子どもたちの夏休みシーズンに合わせ、北九州市は若松区にあるグリーンパークに「化石の谷エリア」をオープンさせた。 国立科学博物館(東京都台東区)のトリケラトプスなど実物大の化石の模型が、壁一面に広がっているという。恐竜好きにはたまらない新スポットと聞いて、さっそく訪ねてみた。 JR小倉駅から車で30分ほど。7月下旬、オープンしたばかりの化石の谷エリアを訪ねると、炎天下にもかかわらず子どもらが夢中で化石模型が埋め込まれた壁を登っていた。 幅約40メートル、高さ2・5~4メートルの「化石クライミングウォール」。壁一面に、トリケラトプスやティラノサウルスなどの化石模型が埋め込まれ、発掘を待っているかのようだ。 五輪種目にもなったボルダリングも楽しめ、間近に化石の模型を見て登りながら恐竜が生きた時代を感じられる。 子どもらと壁を登った北九州市門司区の自営業、只隈(ただくま)幸太郎さん(51)は「まず遠くから見て大きな化石に目がいきました。よくみると子どもたちが登っていて、ボルダリングもできるのかと。つい冒険心をくすぐられました」と笑顔で話した。「東京五輪が開催されていますし、ボルダリングと恐竜、両方に興味を持つ子どもたちが増えるかもしれませんね」 北九州市が夏休みにあわせ、約8千万円をかけて整備した狙いもそこにある。 市の担当者は「子どもたちが土の中に埋まっているかのような化石をリアルに感じながら、壁によじ登って触れられることをめざしました」と話す。 化石の谷エリア全体は、壁に… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:571文字/全文:1224文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「異様」基準の3倍の盛り土 熱海土石流「人災」指摘も
【動画】熱海土石流1カ月 不明者なお 捜索は縮小=熊倉隆広撮影 静岡県熱海市の土石流災害で被害を甚大にしたのは、起点近くにあった盛り土の崩落が要因とみられている。11年前には危険な状態となっていた可能性があるほか、それを行政が把握していた可能性もある。「人災」の疑いも指摘されているが、解明は途上だ。 県は、盛り土が条例に基づく基準の3倍を超える危険な高さになっていたとみて、経緯を調べている。 朝日新聞が入手した11年前の現場写真にも、基準超過をうかがわせる様子が写っていた。当時から危険な状態が放置されてきた可能性がある。撮影した東京都の会社役員男性(43)は「(斜面が)急すぎる異様な光景。怖いと思った」と振り返る。 ハイキング中の男性が、現場を車で通りかかったのは2010年7月8日。黄土色の山肌とは異なる黒い土砂を、重機が階段状に造成中で、土にはゴミのようなものも混ざって見えたという。その異様さに車を止め、幾度もシャッターを切った、と男性は証言した。 熱海市の元幹部は、土砂が「多すぎる」として業者に搬出を求めたと証言する一方、「ただちに大崩落して危険だという認識は持てなかった」とも説明しています。 盛り土の造成は、撮影の翌月… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り:2354文字/全文:2772文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪、「原爆の日」に黙とうせず IOC方針に失望の声
2021年8月2日 19時14分 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は、6日の広島の「原爆の日」に選手や関係者に黙禱(もくとう)を呼びかけるなどの対応はしないことを決めた。広島県内の関係者には失望の声が広がった。 組織委によると、広島市などから国際オリンピック委員会(IOC)に対し、6日に選手らに黙禱を呼びかけて欲しいなどと要請があったという。 広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)は7月26日付で、黙禱の呼びかけを求める文書をIOCのトーマス・バッハ会長ら宛てに送っていた。同月16日にバッハ氏が広島を訪問した際、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花する姿を見つめた理事長代行の箕牧(みまき)智之(としゆき)さん(79)は、「せっかく平和記念資料館にも来たのに、黙禱を呼びかけようという気持ちになってもらえなかったのは残念」と肩を落とした。「祈りの時間をちょっと設けることは世界の人も反対しないと思う」と話した。 組織委はIOCの方針として、歴史の痛ましい出来事や様々な理由で亡くなった人たちに思いをはせるプログラムが8日の閉会式の中に盛り込まれていると説明。「広島市のみなさまの思いも、この場で共有してきたい」としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
園長の1人送迎、1年半前から 福岡の園児死亡
福岡県中間市の双葉保育園で倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が送迎バスに閉じ込められて死亡した事故で、園長が1人で迎えのバスを運行する状態が約1年半前から続いていたことが、園側への取材で分かった。当初は同乗の職員がいたが、バスの利用者が少ないため、配置を変更したという。 冬生ちゃんは7月29日、登園の際に乗ったバスに取り残され、熱中症で死亡した。このバスは園長が1人で運行し、園児7人を乗せて園に到着後、冬生ちゃんがまだ残っていることに気づかずバスを施錠していた。 園の代理人弁護士によると、双葉保育園は約140人の園児を預かり、朝は2台のバスを運行していた。しかし、大半の保護者は自ら自家用車などで送迎し、登園は午前7時半~8時ごろに集中。園児の受け入れに人手がかかるため、園長が運転するバスには約1年半前から職員を乗せていなかったという。 園ではバスに乗る際、園児の健康状態などを書いた「バスカード」を保護者から受け取り出欠を確認することになっていた。しかし園長が1人で運行するようになり、カードを受け取らずに乗車させることがあったという。事故があった日も園長はカードを回収せず、担任らは冬生ちゃんのカードがなかったため欠席だと思い込んでいた。 もう1台のバスは、運転者のほかに職員が同乗しており、カードも乗車時に回収していた。 福岡県と中間市は2日、双葉保育園に対する特別監査を行った。職員約10人が園に入り、県などによると、送迎時の態勢や出欠確認の方法などについて職員から聞き取ったという。今後も複数回監査を実施して園の運営実態や安全管理体制などを調べ、行政指導を行うかを判断する。 県は児童福祉法、市は子ども・子育て支援法に基づく監査。特別監査は、年に1回の一般監査と異なり、園児の死亡など重大事故が発生した場合に実施される。 双葉保育園は2日も園児の受け入れを続けた。弁護士によると、急に仕事を休めない保護者もいるため、市から保育を継続するよう指示されているという。 保護者からは不安の声が聞かれた。男児を預けた保護者の女性は「事故があって不安だけど、仕事があるのでこのまま預けざるを得ない」。待機児童の問題もあるなかで転園先が見つかるのか心配で、今度、市役所に相談するという。 30代の男性は息子を休ませ、当面は家で妻が面倒を見るという。「友達もいるし、あと少しで卒園。そのまま通わせたい気持ちもあるけれど……」と悩む。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長崎も被爆者認定拡大を 「黒い雨」受け県・市が要望
米田悠一郎2021年8月2日 20時23分 広島県で国が定める被爆地域の外で「黒い雨」を浴びた84人が被爆者と認められたことを受け、長崎県の中村法道知事と長崎市の田上富久市長は2日、長崎でも被爆者の認定対象を拡大するよう、厚生労働省に要望した。 要望書では、被爆地域の外にいたために「被爆者」ではなく「被爆体験者」とされている人を含めた長崎の人も、「黒い雨」を浴びた広島の人と同様の事情にあると主張。健康被害など個別の事情を考慮し、被爆者と認めるよう求めた。 オンラインで厚労省と結んで要望し、同省で被爆者援護を担当する正林督章(とくあき)・健康局長が対応した。要望後に報道陣の取材に応じた中村知事によると、正林局長は「要望を大臣に伝える」と応じたという。(米田悠一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山梨の女児不明中傷「発信者情報の開示を」 大阪地裁
森下裕介2021年8月2日 19時28分 2019年に山梨県のキャンプ場で行方不明になった小倉美咲さん(9)の母・とも子さん(38)がインターネット上のブログで中傷されたとして、大阪市のプロバイダー事業者に発信者情報の開示を求めた訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。鈴木基之裁判官はプロバイダー事業者に対し、情報の開示を命じた。 とも子さんは、別のインターネット掲示板やツイッターの投稿でも中傷されたとして、ツイッター社などに対し、発信者を特定するための情報開示を求める訴訟を東京地裁にも起こしている。判決は2日の大阪地裁が初めて。 判決によると、行方不明になっている美咲さんについて、ブログには、とも子さんやその親族らが事件を起こしたかのような趣旨の書き込みなどがあった。 鈴木裁判官は、こうした記述について「真実だとうかがわせる証拠は一切見当たらず、原告の社会的評価を著しく低下させ、名誉を傷つけた」と指摘。ブログを書いた発信者の情報がなければ損害賠償を求められないとし、プロバイダー事業者は発信者情報を開示すべきだとした。 判決後、とも子さんの代理人弁護士は「開示された情報をもとに、発信者に対する損害賠償請求の手続きを進め、刑事告訴も検討する」と話した。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「黒い雨」訴訟の原告に手帳交付 広島市など
原爆投下後の「黒い雨」をめぐり原告84人全員を被爆者と認めた広島高裁判決の確定を受け、広島市は2日、市内に住む53人に対して被爆者健康手帳の交付を始めた。その他の31人が住む広島県安芸高田市、安芸太田町、府中町の3市町でも交付が始まった。 この日、広島市役所の会議室には70~90代の10人が訪れた。職員から1人ずつ手帳を手渡され、医療費の自己負担がなくなることや、年2回無料で受けられる健康診断などについて説明を受けた。原告団長の高野正明さん(83)は両手で手帳を持ち、「長年の希望だった」と喜んだ。その上で「訴訟の過程で亡くなった人も多く、手帳に重みを感じる」などと語った。 菅義偉首相は7月27日に出した談話で、原告以外で「同じような事情」の人たちの救済についても早急に対応を検討するとしており、新たな枠組みづくりが今後の焦点となる。(比嘉展玖) 「みんなを救ってほしい」 「やっと手にできた」「早く決断してほしかった」。待ち望んだ人たちは喜ぶとともに、不満も口にした。 広島市役所の会議室で、同市佐伯区の隅谷芳子さん(81)は職員から受け取ったピンク色の手帳をじっと見つめた。5歳の時、現在の広島県安芸太田町で黒い雨を浴び、10年前に大腸がんを患った。「諦めていた手帳をやっと手にすることができた。長年の訴えが届いたことを実感した」。手帳を持つ手を震わせ、涙をぬぐった。 同区の遠藤フデ子さん(83)は、夫の栄さん(90)とともに車椅子で手帳を受け取った。「ずっと本当のことを言ってきたのに信じてもらえなかった。手帳をもらえてうれしい」。あの日、一緒にいて黒い雨を浴びた友人は原告に入れていない。「時間や経済的な事情もあって、裁判をしていない人はいっぱいいる。みんなを救ってほしい」 同じ佐伯区の庄野喜信さん(76)は生後11カ月の時、母親の背中で黒い雨を浴びたという。小学校の同級生3人と原告に加わったが、うち1人はがんを患い入院している。「友人が生きている間に交付が決まってよかったが、すでに亡くなった人もいる。もっと早く決断してほしかった」と話した。 7月27日に出された首相談話は、今回の訴訟の原告でなくても「救済できるよう、早急に対応を検討する」としている。広島市によると、「(原告と)同じように黒い雨を浴びたが申請できるか」「私が住む地域も援護対象区域に入っているか」といった問い合わせが2日までに68件寄せられているという。(比嘉太一、比嘉展玖) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同乗なし、1年半前から 「バス利用少なく」 園児死亡
福岡県中間市の双葉保育園で倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が送迎バスに閉じ込められて死亡した事故で、園長が1人で迎えのバスを運行する状態が約1年半前から続いていたことが、園側への取材で分かった。当初は同乗の職員がいたが、バスの利用者が少ないため、配置を変更したという。 冬生ちゃんは7月29日、登園の際に乗ったバスに取り残され、熱中症で死亡した。このバスは園長が1人で運行し、園児7人を乗せて園に到着後、冬生ちゃんがまだ残っていることに気づかずバスを施錠していた。 園の代理人弁護士によると、双葉保育園は約140人の園児を預かり、朝は2台のバスを運行していた。しかし、大半の保護者は自ら自家用車などで送迎し、登園は午前7時半~8時ごろに集中。園児の受け入れに人手がかかるため、園長が運転するバスには約1年半前から職員を乗せていなかったという。 園ではバスに乗る際、園児の健康状態などを書いた「バスカード」を保護者から受け取り出欠を確認することになっていた。しかし園長が1人で運行するようになり、カードを受け取らずに乗車させることがあったという。事故があった日も園長はカードを回収せず、担任らは冬生ちゃんのカードがなかったため欠席だと思い込んでいた。 もう1台のバスは、運転者のほかに職員が同乗しており、カードも乗車時に回収していた。 福岡県と中間市は2日、双葉保育園に対する特別監査を行った。職員約10人が園に入り、県などによると、送迎時の態勢や出欠確認の方法などについて職員から聞き取ったという。今後も複数回監査を実施して園の運営実態や安全管理体制などを調べ、行政指導を行うかを判断する。 県は児童福祉法、市は子ども・子育て支援法に基づく監査。特別監査は、年に1回の一般監査と異なり、園児の死亡など重大事故が発生した場合に実施される。 双葉保育園は2日も園児の受け入れを続けた。弁護士によると、急に仕事を休めない保護者もいるため、市から保育を継続するよう指示されているという。 保護者からは不安の声が聞かれた。男児を預けた保護者の女性は「事故があって不安だけど、仕事があるのでこのまま預けざるを得ない」。待機児童の問題もあるなかで転園先が見つかるのか心配で、今度、市役所に相談するという。 30代の男性は息子を休ませ、当面は家で妻が面倒を見るという。「友達もいるし、あと少しで卒園。そのまま通わせたい気持ちもあるけれど……」と悩む。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【ドキュメント動画】分断の五輪 コロナ下のTokyoで
朝日新聞映像報道部2021年8月2日 17時00分 【動画】分断の五輪 ―コロナ下のTokyoでー コロナ禍による緊急事態宣言が出される中、多くの疑問や反対の声を残したまま開幕した東京五輪。ほぼ全ての会場で無観客となるなど、異例ずくめの大会は8月8日まで続く。 その「平和の祭典」を複雑な心境で見つめる人々がいる。国立競技場建設のため転居を余儀なくされた人、逼迫(ひっぱく)する医療現場で奮闘する医療関係者、長引く営業の自粛要請に苦しむ飲食店経営者、そして、「復興五輪」の大義から取り残された被災者たち――。 それぞれの目に、五輪はどう映っているのだろうか。現場を歩いた。(朝日新聞映像報道部) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「思いがあまりにも違う」 分断生む東京五輪、医療現場や被災者の声
コロナ禍による緊急事態宣言が出される中、多くの疑問や反対の声を残したまま開幕した東京五輪。ほぼ全ての会場で無観客となるなど、異例ずくめの大会は8月8日まで続く。 その「平和の祭典」を複雑な心境で見つめる人々がいる。国立競技場建設のため転居を余儀なくされた人、逼迫(ひっぱく)する医療現場で奮闘する医療関係者、長引く営業の自粛要請に苦しむ飲食店経営者、そして、「復興五輪」の大義から取り残された被災者たち――。 それぞれの目に、五輪はどう映っているのだろうか。現場を歩いた。 霞ケ丘から追い出された 「空の色だけは、あの時と同じです」。開会式を迎えた7月23日、東京都杉並区の自宅近くで、甚野(じんの)公平(こうへい)さん(87)は青空を見上げ、目を潤ませた。 57年前の夏、航空自衛隊のブルーインパルスがスモークで描いた五輪のシンボルマークを国立競技場近くで見た。今回は遠く、見ることができなかった。「心の中には、五輪マークが浮かんでいる。うれしいような、つらいような、複雑な感情が湧いてきます」 国立競技場が立つ、東京都新宿区霞ケ丘町で生まれ育った。1964年の前回大会に伴う競技場建設で生家は取り壊されたが、すぐ近くに建てられた都営霞ケ丘アパートに移り住み、50年以上暮らしてきた。しかし再び、新たな競技場建設のため同アパートは解体、全235世帯の住民が退去を余儀なくされた。アパート跡地の一部は、観客のための歩行デッキへと姿を変えた。しかし、五輪は無観客となり、そこに人影はほとんどない。 「我々はオリンピックで引っ越さざるを得なかった。誰からも喜ばれる五輪であってほしい」。80年以上慣れ親しんだ町を離れた甚野さんの願いだ。 看護師から届いた悲痛なメール 東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が初めて3千人を超えた7月28日。 爆発的な感染状況に、立川相互病院(立川市)は、コロナ患者用ベッドの15床増床を決めた。入院時の診断をより正確に行うため、夜間、休日のPCR検査態勢も拡充する。 運用中の20床はほぼ満床が続いており、救急外来では発熱患者を断らざるを得ない事態がすでに起きている。高橋雅哉院長(58)は「感染爆発はおそらくここ1カ月がヤマ。地域の病院にコロナ以外の患者さんを受け入れてもらうなど連携して、当院では一人でも多くのコロナ患者さんを引き受け、自宅で亡くなってしまうケースを何とか防ぎたい」と話す。 「イチかバチかの賭けを、国民の命を賭けてやってもらっちゃ困る」。高橋院長は訴えます。記事後半ではスポーツバーや海鮮居酒屋の店主、福島第一原発4号機で働いていた男性の声をお伝えします。ドキュメント動画もご覧いただけます。 病院の窓には「医療は限界 … Source : 社会 – 朝日新聞デジタル