東郷隆、大久保貴裕2021年8月20日 20時30分 2019年の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、議員の疑惑などを調べる広島県議会の政治倫理審査会は20日、現金を受け取ったとされる自民系の県議ら13人全員を文書警告にすると決めた。最も重い辞職勧告を求める意見も出たが、「厳しい措置は難しい」などと主張した自民党が押し切る形となった。 13人は、元法相の河井克行被告=公職選挙法違反罪で有罪判決、控訴中=と、妻で前参院議員の案里氏=同法違反罪で有罪確定=から、10万~200万円の現金を受け取ったとされる。審査会は各会派の県議12人で構成され、この日は非公開で行われた。 出席議員によると、審査会は、これまでの夫妻の裁判で13人への買収罪が認定されたことを踏まえ、「公正を疑われる金品の授受があった」と判断し、県議会政治倫理条例に違反したと認定した。 条例に基づく措置は、辞職勧告▽本会議や委員会への出席自粛▽常任委員長などの役職辞任▽全員委員会での陳謝▽文書警告▽条例の遵守。野党会派は最も重い辞職勧告を求めたが、最大会派の自民党の委員からは、文書警告より重い措置を求める声は上がらなかったといい、最終的には、野党側も含め、全会一致で文書警告に決めたという。 野党議員は取材に「じくじたる思いだが、13人の条例違反を議会として認定することを重視した」と述べた。委員長を務める野党会派の中原好治県議は「(委員の)構成が結果に影響した」と述べた。自民県連関係者は「不起訴になった者に辞職を求めるのは筋が通らない。早くケリをつけ、(衆院選の)選挙態勢を立て直したい」と語った。 広島大大学院の新井誠教授(憲法学)は「議会として自浄能力を発揮したかどうかは、次の選挙の結果で評価される。今度は県民の見識が問われることになる」と指摘した。 河井夫妻から現金を受け取ったとされる県議らをめぐっては、不起訴処分を不服とする広島市の市民団体が東京検察審査会に審査を申し立てている。(東郷隆、大久保貴裕) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
内部通報者を保護する指針公表 消費者庁
前田朱莉亜2021年8月20日 20時30分 消費者庁は20日、企業などの不正を内部通報した人を保護するための指針を発表した。減給や降格など、通報者に対して不利益な扱いをした役員らについては、懲戒処分などの措置をとることとした。公益通報者保護法の改正に伴うもので、改正法は来年6月までに施行される。 有識者らが具体的な保護強化策を検討していた。指針では役員らへの処分のほかに、通報を受け付ける窓口の担当者を書面などで定めると規定。さらに、企業幹部らからの独立性を確保した体制を整備することとした。違反した場合は助言や指導、勧告を行い、勧告に従わない場合は事業者名を公表する。 改正法では、従業員が300人を超える事業者に通報を受け付ける窓口の整備を義務づけており、担当者には守秘義務が課されている。通報者の情報を漏らすなどした場合、30万円以下の罰金。300人以下の場合は努力義務とする。(前田朱莉亜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
富士急「ド・ドドンパ」で4人骨折 21日立ち入り調査
三ツ木勝巳2021年8月20日 20時49分 山梨県は20日、富士急ハイランド(同県富士吉田市)の遊戯施設「ド・ドドンパ」で昨年12月~今月12日、利用客4人の首や胸の骨が折れる事故があったと発表した。富士急から17日に報告を受けたという。県と国土交通省の事故調査部会は事故要因を究明するため、21日に立ち入り調査する。 県によると、30代後半から50代後半の男女4人が、全治1~3カ月のけがをした。県は富士急からの報告が遅れたとみており、再発防止策の徹底を求める考えだ。 富士急によると、けがの報告があった日の点検では機器の異常はなかったという。安全のためにヘッドレスト部分に頭をつけるよう促しているが、負傷した人の証言では「頭を離していた」というものもあるといい、「負傷が機種自体の問題と確認するに至っていない」としている。12日から運休し、車両などを総点検している。(三ツ木勝巳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛知で緊急事態宣言を要請 三重知事も要請の可能性示唆
新型コロナウイルス感染者は愛知県で20日、1347人と過去最多(18日1227人)を更新し、3日連続で1千人を超えた。うち名古屋市も434人で過去最多となった。感染急拡大が止まらず、大村秀章知事は「緊急事態宣言」を出すよう政府に要請した。 今後の病床逼迫(ひっぱく)に備え、県は確保したとするコロナ専用病床1570床について、85%以上(重症用170床はすべて)を使える状況にするよう医療機関に要請する。宿泊療養施設にするホテルも複数追加する。 宣言要請の意向は18日に政府に伝えていたという。政府と調整し20日の正式要請となったと、大村氏が明かした。決定には国会などの手続きがあるため、宣言期間は27日ごろからになるとの見通しも示した。 宣言が決定すれば、県は感染状況と学校や自治体の実情に応じて夏休みを弾力的に延ばすことを認めるほか、部活動は平日4日まで、土日はやめるよう求める通知を出す考え。練習試合や合宿は自粛を求めるが、すでに決まっている各種大会などは感染対策をしたうえでの慎重な実施を認める方向だ。 ほかに県全域で、飲食店が午後8時までの営業時間短縮と酒類提供の終日自粛を求められるほか、大型商業施設などでの人数制限に取り組むことになる。まん延防止等重点措置の対象地域で実施する対応とほぼ変わらず、感染抑制への決め手を欠く状況に、大村氏は「人流を抑える法制度がないのは政府と国会の責任。五輪をやるならなぜワクチン接種を終わらせられなかったのか。接種開始が1カ月早ければこんなことにはならなかった」と批判した。 三重県も感染者388人で4日連続の過去最多更新。鈴木英敬知事が「この状況が続けばさらに厳しい措置の検討も必要」と述べ、まん延防止等重点措置の区域拡大や緊急事態宣言要請の可能性を示唆した。 「自宅療養者ゼロ」方針の岐阜県も4日連続で300人超の310人を確認。軽症者らの宿泊療養施設(1131床)が21日にも受け入れ可能数を超える恐れがあり、県と岐阜市の職員や看護師からなる自宅療養者支援チームを20日に発足させた。(岡本智、大滝哲彰、高木文子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
笑福亭仁鶴さん死去 文枝さんやきよしさんらが悼む
【動画】幅広い世代に親しまれた笑福亭仁鶴さんの人生を振り返る=朝日新聞、朝日放送テレビ共同制作 「四角い仁鶴がまぁーるくおさめまっせ~」のフレーズで親しまれた落語家でタレントの笑福亭仁鶴(しょうふくてい・にかく、本名岡本武士〈おかもと・たけし〉)さんが17日、骨髄異形成症候群で死去した。84歳だった。葬儀は近親者らで営んだ。 NHKのテレビ番組「バラエティー生活笑百科」の司会を、1980年代から30年以上務めた上方落語界の重鎮。2005年には、所属する吉本興業の特別顧問に就任するなど、吉本芸人の中心的存在を担っていた。 70年代 不動の人気 大阪市生まれ。ラジオの素人参加番組で披露した落語の腕前が評判となり、62年に25歳で六代目笑福亭松鶴(しょかく)に弟子入りした。ラジオの深夜番組で学生らの人気に火がつき、リスナーから届くはがきを読み上げる猛烈なスピードも話題となった。「どんなんかな~」などのギャグが流行し、69年に始まった「ヤングおー!おー!」をはじめとするテレビ番組で幅広い世代に親しまれた。歌のレコードも出し、映画やCMにも登場。70年代には不動の人気を誇るようになった。 高座でも笑いを誘い、桂枝雀とともに上方を代表する爆笑派として活躍した。戦前の爆笑王だった初代桂春団治のレコードに影響を受け、濁りながらも温かみとおかしみを宿した声と、テンポの良い大阪弁で庶民を描く「初天神」「つぼ算」「不動坊」「青菜」「延陽伯(えんようはく)」「向(むこ)う付け」などの滑稽噺(ばなし)を得意とした。 ここ数年はテレビ番組の収録などに姿を見せなくなり、自宅で過ごしていた。最後に公の場に出たのは、18年10月に京都市で開かれた京都国際映画祭のオープニングセレモニーだった。 74年に上方お笑い大賞、02年に日本放送協会放送文化賞を受賞。弟子に上方落語協会長の笑福亭仁智(じんち)さんらがいる。 笑福亭仁智さん「上方落語の存在知らしめた」 筆頭弟子の笑福亭仁智(じんち)・上方落語協会長の話 亡くなる2日前に、2時間色々なお話をしたばかりなので、びっくりしました。上方落語の存在を全国に知らしめたパイオニアであり、功労者。弟子として少しでもその芸を継承し、功績を顕彰していきたい。まだまだ、相談したいことがあったので、悔しいです。今はゆっくり休んでいただきたいです。 ■六代桂文枝さん「思い出尽き… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1687文字/全文:2650文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宣言、デパ地下を名指し 「買い物超えた場所なのに」
首都圏や大阪府などへの緊急事態宣言が20日、延長され、範囲も広がった。今回の宣言で制限の対象として名指しされたのが百貨店の食品売り場「デパ地下」だ。大阪・梅田の売り場でクラスター(感染者集団)が発生したことなどが影響したが、身近で大切な場の制限に嘆きの声が漏れる。(宮川純一、新谷千布美) 3週間ぶりの再開 20日午前10時、阪神梅田本店(大阪市北区)の地下食料品売り場が3週間ぶりに再開した。「お久しぶりです」「大変でしたね」。店員とそんな会話を交わしながら買い物をする人たち。果物や洋菓子、鮮魚にパンまで並ぶデパ地下の客足は絶えず、夏休み中とみられる親子連れの姿もあった。 7月下旬に新型コロナウイルスのクラスターが発生し、休業した。入場を制限するために、5カ所あった入り口を1カ所に限る。エスカレーターで上階から直接地下には下りられないようにもした。 「再開して良かった。長い間閉まっていたので困っていた」。日常的に利用しているという大阪市北区の会社員の女性(50)は笑顔を見せた。この日は洋菓子を買うつもりという。 同店でイヤリングを購入したという専門学校講師の女性(48)は、地下には行かなかった。「本当はパンも買いたかったけど、やめておいた。コロナ対策にも協力できたらなと思って」 客から感染が広がった可能性指摘 阪神梅田本店では7月末にク… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:1501文字/全文:2085文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
息子の教えを胸に「垂直避難」 広島土砂災害から7年
土砂災害の被災地にある砂防ダムに「忘れまい」の文字が映し出された=2021年8月20日午前1時53分、広島市安佐南区八木3丁目、上田潤撮影 77人が亡くなった広島土砂災害の発生から20日で7年を迎え、広島市の被災地では各地で慰霊の催しが開かれた。安佐南区八木3丁目の砂防ダムでは、土石流が相次いだ時間に合わせて「忘れまい 8・20 伝える」の文字が映し出され、遺族らが黙禱(もくとう)を捧げた。 近くの広島県営緑丘住宅の献花式には、住民ら約40人が参列。犠牲者の名前が刻まれた慰霊碑の前で手を合わせた。 西田一代さん(76)は夫の末男さん(当時63)の名前を見つめ、「空からずっと見守ってね」と語りかけた。新聞配達員だった末男さんは7年前、出勤して約5分後に土砂に襲われたとみられ、約3週間後に自宅から200メートル以上離れた用水路で遺体で発見された。「今でも夫に会いたい」という。先週から降り続く大雨に「嫌でも当時を思い出す。災害でつらい思いをする人が増えないよう、祈るしかありません」と話した。 慰霊碑に献花する人たち=2021年8月20日午前10時15分、広島市安佐南区八木3丁目、上田潤撮影 「俺と同じ失敗はするな。息子にそう言われたような気がした」。広島市安佐北区亀山南の広藤孝子さん(82)は話す。7年前、52人が亡くなった広島市安佐南区八木で一人暮らしをしていた会社員の息子務さん(当時48)を亡くした。 山の斜面に近い一軒家で午前4時ごろ、土砂に襲われたとみられる。土砂から右足だけが出た状態で見つかった。自宅は1階が埋まり、半壊。「2階に避難していれば助かったのに」。広藤さんは悔やむ。 今回の大雨では「すぐに7年前を思い出した」という。玄関に土囊(どのう)を並べ、水が流れ込んでも助かるよう、夜は夫と自宅の2階に「垂直避難」して寝た。深夜に何度も起き、外を確認した。「空振りでも命には代えられない。息子が教えてくれた災害の恐ろしさを痛感した」と話す。 自主防災の取り組みが実を結… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:642文字/全文:1379文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
猫が…入院拒んだ自宅療養の男性死亡 熊本市
熊本市は20日、新型コロナウイルスに感染して自宅療養中だった50代の男性会社員が死亡したと発表した。熊本県内で自宅療養者が亡くなるのは初めて。県内の死者はこれで計122人となった。 市によると、亡くなった男性は今月12日に発熱し、13日に抗原検査を受けて陽性と判明。一人暮らしで基礎疾患があったが、医師から軽症と判断され、自宅療養となった。 保健所が経過を観察していたが、男性は発熱が続き、16日には血中酸素濃度が94%を下回ったため入院を勧めた。しかし、男性は猫を飼っていて預け先がないことなどを理由に拒否。その後も入院や外来診療を拒み続け、18日午後5時15分を最後に連絡が取れなくなった。このため19日に保健所が警察に連絡。警察官が自宅を訪ねたところ、男性が倒れており、死亡が確認されたという。 市内の19日時点での病床使… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:202文字/全文:570文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
笑福亭仁鶴さんの届けたまぁーるい笑い 底抜けの開拓心
大阪の笑いの代名詞といえば、あの四角い顔が浮かぶはず。17日に亡くなった落語家でタレントの笑福亭仁鶴さんは、枠にとらわれることなく、「まぁーるく」温かな笑いを届けた。 高座、ラジオ、テレビと大車輪 子どものころに母を亡くし、少年時代は無口で、高校までは決して目立つタイプではなかった。それが、18歳のころに初代桂春団治の落語をレコードで聞いて人生が一変。噺(はなし)家になると、高座やラジオ、テレビにと活躍の場を広げた。 だれもが笑える自然なおかしみを醸しつつも、先人を敬う姿勢を貫くまっすぐな人だった。「どんなんかな~」「うれしかるかる」……。若き日に人気を集めたギャグは、初代春団治が落語で駆使した擬音語の表現にヒントを得た。売れっ子となると、劇場では名ビラが「仁鶴」と変わるだけで爆笑が起きた。その姿に憧れて落語に興味を持った人は数多く、上方落語の発展に大きな功績を残した。 いくら人気者になっても、先… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:419文字/全文:828文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「9人の乙女」の悲劇悼む ソ連の樺太侵攻で自ら命絶つ
終戦直後、旧ソ連軍の樺太(現サハリン)侵攻を受け、自ら命を絶った女性電話交換手9人らを悼む平和祈念祭が「命日」の20日、稚内市で営まれた。 1945年8月、旧ソ連軍は日本領だった南樺太に侵攻。15日の玉音放送後も戦闘は続き、20日朝に西岸の真岡沖から艦砲射撃を開始。間もなく上陸した。真岡郵便局の女性職員は自決の道を選んだ。 自決した松橋みどりさん(当時17)のめい、吉田理香さん(58)は岩見沢市から車で式典に駆けつけた。 吉田さんは松橋さんの6歳下の妹、木全フミ子さんの長女。フミ子さんは姉の自決の前、家族と小樽港に船で緊急疎開したという。 フミ子さんの話では、事件当… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:412文字/全文:703文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル