海水浴に行った幼き日の安田菜津紀さんと父=安田さん提供 フォトジャーナリストの安田菜津紀さん(34)が自身のルーツを探る旅を続けている。高校時代に亡き父が韓国籍だったと知ったことや、最近になって朝鮮半島出身の祖父母についての情報を得たことを今月18日、大阪府東大阪市内で語った。 対談で話をする安田菜津紀さん=2021年9月18日、大阪府東大阪市岩田町4丁目、宮崎亮撮影 東大阪朝鮮初級学校(同市)の創立75周年を記念する対談企画で、ジャーナリストの中村一成(イルソン)さん(51)と登壇した。企画は同校オモニ会などが主催した。 安田さんは幼き日の忘れがたい記憶から語り始めた。飲食店を営む父が早く帰宅し、絵本の読み聞かせに熱心な母に代わり自分をひざに乗せ、ページをめくった。だが読み方がおぼつかなく何度もつっかえる。安田さんは「もういい」と絵本を突き返し言った。 「お父さん、日本人じゃないみたい」 いつも穏やかな父は笑っていたが、目の奥が悲しげだった。 高2の時、戸籍を見た 父の欄に「韓国籍」 中2の時に亡くなった父の出自を安田さんが知ったのは、高2の時。NPOのプログラムでカンボジアに渡ることになり、パスポート取得のため戸籍を取ると、父の欄に「韓国籍」とあった。 父はなぜ生前にルーツを語らなかったのか。取材の旅を続ける中で、安田菜津紀さんはその理由に思いをはせるようになります。会ったことのない祖父母の名前も初めて知ることになりました。 驚きのあまり身が固まった。同時に、あの日の父の表情や、父が何かを隠しているのではという家庭内での「小さな違和感」の答えを見つけた気がした。母からは不安定な生活のため十分な教育を受けられなかったようだと聞いた。 小学校入学前の安田菜津紀さんと父=安田さん提供 誰かに話したかったが、ネット上で朝鮮半島への中傷を目にすると躊躇(ちゅうちょ)した。日本人として育った自身の「加害性」と向き合わざるを得なくなった。隣国を揶揄(やゆ)するような報じ方をするテレビ番組を無批判に聞き流していなかったか。在日コリアンへの差別事件には「背を向け、知らなくても生きていけていた」。 祖母は32歳で早世、祖父はプロボクサーだった その後はカメラを手に国内外を巡り、貧困地域の子どもや難民、被災者らに寄り添うジャーナリストとなった。ただ父が生前に語らなかったルーツの詳細は不明のまま。新たな情報を得たのはつい昨年のことだ。 亡くなった外国人の情報が記されている「外国人登録原票」の写しを国に請求できると知り、父と祖父母について請求したものが交付された。 祖母の名は「金玉子(キムオッチャ)」。11歳で釜山から来日し、いまの自分より若い32歳で亡くなっていた。祖父は「金命坤(キムミョンゴン)(一部記載は金明根)」。最近になり本人を知る人からプロボクサーだったと教えてもらった。最初に記載されていた日本の住所は父の出生地の京都市伏見区だった。 この地を案内したのが対談相手の中村さんだ。京都朝鮮第一初級学校(当時)周辺でのヘイトスピーチ事件の著作がある。自身の母が在日2世で、日本人の父から民族差別の言葉を投げかけられる姿を見て育った。母も祖母もルーツを隠していた。「安田さんが、自分がしようと思ってもできなかったルーツの探訪を続けているのがうれしかった」 中村一成さん=2021年9月18日、大阪府東大阪市岩田町4丁目、宮崎亮撮影 安田さんは事件当時の同校の保護者だった在日2世の男性に話を聞いた。男性は通名で日本の公立校に通い、民族差別を受けた経験から、あえて娘を朝鮮学校に通わせたという。「ルーツを肯定的に捉えてのびのび暮らせる環境に身を置かせたかった」と安田さんに語った。 ヘイト事件の映像はいまもネ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発避難「国に責任」 ふるさと喪失慰謝料など賠償上積み 高松高裁
谷瞳児2021年9月29日 20時30分 東京電力福島第一原発事故で愛媛県に避難した10世帯23人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、高松高裁であった。神山隆一裁判長は一審・松山地裁判決に続いて国と東電の責任を認め、約4600万円の賠償を命じた。賠償額は、避難指示の対象になった原告について「ふるさと喪失慰謝料」を認めるなど、一審の約2700万円から上積みした。 原発事故による避難者が国と東電を訴えた集団訴訟の控訴審判決は、今回が4件目。うち国の賠償責任を認めたのは、昨年9月の仙台高裁、今年2月の東京高裁に続き3件目となった。 神山裁判長は、政府の「地震調査研究推進本部」が2002年7月末に公表した地震予測「長期評価」について「専門家集団が科学的な知見に基づいて取りまとめた。相応の科学的信頼性がある」と評価した。 国が東電に対し、長期評価に基づくシミュレーションを指示していれば、津波が到来する危険性を認識できたと認定。福島第一原発を所定の技術基準に適合させるための措置を講じることができたのに、国が規制権限を行使しなかったことは「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠く」とし、国の責任を認めた。 また、原発事故は国の規制権限不行使と、東電の原発運転などが相まって起きたとし、国と東電には同等の責任があるとした。 その上で、賠償額について検討。原告らは避難生活を長期間続けざるをえなくなったとし、避難継続の相当期間について、最大で月12万円の慰謝料を認めた。避難指示の対象となった原告については、家庭や学校、職場など地域社会との関わりも相当程度に失い、「実質的に故郷を失ったのと同視できる」とし、原告1人あたり100万円の「ふるさと喪失慰謝料」を認めた。 判決後、高松市内で記者会見を開いた原告団の代表の渡部寛志さん(42)は「国の責任を明確に認めてもらい、ホッとしている」と話した。野垣康之弁護士も「今後の同様の裁判に大きな影響を与えていくと思う」と期待をにじませた。 原子力規制委員会は「新規制基準への適合性審査を厳格に進めていくことにより、適切な判断を行って参りたい」とコメントした。(谷瞳児) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
冬到来早い北海道、感染再拡大を警戒 鈴木知事「今後見据えて対策」
北海道などに出されている新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が9月30日で解除される。これを前に、道は29日の対策本部会議で10月1日からの独自対策を決定。「秋の再拡大防止特別対策」として、10月31日まで全道で感染対策の徹底を求める。札幌市では他地域より強い対策として、飲食店への時短要請を酒類提供を認めた上で14日まで続ける。 29日現在の1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は、道が6・6人、札幌市が10・1人。28日現在の病床使用率は道が9・7%、札幌市が13・3%で、いずれも「まん延防止等重点措置」の目安となる国のステージ3の基準を下回る。 そうした中で実施する「特別対策」は、段階的な行動緩和のための方策だ。緊急事態宣言解除後の秋の行楽シーズンでの人出の急増を抑え、感染再拡大を防ぐ狙いがある。鈴木直道知事は対策本部会議で「北海道は他地域より早く冬が到来し、冬の再拡大の懸念も指摘される。感染者が減少している今こそ、今後を見据えた取り組みが重要だ」と述べた。 全道での対策として、混雑し… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
情報商材販売後に「キャッシュバック」 ヤミ金疑いで逮捕 北海道警
平岡春人2021年9月29日 21時00分 情報の売買を装って金を貸し付ける手口でヤミ金融を営んだとして、北海道警は29日、自称投資家の塚田真志容疑者(46)=千葉県浦安市高洲8丁目=ら4人の男を貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕し、発表した。4人の認否を明らかにしていない。 生活経済課によると、4人は昨年10~12月、貸金業の登録がないのに道内の男性2人に計8万円を貸し付けた疑いがある。SNSの簡単な使い方などを「情報商材」として販売しているように装い、「キャッシュバック」と称して客に現金を貸し付ける手口で、後日金利を上乗せした金額を「商品代金」の名目で返済させていたという。 情報の売買を利用した「後払い現金化」をヤミ金融として摘発した事例は全国で2例目という。道警はグループが同様の手口で昨年5月ごろ~今年1月に全国の延べ約4700人に貸し付け、約1億円の利益を得ていたとみて出資法違反容疑も視野に捜査を進めている。(平岡春人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ギガたこ焼きに回転寿司トレイン ユニーク家電コラボの宿泊プラン
2021年9月29日 21時00分 直径10センチのたこ焼きを作る「ギガたこ焼き器」や電車がすしを運ぶ「回転寿司(すし)トレイン」を、部屋で楽しんでもらうプランを大阪市のホテルが始めた。 ユニーク家電のライソン(大阪府東大阪市)とフレイザーレジデンス南海大阪がコラボ。カップ焼きそばの「ペヤング」専用ホットプレートなどもある。 「密」を避け、笑える家電で非日常を過ごしてもらおうと企画。食材は別に用意が必要。「ちょっと変わった『おこもりステイ』を」とライソン担当者。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マンションで9歳男児死亡、殺人事件とみて捜査 福岡
2021年9月30日 0時43分 29日午後7時45分ごろ、福岡市博多区那珂4丁目のマンションで「(子どもが)血まみれの状態だ」と110番通報があった。小学生の男児1人が倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された。母親が男児を刺したとの情報もあり、福岡県警が殺人事件とみて調べている。 県警博多署によると、男児は小学生の田尾勇人さん(9)。福岡市内の病院に搬送されたが、午後8時51分に死亡が確認された。男児の傷などの状況から、署は殺害されたとみて男児の関係者から事情を聴いている。 同じマンションに住む男性(16)は、母親から事件のことを知らされたといい、「自分が住むマンションで事件が起きて驚いた」。男性によると、裸足の男の子が男性の母親に通報を頼んだという。 現場はJR博多駅から南東へ約3・5キロの住宅街。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発避難者「生まれ育った土地奪われた」 求められる安全性とは
東京電力福島第一原発事故から10年あまり。愛媛県内に避難した住民らが国と東電を訴えた訴訟で、高松高裁は29日、一審・松山地裁に続き、国と東電の責任を認める判決を出した。 「原発事故から10年が経ち、世の中で風化が進む中での判決だった。国の責任を明確に認めてもらい、ホッとしている」。原告団代表の渡部寛志さん(42)=愛媛県松前町=は控訴審判決後の記者会見で、「勝訴判決」の意義を強調した。 事故当時、福島県南相馬市の避難指示区域内に住んでいた。原発はどんな状況にあるのか。放射線がどれだけ周囲に広がっているのか。正確な情報がない中、多くの人々が避難を余儀なくされた。自身も、大学時代を過ごした愛媛県を避難先に選び、家族とともに移り住んだ。 事故から3年たった2014年、同じく福島県から避難した人たちと訴訟を起こした。「事故に至るまでに、国と東電がやるべきことがあったのではないか」という疑念があった。 19年3月の一審判決で国と東電の責任が認められ「非常にありがたい」と感じたが、避難指示の対象となった避難者と、自主避難者の間では賠償額に開きがあったことに、気をもんできた。「生まれ育った土地を奪われたという点ではみんな同じ。そこを理解してほしい」 愛媛で始めたミカン栽培は軌道に乗ってきた。将来を考える際には、常に福島で暮らす自身の姿が思い浮かぶ。3年前から福島県南相馬市でコメ作りを始め、田植えと収穫の時期に計4カ月ほど福島に滞在する「2地域居住」を始めた。 「もとの生活が戻ることはない。ただ少しでも、過去のもやもやした思いを払拭(ふっしょく)して、未来の希望を考えられる日々にしたい」 29日の高松高裁判決は、家庭や学校、職場など地域社会との関わりも相当程度に失われたとして、一部の避難者について「ふるさと喪失慰謝料」を認めた。賠償額も、一審判決より上積みされた。それでも、原告側代理人の野垣康之弁護士は「賠償がなお不十分」として、上告する方針を明らかにした。「長い戦いになる」。淡々とした口調に、決意を込めた。(谷瞳児) 長期評価重視の流れ続く 注目される最高裁の判断 東京電力福島第一原発事故をめぐる高裁の判断は、原告側からみて「3勝1敗」になった。国の賠償責任を認めた3件の判決はいずれも、2002年に津波の可能性を指摘していた国の「長期評価」を重視し、国が対策を命じるべきだったと認定した。 「最高裁、各地の裁判にも大きな影響を与える判断」。各地の原発避難者訴訟を支援してきた南雲芳夫弁護士は会見でこう語った。先行する3訴訟の高裁での判決や様々な反論を踏まえた上での「練り上げられた判決」と評価した。 長期評価は、福島県沖でも大きな津波を伴う地震(津波地震)が起こる可能性を指摘していた。東電が08年に計算した15・7メートルの津波予測も、この評価をもとにしていた。今回の判決は、02年の時点で同様の計算をしていれば原発の技術基準を満たさないと判断できたのに、対策を命じなかったと断じた。 国の責任をめぐっては、長期評価の信頼性が議論になってきた。国の責任を認めなかった今年1月の東京高裁判決は「種々の異論や信頼性に疑義を生じさせる事情が存在していた」とし、「国に問題があったとまで認めることは困難」と国の裁量を容認していた。 ただ、原発は事故を起こせば影響が大きく、高い安全性が求められる。国の責任を認めた判決はいずれも、長期評価が専門的な審議を経た見解であることを重視。今回も「異論を踏まえて高度に専門的な審議を行ったうえで取りまとめられた」と信頼性を認め、規制を担う原子力安全・保安院が内容や影響を十分に調べなかったことを批判した。 馬奈木厳太郎弁護士は「長期評価の信頼性は揺らがない。責任論は決着がついたと思っている。これを今さら最高裁が変えることはあり得ないと強調しておきたい」と述べた。3訴訟と合わせた最高裁の判断は、事故の賠償や今後の原発の規制にも影響する。 原発事故をめぐっては、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の刑事裁判の控訴審が11月に始まる(一審は無罪)。東電の株主が旧経営陣5人に22兆円の支払いを求めた訴訟は年内に結審する見通しで、いずれも長期評価で対策を取れたかどうかが焦点になっている。(編集委員・佐々木英輔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
テーマは「炭鉄港」 調理科高校生がチョコ菓子開発 北海道三笠市
戸田拓2021年9月29日 22時00分 空知の炭鉱、室蘭の製鉄、小樽の港を結ぶ北海道近代化の物語「炭鉄港」。北海道三笠市立三笠高の製菓部員らが、この三つの要素を取り入れたチョコレート菓子を考え、砂川市の「ほんだ菓子司」と商品化した。道によると「炭鉄港」がテーマの土産品は初めてという。 「炭鉄港」は、2019年度に文化庁が日本遺産に認定した。道空知総合振興局は、これをテーマにガイドツアーなど様々な観光企画を打ち出している。このほど、道内の公立で唯一の食物調理科単科校の同校に、土産品の菓子開発を委託した。 開発された菓子「炭鉄港からのお便り」は、キャラメルを絡めた平たく丸いライスパフの半面をビターチョコレートでコーティングし、米が実る陸と夜の海を表現した。チョコに散らした赤いドライストロベリーの粒は石炭のイメージで、隠し味のしょうゆは「港の潮風を思わせる」趣向だ。 1箱4個入り1080円で、10月2日から19日まで、JR札幌駅どさんこプラザで開催中の「空知フェア」で販売する。5日以降は、三笠高校生レストラン「ESSOR STORE」などでも扱う。問い合わせは道空知総合振興局地域政策課(0126・20・0034)。(戸田拓) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
はたちになったら飲めるかな 農業高校生が酒米収穫 北海道旭川
井上潜2021年9月29日 22時00分 地元の酒蔵と協力し、北海道産の酒米を使った日本酒造りに挑戦している旭川農業高校(北海道旭川市)の生徒たちが29日、校内の田んぼで原料となる酒米「きたしずく」の収穫作業を行った。生徒たちは来年2月から始まる日本酒の仕込み作業にも参加する予定。酒蔵では、できあがった日本酒を生徒が成人するまで冷蔵貯蔵して贈ることも考えているという。 地元の魅力を知り、地域貢献につなげようと、市内の老舗酒蔵・高砂酒造と同校農業科学科の2、3年生が連携し、今年から始めたプロジェクト。生徒たちは酒造の杜氏(とうじ)から日本酒について講義を受けた後、5月に学校の水田約750平方メートルに「きたしずく」を植えた。 収穫作業には生徒と同酒造の社員ら約30人が参加。実りを迎えた稲を鎌などを使って刈り取った。 道内ではこの夏、高温少雨が続いたが、稲の生育はまずます。酒米は主食用米と比べて丈が長く、強風などで倒伏しやすいのが難点だが、大田優斗さん(2年)は「心配していたほど倒れていなかった」とにっこり。菅琴音さん(3年)も「これから酒米がどうなっていくのか、仕込み作業に参加させてもらうのが楽しみ。20歳になったら飲んでみたい」と笑顔で話していた。(井上潜) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
防犯協会名乗る男ら、女性から4080万円だまし取る 北海道・帯広
2021年9月29日 18時00分 北海道警帯広署は29日、帯広市の70代女性が約4080万円の特殊詐欺(架空請求詐欺)の被害にあったと発表した。 署によると女性は6月中旬、防犯協会を名乗る男から「あなたの名前がボランティアに登録されている。辞めるなら他の人を探す」という電話を受けた。その後、「代わりの人が見つかった」「この『お客様番号』を伝えて」などと言われたという。 ところが、代わりになったと名乗る人物に「お客様番号」を伝えたところ、関係者という人物から「なぜ番号を教えたのか」などと言われ、弁護士費用名目などで8月下旬にかけて5回にわたり、計4千万円を指定された福岡県の住所に宅配便で送付させられた。さらに数回、コンビニで電子マネー約80万円分も購入させられたという。 女性が関係先に問い合わせて該当の人物がいないことから、今月17日に同署に被害を相談して発覚した。同署は「『宅配で現金を送れ』は詐欺。すぐに警察に相談を」と呼びかけている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル