村野英一2021年7月6日 20時59分 静岡県熱海市は6日夜、土石流の捜索現場で見つかった女性2人と男性1人の死亡を新たに確認したと発表した。死者は計7人となった。県や市の集計では、計27人の安否が分かっていないという。また、市は3日に死亡を確認した女性1人の身元を小磯尚子さん(61)=同市伊豆山=と発表した。 新たな死者3人のうち、女性1人は土砂に埋もれた建物の中で、別の女性と男性は東海道新幹線の山側の土砂の中から見つかった。 県と市は5日夜、安否不明者が64人いるとして名前や性別を公表していた。その後、6日午後7時までに所在が確認されるなどして安否不明者は22人まで減った。県はこれとは別に、県警と消防に寄せられた情報に基づき、安否が分かっていない5人の名前を公表した。 生存の可能性が著しく低くなるとされる「発生72時間」が6日午前に過ぎ、この日は新たな生存者の救出はなかった。一方で警察や消防、自衛隊などは約1100人の捜索態勢を維持している。 熱海市の斉藤栄市長は、被災地を訪れた棚橋泰文防災相に「観光地熱海にとって未曽有の大災害。市民も大きなショックを受けている。今後も力添えをお願いします」と国の支援を求めた。(村野英一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「不自由展」展覧会、名古屋で開幕 抗議の街宣活動も
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展「表現の不自由展・その後」出展作品の展覧会が6日、名古屋市中区の市施設「市民ギャラリー栄」で始まった。会場が入るビル前では、反発する団体が展覧会中止を求めて街宣活動し、展覧会を支持する人らがプラカードを掲げて抗議した。 展覧会は、新型コロナウイルス対策で来場者を1時間に50人以内として入場券を配った。主催者によると各回40人程度が訪れた。慰安婦を表現した少女像や昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品など、19年の不自由展の際に抗議が殺到した作品が展示されている。 愛知県幸田町の男性会社員(64)は「テレビなどで見るのと違い、作品はいずれも真に迫ったものだった。2年前の不自由展は再開された後も人数制限などがあり、見るチャンスがなく、もう一度開かれないかと思っていた。見ることができてよかった。反対する人たちの展示も同じ会場であるという。それも見てみたい」と話した。来場者のなかには、映像作品を見て大声をあげてスタッフに制止される人もいた。 展覧会は、19年の不自由展… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:254文字/全文:725文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安否不明者の人数、相次ぐ増減 氏名発表の夜に電話次々
藤牧幸一、浪間新太2021年7月6日 21時09分 静岡県熱海市でおきた土石流をめぐる安否不明者は6日午後7時現在、44人の所在が確認された一方、なお27人の安否が不明のままだ。災害発生からこの間、安否不明者数は揺れ動いた。 市は発生当日の3日夕、問い合わせがあった人数をもとに、「安否不明者は約20人」と発表していた。 だが、正確な実態を把握するため、4日に方針を転換した。住宅地図をもとに被災地域にある建物を130棟として、そこに住民票を置いている人数について、住民基本台帳から215人と判断。避難所に身を寄せる住民らを差し引くなどし、5日午後8時すぎ時点には64人に絞った。 ただ、市内に別荘が多く、居住実態の把握が難しいこともあり、作業は難航。市は県と協議のうえ、情報を募って不明者数をさらに絞り込むため5日夜に64人の氏名と性別などの発表に踏み切った。県のホームページに名簿を載せた。 その結果、市役所には本人や親族から「親戚のもとに身を寄せている」「もともと福祉施設に入所している」などの情報が次々と寄せられた。職員5、6人が交代で夜通し電話対応にあたり、氏名や生年月日などを聞き取って確認。6日夜までに44人の生存が確認された。 斉藤栄市長は6日朝の市対策本部会議後、「情報を公開したおかげで、ここまで絞られた」と話した。また、新たに2人が安否不明であることが判明した。 一方、県は6日、市のまとめとは別に、警察や消防への通報をもとに、連絡が取れない5人の氏名と性別を発表。情報をとりまとめた県警は、この5人について、被災した可能性のある人たちとしている。市とりまとめの22人分と重複はないという。 県のホームページに名簿が公開されている。情報提供は、市とりまとめ分は市災害対策本部(0557・86・6443)、県警分は熱海署(0557・85・0110)へ。(藤牧幸一、浪間新太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
根室線の富良野―新得間、バス転換含め協議 沿線自治体
JR北海道が廃止・バス転換を打ち出している根室線の富良野―新得間について、沿線7市町村(滝川市、赤平市、芦別市、富良野市、南富良野町、新得町、占冠村)でつくる「根室本線対策協議会」(会長=北猛俊・富良野市長)は6日、バス転換も含めた協議に入る方針を決めた。区間の一部は2016年8月の台風被害で不通となっている。沿線自治体はこれまで、鉄路の復旧と全区間の存続を求めてきた。北市長は「(鉄路の)廃止ありきでも、バスありきでもない」とし、地元負担のあり方などを協議したい意向を示した。 富良野市で行われた非公開の会議後、取材に応じた北市長によると、会議ではJR北から、①路線存続の場合、年10・9億円の維持費を地元が負担する②バスによる輸送代行が可能であれば輸送代行も含めた協議を進める、との選択肢が示されたという。北市長は「現状で鉄路の存続だけを求めることはなかなか難しい」と話した。 富良野―新得間のうち、東鹿越―新得間が台風の影響で不通となっており、昨年10月には赤羽一嘉国土交通相が、不通区間の落合駅(南富良野町)付近を視察した。北市長は「(国交相には)地元から復旧と存続をお願いしたが、(JRがバス転換を打ち出している)赤線区には(国が)負担できないということになったのは残念」と話した。 路線の存続、バス転換のいず… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:417文字/全文:982文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ワクチン在庫、医療機関の間で融通可能に 厚労省が通知
米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンを使っている自治体に対して厚生労働省は、接種会場となっている医療機関などでワクチンが余っていれば、別の施設に融通することを認めると通知した。自治体から「ワクチン不足」が指摘されるなか、政府は在庫が偏在しているとみており、その解消を目指す。 ファイザー社製のワクチンはこれまで、同社の国内倉庫から専用の冷凍庫を持つ比較的大きな病院などに運び、そこから近隣の診療所などへ配送されてきた。医療機関の間での融通は原則として認められていなかった。厚労省は「認めない理由は特になかったが、ワクチンは本来融通しないものだ」(担当者)としているが、これが原因で一部医療機関に在庫が増えている可能性があるとみた。 そこで5日付の事務連絡では、医療機関などの間で何度でもワクチンを融通できるようにした。市町村や都道府県を越えた融通もできる。融通元の施設がワクチンのロット番号や本数などを書面に記し、融通先の施設と都道府県に提出することで、仮にワクチンに不具合があってリコールが必要になった場合などでも、適切に対応できるようにする。 自治体などへのファイザー製ワクチンの供給は6月末までに約9千万回分だったのに対し、総接種回数は約5千万回。田村憲久厚労相は6日の閣議後会見で、差の約4千回分が在庫になっている可能性があるとの見方を示し「ミスマッチをどう解消していけるか、しっかり対応したい」と述べた。(下司佳代子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入札額漏らし謝礼受領か 元給食センター所長逮捕 大阪
2021年7月6日 23時15分 学校給食の業務委託先を決める入札で便宜を図る見返りに靴などを受け取ったとして、大阪府警は6日、四條畷市立学校給食センター元所長の林雅弘容疑者(65)=同市砂2丁目=を官製談合防止法違反と加重収賄の疑いで逮捕し、発表した。認否は明らかにしていない。 捜査2課によると、林容疑者は所長だった2019年2月下旬ごろ、府内の運送会社役員2人に、同年3月に実施される給食運搬業務の公募型指名競争入札に関して設計金額に近い額を教え、1億1887万5千円で落札させて公正な入札を妨害した疑いがある。 また、便宜を図る見返りとして18年8月~20年3月、靴や掛け時計、仕立券付きワイシャツ生地など5点(計約23万1千円相当)を役員2人から受け取った疑いももたれている。 林容疑者は当時、入札業務の決裁権限を持っていた。19年3月の入札には運送会社1社が参加し、落札率は99・6%だった。府警は今後、運送会社の役員らも任意で捜査する方針。 府警は学校給食費を管理する口座から計約1450万円を着服したとして、今年5月以降に林容疑者を業務上横領容疑で逮捕、追送検し、大阪地検が同罪で起訴していた。この捜査の過程で今回の容疑が浮上したという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東電・清水元社長9年ぶり公の場に 原発事故の責任否定
東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主が旧経営陣5人に22兆円の支払いを求めた訴訟で、事故当時の社長だった清水正孝氏ら4被告の尋問が6日、東京地裁であった。清水元社長らは、事故前には大津波の危険性を認識していなかったと口をそろえ、事故の責任を改めて否定した。 清水元社長が公の場で事故について語るのは、事故翌年の2012年にあった国会事故調査委員会で聴取を受けて以来、9年ぶり。 「記憶にない」「知らない」を繰り返す 福島第一原発の事故前の津波対策をめぐっては、会長から担当者までが一堂に会する「御前会議」の場で、08年2月には津波想定の引き上げを記した資料が配られ、09年2月には「14メートル級の津波」への言及があったことが判明している。 尋問を受けた清水元社長はこうした場面について、「記憶にない」「知らない」などと発言した。御前会議の位置づけ自体が「会社の意思決定の場ではない」とも強調し、「議題が多く配布資料も大量にある。全ての資料を読み込み、理解する前提ではなかった」と説明した。 さらに、原発の安全性についての判断は担当部門の部長に委ねていたと主張。「原発に限らず、沿岸部の火力発電所も含めて津波の危険性を耳にしたことはなかった」と述べた。 尋問の最後、清水元社長は「設備の安全性を最優先に取り組んできたが、結果として事故を防げなかった。多くの皆さんに甚大な被害をもたらし、改めておわび申し上げる」と謝罪した。一方、「取締役としての注意義務は果たしてきた」と経営陣としての責任を否定した。 裁判官、福島第一原発の敷地内を視察へ この日は、検察審査会の議決を受けて業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の尋問もあった。3人は19年に無罪判決を受けた東京地裁での公判供述に沿って、「14メートルの根拠ははっきりしていなかった」などと述べた。刑事裁判の控訴審は11月2日に始まる。 原告の一人で福島県に住む武藤類子さん(67)は傍聴後、「原発の安全性に関心も知識もないまま経営幹部を務めていたことに驚いた。報告を受けていないと否定を繰り返す姿に心底がっかりした」と話した。 株主代表訴訟を担当する裁判官らは、10月に福島第一原発の敷地内を視察する予定だ。原告側弁護士によると、裁判長は「実際に現地を見て事故の責任を判断したい」と話したという。(村上友里、編集委員・佐々木英輔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪マラソン・競歩 沿道での「観戦自粛」要請
会員記事 岡田昇、中野龍三2021年7月6日 22時00分 札幌市で8月5~8日に行われる東京五輪のマラソンと競歩について、大会組織委員会と北海道、札幌市は6日、同市内で実務者会議を開き、沿道での「観戦自粛」を呼びかけることを決めた。観戦する人の密集を防ぐため、声かけスタッフ約2千人を沿道に配置する。ただ、鈴木直道知事が求める「無観客」の実現は難しく、今後、実効性のある感染防止対策を打ち出せるかが鍵になる。 五輪マラソン・競歩の発着点は市中心部の大通公園。マラソンは繁華街・ススキノや北海道大学の構内などを駆け抜ける都市型のコースで、競歩も札幌駅前通を使う。 多くの人が集まることが予想されるため、5月のマラソンテスト大会では市民ボランティアら約700人が通行人らに観戦自粛を呼びかけた。しかし、選手をカメラで撮影したり、声援を送ったりする人たちが集まった場所もあった。 組織委は、8月のマラソン本番での観戦自粛をより徹底させるため、声かけスタッフをテスト大会より約1300人増やして約2千人にする。ボランティアや警備、運営などのスタッフは約5千人になる見通し。 さらに、発着点の立ち入り禁止エリアを5月のテスト大会よりも広げる。商業施設やオフィスが立ち並ぶ札幌駅前通を重点対策エリアとし、声かけスタッフを集中的に配置する。 会議後に会見した組織委の森… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:432文字/全文:986文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中傷ツイート裁判で勝訴 伊藤詩織さんが語った意義
性被害を訴えるジャーナリスト伊藤詩織さんに対するツイートをめぐり、伊藤さんが東大大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授だった大澤昇平氏を訴えた裁判で、東京地裁は6日、大澤氏に33万円の賠償と投稿の削除を命じた。伊藤さんは判決後に都内で会見し、「言葉が誰かを追い詰めてしまうことが伝わってほしい」と語った。 伊藤さんは2017年、顔と名前を出して自らの性被害を訴えた。この日の会見では、「どんな問題も、こういった問題があると(社会が)知らなければ解決できない。経験しなければわからないことだったから話した」と振り返った。 だがその後、SNSでの批判的な投稿などが相次いだ。 東大院の元特任准教授「男にとって敵でしかないわ」 大澤氏は20年6月、相次い… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:846文字/全文:1176文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静岡県、盛り土の「危険性の認識ない」 熱海市の土石流
2021年7月6日 19時15分 静岡県熱海市で起きた土石流の最上流付近にあった盛り土について、県幹部は6日、報道陣の取材に「(原因になり得る)危険性を持っていたという認識はない」との見解を示した。盛り土の開発行為が不適切だったという認識も、現時点ではないという。 この日、報道陣の取材に太田博文危機管理部長が答えた。太田部長は「盛り土が原因というよりも、一義的には異常気象が被災の原因だと思っている」と説明。「盛り土の危険性を認識していたら、放置しておくというのは考えにくい」とも強調した。 県によると、2010年以降の国土交通省のデータなどから、盛り土は約5万4千立方メートルあったと推定され、この盛り土を含めた10万立方メートルが崩落した可能性があるとしている。 県は盛り土が崩れて土石流が大規模化したとみており、盛り土と土石流の関連を調べる方針だ。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル