スリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんの死亡について、出入国在留管理庁(入管庁)が10日に公表した最終報告書の要旨は以下のとおり。ウィシュマさんは「A氏」と表記されている。 【はじめに】 2021年3月6日、名古屋出入国在留管理局(名古屋局)に収容されていた30歳代女性、スリランカ国籍のA氏が死亡した。入管庁では調査チームを発足させ、4月9日に中間報告を公表した。その後、職員、医師、A氏の元交際相手など関係者計63人から延べ139回聴取した。 【事実経過】 ●収容に至る経緯 A氏は17年6月29日にスリランカから入国。在留資格は「留学」、期間は1年3カ月、所属機関は千葉県の日本語学校。12月ごろ、アルバイト先で知り合ったスリランカ人男性(B氏)と交際するようになった。 A氏は18年1月までは月1日程度しか学校を欠席しなかったが、5月以降は授業に出なくなり、同校は6月25日にA氏を除籍。4月以降、静岡県内でB氏と同居して自動車部品工場で働き、9月に難民認定申請。9月以降、県内の弁当工場で働いた。19年1月、在留期間更新不許可処分がされて在留資格を失い、不法残留となった。 A氏は20年8月19日、県… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:2715文字/全文:3227文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学サッカー部員が逮捕をアシスト 「DF経験生きた」
森下友貴2021年8月10日 10時30分 7月1日夕方、埼玉県川越市内の駄菓子屋に、市立城南中3年の柳川貴音(きお)さん、林皆人(みなと)さん、田中譲士(じょうじ)さんが集まっていた。3人はサッカー部員。この日は部活動がなく、お菓子を買った後に林さんの家で遊ぶ約束をしていた。 駄菓子屋から50メートルほど先の路地で、警察官に追われる黒っぽいTシャツ姿の男が目に入った。男は駆け足で、3人のいる方向に逃げてきた。「悪いことをした人かな」。林さんの体がとっさに動いた。冷静に手元に凶器がないことも確認すると安心できた。「捕まえてやる。逃げられたくない」 車1台がやっと通れるほどの道で両手を広げ、行く手を阻んだ。一直線に向かってきた男は、少しひるんだ様子で減速。「僕は何もしていない」と言葉を発したが、逃げられないように男の体を押して道の端に追いやり、逃げ場を塞いだ。 柳川さんはとっさのことで頭が混乱しながらもスマホで110番通報。すぐに3人の元に警察官が駆けつけた。川越署によると、男は外国人で、民家の敷地内に侵入したとして住居侵入容疑で現行犯逮捕された。 男はこの日、川越市内のスーパーで万引きした疑いがあるとして警察官に職務質問されている最中に逃走。民家の敷地内に隠れるなどした後、3人と遭遇した路地に逃げ込んだ。 3人には小川英規署長から感謝状が贈られた。林さんは「半身になって相手を追い込むサッカーでのディフェンスの経験が生きました」。柳川さんは「これからも防犯に協力したい」。田中さんも「感謝状をもらえて、ありがたいです」と話した。(森下友貴) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かつて東洋一の水上公園 コロナ禍、さよならも言えず幕
小林祝子2021年8月10日 10時30分 多くの埼玉県民に親しまれた県営さいたま水上公園(上尾市日の出2丁目)のプールが今夏、半世紀にわたる歴史に幕を下ろす。最後は歓声を響かせたい。関係者は新型コロナウイルスの感染対策を徹底して営業するつもりだったが、そこに「第5波」到来。公園を管理する県公園緑地協会には惜しむ声が寄せられている。 さいたま水上公園は1971年7月、県誕生100年を記念し、県内初の水上公園として開業した。7ヘクタールの敷地に七つの屋外プールを備え、ひと夏で80万人以上が訪れたこともある人気施設だった。近年は形の違う三つのプールと高さ10メートルのウォータースライダーで営業。7月末~8月末にオープンし、ここ数年は期間中5万~6万人が訪れていた。 5年ほど前から配水管など施設の老朽化を理由に営業終了が検討され、7月、今年度限りでの閉園が正式に決まった。新型コロナの影響で昨夏営業ができなかっただけに、今年は入場制限など感染対策をした上で最後の営業をする予定だった。ところが、7月半ば以降、県内でも感染者数が急増。「しらこばと」(越谷市)など他の水上公園とともに急きょ2年連続での営業中止となった。 県公園緑地協会には、閉園と営業終了が明らかになって以降、「昨年も行けなかったので最後にぜひ遊びたかった」「寂しい」などの声が多数寄せられているという。担当者も「園内に過去の写真を飾るなど、最後の年を記念して営業するつもりでいたので大変残念」と肩を落とした。 県によると、プールは今後取り壊し、別のスポーツ施設に生まれ変わらせる予定という。 事前購入のチケットは31日まで、購入した店で払い戻しを受けることができる。問い合わせ先は県公園緑地協会(048・640・1593)。(小林祝子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「闇市に立つ少年」は私です 名乗り出た男性の終戦後
終戦直後の千葉市内の様子を紹介するときに必ず使われる写真がある。「闇市に立つ少年」と呼ばれる写真だ。この少年を「私です」という男性が同市稲毛区に健在でいる。どのような経緯で撮影されたのか。戦後の混乱、復興をどう経験してきたのだろうか。 写真の少年を自分だと証言するのは稲毛区の石井進さん(91)。写真を管理する千葉市によると、撮影記録はなく詳細は不明だが、場所は現在の千葉銀座通り(中央区)にあった闇市、1946年秋ごろに撮られたとみられる。 50年前に市が作成した書籍に掲載され、その後も終戦直後の市内の様子を伝える際に繰り返し引用された。写真の存在は書籍を見た知人からの連絡で知ったという。「一目で自分だと分かり驚いた」が、数年前まで名乗り出ることはしなかった。 通っていた県立千葉工業学校から県庁そばの魚屋に間借りしていた自宅に帰宅中に撮られたという。制服を買う余裕はなく、着ているのは払い下げの軍服。終戦時のポツダム宣言にちなみ「ポツダム服」と呼ばれていた。手元にある同級生との写真でも、周囲が詰め襟姿の中、1人この服だ。 写真の焦点は背景の闇市に合わされているため、少年の表情は不鮮明だが、全身から厳しい雰囲気が漂う。このころ石井さんはまだ戦後の混乱の中にいた。生活を一転させたのは、1945年7月7日の米軍による千葉空襲だ。 空襲時、現在の京成千葉中央駅西側にあった自宅にいた。未明の警報で庭に飛び出し、両親に「こっちに来ないか」と声を掛けた瞬間、近くに焼夷(しょうい)弾が落ちた。周囲は火に包まれ、海辺の神社まで1人で逃げた。深夜から雨になり、海を眺めて過ごした。 夜が明けて街に戻ると、焼け… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:745文字/全文:1455文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
青森・風間浦で700人孤立の恐れ 北海道・東北で大雨
山岸玲、土肥修一、大西英正2021年8月10日 11時51分 【動画】温帯低気圧による大雨の青森県むつ市大畑町=安田琢典撮影 台風9号から変わった低気圧の影響で10日、北海道や東北を中心に大雨となった。青森県七戸町では河川で洪水が起きたとして、避難情報の中で最も危険度が高い「緊急安全確保」(レベル5)が出された。 気象庁によると、10日午前9時までの24時間降水量は北海道函館市で289・5ミリと、観測を始めた2003年以降で史上最多に。岩手県普代村で226・5ミリ、青森県平内町は167・0ミリと8月では観測史上最多となった。低気圧は10日に東北を通過して日本から遠ざかるとみられるが、同庁は土砂災害への警戒を呼びかけている。 大雨の影響で、青森県むつ市では10日朝、小赤川にかかる小赤川橋が崩落したほか、風間浦村の国道279号で土砂崩れが数カ所発生。県によると、村民約700人が孤立している恐れがあるという。同県七戸町は午前8時40分ごろ、倉岡川目地区の一部(96世帯計225人)に緊急安全確保を出した。 岩手県では10日朝時点で、洋野町で2棟、宮古市で1棟が床下浸水した。JR東日本盛岡支社によると、八戸線の久慈―階上間で線路に土砂が流れ込み、10日は終日運休することを決めた。 気象庁によると、11日午前6時までの24時間雨量の予想は多いところで、北海道200ミリ▽北陸180ミリ▽東北150ミリ。最大風速は北海道で25メートル、東北と北陸で23メートルが予想されている。(山岸玲、土肥修一、大西英正) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ローマ字教え、クビになった戦前 再評価のいま漂う空気
朗読劇のクライマックス。取り調べシーンに観客約500人は息をのんだ。 取調官 ローマ字を流通させ、日本語をなくし、教育勅語を読めなくして国体概念を消滅させようとしているんだよな。 斎藤 日本語がいらないなんて言っていない。 取調官 転向しろ。すぐに帰してやる。奥さんや娘と会いたくないか。転べ。 斎藤 断る。 7月31日、山形市の市民会館大ホール。斎藤秀一(ひでかつ、1908~40)という言語学者をめぐる朗読劇が上演された。斎藤は戦前、国語のローマ字化を訴えた。5回検挙されても自説を曲げなかった。 朗読劇の佳境は1930年代後半。共産党組織を壊滅させた治安維持法が自由主義者、反戦論者、宗教団体を次々と標的にしていった時代だ。 軍国主義が広まった戦前・戦中にも、反戦を訴えたり、体制に異を唱えたりする人たちがいました。その足跡をたどると、思想や信条を自由に口にできない戦争の実相の一つが見えてきます。記事後半では、斎藤がローマ字化を訴えた理由や、「再評価」が進む時代の空気をひもときます。 朗読劇の演出を手がけた廣野… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1558文字/全文:1895文字 *知る戦争 平和への思いを若い世代へ託そうと、発信を続ける人がいます。原爆や戦争をテーマにした記事を集めた特集ページです。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
テレ朝社員ら五輪打ち上げで宴会 退店時1人転落、搬送
弓長理佳2021年8月10日 15時21分 テレビ朝日は10日、同社の東京オリンピック(五輪)の番組担当スタッフ10人が、閉会式のあった8日夜から9日未明に打ち上げとして飲酒を伴う宴会を開き、社員1人が店外に転落して緊急搬送されたと発表した。経緯を調べ、関係社員の処分も含め対応を検討するという。 同社広報部によると、10人は同社スポーツ局の社員6人、社外スタッフ4人で、東京都渋谷区のカラオケ店で宴会をしていた。退店しようとした際にスポーツ局員が転落して足を負傷し、入院しているという。 緊急事態宣言に伴う各種の要請が出ていることに加え、同社は宴席を禁じる社内ルールも定めていたという。同社広報部は「不要不急の外出等の自粛を呼びかける立場にありながら著しく自覚を欠く行動があったことは大変遺憾であり、深く反省しています」と謝罪するコメントを出した。(弓長理佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北関東道4人死傷事故で幅寄せした疑い、54歳男を逮捕
松田果穂2021年8月10日 19時06分 群馬県伊勢崎市の北関東道で昨年、乗用車が伊勢崎インターチェンジ(IC)の分岐のガードレールに衝突して4人が死傷した事故があり、群馬県警は10日、幅寄せして事故を誘発した上で逃走したとして、栃木県真岡市の建設会社社長、増山邦夫容疑者(54)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)と道路交通法違反(救護義務違反)の疑いで逮捕し、発表した。増山容疑者は「今は何も語りたくない」と認否を留保しているという。 県警によると、増山容疑者は昨年12月13日午前3時50分ごろ、伊勢崎市の北関東道の追い越し車線を乗用車で走行中、左側の走行車線を走っていた乗用車に幅寄せするよう斜めに走って事故を引き起こし、4人を死傷させ、そのまま逃げた疑いがある。 当初、単独事故とみられていたが、助手席に乗っていた女性が「並走していた車に急に幅寄せされた」と証言。遺族らが県警に事故の原因究明を求める上申書を提出した。県警は幅寄せしたとされる車両の特定を進めていた。 県警によると、防犯カメラの映像などから車を突き止め、増山容疑者を特定したという。(松田果穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
事故当時、バス車内50度以上か 園児死亡で県警が再現
島崎周、杉山あかり2021年8月10日 19時24分 福岡県中間市の双葉保育園で男児が送迎バスに閉じ込められて死亡した事故で、福岡県警が行ったバスの再現実験で、車内の温度が50度以上になっていたことが捜査関係者への取材でわかった。県警は、バス車内が大人でも耐えられない高温になっていたとみて、業務上過失致死の疑いで調べている。 園児の倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)は7月29日、送迎バスが園に到着した午前8時35分ごろから車内に取り残され、午後5時15分ごろに発見された。死亡推定時刻は午後1時ごろとみられる。 県警は今月5日、当時の状況を再現するため、園駐車場にバスを止め、炎天下でドアや窓を閉めきった状態で朝から夕方まで温度の変化を調べた。捜査関係者によると、車内温度は午前11時ごろには40度を超え、その後最高で50度以上にまで上がったという。 気象庁によると、中間市に隣接する北九州市八幡西区では、7月29日午前11時に最高気温の33・1度を記録。8月5日も午前10時50分に同じ33・1度になった。県警は事故当時も同じように車内温度が上昇したとみて、今後も実験を行って分析する方針。(島崎周、杉山あかり) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長崎県、IR事業者にオーストリア系の企業を選定方針
安斎耕一2021年8月10日 19時30分 長崎県は10日、同県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」に誘致をめざす、カジノを含む統合型リゾート(IR)の運営事業者について、オーストリアの国営企業傘下の企業「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」(本社・東京)を優先交渉権者に選んだと発表した。月内にも基本協定を結び、運営事業予定者として正式決定する方針。 長崎県は、応募のあった5社を審査委員会で3社に絞り込み、プレゼンテーションによる2次審査を実施。IR区域全体の整備方針や事業運営能力、ギャンブル依存症対策などを審査し、今月6日付で同社を選んだ。同社の親会社である「カジノ・オーストリア・インターナショナル」は、欧州を中心に世界35カ国で215のカジノを運営した実績があるといい、県IR推進課は「事業展開の実現可能性が評価された」と説明した。 県の基本構想では、ハウステンボスの敷地の一部約31ヘクタールに国際会議場を備えたMICE施設や宿泊施設、カジノなどを整備する。建設投資額は最大4600億円を見込む。IRによる九州圏内への年間集客人数は延べ690万~930万人と想定している。 県は、同社が事業予定者に決まり次第、IRの区域整備計画を策定して来年4月28日までに国に提出し、整備認可をめざす。大阪府・市、横浜市、和歌山県も誘致計画を進めており、国は今年10月から申請を受け付け、最大3地域を選ぶ。(安斎耕一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル