中沢滋人2021年8月31日 18時00分 北海道糖業(北糖、札幌市)は、本別製糖所(北海道本別町)でのビート(テンサイ)を原料とした砂糖生産を、2023年3月で終了する。施設の老朽化や国内需要減少を受け、北見製糖所などに生産を集約し、効率化を図る。同製糖所では今後もビートの受け入れ業務などを続けるが、本別町の工業生産の大半を占めるだけに、生産終了は地元経済に大きな影響を与える。 本別製糖所は、前身の大日本精糖時代の1962年に操業を開始。2020年度は、十勝東部と南部の8町からビートを約36万トン受け入れ、約5万7千トンの砂糖を生産した。同製糖所は北糖の生産量の38%を占める。 北糖と親会社の製糖大手、DM三井製糖ホールディングス(東京)の発表によると、本別製糖所は生産終了後も、原料ビートの受け入れや買い入れ、耕作指導、倉庫管理などは続ける。55人の常勤従業員のうち、生産工程部門を中心に他拠点へ異動する。 北糖は「国内の砂糖需要が、人口減や健康指向の高まりなどで減少傾向の中、コロナ禍でさらに加速した。工場の老朽化も進んでおり、苦渋の決断。なるべく影響が出ないよう行っていきたい」としている。北糖の製糖所は、北見市と伊達市の2カ所となる。 本別で受け入れたビートの一部は、北見製糖所のほか、資本業務提携を結んでいる日本甜菜製糖(東京)の芽室製糖所(芽室町)にも生産委託する方向で協議している。 本別町では、本別製糖所だけで工業製造品出荷額の約8割を占め、製糖所は畑作農家の冬季の雇用の場にもなっている。高橋正夫町長は「周辺産業の裾野が広く、生産終了は、税収を始め、町産業への影響は計り知れない。ビートは輪作体系内で無くてはならない作物で、将来的に農家に不具合が出ないよう、各団体と協力して要請活動を行っていきたい」と語った。(中沢滋人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
逮捕の夫婦「私たちがやった」供述 高3遺体遺棄容疑
東京都墨田区の私立高校3年、鷲野花夏(かな)さん(18)が8月28日夕から行方不明になる事件があり、警視庁は31日、鷲野さんの遺体を山梨県内の民家の物置で発見したと発表した。遺体を隠したとして、ともに群馬県渋川市渋川の職業不詳小森章平(27)と妻和美(いずみ)(28)の両容疑者を死体遺棄容疑で逮捕した。2人は容疑を認め、「私たちがやったことに間違いない」と話しているという。 捜査関係者によると、鷲野さんと章平容疑者は約2年前にSNSで知り合い、連絡を取り合っていた。和美容疑者を含めた3人で話をすることになり、28日夕に鷲野さんの自宅近くで接触した可能性が高いという。警視庁は、和美容疑者が鷲野さんと章平容疑者の関係を疑ったことが事件の背景にあるとみている。 捜査1課によると、2人の逮捕容疑は、山梨県早川町で30日、山間部にある民家の離れの物置に鷲野さんの遺体を放置し、遺棄したというもの。入り口は南京錠で施錠していたといい、同課は発覚を免れる目的があったとみている。 鷲野さんの遺体には背中に刃物による刺し傷が4カ所あり、首にロープのようなもので絞められた痕があった。物置の中からはロープも見つかったという。2人は鷲野さんの殺害についてもほのめかしているといい、同課は司法解剖で死因を調べる方針。 行方不明の翌日にSNSで家族に連絡、しかし本人と会話できず 鷲野さんは28日午後3時半… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:525文字/全文:1127文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「倒れてもこぼれない」は不当表示 タイガーに措置命令
徳永猛城2021年8月31日 18時38分 電気ケトルのCMで「倒れてもお湯がこぼれない」と宣伝したのは景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、消費者庁は31日、タイガー魔法瓶(大阪府門真市)に再発防止などを求める措置命令を出した。 消費者庁や調査をした公正取引委員会によると、同社は昨年10~11月、対象となった電気ケトル「PCK―A080」のCMで、ソファに落として転倒させても液体がこぼれない映像に「もしものとき、熱湯がこぼれないように、設計しています」とナレーションを付けるなどしていた。 だが、実際には湯がこぼれる場合があったという。同社は自社サイトでも昨年9月~今年1月、同じ映像を公開していた。同庁は、これらの宣伝が不当表示にあたると判断した。 担当者は朝日新聞の取材に「安全性を伝えるべく、分かりやすいCMを作ったつもりだったが、配慮が足りなかった」と答えた。同社は、商品に問題はないとして、販売は続けている。(徳永猛城) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
眠ったふりで肩にもたれかかる手口も 電車内の痴漢対策
電車内で痴漢に遭い、声を上げづらいときはその場にしゃがみこんで――。痴漢や盗撮の手口や有効な対策を盛り込んだ啓発動画を、兵庫県警鉄道警察隊が製作した。県警の公式ユーチューブチャンネルなどで視聴できる。 鉄警隊によると、痴漢の約9割は電車内で起きており、通勤・通学と重なる午前7~9時に集中する。特に人が密集し、犯人が逃走しやすいドア付近の乗客が狙われる傾向がある。コロナ禍で乗客が少ない車内でも、眠ったふりをして肩にもたれかかる、つり革を持った腕に触れるなどの手口が確認されているという。 動画は8分余り。痴漢被害に遭い、恐怖や恥ずかしさで助けを求められないときにも、犯人にスマホを向けて「撮られる」と思わせたり、しゃがみこんで周囲から気を引いたりすると有効と紹介されている。盗撮対策では、エスカレーターに乗るときにはスカートの後ろでカバンを持つことなどがおすすめという。 鉄警隊に昨年寄せられた痴漢… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:140文字/全文:544文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長野の教員志願者、1割以上減「極めて憂慮すべき事態」
来春採用の公立学校の教員採用試験で、長野県内の小中高校などの志願者数が1953人となり、前年度より1割以上減った。県教育委員会によると、2千人を割り込んだのは初めてとみられる。県教委は2023年度採用に向け、近隣都県と重複していた試験日を前倒しするなどの対策を検討している。 「教員の質の確保の観点から、極めて憂慮すべき事態だ。他県を参考に、具体的な取り組みを早急に検討したい」。原山隆一教育長は危機感をあらわにする。 県教委によると、小中や特別支援の義務教育学校の志願者は前年度比217人減の1462人、高校が同65人減の491人だった。教員の働き方改革などが進まず長時間労働などが敬遠されたほか、「コロナ禍で教育実習ができず、企業への就職に切り替えた学生もいた」とする。 教員志望者の減少は全国的な課題で、各地で争奪戦になっている。県教委も20年度採用から、小中学校で北信や中信など4ブロックに分けて採用したり、教職経験者を優遇したりするなどの対策を打ち出した。その効果があってか、今春採用の志願者は義務教育学校が前年度より56人増え、高校も1人増えた。原山教育長は「全国的に減少する中でも、長野は下げ止まったと考えていた」。 注目するのは採用試験日の前倒し 志願者増に向けて県教委が注… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:455文字/全文:1006文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛知のフェス補助金、経産相「違反あれば取り消しも」
愛知県常滑市で29日に開かれ、感染対策が不十分だったとされる野外音楽フェスをめぐり、梶山弘志経済産業相は31日、最大3千万円の補助金を決めていたと明らかにした。そのうえで、感染対策などを確認し、場合によっては支払いを取り消す考えを示した。 問題視されているフェスは「NAMIMONOGATARI2021」。経産省は、コロナ禍で音楽や演劇などを中止した事業者が公演を再開する際、経費の半額を補助している。同フェスは昨年は中止され、今年再開したことで最大3千万円の補助が決まった。 補助金を出す前提として、国の基本的対処方針や開催地の自治体の方針を守るという誓約書を事業者に提出させている。愛知県は主催者に密の回避や酒の販売停止を求めていた。だが、当日は酒が提供され、観客が密集して歌う場面などがSNS上に投稿されていた。愛知県は30日、主催者に抗議文を送っている。 梶山氏は事実関係を調査しており、「誓約書への違反が認められた場合には交付決定の取り消しも含めて厳正に対処したい」と述べた。 経産省は、20~22日に新潟県・苗場で開催された音楽フェス「フジロックフェスティバル」にも計1億5千万円の補助金の交付を決めている。梶山氏は、フジロックは自治体の了解を得て感染対策もされていたとして、「問題がないような形で行われていたと承知している」としていた。(新田哲史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高3女子の死体遺棄容疑、夫婦を逮捕 殺害もほのめかす
東京都墨田区の私立高校3年生、鷲野花夏(かな)さん(18)が28日夕から行方不明になり、警視庁は31日未明、鷲野さんの遺体を山梨県内の家屋で発見したと発表した。背中に複数の刺し傷があり、首にロープで絞められたような跡があったという。同庁は同日午前、いずれも職業不詳の小森章平(27)=群馬県渋川市渋川=と妻和美(いずみ)(28)の両容疑者を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。容疑を認め、「私たちがやったことに間違いありません」と話しているという。 捜査関係者によると、少なくとも夫婦のいずれかは鷲野さんと知り合いだった可能性が高いという。 捜査1課の説明では、鷲野さんは28日午後3時半ごろ、家族に「友人に会う。すぐに帰る」などと言って家を出たまま行方がわからなくなった。午後6時半になっても帰宅しないため、不審に思った家族が110番通報し、警視庁に捜索願を出した。その後、鷲野さんの生存を装うような連絡が家族に入ったが、本人と会話はできなかった。 警視庁が防犯カメラの映像などを調べたところ、鷲野さんが自宅近くの路上で何者かの乗用車に乗り込んだことが判明した。同庁は30日午後7時20分ごろ、この車を長野県内の高速道路周辺で発見。乗っていた小森容疑者夫婦に事情を聴いたところ、遺体を山梨県早川町に捨てたと供述したという。 2人は鷲野さんの殺害もほのめかしているといい、同庁は司法解剖して死因などを調べる。 ◇… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:232文字/全文:846文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アニメで伝えるハンセン病 痛み、悲しみ「知って」
ハンセン病の問題を伝える1本のアニメーションが完成した。差別や偏見に苦しめられた元患者と家族の実体験をもとにしたアニメは、問題を広く知ってもらう「入り口」になると期待される一方、どう活用し、差別解消につなげるかが課題だ。 タイトルは「ハンセン病問題を知る 元患者と家族の思い」。19年6月の家族訴訟の熊本地裁判決を受けて、偏見と差別の解消を目的に、法務省が今春、34分のDVD作品として制作した。予算は1100万円。 「この島には私たちが入る療養所しかないんだよ」。アニメは、瀬戸内海の孤島にある療養所「大島青松園」(香川県)に、森和男さん(81)が9歳で入所した場面から始まる。 親と離ればなれの生活。将来を悲観した友達が自ら命を絶つ出来事もあった。いったん病が回復して社会に復帰。大学に進学したのち商社に就職を果たしたが、隠して生きることで変調を来し、再び療養所へ戻った半生が描かれている。 森さんは「わかりやすい形で伝えることは大事なこと」とアニメに賛同し、コロナ禍の昨年、制作スタッフのリモート取材に応じた。「隔離された悲しみや痛み、喜び、それでも懸命に生きたことを知ってほしい。高齢化して語り部も減って、コロナで会うことが難しくても、授業などで広く活用してもらえるのではないか」と森さんは語る。 「菊池恵楓園」(熊本県)の志村康さん(88)は元患者による国賠訴訟の最初の原告だ。「私がなぜ本名を言えないのか考えてもらいたい」と裁判官に問うたこと、生まれることが許されなかった我が子への思いなどを作中で明かす。 家族の立場では福岡市の林力さん(97)が登場する。患者の父親との関わりや人生に受けた影響などを伝える。隔離政策の歴史や実態は、国立ハンセン病資料館の学芸員が解説する。 法務省によると、DVDを4千セット、内容をまとめた冊子9万8千部をつくり、全国の法務局や自治体に配布。動画投稿サイト「ユーチューブ」の法務省チャンネルでも公開中だ。 国の「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会」座長の内田博文・九大名誉教授は、啓発のあり方のひとつとしてアニメを評価しつつ、活用の仕方が重要だと指摘する。「見られなければ啓発にならない。学校の先生はどう伝えればいいか困っていると聞く。文部科学省などと話し合い、広く活用される場を探してほしい」(高木智子) 認識変わらず「教育充実を」 今夏発足した国の「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会」は、偏見と差別を除去する責任が国にあると認めた2019年の熊本地裁判決の後、設置が決まったものだ。従来の啓発では、問題が解消されないとして、広報や人権教育などのあり方を見直す。アニメを活用した啓発についても話し合う可能性がある。 検討会は、人権や近代史の専… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高級魚カンパチは台湾沖生まれ 長崎大などのチーム特定
刺し身のコリコリした食感が人気の高級魚カンパチ。東シナ海を回遊するものの、詳しい生態は分かっていなかったが、長崎大や北海道大、東京海洋大と台湾の国際研究チームが台湾東方沖に産卵場所があると特定し、7月に論文を発表した。研究チームは、資源を保護し、持続可能な漁業に役立てることを期待している。 食卓ではおなじみでも、海でどんな一生を送っているのかが詳しく分かっていない魚介類は多い。ニホンウナギは長年にわたって産卵場所など多くが謎に包まれていた。長崎大環東シナ海環境資源研究センター長の河辺玲(りょう)教授(52)によると、熱帯から温帯域に生息するブリの仲間・カンパチもその一つだ。 河辺教授らは10年ほど前から、黒潮の源流近くにある台湾の水産試験所と共同研究に取り組んできた。学会で研究者同士が交流したことが縁で、カンパチの産卵場所の究明は2016年に始めた。 研究チームはまず、九州から台湾にかけての海域で採取した稚魚のゲノムを解析。この一帯の個体は、南シナ海とは別のグループだということが分かった。九州から台湾に南下するほど、孵化(ふか)してから間もない稚魚が確認できた。 「稚魚は台湾近海で生まれ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:590文字/全文:1097文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
遺族に「より丁寧に対応」 いじめ調査で旭川市教育長
本田大次郎2021年8月31日 8時00分 北海道旭川市で3月、中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会がいじめの有無などを調査している問題で、市教委は30日、記者会見を開き、調査の進み具合を説明した。第三者委は7月に母親に調査への要望を聞いたが、8月に母親が手記を公表して調査への不信感を訴えたことから、「今後はより丁寧に対応したい」としている。 広瀬さんは2月、自宅を出たきり行方不明になり、3月に市内の公園で遺体で見つかった。死因は凍死とみられる。母親は、中1の1学期にいじめがあり、学校や市教委に何度も相談したが、いじめは認められなかったと訴えている。弁護士や臨床心理士らによる第三者委はいじめの有無や死亡との因果関係、当時の学校や市教委の対応などを調べている。 この日の市教委の説明によると、5月と6月の会合には市教委も同席したが、調査対象に市教委も含まれているため、7月9日の第3回以降は、第三者委のメンバーだけで開催している。第3回には母親と代理人の弁護士が出席し、調査への要望を聞き、資料の提供を受けた。その後の3回では、生徒からの聴取やアンケートの方法について検討した。聴取やアンケートの実施時期、報告書をまとめる時期については「未定」としている。 母親は今月18日に公表した手記で、「調査の進捗(しんちょく)に関する情報が極端に少ない」として、第三者委に対して「違和感と疑問をぬぐい去れない」と訴えた。これを受けて市教委が第三者委に対応を求めたところ、「すでに対応している」と回答があったという。 黒蕨真一教育長は「手記は真摯(しんし)に受け止めている。これまでも遺族の意向を聞きながら進めてきたが、一つ一つの取り組みをより丁寧にしたい」と話した。 母親の手記が公表されたあと、西川将人市長は市教委に対し、情報開示に努めるよう求めていた。26日には文科省の担当課長が市教委を訪れ、調査を迅速に行うことなどを指導した。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル