小川崇 阪本輝昭2021年7月3日 22時28分 東海・関東で記録的豪雨 JR東海によると、東海道新幹線は小田原―熱海間で線路構造物を確認するため、東京―新大阪の全線で3日の運転を見合わせる。 東京―小田原間を走行中の下り列車は東京に戻し、新大阪―三島間を走る上り列車は新大阪に戻す。4日の運行については、今後判断するという。(小川崇) ◇ 東海道新幹線の運転中止で、JR品川駅には車両を降ろされた乗客が払い戻しを求める長蛇の列をつくった。同僚と仕事で東京へ来ていて、京都に帰る途中だったという女性は「東京駅出発が定刻より15分ほど遅れ、品川駅に着いてからも30分以上停車した状態で運転再開を待った」という。 車内では「小田原―熱海間で線路の安全を確認している」というアナウンスが繰り返し流れ、午後9時ごろに運転中止が伝えられると乗客はみな急いで降車し、携帯電話で知り合いに連絡したり、宿泊先を探したりしていたという。 女性は「安全優先なので仕方ない。明日は運転が再開されるのか、これほどおおきな被害が出ているので心配」と話した。(阪本輝昭) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土石流現場で10人の生存確認 4人救出、6人救助中
2021年7月3日 23時25分 熱海市の斉藤栄市長が会見で、伊豆山地区で男女4人の救助を終えたほか、6人の生存を確認し、救助活動を進めていると発表した。心肺停止で見つかっていた女性2人の死亡を確認したことも明らかにした。 市は、「約20人の安否を確認できていない」と説明していた。救助の対象となった10人と「安否を確認できていない」という約20人との関連は分かっていない。家屋などから救助された4人は男性3人と女性1人。男性1人が軽傷という。 土石流に見舞われた地域のうち、救助作業が進んだのは一部で、市は4日午前6時から捜索を再開するとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土石流で2人死亡、10人救助 「被害増える恐れ」
2021年7月4日 3時08分 活発な梅雨前線の影響で、2日夜から3日朝にかけて東海や関東の太平洋側では記録的な大雨となり、土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)が相次いだ。静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区では3日午前に土石流が発生。市は同日夜、女性2人の死亡を確認したと発表した。また、土砂が流れ込んだ家屋などから10人を救助したという。 静岡県によると、伊豆山地区を流れる2級河川の逢初(あいぞめ)川では、3日午前10時半過ぎから断続的に土石流が起きた。付近は斜面に民家が立ち並ぶ住宅街で、3日夕に記者会見した熱海市の斉藤栄市長は「100~300世帯が被害に遭ったとみられる」とし、「20人程度が安否が確認できないという状況。どなたがどこにいるか分からない」と述べた。人的被害はさらに増える恐れがあるとしている。 市によると、伊豆山地区では中学校などに約260人が避難した。3日夜には男女4人を救助し、別の場所でも生存を確認していた6人を救助した。 現場一帯は土砂災害警戒区域に指定されていた。当時、市が発表していた避難情報は警戒レベル3の「高齢者等避難」で、最初の土石流発生後の午前11時5分にレベル5の「緊急安全確保」に引き上げた。 気象庁によると、熱海市網代(あじろ)では3日午後7時20分までの72時間で409・5ミリの雨を観測。36年前に記録した7月の72時間雨量の最多を更新した。このほか、3日夜までに観測した72時間雨量の最大値は静岡県富士市や森町で500ミリを超えるなど、静岡を中心に4都県の計10地点で観測史上最多を更新した。東海と関東で、7月の最多を更新する72時間雨量となった地点が40以上にのぼった。 一方、神奈川県では住宅1棟が全壊し崖崩れが61件発生、千葉県でも浸水被害が相次いだ。総務省消防庁によると、緊急安全確保は3日午後6時半時点で熱海市の3万6千人に、レベル4の「避難指示」は静岡や千葉など4県23市町の61万5千人に出されている。 静岡県は、避難所や仮設住宅の供与が受けられる災害救助法を熱海市に適用することを決定。防衛省は知事からの災害派遣要請に基づき、陸上自衛隊を熱海市に派遣した。政府は3日夕、首相官邸で大雨に関する関係閣僚会議を開いて対応を協議。菅義偉首相は被害状況の把握に全力を挙げるよう指示し、「機動的かつ万全の対応を進めるとともに、避難所等に対する支援を迅速に行っていただきたい」と語った。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土石流現場で6人救助、全員無事 4日朝から活動再開
2021年7月3日 23時50分 静岡県熱海市の災害対策本部は3日夜、土砂が流れ込んだ民家で続いていた6人の救助活動を終えたと発表した。いずれも無事という。 4日は午前6時から安否不明者の救助活動を再開するとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【3日の詳報】迫る泥水、「あっという間」 熱海土石流
【動画】土石流が発生した静岡・熱海 伊豆山地区。上空からは山肌がえぐられた様子が確認できた=熊倉隆広撮影 2日夜から3日朝にかけて、東海から関東の太平洋側で記録的な大雨となり、静岡県熱海市では3日午前、大規模な土石流が発生しました。県や市によると複数の家屋が流され、人的被害も出ています。タイムラインで詳報します。 23:30 民家から6人救助、全員無事 熱海市の災害対策本部は、土砂が流れ込んだ民家で続いていた6人の救助活動を終えたと発表した。いずれも無事という。 4日は午前6時から安否不明者の救助活動を再開するとしている。 22:00 2人の死亡確認、4人を救助 心肺停止の状態で見つかっていた女性2人について、死亡を確認したと熱海市が発表した。また4人を救助し、うち1人は軽傷という。 21:25 伊豆山地区で6人を救助中 熱海市の斉藤栄市長が会見で、伊豆山地区で男女4人の救助を終えたほか、6人の生存を確認し、救助活動を進めていると発表した。心肺停止で見つかっていた女性2人の死亡を確認したことも明らかにした。 市は、「約20人の安否を確認できていない」と説明していた。救助の対象となった10人と「安否を確認できていない」という約20人との関連は分かっていない。家屋などから救助された4人は男性3人と女性1人。男性1人が軽傷という。 土石流に見舞われた地域のうち、救助作業が進んだのは一部で、市は4日午前6時から捜索を再開するとしている。 土石流が起きた現場。一帯は泥でおおわれていた=2021年7月3日午後6時42分、静岡県熱海市、恵原弘太郎撮影 21:10 傾いた大家宅 電話かけたが 伊豆山地区の鈴木アキさん(74)は、市内の避難所に身を寄せていた。 自宅にいた午前10時半ごろ、近くで「ドーン、ガラガラガラ」という音を聞いた。消防車のサイレンも聞こえた。外を見ると道路に土砂が積もり、水浸しになっていた。外に出ると、自宅アパートの大家宅が半分傾いているのが見えた。大家に電話をかけたが、つながらなかったという。 その後に近くの友人宅に一時身を寄せ、避難所に移った。「今までこんなことがなかった。初めてで驚いている」 21:00 叫んだ友人「早く逃げて」 伊豆山地区の山口シズエさん(82)は、市内の避難所に身を寄せていた。 この日午前、冷蔵庫を開けると、停電のため中が真っ暗で「おかしいな」と気づいた。ちょうどその時、友人がドアをたたき、「ここにいちゃいけない。早く逃げて」と叫んだ。 鍵だけを持ち、友人と外に出ると、通りには避難する人のための車が数台待っていた。知らない人だったが、避難所まで乗せてくれたという。避難中、土石流が流れていくのが見えた。 やがて避難所に着き、「やっとほっとした」。携帯電話も持ってこなかったため、友人たちの安否も分からない。静岡県三島市で暮らす息子の妻からは自宅に来るよう勧められたが、避難所には友人がいるため残ることにしたという。 20:40 落ちた小石 その10分後に土石流 熱海市に隣接する神奈川県湯河原町の富山武美さん(76)は、土石流にのみ込まれた道路を発生の約10分前に通っていた。 家族3人で車に乗り、熱海駅近くの病院に向かう途中だった。道路沿いに小石がたくさん落ちていることに気づき心配していたが、後にテレビのニュースを見て現場を通っていたことに気づいた。「あと10分遅かったらだめだった。生きた気がしない」 自宅への道が通行止めになったため、熱海市の総合福祉センターの避難所に身を寄せた。 20:20 住民「伊豆山は頑丈、安全だと」 伊豆山地区の自宅にいた上野勝子さん(76)は、停電が数回起きたことで異変に気づいた。窓の外を見ると目の前の道路を土砂が流れ、電柱3本が折れていた。 「大変なことになった」。腰が悪く、自力では逃げられない。救助に駆けつけた消防の誘導で、午前11時ごろに避難所となっている熱海市総合福祉センターに逃げた。 生まれてからずっと伊豆山地区に住んでいる。「伊豆山は頑丈な山」と近所の人たちと話をしていたという。「安全だと思っていた場所でこんなことが起きたので、どこでも災害は起きるんだと思い怖くなった」 土石流が起きた山間部付近。民家などが広範囲に被害を受けた=2021年7月3日午後5時18分、静岡県熱海市、朝日新聞社ヘリから、池田良撮影 20:00 100歳の母を背負い避難 伊豆山地区の男性(75)は、同居する100歳の母親を背負い、夕方に自宅から熱海中学校に避難した。 午前10時ごろ、「キャー」という女性の悲鳴で異変に気づいた。すぐに自宅の外に出ると、目の前をすさまじい勢いで流れる土石流が、近所の家をのみ込んでいった。「一瞬のことだった。あの状態じゃあ逃げられないと思う」 男性の家は高台にあったため被害を免れたが、消防の呼びかけで避難を決めた。避難所の職員から毛布を受け取り、体育館の床で母親と2人で雑魚寝して一夜を明かす。避難所には50人ほどが集まっていて、男性は「母親は高齢。新型コロナにかからないかが不安だ」とこぼした。 20:00 東京消防庁は、静岡県知事の要請を受けて消防隊員ら121人(35隊)を緊急消防援助隊として熱海市に派遣したと発表した。 大規模災害への対応を専門とする即応対処部隊や人命救助にあたるハイパーレスキュー隊などが被災地で活動する。 19:50 バックミラー越し 迫る泥水 現場近くに住む小松由佳さん(47)は午前11時ごろ、自宅で「ボコボコ」という音と地鳴りのような音を聞いた。窓の外をのぞくと、数十メートル先のアパートが土石流にのみ込まれるのが見えた。 「逃げなきゃ」。同居の母と車に乗り込み、エンジンをかけた。バックミラー越しに、木や岩が混じった泥水が迫るのが見えた。アクセルを踏み込み、夢中になって車を走らせた。 避難所の熱海中学校に身を寄せたが、2階建ての自宅がどうなったかは確認できていない。「家がどうなったか不安。とにかく情報がほしい」 […]
「新幹線で缶詰」投稿続々 東海道新幹線、豪雨で足止め
静岡県などの大雨に伴い、JR東海は3日午後9時過ぎ、小田原―熱海間で線路設備の確認をするため、東京―新大阪間の全線で運転を見合わせると発表した。 東京―小田原駅間を走行中の下り列車については東京に折り返し、三島―新大阪駅間を走行中の東京行き上り列車の乗客については、3日深夜に三島発新大阪行きの臨時「こだま」を運行するなどして戻ってもらうとした。目的地にたどり着けない乗客のため、東京、名古屋、新大阪の3駅に「列車ホテル」を用意した。 4日の運転計画は未定で、4日午前5時半に発表するとしている。 同社ホームページによると、通常なら運転を終了している4日午前0時時点でも、東京―新大阪間に23本の列車が停車したままだった。JR東海は「影響を受けた乗客数は集計中」としている。 東京に帰るため、新大阪駅から上りののぞみに乗った東京都練馬区の会社員男性(34)は、三島駅の手前で3時間半ほど待たされたという。「車内では『三島駅に停車している前の電車がなぜ止まっているのかまったくわかりません』というアナウンスもあり、乗務員もかなり混乱しているようだった」と話す。 4日午前0時近くなってようやく三島駅に着いたが、乗っていたのぞみは運転がここで打ち切りになり、折り返しの下り列車に乗り換えるよう促された。改札付近は新幹線を降りた客らで、肩がぶつかるほど混雑していたという。 男性は「折り返しの新幹線が何時に発車して何時に着くかも分からず、混雑するだろうとも思ったので三島で降りることにした。運良くホテルは取れたが、『最後の一室です』と言われた。明日は東京に帰れるか不安です」と疲れた様子で話した。 ツイッターでも「新幹線で缶詰」といった乗客からの投稿が相次いだ。 お笑い芸人の間寛平さんはツイッターで3日午後11時過ぎ、「今日の夕方の新幹線に乗って東京に向かってたら三島の駅で止まったまま、折り返し新大阪駅に戻るやて、今乗って5時間、アへアへアへ~ウヒハ」と投稿。翌4日午前1時過ぎには「やっと三島駅を折り返しの新幹線に乗れました、各駅停車やから何時に新大阪に着くかな~」とつぶやいた。 お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんは3日夜、「新幹線 豊橋で足止め 引き返すらしい… しょうがないか 桃鉄だったらこんなことしょっちゅうだし」と投稿した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
心肺停止の女性2人、死亡確認 静岡・熱海の土石流
2021年7月3日 22時31分 静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で3日午前に起きた土石流で、市は心肺停止の状態だった女性2人の死亡を確認したと同日夜に発表した。約20人の安否が不明という。 活発な梅雨前線の影響で、2日夜から3日朝にかけて東海や関東の太平洋側では記録的な大雨となり、土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)が相次いだ。静岡県によると、伊豆山地区を流れる2級河川の逢初(あいぞめ)川では、3日午前10時半過ぎから断続的に土石流が起きた。 付近は斜面に民家が立ち並ぶ住宅街で、熱海市の斉藤栄市長は3日夕の会見で「100~300世帯が被害に遭ったとみられる」と述べた。約80人が避難したが消防や自衛隊による救出活動は進んでおらず、斉藤市長は「20人程度が安否が確認できないという状況。どなたがどこにいるか分からない」と説明。人的被害はさらに増える恐れがあるという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
避難指示、最初の土石流前に出されず 予想困難な背景は
会員記事 山岸玲、南島信也2021年7月3日 22時36分 住宅を次々とのみ込んだ静岡県熱海市の土石流。発生した場所は、火山灰などが堆積(たいせき)する土砂災害の危険性が高い斜面だった。梅雨末期に降り続いた雨により、避難指示が出ないまま、大規模な土石流が発生したとみられる。 東海や関東の太平洋側では6月末から梅雨前線の活動が活発化し、降雨が断続的に続いていた。 土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山に近い同市網代の観測地点では、発生直前の3日午前10時までの48時間雨量が300ミリに迫り、7月としての観測史上最多を更新。平年の7月の1カ月間の総雨量(242・5ミリ)を超える雨が48時間で降った。ただ、この間、1時間に30ミリ以上の「激しい雨」は観測されず、強い雨とやや強い雨が繰り返されながら蓄積されていったのが特徴だ。 市は土石流が発生する1日前の2日午前10時、大雨の危険度に応じて避難情報を5段階に分けた警戒レベル3の「高齢者等避難」を出した。避難所などへの移動に時間がかかる高齢者らに避難を促す情報だ。 2日午後0時半には、危険な場所にいるすべての住民に避難を求める「避難指示」(レベル4)に相当する土砂災害警戒情報が気象台と県から発表されたが、避難指示は出さなかった。 市が「緊急安全確保」(レベ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:573文字/全文:1104文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】迫る土石流 夢中でアクセル踏み込んだ
【動画】土石流が発生した静岡・熱海 伊豆山地区。上空からは山肌がえぐられた様子が確認できた=熊倉隆広撮影 2日夜から3日朝にかけて、東海から関東の太平洋側で記録的な大雨となり、静岡県熱海市では3日午前、大規模な土石流が発生しました。県や市によると複数の家屋が流され、人的被害も出ています。タイムラインで詳報します。 22:00 2人の死亡確認、4人を救助 心肺停止の状態で見つかっていた女性2人について、死亡を確認したと熱海市が発表した。また4人を救助し、うち1人は軽傷という。 21:10 傾いた大家宅 電話かけたが 伊豆山地区の鈴木アキさん(74)は、市内の避難所に身を寄せていた。 自宅にいた午前10時半ごろ、近くで「ドーン、ガラガラガラ」という音を聞いた。消防車のサイレンも聞こえた。外を見ると道路に土砂が積もり、水浸しになっていた。外に出ると、自宅アパートの大家宅が半分傾いているのが見えた。大家に電話をかけたが、つながらなかったという。 その後に近くの友人宅に一時身を寄せ、避難所に移った。「今までこんなことがなかった。初めてで驚いている」 21:00 叫んだ友人「早く逃げて」 伊豆山地区の山口シズエさん(82)は、市内の避難所に身を寄せていた。 この日午前、冷蔵庫を開けると、停電のため中が真っ暗で「おかしいな」と気づいた。ちょうどその時、友人がドアをたたき、「ここにいちゃいけない。早く逃げて」と叫んだ。 鍵だけを持ち、友人と外に出ると、通りには避難する人のための車が数台待っていた。知らない人だったが、避難所まで乗せてくれたという。避難中、土石流が流れていくのが見えた。 やがて避難所に着き、「やっとほっとした」。携帯電話も持ってこなかったため、友人たちの安否も分からない。静岡県三島市で暮らす息子の妻からは自宅に来るよう勧められたが、避難所には友人がいるため残ることにしたという。 20:40 落ちた小石 その10分後に土石流 熱海市に隣接する神奈川県湯河原町の富山武美さん(76)は、土石流にのみ込まれた道路を発生の約10分前に通っていた。 家族3人で車に乗り、熱海駅近くの病院に向かう途中だった。道路沿いに小石がたくさん落ちていることに気づき心配していたが、後にテレビのニュースを見て現場を通っていたことに気づいた。「あと10分遅かったらだめだった。生きた気がしない」 自宅への道が通行止めになったため、熱海市の総合福祉センターの避難所に身を寄せた。 20:20 住民「伊豆山は頑丈、安全だと」 伊豆山地区の自宅にいた上野勝子さん(76)は、停電が数回起きたことで異変に気づいた。窓の外を見ると目の前の道路を土砂が流れ、電柱3本が折れていた。 「大変なことになった」。腰が悪く、自力では逃げられない。救助に駆けつけた消防の誘導で、午前11時ごろに避難所となっている熱海市総合福祉センターに逃げた。 生まれてからずっと伊豆山地区に住んでいる。「伊豆山は頑丈な山」と近所の人たちと話をしていたという。「安全だと思っていた場所でこんなことが起きたので、どこでも災害は起きるんだと思い怖くなった」 土石流が起きた山間部付近。民家などが広範囲に被害を受けた=2021年7月3日午後5時18分、静岡県熱海市、朝日新聞社ヘリから、池田良撮影 20:00 100歳の母を背負い避難 伊豆山地区の男性(75)は、同居する100歳の母親を背負い、夕方に自宅から熱海中学校に避難した。 午前10時ごろ、「キャー」という女性の悲鳴で異変に気づいた。すぐに自宅の外に出ると、目の前をすさまじい勢いで流れる土石流が、近所の家をのみ込んでいった。「一瞬のことだった。あの状態じゃあ逃げられないと思う」 男性の家は高台にあったため被害を免れたが、消防の呼びかけで避難を決めた。避難所の職員から毛布を受け取り、体育館の床で母親と2人で雑魚寝して一夜を明かす。避難所には50人ほどが集まっていて、男性は「母親は高齢。新型コロナにかからないかが不安だ」とこぼした。 20:00 東京消防庁は、静岡県知事の要請を受けて消防隊員ら121人(35隊)を緊急消防援助隊として熱海市に派遣したと発表した。 大規模災害への対応を専門とする即応対処部隊や人命救助にあたるハイパーレスキュー隊などが被災地で活動する。 19:50 バックミラー越し 迫る泥水 現場近くに住む小松由佳さん(47)は午前11時ごろ、自宅で「ボコボコ」という音と地鳴りのような音を聞いた。窓の外をのぞくと、数十メートル先のアパートが土石流にのみ込まれるのが見えた。 「逃げなきゃ」。同居の母と車に乗り込み、エンジンをかけた。バックミラー越しに、木や岩が混じった泥水が迫るのが見えた。アクセルを踏み込み、夢中になって車を走らせた。 避難所の熱海中学校に身を寄せたが、2階建ての自宅がどうなったかは確認できていない。「家がどうなったか不安。とにかく情報がほしい」 土石流が流れ込んだ住宅街=2021年7月3日、静岡県熱海市、住民提供 19:30 着の身着のまま避難「まさかこんなことに」 「近所の家があっと言う間にのみ込まれてしまった」。熱海中学校に避難した70代女性は、そう振り返った。 異変を感じたのは午前11時ごろ。「ゴー」という地鳴りのような音がし、「キャー」という叫び声も聞こえた。外に出てみると、約150メートル先の民家が真っ黒な泥水で押し流されていくのが見えた。流された民家が他の民家とぶつかり、「バキバキ」という音もした。着のみ着のままで避難した。 「まさかこんなことになるとは。明日以降、家に戻るのが怖い」と不安げに話した。 18:20 広域緊急援助隊200人を派遣予定 警察庁は大雨で大規模な土砂災害が起きた静岡県に、災害対応に当たる広域緊急援助隊計約200人を派遣すると発表した。行方不明者の捜索や救助活動などに当たる。 警察庁によると午後5時現在、災害対応指揮支援チーム4人を静岡県警熱海署に派遣。広域緊急援助隊として派遣されるのは、警視庁から約140人、新潟県警から約30人、三重県警から約30人の予定という。 […]
自宅に土砂崩れ、連絡取れない妻 わずか15分の間に
2021年7月3日 19時46分 静岡県熱海市で3日午前10時半ごろ発生した大規模な土石流では、複数の家屋が流され、約20人が安否不明だ。 熱海市の田中公一さん(71)は、規制線が張られ通行止めになった高台から、往来する警察車両や200メートルほど離れた自宅を見つめていた。「この場所で生まれて以来70年、こんな被害は見たことがない。入るなと言われて何もできない。妻に無事でいてほしいけど、もう何時間も経っているからなあ」と言葉を詰まらせた。 午前11時ごろ、上流側に住む知人の安否を確認しようと15分ほど家を空けた間に、自宅が土砂崩れの被害に遭った。帰ると周辺の道路は土砂で埋まり、目で見ただけでも10軒が跡形もなくなっていた。 自宅そばに設置された鉄パイプを伝って自宅に近づき、傾いた自宅の引き戸をはがすと、中は柱が折れたり家具が倒れたりしてめちゃくちゃだった。 妻路子さん(70)の名前を何度も呼んだが応答がない。自宅に置いてきた携帯電話をなんとか取り戻して確認すると、路子さんから何度も着信履歴があった。その後発信を繰り返したがつながらなかった。別の知人のもとには「挟まれているから助けて」と路子さんから連絡があったと聞いた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル