一つの「もしも」が、名古屋の運命を劇的に変えていたかもしれない――。平成のはじめ、そんな壮大な「空想」を元にした1冊の小説が脚光を浴びました。どこか内向きに感じていた名古屋の未来に、地元出身の作家は何を思い描いたのか。そしていま、名古屋の実際の姿とは? 空想と現実を行き来しながら、記者が読みときました。 「特別巡回」でやって来た名古屋城の金シャチ金のしゃちほこと記念撮影をする人たち。コロナ禍で打撃を受けた観光業を支援するため、16年ぶりに地上に降ろされた=今年2021年4月6日午後、岐阜県中津川市山口、戸村登撮影 豊臣秀吉が正妻との間に男子をもうけていたら?―― そんな歴史の「if(もしも)」を起点に展開する空想小説『金鯱(きんこ)の夢』が刊行されたのは、バブルの絶頂期1989年のことだった。「金鯱」は名古屋のシンボル、名古屋城の天守に鎮座する金のしゃちほこ。「if」の結論は、豊臣幕府による名古屋時代が260年続く、だ。 作者の清水義範さん(73)はユーモア小説を得意とする名古屋出身、東京在住の作家。名古屋文化をテーマにした代表作『蕎麦(そば)ときしめん』(86年刊)は、名古屋への転勤者の必読書とされる。東京からの転勤者が書いたとされる論文を紹介するという体裁で、「外」から見た名古屋の特殊性を論じた。謎の外国人著者による日本人論として評判になった『日本人とユダヤ人』(70年刊)のパロディーでもある。 清水義範さん だが、身をもって名古屋を知る作者の筆致は辛辣(しんらつ)すぎたのか。「本意ではありませんでしたが悪口を書いたことになってしまったので、それなら名古屋を都(みやこ)にしてみせましょう、と」。『金鯱の夢』はこうして、天下統一の英雄は生んでも王城の地になったことがない名古屋の「汚名返上」であり、『蕎麦ときしめん』で故郷の悪口を広めたとぬれぎぬを着せられた作者の汚名返上のために書かれた。 江戸の歴史はすべて名古屋に置き換えられ、野卑な江戸言葉に代わって洗練された名古屋弁が標準語になる。明智光秀が織田信長を討ったとんでもない理由が明かされ、江戸豊臣家の黄門様が諸国を漫遊し、謎の絵師、写楽の驚くべき出自が語られる……。 ところが刊行直後、「金鯱の… この記事は有料会員記事です。残り1903文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
緊急事態、感染者減もなぜ延長? 「意味わかりにくい」
北海道内の新型コロナウイルスの感染状況や緊急事態宣言をめぐる政府の方針について、札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)に聞いた。 ――道内の現時点の感染状況を、どのように分析していますか。 「北海道に3度目の緊急事態宣言が出された少し前の8月24日ごろから、新規感染者は安定的に減少傾向にあり、現在もその傾向が続いています。感染者数が多い札幌市もそれ以外の道内地域のいずれも、減少の速度はかなり速く、減少の鈍化や再増加の気配は、今のところ見えません」 ――それでも、政府は今月12日までの緊急事態宣言を、30日まで延長するとしました。 「道内での感染再拡大に関する懸念材料は現時点で見当たらず、今後も安定して減少傾向は続くと予想しています。ただ、再拡大を防ぐためには、引き続き外出自粛要請や飲食店の時短要請など一定の対策を講じる必要があります」 「私自身は、北海道の感染状況を見れば緊急事態宣言から強い措置を一段落としたまん延防止等重点措置に切り替えると思っていました。確かに、現在の道内の感染状況を示す数字の多くは、国の指標で緊急事態宣言を出す目安となるステージ4を超えています。医療体制の逼迫(ひっぱく)度や感染状況の再びの悪化などを想定し、厳しい措置を継続するとの方針は理解できます」 「一方で、今の安定的な減少傾向を国がどう評価したのかは分かりづらい。コロナ患者数が日々数百人単位で減少している現状を鑑みると、緊急事態宣言のもつ意味が、ますます分かりにくくなっているというのが率直な感想です。政府の事情もあるのかもしれませんが、緊急事態宣言を出すのが遅く、終わらせるタイミングも明確でないという印象は否めません。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の位置づけがあやふやなことが問題ではないでしょうか」 ――政府は、ワクチン接種が… この記事は会員記事です。残り275文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大の背任事件、大阪でも捜索 医療法人グループの関係先 東京地検
2021年9月10日 5時00分 日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐり、日大理事が大学側の資金を流出させた疑いがある背任事件で、東京地検特捜部は9日、新たに大阪市の医療法人グループの関係先を家宅捜索した。日大本部や田中英寿理事長の自宅などに入った8日に続き、2日連続の捜索となった。 医療法人グループの関係先には9日午前10時10分ごろ、特捜部の検事や事務官ら10人弱が捜索に入った。 関係者によると、日大は医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替えを計画しており、工事の設計監理を昨年、都内の設計事務所に二十数億円で発注した。特捜部はこの契約をめぐり、日大理事が大学側の約2億円の資金を不正に流出させて損害を与えたという背任容疑で捜査している。 関係先が捜索対象になった医療法人の理事長は、日大の田中理事長や田中氏側近とされる当該理事と付き合いがあり、特捜部は板橋病院工事をめぐって資金が流出する過程で医療法人側が関与した可能性があるとみている模様だ。 日大理事は、日大施設の管理・運営などを行う関連会社「日本大学事業部」の取締役で、特捜部は8日に同社も捜索している。 医療法人グループは朝日新聞の取材に「対応できない」と回答した。田中理事長は9日、報道陣の問いかけに無言だった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
来年こそは!木漏れ日浴びる 約600体のひな人形天日干し 福岡
金子淳2021年9月10日 7時30分 福岡県朝倉市で9日、約600体のひな人形が秋月城跡長屋門前の石段に並べられ、木漏れ日を浴びた。 毎年2月から始まる「古都秋月 雛(ひな)めぐり」に向けての準備の一環。9月9日の「重陽の節句」に「後の雛」として人形を飾る風習にちなみ、この日に天日干しし、人形の状態を確認している。 「雛めぐり」は、新型コロナが広がり始めた昨年は途中で中止に。今年は緊急事態宣言が出され中止となった。市の担当者は「来年は何とかコロナに収まってもらい、最後まで開催したい。多くの人に訪れて欲しい」と話している。(金子淳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌や旭川では酒提供店の休業要請継続 緊急事態延長で
政府は9日、北海道など19都道府県での新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を30日まで延長することを決めた。これを受け、鈴木直道知事は札幌市など10市町村での酒類提供飲食店への休業要請など、強い対策を継続する方針を示した。他地域の飲食店での酒類提供時間は、一定の要件を満たせば「午後7時半まで」とし、従来の「午後7時まで」より緩和する。10日の対策本部会議で正式決定する。 7月以降の急激な感染拡大を受け、道には8月2日から「まん延防止等重点措置」が適用され、同27日からは緊急事態宣言に切り替えられた。道は9月12日まで、道内全域で飲食店に午後8時までの時短などを要請。札幌市を含む石狩地域の8市町村、小樽市、旭川市の「特定措置区域」(計10市町村)では、酒類を提供する飲食店に休業を要請するなどの強い措置を講じている。 道は13日以降も10市町村を「特定措置区域」とし、強い措置を継続する。他地域では、国の基本的対処方針に従い、酒類提供は一定の要件を満たせば「午後7時半まで」に緩和する。 9日までの道内の新規感染者数は4日連続で100人台となった。16日連続で前週の同じ曜日を下回り、減少傾向にある。 一方、医療への負荷は続いて… この記事は会員記事です。残り391文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
男子高生眠らせわいせつ容疑 元中学講師を逮捕 別の教諭宅から動画
2021年9月9日 20時16分 勤務先だった東京の私立中高一貫校の男子高校生を昏睡(こんすい)状態にし、わいせつな行為をしたとして、大阪府警は同校の元中学講師、中村洋一郎容疑者(37)=横浜市青葉区=を準強制わいせつ容疑で8日に逮捕した。「今は話せない」と認否を保留しているという。 刑事特別捜査隊によると、中村容疑者は2014年10月19日、東京都渋谷区内の当時の自宅で、男子高校生を何らかの方法で眠らせるなど抵抗できない状態にし、わいせつな行為をした疑いがある。 行為中に撮影したとみられる動画が今年7月、別の事件で府警が家宅捜索した滋賀県内の公立小学校の男性教諭(32)宅から見つかり、中村容疑者が関与した疑いが強まったという。教諭宅からは中高生とみられる少年のわいせつ動画が多数見つかったといい、府警は2人が動画を交換していた疑いがあるとみている。 府警は、この教諭についても、10代の少年2人にわいせつ行為を自撮りさせ、SNSで送らせた疑いがあるとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)容疑で今月8日、大阪地検に書類送検した。 教諭は約7年前からSNS上で20代前半の女性を装って多数の少年らと連絡を取り合い、わいせつな動画を送るよう要求していたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
未登記で27年、土地所有者が10倍超の395人に 国東市が提訴へ
大畠正吾2021年9月9日 20時40分 大分県国東市は、27年前に温泉宿泊施設の建設のために買い取った土地の登記をせず、登記簿上35人だった土地所有者が相続で395人へと10倍以上に膨れ上がった問題の解決のため、大分地裁に民事訴訟を起こす。将来の土地売却には所有権を市に移す必要があるが、市は「数が膨大で対応しきれない」として、民法の規定による解決を図りたい考えだ。 市によると、問題を抱えた施設は「国見温泉 あかねの郷」。合併で国東市となる前の旧国見町が1995年、町営施設としてオープンした。和・洋室など計12室や日帰り温泉を備え、2018年度は約2500人が宿泊した。 旧国見町は94年2月、施設建設のため、山林など25筆の土地を約1500万円で購入。13筆は売り主と旧国見町が共同で所有権移転登記をしたが、山林共有組合から購入した10筆と個人から購入した2筆の計約2万7400平方メートルは登記していなかった。 組合から購入した10筆は、それぞれ20人以上の組合員が所有権を共有していた。これを含め、未登記だった土地の所有者は計35人だった。登記しなかった理由は不明だが、市の担当者は「登記簿の日付は明治や大正時代で、所有者の多くは亡くなっており購入当時から相続人が多数いたためではないか」と推測する。 市が将来の土地売却に備え、権利関係を確認していた2019年、未登記が発覚。これらの土地は今年5月時点で海外在住者を含む395人に相続されていた。市は住民票などで全員の住所を把握したが、個別に所有権移転の協力を依頼するのは困難と判断。土地を10年ないし20年占有すれば自分の所有にできる民法の「時効取得」などが認められるよう裁判に頼ることを決めた。 提訴後は裁判所から相続人全員に訴状が送られる。異議が出なければ市の所有権が認められる可能性が高く、市だけで登記できるようになる。 市は開会中の定例議会に、弁護士費用165万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提案。三河明史市長は「私も報告を受けて驚いた。ちゃんと手続きをしていなかった行政の責任で本当に申し訳ない」と話している。(大畠正吾) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
泉佐野市がビール醸造所を誘致 ふるさと納税返礼品、「地場産品」に
大阪府泉佐野市内へのクラフトビール醸造所誘致を発表した同市の千代松大耕市長(右)とヤッホーブルーイングの井手直行社長=2021年9月9日、同市、西江拓矢撮影 [PR] 大阪府泉佐野市は9日、「よなよなエール」などを製造するクラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」(長野県軽井沢町)の醸造所を市内に誘致すると発表した。ふるさと納税の寄付金を使うクラウドファンディング(CF)で、2023年秋以降の開業をめざす。醸造所で作るクラフトビールを「地場産品」として、ふるさと納税の返礼品にあてるという。 市は、ふるさと納税で18年度に497億円を集めるなど、全国一の寄付を集めた。これに対し、国が過度な返礼品を問題視し、市を制度から除外した。だが、国の決定を違法とする最高裁判決が昨年6月に出て、市は制度に復帰した。 国の「返礼品は寄付額の3割… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「本当の怖さゆうのを教えちゃるけえ」同僚脅した罪、町議に有罪判決
高橋孝二2021年9月9日 21時00分 岡山県鏡野町議会の議長選を巡り、前議長が自らに投票させようと同僚議員2人を脅したとされる事件で、職務強要と脅迫の罪に問われた町議の沖田清明被告(65)に対する判決公判が9日、岡山地裁津山支部であった。小山恵一郎裁判官は懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。 判決によると、被告は議長選2日前の4月10日、40代の町議に電話。別の町議に投票する意思を示されたことに対し、「覚悟を持ってやってくれよ」「絶対おまえの首とっちゃるけん、わしが」などと脅した。また落選した翌13日には町役場の議員控室で、別の40代町議に「もたんぞ、わしにやられて。とことんいくぞ」「本当の怖さゆうのを教えちゃるけえ」などと脅迫した。 判決は、議長選前の職務強要について「執拗(しつよう)に翻意を迫り、告げた内容も強烈で悪質。被害者が強い恐怖心を抱いたのも当然」と指摘。落選後の行為についても「4時間以上も脅迫し、態様は悪質だ」と述べた。そのうえで、被告が起訴内容を認め反省しているなどとして執行猶予を付けた。 一般の傍聴席14席が満席となった法廷で、白色シャツに黒っぽいスラックス姿の沖田被告は体の前で手を握り判決を聴いた。判決後、被告は取材に「議長として議会改革をずっとしてきた。その思いで責めたことは反省している。自分が吐いた言葉ですから、控訴はしません」と語った。町議会から受けた辞職勧告については「支援者と相談し、進退を決めたい」と話した。(高橋孝二) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岐阜・御嵩町長リニア残土の受け入れ表明「反対では整合性とれず」
会員記事 編集委員・伊藤智章、戸村登2021年9月9日 21時01分 JR東海のリニア中央新幹線トンネル工事で出る残土について、岐阜県御嵩町の渡辺公夫町長が9日、町有地の山林で恒久処分を「受け入れる前提で協議に入りたい」と表明した。残土には、自然由来のヒ素やカドミウムなどが混ざる「要対策土」も含まれる。 渡辺町長が町議会一般質問に答える形で表明した。 これまで慎重姿勢だったが「町内から出る土であり、かつて産業廃棄物処分場に反対した町として、どこかよそに持って行けというのは整合性がなくなってしまう。私の立場は消極的賛成だ」などと説明した。 町議会の提案で町の関与を残すため、当初はJRへの借地とし、安全性確認後にJRに売却する。 町長は議会後、借地期間について「2、3年では足らない」との考えを示した。 JRは町内のトンネル工事で出る残土約90万立方メートルのうち、要対策土を含む約50万立方メートルを町有地7ヘクタール(同町美佐野)に持ち込む計画で、要対策土の量は不明。2019年8月に町に提案した。 要対策土を二重遮水シートで全面覆い、周辺の水質も監視するとしている。来年8月以降にはトンネル工事着工予定で、準備工事を始めている。 町長の表明を受け、JR東海広報は「現在、現地調査を行っている。結果を踏まえ、計画を深度化して協議を進め、町民の皆様へ丁寧に説明して参ります」とのコメントを出した。 残る通常の土約40万立方メ… この記事は会員記事です。残り756文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル