松島研人、藤牧幸一2021年7月2日 20時30分 NTTドコモの通話料無料プランが悪用された組織的詐欺事件で、通信事業会社「BIS」(東京都新宿区)が、電話の発信量を抑えるプログラムを使い、東京以外に名古屋や大阪からも発信していたことが分かった。愛知県警は、通信設備に負荷がかかり電話がつながりにくくなる「輻輳(ふくそう)」を防ぐ狙いがあったとみて調べている。 組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺など)の疑いで逮捕されたのは、BISの実質的経営者の渡部雅史容疑者(42)=東京都新宿区=、社長の福沢正文容疑者(40)=同西東京市=ら24~65歳の男女15人。 県警によると、BISは、固定電話などの電話番号を割り振る通信事業者(東京都港区)と契約し、通話時間に応じてドコモからこの事業者に支払われる「アクセスチャージ」(回線使用料)の一部をBISに還元させていた。BISは4年半で少なくとも30億円を得ていたという。 渡部容疑者らは「かけ放題プラン」の携帯電話を500回線分契約し、「ゲートウェー」という特殊な装置にSIMカードを差し込み、自動発信を繰り返した疑いがある。 一方で、大量の発信をすると輻輳が起きる恐れがあり、ドコモも「日頃から通信状況をモニタリングし、異常があれば必要な対応をしている」という。実際にドコモはBISに複数回、警告文書を出し、一部の回線の使用を止めたという。 捜査関係者によると、渡部容疑者らは発信量や時間を制御するプログラムを使用。ゲートウェーは東京のほか、愛知や大阪の関連会社にも設置していた。負荷を分散させて輻輳を防ぎ、不正が発覚しないようにしていたとみられる。 ドコモは取材に、事件をめぐるアクセスチャージの金額は通信の秘密もあり把握できないとし、「返還を求めるかは、捜査の進展を見ながら対応を検討する」と話した。 通信行政に詳しい神奈川大学の関口博正教授(会計学)は、「これまで摘発事例がなかったということは、通信事業各社の隙を突いた、想定外の事件だったのではないか。通信各社が本格的に調査を進めるなかで新たな不正が見つかる可能性もある」と話す。(松島研人、藤牧幸一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゆるキャラが「安全性確保じゃ」 原発カレンダーに批判
九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町が毎年、カレンダーを発行して町内の全世帯に配っている。月ごとに原発やエネルギーの話題をコラム形式で紹介しているが、町民の一部からは「東京電力福島第一原発の事故の教訓が生かされていない」と反発の声も出ている。 町防災安全課によると、2021年のカレンダーは20年度の事業でつくった。B3判の壁掛け型が2500部、A5判の卓上型が2700部。約2千の町内全世帯と、商工団体や農協、漁協などに配った。 印刷費用の154万円は、経済産業省資源エネルギー庁所管の「広報・調査等交付金」を充てた。目的は「原子力やエネルギーに関する正しい知識の普及と理解促進」。遅くとも1994年から毎年発行しているという。 たまねぎじいやが「原子力はCO2排出量が少ないんじゃな」 今年6月の話題は、使用済み核燃料の保管プール内での間隔を詰める「リラッキング」。町特産のタマネギにちなんだゆるキャラ「たまねぎじいや」のイラストが、吹き出しの中で「安全性はこれまで同様確保されるのじゃ」と語っている。これについて、市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」は「プールを形作るコンクリートや金属の耐久性は大丈夫か」と疑問を示す。 8月は、使用済み核燃料を専用容器に入れて空気の循環で冷やす「乾式貯蔵」。別のキャラクターが「この保管方法は、燃料を冷やすのに水や電気を必要としないのよ」と説明している。同会は「最終処分の方法も決まっていないのに、保管方法の利点だけを強調するのはおかしい。一刻も早く取り除いてほしい」と懸念する。 11月は「各種電源別のライフサイクルCO2排出量」として、石炭火力や石油火力、太陽光、風力などと原子力を比べたグラフを掲載し、たまねぎじいやが「原子力はCO2排出量が少ないんじゃな」と解説している。 「安全神話の受け売り」批判も こうした内容について、町民の男性は「福島の事故から、何も学んでいない。政府や電力会社の『安全神話』の受け売りだ」と話す。別の男性は「原子力のいい点ばかり言っていて、信用できない。国がいちばん表に出しているCO2の部分も強調しすぎではないか」と語る。 コラムの各種データの出典は「資源エネルギー庁」「環境省」などと明記してあるが、6月のリラッキング、8月の「乾式貯蔵施設の概要」、12月の「廃止措置計画の概要」には出典が記されていない。町によると九電から画像などの資料をもらい、防災安全課員が文言を考えたという。 原発立地自治体の中には、同… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神奈川県の3市、大雨で避難指示 平塚は全域25万人に
2021年7月3日 3時38分 神奈川県の災害情報サイトによると、大雨の影響で土砂災害の恐れがあるとして3日未明、横浜市の一部や、平塚市と鎌倉市の全域で避難指示が出された。 平塚市によると、同市内の対象は11万4270世帯、25万7189人。午前3時時点で避難所は開設しておらず、高い場所への避難を呼びかけているという。 また同県箱根町は3日午前1時50分、全町に避難指示の一つ手前の「高齢者等避難」を発令した。対象は6231世帯、1万891人で、午前2時に避難所を5カ所開設した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
泊原発「活断層でない」 規制委が北海道電の主張認める
会員記事 藤波優、川村剛志2021年7月2日 21時25分 原子力規制委員会は2日、北海道電力が再稼働を目指す泊原発1~3号機の敷地内にある断層について、「活断層ではない」とする北電の主張を認めた。審査は8年間に及び、活断層かどうかで膠着(こうちゃく)していたが、再稼働に向けた手続きが進むことになった。 活断層の可能性が指摘されていたのは、1号機の原子炉建屋近くを走る「F―1」断層。東日本大震災後に導入された新規制基準では、12万~13万年前より新しい時期の活動が否定できない断層を、活断層とみなす。F―1断層が活断層であれば、大幅な耐震強化が求められる。北電は「活断層ではない」と主張し続けてきた。 この日の審査会合で、北電は、F―1断層と同時期に動いた小断層の上部にある地層の成分などのデータを示し、年代が12万~13万年前より古いと説明した。規制委の石渡明委員も「納得できるデータが示された」と承認した。 北電は当初、断層の上に約20万年前に積もった火山灰の層があり、この層にずれがないことを理由に活断層ではないと主張。ただ、現地調査で火山灰の層が確認できず、この手法での立証を断念した。 その後、別の方法でも立証を試みたが、受け入れられず、議論が続いてきた。今回、追加の掘削調査で得た地層のデータから活断層でないことを裏付けた。 北電の主張が認められたこと… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:635文字/全文:1195文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ミャンマー代表選手に在留許可 難民申請は結論出ず
サッカーのミャンマー代表選手として来日後、母国のクーデターに抗議の意思を示して難民申請をしているピエリアンアウンさん(27)が2日、大阪出入国在留管理局(大阪市住之江区)を訪れ、6カ月間の在留と就労の許可を得た。今後、日本で働きながら難民認定の決定を待つという。 出入国在留管理庁はミャンマーでのクーデターを受け、日本国内のミャンマー人が情勢不安を理由に日本にとどまることを望む場合、6カ月か1年の在留や就労を認める措置をとっている。ピエリアンアウンさんは、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選に出場するため、3カ月の短期滞在ビザで来日していたが、この措置の対象となり、日本で就労できる6カ月間の「特定活動」ビザを得た。一方、「帰国すると迫害を受ける可能性がある」として求めている難民認定については、結論は出なかったという。 ピエリアンアウンさんは「日本政府と助けてくれた皆さんにとても感謝している」と取材に語った。ミャンマーではプロサッカー選手として生活していたといい、「すぐには難しくても働きながらプロをめざしたい」と話した。(宮崎亮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナワクチン、誤って3回目接種 入院患者を取り違え
大阪府箕面市は2日、同市内の民間病院で、入院患者の男性(79)に新型コロナウイルスのワクチンを誤って3回接種するミスがあった、と発表した。男性の体調に、今のところ異常はないという。 市によると、今月1日、ワクチン接種を行っていた診察室に入ってきた男性を、同じ時間帯に接種予定だった別の患者と取り違えた。男性は6月9日に1回目、6月30日には2回目の接種を終えていた。医師は氏名や接種歴などが記された予診票の確認を怠っていたという。 この病院ではミスの発覚後、接種会場前にスタッフを配置し、本人確認を徹底することにした。 ワクチンを同じ人に3回接種するミスは各地で相次いでいるが、大阪府によると、府内では初めてという。(安井健悟) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北海道・豊浦町が漁業関連の廃液を不法投棄 役場捜索も
西川祥一2021年7月2日 21時30分 北海道豊浦町が、町の廃棄物処理施設から出た廃液を山林に投棄していたことが2日わかった。北海道警伊達署は廃棄物処理法違反の疑いですでに町役場を捜索し、関係者の事情聴取も進めている。 問題となったのは町の施設「漁業系一般廃棄物リサイクルセンター」(同町高岡)。養殖ホタテに付着した海藻類などを堆肥(たいひ)にする作業を行っている。 町によると、作業の際に出る廃液を入れたタンクを5月に町有地の山林に運び入れたという。その後タンクから廃液が漏れ、悪臭が発生。5月下旬に住民が警察に通報した。 センターでは廃液を堆肥の発酵を進めるために再利用していた。しかし機械の作業効率が落ちたため廃液を再利用しきれなくなり、余った分をセンター外の町有地に運んだという。町は運んだ量については明らかにしていない。 伊達署などは6月25日、町役場の関係課を捜索。町職員やセンターの運営を委託されている業者からの事情聴取を進めている。 センターは2004年に設置され、年間3千トンの海藻類を堆肥にする処理能力があるが、昨年は7千トンを受け入れていたという。町は9月までに施設の改修をするとしている。(西川祥一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小樽商科、帯広畜産、北見工業の3大学統合 新方針示す
小樽商科大、帯広畜産大、北見工業大の3国立大学法人が経営を統合し、新たに「北海道国立大学機構」が来年4月発足する。2日、3大学の学長が会見し、新たな方針を発表。新法人の本部は帯広畜産大に置き、役員会トップの理事長は学外から選ぶ。3大学の教育研究活動の活性化を図る「オープンイノベーション・センター」を設立する。法人を一本化することで教育や研究の連携を目指すほか事務部門の効率化を図る。各大学の名称やキャンパスはそのままで、入学試験も従来通り大学ごとに実施する。 新法人の役員会は、最終意思決定者としての理事長のほか、3大学の学長、学内外の理事から構成。理事長は「合同理事長選考会議」を立ち上げて、今後手続きに入るという。各大学の学生が自由に履修できる連携教育プログラムを実施。スマート農畜産業や観光ビジネス、防災などで連携研究プロジェクトに取り組む。 3大学は、人口減や産業構造の変化を受け、経営統合を2018年に発表。具体的な組織づくりの検討を進めてきた。 2日の会見で、帯広畜産大の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:224文字/全文:671文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
接種券番号を不正取得 コールセンター職員、予約に利用
添田樹紀2021年7月2日 22時00分 大阪市は2日、新型コロナウイルスワクチンの接種相談に応じるコールセンターの20代の男性スタッフ2人が、自分の接種券番号を不正に調べて、市の接種会場の予約をしていたと発表した。20代に接種券が送られていない段階で予約されていることに市保健所の職員が気づいて発覚した。 市によると、2人はコールセンター業務を委託する民間企業に派遣された職員で、6月26日に自分の接種券番号を市のシステムを使って不正に取得。28日にインターネットの予約サイトで番号を入力し、「インテックス大阪」(同市住之江区)に設置された市の大規模接種センターでの7月5日の接種を予約したという。 コールセンターでは、業務外で接種券番号を調べることを禁じていた。2人はコールセンターの業務から外れているという。(添田樹紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
西成の崩落、危険は全国に 専門家「対策に自治体格差」
大阪市西成区で6月25日、高台に立っていた棟続き住宅2棟4軒が突如崩落した。残った1軒も崩落の危険性が高いとみられ、大阪市は2日、撤去に向けた作業に着手した。一歩誤れば大惨事にもなりかねなかった住宅崩落はなぜ起こったのか。 高台に1軒だけ立っている住宅で2日、撤去に向けた作業が始まった。崩落の危険性があるため、大阪市が所有者の同意を得て実施を決めた。この日は住宅が高台下ののり面に崩落しないよう、反対の道路側からワイヤを張る作業などがあった。6日には住宅を引き倒して撤去する方針だ。 この住宅のすぐ北側にあった棟続き住宅2棟4軒が崩落したのは6月25日午前だった。 「家が崩れそうだ」。25日午前7時15分ごろ、住民が通りがかった大阪府警阿倍野署員に異変を訴えた。その15分後に1棟2軒がのり面の下に崩落し、午前10時半には隣接の1棟2軒も崩れ落ちた。初めに崩れた1軒には住人がおり、避難を呼びかけた近隣住民の女性は「危ないところだった」と話した。 登記などによると、崩落した住宅はいずれも1960年代後半に建てられた。現場は、大阪市中心部を南北に貫く「上町台地」の一角。住宅の西側は高さ約6メートルの急なのり面になっており、石積みの擁壁が設置されていた。まず擁壁が崩れ、その後に住宅が崩落したとみられる。 当時、のり面の下では、老人ホームの建設工事が進んでいた。鉄筋コンクリート6階建てで、来年2月ごろに完成する予定だった。 工事を手がける業者などによると、今春、のり面の擁壁の一部に隙間が見つかったため、5月末~6月中旬に補強工事をした。 ただ、今回崩落した住宅直下の擁壁には当時異状は見られず、補強もしなかったという。 建設工事がどれだけ崩落に影響したかもわかっていない。 地盤工学が専門の河井克之・近畿大教授は崩落後に現場を視察した。 河井さんは、現場の擁壁の固め方を問題視した。通常、石積みの擁壁は強度を高めるために石と石の間をモルタルで固めるなどするが、現場は石同士をかみ合わせて積まれているだけに見えた。「石が固められていなければ、元から危険な状態だったといえる」 擁壁の隙間からは草が生い茂っていた点にも着目した。擁壁の裏側の地下水を抜く穴が目詰まりし、水分を含んで重くなった土が擁壁に負担をかけていたことも考えられるという。 斜面が多い日本ではこうした… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル