大久保泰2021年8月28日 10時00分 千葉県我孫子市で約60年かけて花を咲かせたメキシコ原産の「アオノリュウゼツラン」が22日、伐採された。高さ8メートルまで伸びた珍しい植物を見ようと市内外から多くの人たちが訪れていた。 この日、所有者の椎名恒久(ひさゆき)さん(82)の家族らがチェーンソーやノコギリで切断した。台風シーズンが近づき、倒れるのを防ぐためだ。7月末の台風8号が接近した時からロープで支えていた。椎名さんは「できるだけ多くの人に見てほしかった。このあたりが頃合いかな」と話した。 隣の家の河合正治さん(72)は5月初旬、2階の寝室の窓から、高さ2メートルほどの株から花茎が伸び始めるのに気づいた。以来、「どんな花が咲くのか」と楽しみに見守ってきた。7月中旬から淡い黄色い花が咲き始め、下の方から高さ8メートルほどの所まで約1カ月咲いていたという。 旧水戸街道沿いの空き地に育ったアオノリュウゼツランは、通りかかる人の目に留まり、話題のスポットになった。都内から来た40代の女性は、河合さんに「メキシコに4年住んでいてリュウゼツランはあったけれど、花を見たことがないので来ました」と話したという。 2階の部屋から見せると翌日、お礼にと、リュウゼツランの葉脈から作った魔よけと、お酒のテキーラを持ってきてくれた。リュウゼツランはテキーラの原料として使われている。 伐採作業も見届けた河合さんは「2階から見ていると、多くの見物人がスマホで写真を撮るためにしゃがんで仰ぐようにしているので、拝んでいるように見え、神々しさを感じた」と話す。枯れた花の一部を記念にもらったという。(大久保泰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「いじめ調査迅速に」文科相求める 旭川いじめ問題
本田大次郎2021年8月28日 6時15分 北海道旭川市で3月、中学2年生だった広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会がいじめの有無などを調査している問題で、萩生田光一文部科学相は27日の閣議後会見で、児童生徒課長を市教委に派遣し、速やかに調査を進めるとともに、調査の進み具合を遺族に報告するよう指導したことを明らかにした。 広瀬さんの母親は18日、弁護士を通じ広瀬さんの実名を明かして手記を公表。手記では、広瀬さんは中1の時、深夜に先輩から呼び出されたり、「死にたい」と言い出したりするようになり、学校や市教委に何度も相談したが、いじめは認められなかったと説明。第三者委の調査について「今も違和感と疑問をぬぐい去れない」と記した。 この日の会見で萩生田文科相は母親の手記に触れ、「遺族の意向をうかがいながら調査を迅速かつ適切に進め、第三者委の中立性を担保しつつ、遺族の不安感や不信感を軽減させるため、遺族に進捗(しんちょく)状況をしっかりと報告するよう伝えた」と述べた。 これを受け、市教委は週明けにも黒蕨真一教育長らが記者会見を開き、調査の進み具合を説明するとしている。 第三者委は弁護士や臨床心理士らからなり、6月からいじめの有無や死亡との因果関係、当時の学校や市教委の対応などを調べている。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ボール遊び解禁に歓声 学校始動「備え」と「日常」模索
新型コロナウイルスの感染が子どもにも広がり、夏休みを延長する自治体もあるなか、一部の学校では授業が始まっている。感染をこれまで以上に警戒し、臨時休校への備えもしながら、子どもたちが安心して学べる環境をどうつくるのか。模索が続いている。 「先生、なんかつかない」「どうすればいいの?」 東京都新宿区立早稲田小学校(児童数約600人)の教室で27日、1年生の児童がタブレット端末を操作しながら次々に質問した。休校などでオンライン授業になったときに備え、遠隔会議システム「Teams(チームズ)」の使い方を学ぶ授業だ。 多くの子が無事に接続できたが、アプリが見つからなかったり、「開始」ボタンを押せなかったりして戸惑う子も。対応に追われた担任の小杉香織教諭は「一人でつなぐには、もう少し練習が必要」と話す。 Teamsの練習は、始業前日の24日に宇山幸宏校長が指示した。同校では通信環境の不備などで、1人に1台配備された端末がまともに使えるようになったのは、夏休みに入る少し前だった。操作に慣れていない子や教員がいる。今後、分散登校やオンライン授業になる事態も想定し、備えが必要と判断した。「親が共働きなどで、日中は一人になる子もいる。自分でできるようにしてあげないと」 感染対策を強化、一方で「解禁」も 感染対策は、夏休み前よりも強化した。冷房中も常に窓を開けて換気し、給食は無言で食べるよう徹底。各教室に置いたアルコール消毒液で、たびたび手指の消毒をさせる。 一方で、できるだけ「いつも通り」の学校活動を続けることが大切だと考え、ボール遊びを解禁。伝えると、待ち望んでいた子どもたちから歓声があがった。音楽の授業での楽器演奏も、必要な感染対策をしたうえで復活したいという。始業後、保護者からは「学校が始まってよかった」との声が届くが、休校しないことへの批判は聞こえてこないという。 宇山校長は「コロナ生活は長引くと思う。休校に備えながら、どうすれば通常に近い活動ができるか。工夫していきたい」と話す。 小学生の2割がオンライン授業を希望 すべての小中学生に「1人1… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:310文字/全文:1202文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
淡路島の「観音さん」が解体へ 国が8億円超の税金かけ
バブル期直前、兵庫・淡路島に建てられた「世界平和大観音像」の解体に向けた作業が始まった。高さは約100メートル。展望台を備えた民間の観光施設として注目を浴びたが、この十数年は放置され、倒壊を心配する声が出ていた。国が民法の手続きを経て引き取り、税金を投入して解体する。(徳永猛城) 解体される世界平和大観音像=2020年、兵庫県淡路市、朝日新聞社ヘリから、高橋一徳撮影 淡路島の北東部、海沿いを走る国道28号を南下すると、巨大な白い観音像が見えてくる。5階建ての台座ビルの上に、大阪湾を見下ろすように立っていた。 兵庫県淡路市などによると、地元出身の不動産業者の男性が1982年に建てた。像内部のエレベーターで展望台のある首のあたりまで昇ることができた。男性は周囲に「世界の平和と大阪湾を航海する船の無事を祈願して造った」と話していたといい、元パート従業員の女性(73)は「故郷に錦を飾るという気持ちがあったと思う」と振り返る。 レストランや美術館もあり、地下1階にはクラシックカーが展示されていた。85年には淡路島と徳島をつなぐ大鳴門橋が開通し、四国から観光バスが乗り付けた。休日には1千人ほどの客が訪れたという。 当時のパンフレットには「豊清山 平和観音寺 世界平和大観音像」とあり、固定資産税などが原則非課税となる宗教法人の設立をめざしたとみられる。実現はしなかったものの、地元では「観音さん」と呼ばれてきた。 だが、所有者の男性は88年… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:589文字/全文:1173文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
緊急事態拡大、現場に手詰まり感 小出しで効果に疑問も
新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言は27日、北海道、宮城など8道県が新たに対象に加わり、適用地域は計21都道府県に広がった。宣言の効き目の薄れが指摘される中、追加地域では対策の手詰まり感がにじむ。毎週のように小出しに地域が追加される現状には識者からは疑問の声も出ている。 北海道では7月下旬から急速に感染者が増え、18日に約2カ月半ぶりに1日あたりの新規感染者数が500人を超え、現在も400~500人台で推移する。感染者の半数以上を占める札幌市では実質的な病床使用率は6割を超える。 「お盆の前に宣言出してほしかった」 政府は今月2日から北海道にまん延防止等重点措置を適用し、道は札幌市などを対象区域としたが、その後も道内の感染は拡大。ただ、道が政府に宣言を正式に要請したのは19日だった。札幌市の秋元克広市長は25日、「本来ならお盆など人の動きが出る前に宣言を出してもらいたかった」と苦言を呈した。 宣言下では、北海道全域で飲食店の時短などが求められるが、重点措置の対象だった札幌市などではすでに酒類提供の終日停止を実施しており、宣言後も対策はほぼ変わらない。独自策は、商業施設の土日セールの自粛や高校での午後4時までの下校徹底などにとどまる。鈴木直道知事は「今のわが国では、政府が対策を決定している。この中で実効性を上げて、とにかく感染を抑制させなければならない」と語った。 8月に入って感染者が急増した宮城県。1日あたりの新規感染者は25日に301人まで増え、仙台市周辺の医療圏では一時、当日受け入れ可能な病床の99・5%が埋まった。村井嘉浩知事は26日の会見で「一部の救急搬送や手術に支障が出始めている。救急患者を受け入れられないという首都圏で起きていることが、すぐ目の前まで来ている」と危機感を強調した。 仙台市青葉区のカラオケ居酒… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:862文字/全文:1651文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
米軍、PFOS含む水放出の正当性主張 政府・県は抗議
沖縄の米海兵隊が、発がん性が疑われる有機フッ素化合物のPFOS(ピーフォス)を含む水を普天間飛行場(宜野湾市)から下水道へ放出した問題で、一夜明けた27日、日本政府や地元から次々と批判の声が上がった。岸信夫防衛相は中止を求め、抗議したことを明らかにした。一方、米軍は沖縄県の抗議を受け付けず、放出の正当性を主張した。 県によると、県は米側に抗議のための面会を要請したが「意見交換なら受ける」と伝えてきた。その後、謝花喜一郎副知事が米海兵隊の司令部があるキャンプ瑞慶覧(北中城村など)で米軍の担当者と面会した。 終了後、報道陣の取材に応じた謝花氏によると、米軍は処理水に含まれるPFOSなどの濃度について「日本の環境基準に適している」と安全性を強調。謝罪はなかった。放出理由については、基地内に長期間保管しておくことに不安があり米軍の判断で行った、という趣旨の説明をした。 放出予定だった約6万4千リットルの放出は26日中に終え、今後の対応については、日米両政府で話し合っていきたいとの考えを示したという。謝花氏は「見切り発車で放出した米軍の認識は、県民とのギャップを感じる。日本政府、沖縄県の信頼を著しく損なう行為だと強く申し入れた」と語った。 岸防衛相は27日の閣議後の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:440文字/全文:981文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パラ選手と接触事故、車開発のトヨタ社長「申し訳ない」
2021年8月27日 21時55分 東京パラリンピック選手村で26日、柔道(視覚障害)男子81キロ級の北薗(きたぞの)新光選手(30)とトヨタ自動車が開発した自動運転車「eパレット」が接触する事故が起きた。これを受けて、トヨタ自動車の豊田章男社長は27日夜、自社メディア「トヨタイムズ」の配信番組に出演し「多くの方にご心配をおかけし、申し訳ない」と陳謝した。その後、報道陣の取材に応じた。 豊田社長によると、事故は選手村内のT字路をeパレットが右折した際に発生。横断歩道でいったん停止した後、オペレーターが手動操作で発進した直後に、歩行中の北薗選手と接触したとみられるという。 豊田社長は事故時の状況について「車内からは(歩行者が)死角だった」と説明。その上で、事故の要因については「パラリンピックの会場で、目が見えないことや耳が聞こえないことへの想像力を働かせられなかった」と述べた。 事故後、選手村でeパレットの運行は取りやめている。トヨタはeパレットが走行中に出す接近音の音量を大きくするなどの再発防止策を検討しているが、豊田社長は「我々が絶対安全だといえる立場ではない」と述べ、運行再開には慎重な姿勢を示した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐賀県、性的少数カップルの認定制度 県単位では九州初
林国広2021年8月27日 21時59分 佐賀県は27日、LGBTなど性的少数者のカップルを公認する「県パートナーシップ宣誓制度」を導入した。カップルが宣誓して県の受領証を受ければ、県営住宅に入居できるようになるなど、生活上の障壁を減らすことができる。県によると、都道府県単位では九州で初、全国で4例目の導入になるという。 山口祥義知事がこの日の定例会見で発表した。2人のうちいずれかが県内に住んでいるか、県内への転入を予定しているカップルが対象。県の担当職員の前で2人そろって、互いを人生のパートナーとすることなどを宣誓し、署名する。県は2人の関係性を証明するための「パートナーシップ宣誓書受領証」(縦約6センチ、横約8センチ)を渡す。 受領証を得ることで、原則として同居親族がいないと入居できない県営住宅に入居できる。また、いずれかが県医療センター好生館のICUに入院した場合の面会なども家族同様の対応が可能になるという。 同様の制度については、佐賀県唐津市が来年3月末までの導入を検討している。県は同市と連携して運用することを検討しており、今後は、他の市町にも公営住宅入居が可能になるように働きかけ、携帯電話の家族割りの適用についても民間事業者に実現を働きかける方針だ。 山口知事は「実際にこの制度の利用者がどれくらいいるかはわからないが、制度自体の普及は進んで欲しい」と話している。 パートナーシップ制度についての問い合わせなどは県人権・同和対策課(0952・25・7063)へ。(林国広) Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入所者の目や口に粘着テープ貼った疑い 施設長を逮捕
前田健汰2021年8月27日 23時00分 山口県警周南署は27日、周南市の高齢者入所施設で入所者の目や口に粘着テープを貼ったとして、同市須々万本郷の団体役員片岡加寿子容疑者(60)を暴行の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 署によると、25日午後2時ごろ、片岡容疑者が入居者の女性(85)の目や口に粘着テープを貼った疑いがある。翌26日、同市職員が虐待の疑いがあると署に通報し、発覚した。女性に目立った外傷はないという。 片岡容疑者は設立当初からこの施設の施設長を務めていたといい、当時施設では容疑者を含め職員12人が働き、被害者を含め19人が入所していたという。署は継続的な暴行や虐待の有無などを調べている。(前田健汰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪応援の警察官が会食 酔って部下にやけど負わせる
2021年8月27日 23時13分 東京五輪の警備のため応援派遣されていた香川県警の警察官数人が緊急事態宣言が出ていた東京都内で会食し、30代の男性巡査部長が酒に酔って部下にやけどを負わせるトラブルを起こしていたことが関係者への取材でわかった。県警は処分を検討している。 県警によると、東京五輪では全国から派遣された応援部隊などが会場や周辺の警備にあたっていた。関係者によると、都内で緊急事態宣言が出た7月12日から五輪が開幕した同23日までの間に、香川県警の応援部隊の数人が都内の焼き肉店で飲酒を伴う会食をしていたという。 会食では、酒に酔った巡査部長が焼いた肉を部下に押しつけるなどして、やけどを負わせたという。県警は巡査部長を含む3人を五輪開幕前に帰任させた。 県警は取材に対し、「詳細は調査中」とした上で、「事実関係が明らかになり次第、関係する警察官の処分についても厳正に対処する」とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル