会員記事 斉藤佑介、遠田寛生、吉沢英将2021年7月26日 18時30分 東京オリンピック(五輪)のトライアスロン競技が開かれている東京・お台場海浜公園では大会前、海水の「トイレ臭」が心配されてきた。競技が始まり、実際どうなっているのか。 夏空が広がった26日午前6時半分すぎ、男子トライアスロンが始まった。水温は29・9度と気温より3度高い深緑色の海に、選手51人が勢いよく飛び込んだ。 初日は晴れ、臭いは…… 日本代表の小田倉真選手は試合後、「(臭いは)全くなかった」と振り返った。「海外で『それなり(の臭い)』のコースを経験しているので、全然泳ぎやすかった」と話す。 ハンガリーのタマス・トス選手も「オープンウォーター(海)はプールじゃないのでどこでも臭いはある。気にならなかった」と語った。 会場となったお台場の海は以前から「トイレ臭」が指摘されていた。2019年8月、同じ会場で行われたオープンウォータースイミングのテスト大会で、参加選手が「トイレのような臭さ」と表現した。トライアスロンでも当時、大腸菌類の数値が基準値を超え、1・5キロのスイムが中止となった。 悪臭の原因は、汚水だ。東京… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:435文字/全文:905文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「奄美・沖縄」世界自然遺産に登録 延期勧告を乗り越え
奄美大島最高峰の湯湾岳(奥)。下は宇検村の集落=2021年7月15日、鹿児島県、朝日新聞社機から、堀英治撮影 [PR] 世界遺産委員会は26日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)をユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界自然遺産に登録すると決めた。世界的に希少な固有種や絶滅危惧種が多く、豊かな生物多様性を守るために重要な地域であることが評価された。国内の自然遺産は2011年の小笠原諸島(東京都)に続いて5件目となった。 【写真まとめ】奄美のベストな自然を紹介 貴重な生き物 「奄美・沖縄」は琉球列島のうち、鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島北部(やんばる)と西表島の四つの地域。諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)が今年5月、「登録が適当」と勧告していた。 【写真まとめ】西表島の生き物 マングローブのツアーも 【写真まとめ】目にすることのない徳之島の固有種を公開 約200万年前までにユーラシア大陸から離れた後、島が形づくられていく中で孤立した生き物が独自に進化し、固有種が多い。奄美大島と徳之島だけにいる国の特別天然記念物のアマミノクロウサギや、西表島のイリオモテヤマネコ、沖縄本島北部にいる飛べない鳥ヤンバルクイナなど絶滅危惧種は95種に上る。 政府は17年に初めて自然遺産に推薦したが、IUCNは抜本的な見直しを求める「登録延期」を勧告した。政府は指摘をふまえて、絶滅危惧種の保護のために米軍北部訓練場の返還地をやんばる国立公園に指定して推薦地域に組み入れた。飛び地をなくして、まとまった保護地域を広げるなどの対応をとり、19年に再び推薦した。 国内の世界自然遺産は、他に1993年登録の屋久島(鹿児島県)と白神山地(青森、秋田両県)、2005年の知床(北海道)、小笠原諸島がある。他に有力な候補地はなく、奄美・沖縄が最後の自然遺産になる可能性が高い。(川田俊男) 奄美・沖縄、最後の自然遺産の可能性 過剰利用が課題 開発優先の空気、写真家は異を唱えた 守られた奄美の森 「降ってわいた」国内初の世界遺産 屋久島が投じる一石 「住民が守り手になるべきだという世界の潮流。今回はその象徴」 筑波大大学院の吉田正人教授… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
偽ブランド品取引に事務所使わせた疑い 弁護士を逮捕
2021年7月27日 6時30分 高級ブランド品の偽物の取引で自らの弁護士事務所を使わせたとして、愛知県警は26日、同県一宮市桜2丁目、弁護士矢田政弘容疑者(69)を商標法違反(侵害とみなす行為)の幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕し、発表した。 生活経済課によると、矢田容疑者は今年1月8日、一宮市内の事務所宛てに届いたルイ・ヴィトンの偽物のハンドバッグ2個が質入れされるのを知りながら、保管するなどした疑いがある。別の偽物バッグ2個を同月19日に浜松市内の質屋に持ち込み、現金45万円をだまし取ったとして、無職鈴木和也(36)=一宮市=、自営業渡辺啓太(35)=住居不定=、職業不詳小林佑紀(38)=住居不詳=の3容疑者も詐欺と商標法違反の疑いで再逮捕された。県警は4人の認否を明らかにしていない。 県警は、鈴木容疑者が仕入れ役で、偽物を中国から弁護士事務所宛てに配送。渡辺容疑者と小林容疑者が受け取って質入れする「売り子」役だったとみている。昨年8月~今年6月、愛知、岐阜、静岡、大阪の4府県の質屋など計30店舗で、高級ブランド品の偽物が持ち込まれたなどの相談が54件(約4200万円分)寄せられているといい、関連を調べている。 関係者によると、鈴木容疑者は百貨店商品券の偽物を密輸したとして、昨年3月に名古屋地裁で懲役2年8カ月の実刑判決を受け、控訴後に保釈されていた。 矢田容疑者は1989年に一宮市議補選で初当選。99年の同市長選で落選した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手錠と腰縄の被告の姿は当たり前? 日弁連が動画で異論
阿部峻介2021年7月26日 18時47分 手錠と腰縄をつけた姿を法廷でさらされないよう、裁判官は配慮して――。そんなメッセージを込めたドラマ仕立ての動画を、日本弁護士連合会が作ってユーチューブで公開している。「推定無罪」の原則にも悪い影響があるとして問題提起する内容だ。 「さらされたくない」との訴えがきっかけ 刑事裁判を受ける被告の手錠と腰縄は、逃亡防止のために刑務官が装着させることができる。裁判の間は外さなければならないが、慣例で入退廷の時は装着したまま。その姿を傍聴人らに見られたくないとの理由で被告が出廷を拒んだ2014年の大阪地裁の裁判をきっかけに、弁護士らの間で疑問視する声が上がっていた。 こうした動きを受け、大阪の弁護士たちが中心となり、劇団の協力を得て7分52秒の動画を作った。場面は、知人に借金を返すよう求めたら「脅した」として逮捕・起訴された被告の裁判。被告は法廷につながるドアの前で手錠・腰縄を外すよう刑務官に懇願する。受け入れられずに入廷し、傍聴席の娘に声をかけられて顔をそむける。初めて傍聴に来た男性は「まるで犬の散歩」「どうせ犯罪者や」と心の中でつぶやき、裁判官が解錠を指示する。 ついたて内で着脱の対策も、広がらず…… 作製した日弁連の「手錠・腰縄問題プロジェクトチーム」によると、法廷内についたてを置いて裁判官や傍聴人の目に触れずに着脱させたり、解錠後に傍聴人を入れたりする裁判所もあったが、広がりを見せていないという。 動画に裁判官役で登場する日弁連人権擁護委員会の太田健義副委員長は「さらしもののような姿は誰も見られたくないし、家族も見たくない。心の痛みに配慮すべきだということをわかりやすく伝えたかった。裁判官は想像力を働かせ、対応してほしい」と話す。動画のタイトルは「この姿 見られたくない 見たくない」。アドレスはhttps://www.youtube.com/watch?v=tWUUxPftsZc。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
開発優先の空気、写真家は異を唱えた 守られた奄美の森
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ワクチン証明、使えるのは5カ国 簡単に増やせない事情
海外渡航者向けに新型コロナウイルスワクチンを接種したことを証明する「ワクチン証明書」の申請受け付けが26日、全国の市区町村で始まった。渡航先で入国後の隔離や陰性証明の提出が免除されるが、現状でこうした使い方ができるのは5カ国にとどまっている。 希望する人は、自身のワクチン接種券を発行した市区町村で申し込む。窓口や郵送での申請となるが、自治体ごとに対応は異なる。接種券や接種済み証、パスポートなどが必要。証明書はA4サイズ1枚で、氏名や接種を受けたワクチンの種類、接種年月日が記載される。発行手数料は無料。 証明書があれば、イタリアでは10日間の隔離などが、トルコでは入国時のPCR検査による陰性証明書の提出が免除される。ほかの3カ国はオーストリア、ブルガリア、ポーランド。 また、韓国では隔離免除に必要な書類のうちの一つとして扱われる。エストニアは証明書を認証するが、隔離などは接種の有無にかかわらず不要としている。 一方、日本への入国者は証明書があっても隔離免除などを受けられない。外務省幹部によると、シンガポールなどは日本に対し、証明書による入国規制緩和をお互いに行うよう求める立場。こうした外交上の「相互主義」もあり、日本の証明書が使える国を大幅に増やすのは簡単ではないという。(佐藤達弥) 「ある方がベター」即日交付に30人申し込み MBA(経営学修士)取得の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:762文字/全文:1354文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奄美・沖縄、最後の自然遺産の可能性 過剰利用が課題
日本で初の世界自然遺産である白神山地と屋久島が登録されたのは1993年。その後、2003年に政府の検討会で挙がった19地域のうち「世界自然遺産の価値がある可能性が高い」として候補に選ばれたのが知床、小笠原諸島、奄美・沖縄(琉球)の3地域だった。政府は順に推薦し、05年に知床、11年に小笠原諸島が登録された。 03年の検討会以降も他の地域について分析・調査がなされたが、新たな候補地はなく、奄美・沖縄は最後の自然遺産になる可能性が高いという。 登録されるには、他にはない特徴や価値が求められる。世界の陸域を植物や動物の分布などで区分すると、日本列島は五つの地区に分かれる。世界自然遺産に登録された5カ所は、それら五つの地区にそれぞれ位置づけられる。新たな地区が自然遺産として認められるには、すでに登録された5カ所とは異なる価値を証明する必要があり、難しいという。 今後は登録された五つの自然… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:227文字/全文:626文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
身近に世界遺産、車への関心低い生物 ひかないためには
イリオモテヤマネコの事故件数を知らせる看板。その後ろに設置されているのが、路上への進入を防ぐ黒い柵=2021年7月17日午後3時36分、沖縄県・西表島、外尾誠撮影 世界自然遺産への登録が決まった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」。知床(北海道)など登録済みの国内のほかの遺産地域と比べ、多くの人が暮らす生活圏に近いのが特徴だ。希少動物に出会える機会に恵まれる半面、車でひいてしまう「ロードキル」が課題となっている。各島で対策の模索が続く。 「時速57キロ。制限速度は40キロだから速すぎる。これでは路上の生き物に気づけない」 7月17日夜、沖縄県・西表島(竹富町)の県道。NPO「トラ・ゾウ保護基金西表島支部」事務局長の高山雄介さん(40)が、通過する車の速度をスピードガンで測り、メモに残した。 世界でこの島だけに生息するイリオモテヤマネコの事故を減らそうと、NPOが10年前から続ける「やまねこパトロール」。事故が多い場所と時間帯に年100日ほど、住民ボランティアとともに黄色灯を回転させながら車を走らせる。路上にヘビやカエルがいたら取り除く。「食べにきたヤマネコがひかれないようにね。特に子ネコは車への警戒心が薄いから、人が気をつけないと」と高山さん。 イリオモテヤマネコの事故防止パトロールで、通過する車のスピードを計測する高山雄介さん=2021年7月17日午後8時24分、沖縄県・西表島、外尾誠撮影 ヤマネコの推定生息数は約100匹。事故は2000年代までは年平均2匹弱だったが、10年代から4~5匹に。車の通行量の増加や路上のエサ場化、人慣れ……。原因ははっきりしないが「(個体数への)大きなダメージになりかねない」と環境省西表野生生物保護センターの担当者は話す。 交通事故で死んだイリオモテヤマネコ=沖縄県・西表島、環境省西表野生生物保護センター提供 「事故が起きやすい、大きな課題」 事故でけがをしたヤンバルクイナを治療する長嶺隆さん=2021年7月14日午後5時49分、沖縄県うるま市、外尾誠撮影 ヤンバルクイナにノグチゲラ… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1269文字/全文:1892文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「降ってわいた」国内初の世界遺産 屋久島が投じる一石
「奄美・沖縄」は国内最後の世界自然遺産とされる。そこから北にいくと「洋上のアルプス」と称され、豊かな森が広がる屋久島(鹿児島県)がある。1993年に国内初の自然遺産に登録されると、多くの観光客が訪れた。島はにぎわったが、問題も起きた。登録後の島の歩みは世界遺産のあり方に一石を投じている。 《人類共通の財産として末永く受け継ぎ、登山者のみなさまに安心で安全な自然体験を提供するため――》 縄文杉に向かう荒川登山口に「入山協力金」の支払いを求める看板が立つ。 協力金は国や屋久島町などでつくる屋久島山岳部保全利用協議会が2017年に導入した。中学生以上の登山者から日帰りで千円、山中泊で2千円を任意で集める。登山道整備や山小屋のトイレにたまったし尿の搬出などに使われる。 樹齢千年を超す屋久杉の森や、海岸から山岳部に続く「垂直分布」と呼ばれる多様な植生が評価され、屋久島が白神山地(青森県、秋田県)と共に世界遺産に登録されたのが93年。日本が世界遺産条約を締結した翌年だった。 「国や県が主導した登録で、突然降ってわいた話だった。地元は準備も対策もできていなかった」。森林伐採に反対する「屋久島を守る会」の代表だった兵頭昌明(まさはる)さん(79)は振り返る。 世界遺産の効果で、93年度に約20万人だった入り込み客は徐々に増え、03年度に30万人、07年度に40万人を超した。問題になったのが、島のシンボル「縄文杉」への観光客の集中だった。登録時には100人に満たない日が多かった登山者が、ピーク時には1日千人超が押し寄せた。片道5時間の登山道は渋滞して人が数珠つなぎになり、トイレは1時間待ちの時も。 木の根が踏み荒らされた縄文杉の周辺には展望デッキが設けられた。山中に埋めていたし尿は、処理量が増えたため人力の搬出に切り替えた。搬出作業の費用を当初は寄付金で賄おうとしたが赤字が続き、入山協力金を徴収することになった。 屋久島観光協会の元会長、松本毅さん(64)は、下り坂の林業から観光中心の島に転換した地域振興の「世界遺産効果」を認める一方、登録から派生して起きた様々な問題について「第1号の宿命だが、事前に予想ができずにすべて後手に回った」と話す。 町は11年、縄文杉周辺の立ち入りを「日帰りで1日360人」と規制する条例案を提出したが、観光への影響の懸念は根強く、町議会は全会一致で否決。自然の「保護と利用」のバランスをめぐって、足並みがそろわない島の状況を表す一幕もあった。 ブームが落ち着くと入り込み客は減少傾向となり、19年度には約25万人に。縄文杉をめぐる混乱もほぼ解消され、人数制限の問題は棚上げされたままだ。 一方で、検討に約10年を要した観光ガイドの登録・認定制度の他、登山口への車両乗り入れ規制や入山協力金など、徐々に進む対策もある。 屋久島は今年4月、「世界トップ25」の国立公園をめざす重点地域として、国内5カ所のうちの一つに国から選ばれた。地域の価値を高めるため、縄文杉頼みではない観光のあり方が改めて検討されている。 自らもガイドを務める松本さんは「一本の木がすごいのではなく、それを育んだ島の自然全体のすごさを伝えたい」と訴える。 「奄美」の遺産登録で、鹿児島県には全国で唯一、二つの世界自然遺産が並び立つ。屋久島観光協会は「客が奄美に流れるのではという懸念の一方で、周遊を促して相乗効果を図ろうという機運もある」と話す。新たな登録地の誕生が、先進登録地にも刺激を与えそうだ。(奥村智司、屋久島通信員・武田剛) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】奄美のベストな自然を紹介 貴重な生き物
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