阿部峻介2021年9月8日 18時58分 東名高速で2017年に夫妻が死亡したあおり運転事件をめぐり、無関係の会社を「逮捕された容疑者の勤務先」と思わせる書き込みをネット上にしたとして名誉毀損(きそん)の罪に問われた杉浦明広被告(54)=埼玉県=の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は被告側の上告を退けた。罰金30万円とした一審・福岡地裁小倉支部判決が確定する。6日付の決定で、詳しい判断は示していない。 杉浦被告は、あおり運転をした人物の身元を探る掲示板に、事件と無関係の会社のホームページを記すなどして名誉を傷つけたとして在宅起訴された。苦情や無言の電話が相次いだ同社は、一時的に休業した。 被告側は「具体的な事実を指摘していない」と無罪を主張したが、地裁小倉支部は迷惑電話が続いた結果も考慮して「同社の信用や評判に疑問を生じさせうるもの」と認定。二審・福岡高裁も追認していた。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「痴漢です!」泣き叫んでも、助けはなかった 被害者は幾度も傷つく
私が叫んだらどうなるか。触られながら、いつも想像した。 《周りにやばいヤツだと思われるかも。人違いかもしれない。逆切れされて殴られるかもしれない》 そう思うと、声も出せなかった。 電車の中で男性たちの手が体に触れる。そのたび、恐怖で頭が真っ白になり、体は硬直した。 子どもへの性暴力第5部② イラスト・花岡紗季 初めて触られたのは、高校に入学した翌日だった。東京都の殿岡たか子さん(23)=活動名=は、その朝の感触をいまでもはっきり覚えている。 高校から始めた電車通学は超満員。151センチの身長では、息をするだけで精いっぱいだった。何かがお尻に当たった。乗車してすぐトントンとドアをノックでもするようなリズム。それがぐるりと裏返り、手のひらだとわかった。何度かお尻をなでられ、ぎゅっと握られた。 《手がぶつかっているだけなのかも。満員電車ってこんなこともあるのかもしれない》 真新しい制服のスカートはひざがすっぽり隠れる長さで、ブラウスのボタンも一番上までしっかり留めていた。痴漢なんて、漫画やドラマの世界のできごとだと思っていた。5回ほど力強く握られ、やっとの思いで腰を少しずらすと手は人混みに引っ込んだ。乗車時間わずか10分。電車を降り、高校まで泣きながら歩いた。校門に立っていた男性教諭が事情を聴いてくれ、保健室で休んでから授業に出た。 電車内で毎日のように痴漢被害にあった経験がある殿岡さん=東京都内、井手さゆり撮影 子どもの性被害について考える企画「子どもへの性暴力」第5部は、通学路や自宅での被害、痴漢や性的な盗撮など、日常生活に潜む性暴力について取り上げます。 痴漢は、翌日から毎日のように続いた。車内で他の乗客から死角になるような角にグイグイと体ごと押しやられたり、スカートをたくし上げられたりしたこともある。 あるとき、下着の中に手を伸… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
赤木ファイル背表紙に「M事案」「取扱注意」 裁判所が原告側に説明
米田優人2021年9月8日 19時12分 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを苦に自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)が残した「赤木ファイル」の背表紙に「(取扱注意)『M事案』」などと書かれていたことが8日、分かった。赤木さんの妻・雅子さん(50)が国などを相手に起こした訴訟で原本を確認した大阪地裁が、雅子さん側に対して明らかにしたという。 国は6月、赤木さんが残した備忘記録やメールのコピーを雅子さん側に開示した。だが、雅子さん側はメールの発信者などが黒塗りにされており、一部に欠落があるなどと主張。地裁は国から原本の提出を受け、内容を確認していた。 雅子さんの代理人によると、地裁はこの日あった非公開の手続きで、A4判の青色のファイルの背表紙に「M事案」「本省指示(調書等)備忘」などの文字が印字されていた、と説明したという。「M事案」の語句は、国が6月に開示したメールの中にもあり、「森友学園についての事案」を指すとみられる。 雅子さんは「夫は苦悩しながらファイルを残したと思う。黒塗りの部分もあり、知りたいことがある」と語った。(米田優人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌のYOSAKOIソーラン、コロナで2年連続中止に
【動画】2019年のYOSAKOIソーラン祭りの模様=戸田拓撮影 札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」が、今年も中止になった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて当初は延期を発表し、開催の道を探ったが、コロナ収束が見通せず実施断念を決めた。 1992年から28回開催されてきたが、昨年に続いての中止となった。8日、組織委員会が発表した。 今年は6月9~13日に開催を予定していた。しかし、全国的な感染者増を受け、組織委は4月末に延期を発表。観客数の制限や会場の縮小など、開催方法について協議を重ねながら、10月下旬の開催をめざしていた。だが、現在も緊急事態宣言が発令されていて、収束の見通しが立たないなかでの実施は、地域の理解が得られないと判断した。 一昨年は、約280チーム、2万8千人が参加し、200万人以上の観客を集めた。(佐藤亜季) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
拾われた現金、何度も同じ人物が取りに…詐欺容疑の駅員、端末悪用か
2021年9月8日 19時30分 駅に届けられた現金の落とし主を装い、警視庁の遺失物センターを訪れてだまし取ったとして、警視庁は8日、東武鉄道の関連会社員、中村玄容疑者(27)=東京都墨田区押上3丁目=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。調べに対し「金が欲しかった」と容疑を認めているという。 中村容疑者は東武鉄道の駅の係員。現金が拾われた日時や場所などを調べることができる社内の端末を悪用したとみられるという。 捜査2課によると、逮捕容疑は7月、東京都文京区の警視庁遺失物センターで落とし主になりすまし、4月に都内にある東武鉄道の駅で拾われた現金5万円の返却を受けたというもの。センターでは、拾得物が現金のみの場合、落とした際の状況を細かく説明できれば落とし主として引き渡していたという。 中村容疑者は5月以降、同様に拾得物の現金を計約30万円詐取したとみられるという。中村容疑者が何度も現金を受け取りに来ていることをセンターの職員が不審に思い、発覚した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「従軍慰安婦」「強制連行」5社が教科書訂正 政府答弁受け
「従軍慰安婦」という用語について「誤解を招く恐れがある」などとする答弁書を政府が閣議決定したことを受け、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書を発行する3社から教科書計10点の記述計11カ所について訂正申請があり、承認したと文部科学省が8日発表した。「従軍」の記述を削除する社や、記述は残したまま政府見解を併記する社など、対応は分かれた。 政府は4月27日、「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」との答弁書を閣議決定。一方、「いわゆる従軍慰安婦」という用語を使った1993年の河野洋平官房長官談話は「継承」する立場も記した。これを受け文科省は5月、教科書会社20社近くを対象に説明会を開き、訂正申請は「6月末まで」と示すなどしていた。関係者によると、これまで出たことがない訂正勧告の可能性にも触れたという。 文科省によると、「従軍慰安婦」の記述については、山川出版社、実教出版、清水書院の3社から6月末に訂正申請があり、萩生田光一文科相が8日承認した。山川出版社は、現在使われている中学社会科や高校の日本史の教科書にある「いわゆる従軍慰安婦」という記述をなくしたり「従軍」を削ったりした。一方、清水書院は来年度から高校で使われる「歴史総合」の教科書で、「いわゆる従軍慰安婦」の記述は残したまま、注釈に「日本政府は、『慰安婦』という語を用いることが適切であるとしている」との政府見解を付記した。 また、戦時中に朝鮮半島の人々を日本で働かせたことを「強制連行」と表現することについても、政府が「適切でない」との答弁書を4月27日に閣議決定しており、これらの3社と東京書籍、帝国書院の計5社が、「徴用」「動員」などと計28点で計53カ所の記述を訂正した。 中学の社会科や高校の地理歴史、公民科の教科書は、2014年の検定基準改正で「政府見解がある場合はそれに基づいた記述」をすることが定められた。(伊藤和行) 各教科書会社の主な訂正内容… この記事は会員記事です。残り350文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ワクチン済」マスクやアマビエTシャツ 沖縄の旅行会社が「福袋」
福井万穂2021年9月8日 19時44分 コロナ禍の旅行会社に「救援」を――。 「沖縄ツーリスト」(那覇市)は収入確保のため、感染対策グッズなどを「救援福袋」として、8月から販売している。オンラインで購入できる。 「ワクチン済」のロゴ入りマスクや、アマビエのイラストTシャツ、ツアー旅行商品に使える電子クーポン2千円分など7点セットで、税込み5千円。4点セットで同3300円の「ミニ」バージョンもある。 同社は、沖縄の本土復帰前の1958年に創業した老舗。ただコロナ禍で、売り上げは例年の1~2割ほどまで落ち込んでいる。 一方、福袋は発売から1カ月あまりで、全国から700件超の注文が寄せられている。 「ちばりよー(頑張れー)」などと、励ましの電話も相次いだ。担当者は「厳しい状況が続くなか、温かい言葉に勇気づけられた。早く本業で恩返ししたい」と話している。(福井万穂) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
石木ダム、長崎県が本体工事に着手 反対派住民「茶番劇だ」
安斎耕一、原口晋也2021年9月8日 20時03分 長崎県は8日、同県川棚町で進めている石木ダム建設事業の本体工事に着手した。現場周辺では立ち退きを拒む住民が抗議の座り込みを続けており、県は中村法道知事と住民との直接対話に向けて協議をしていたが、不調に終わったとして踏み切った。 ダムを巡っては、水没予定地の川原(こうばる)地区の13世帯が立ち退きを拒んでいる。県は昨年度、本体工事の予算を計上したものの、着工には至っていなかった。県河川課によると、この日は左岸側の掘削工事と、右岸側の樹木伐採などの作業に手を付けた。同課は「準備が整ったため再開した。安全に配慮しながら工事を進めていく」と話した。この日、反対住民との衝突はなかったという。 県は今年5月、事態打開のため住民側に中村知事との対話を持ちかけ、書面のやりとりによる協議が続いたこの間は周辺の関連工事のみにとどめていた。一方、住民側は対話の前提として関連工事の即時中断を主張。結局、県の設けた8月末の期限までに折り合えず、中村知事は「これ以上、本体着工を延期するのは難しい」と、9月以降に着手する考えを示していた。 住民の石丸勇さん(72)は「誠意をもって話し合いをやる気など最初からなかったと思う。一方的に『期限が切れた』と宣伝し、本体着工するなんて茶番劇だ」と怒りをあらわにした。県が今後どんな出方をするか、警戒を強めていく構えだ。(安斎耕一、原口晋也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「立件ありき、反省を」違法捜査解明へ 起訴取り消された社長ら提訴
村上友里2021年9月8日 20時41分 生物兵器製造に転用が可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして逮捕、起訴され、その後に起訴が取り消された「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(72)らが8日、捜査の違法性を明らかにするため、国と東京都に約5億7千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。 大川原社長の弁護団は会見で、同社製品が輸出規制の対象ではなかったとしたうえで「立件ありきの強引な捜査について反省を促したい」と語った。訴状では①警視庁と東京地検が経済産業省の輸出規制の省令を誤って解釈した②規制対象の根拠とした実験に不備があった――などと指摘。「犯罪の嫌疑を判断する上で合理的な根拠を欠いている」と訴えている。 地検と警視庁は「コメントできない」などとした。 大川原社長ら幹部3人は昨年3月、警視庁公安部に外為法違反などの疑いで逮捕され地検に起訴された。地検は公判開始直前の今年7月に「製品が規制対象という立証が困難になった」と起訴を取り消した。勾留は約11カ月におよび、3人のうち顧問の男性が勾留中に体調を崩し、がんで亡くなった。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海自潜水艦の元艦長を書類送検 安全確認怠った容疑 高知沖の衝突
海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」(基準排水量2950トン)が2月、高知県沖で民間の貨物船と衝突した事故で、第5管区海上保安本部(神戸市)は8日、浮上時に安全確認を怠ったとして、潜水艦の艦長だった恒次(つねつぐ)啓介・2等海佐(50)=神奈川県横須賀市=を業務上過失往来危険と業務上過失傷害の疑いで高知地検に書類送検し、発表した。容疑を認めているという。 送検容疑は2月8日午前11時ごろ、高知・足摺岬の南東約50キロの沖合で、潜水艦のソナー(水中音波探知機)で周辺を十分に確認しないまま浮上し、香港籍の貨物船オーシャン・アルテミス(総トン数5万1208トン)の船首と衝突させ、潜水艦の自衛官3人に軽傷を負わせたというもの。 5管によると、ソナーで民間… この記事は会員記事です。残り167文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル