発表前に取材していた朝日新聞に、「栃木県薬剤師会の会長という立場にありながら、極めて不適切な行為」とコメントした。(編集委員・沢伸也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州の162戸、お湯沸かず スマートメーターが不具合
2021年6月4日 23時51分 九州電力送配電は4日、通信機能つきの電力計「スマートメーター」の不具合で、九州7県の162戸で電気温水器の湯が沸かない問題が発生したと発表した。 同社によると、5月中旬にスマートメーターの通信端末のソフトウェアを更新した際にプログラムの不具合が起き、料金が安い深夜電力で湯を沸かすタイムスイッチ機能が作動しなくなったとみられるという。 同社には契約者や温水器のメーカーなどから「お湯が沸かない」といった苦情があり、調査。2日に原因が判明した。4日現在、端末の交換など現地での作業が必要な10戸以外の不具合は解消しているという。この間にメーカーに修理を依頼し、湯が沸くようになった世帯もあるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
放火殺人の疑いで男を再逮捕 「液体持ち込んだ」と供述
2021年6月5日 0時00分 千葉県船橋市で4月に住人男性が死亡した民家火災で、県警は4日、東京都港区赤坂8丁目、無職一倉大悟容疑者(30)=傷害、逮捕監禁容疑などで逮捕=を殺人と現住建造物等放火などの疑いで再逮捕し、発表した。放火については認めているが、容疑の一部を否認しているという。 逮捕容疑は、4月25日午前4時35分~同8時10分ごろ、船橋市本中山3丁目の会社役員渡辺和彦さん(当時65)の自宅に火をつけて渡辺さんを殺害したというもの。渡辺さんは、一倉容疑者の伯母の元夫。 一倉容疑者は、火災直前の同日午前3時半~同4時15分ごろ、千葉県市川市内の母親(60)の自宅で母親を殴るなどして重傷を負わせたほか、両手両足を縛って監禁したとして、傷害と逮捕監禁の疑いで緊急逮捕されていた。 捜査関係者によると、母親の証言では、一倉容疑者は母親に暴行を加える前に「渡辺をやる」と発言していたという。 調べに対し、一倉容疑者は「液体を(渡辺さん宅に)持ち込み、火をつけた」との趣旨の説明をしているという。県警は、母親に暴行を加えた後、約3キロ離れた渡辺さん宅に移動し、放火したとみている。液体は、引火性のあるものだったという。 火災の2日前には、母親宅の隣に住む伯母が、自宅1階で頭部を負傷した状態で死亡しているのが見つかっており、県警は一倉容疑者の関与の有無を調べる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル