熱海市で発生した大規模土石流の被災者や遺族らが28日、土石流の起点付近にあった盛り土の関係者らを相手取り、損害賠償訴訟を起こした。受けた被害や置かれた立場も違う70人が、責任の明確化や原因究明、十分な説明を求めて原告に名を連ねた。 「それぞれの被害状況は異なるが、悲惨な災害を二度と起こしてはならないという強い使命感をもって訴訟に踏み切った」。提訴後の会見では「被害者の会」会長で、母親を亡くした瀬下雄史さん(53)が思いを代弁した。「同じような災害を防ぐためにも業者に厳罰を処する前例をつくることが一歩目」と訴えた。 同居の母を亡くし、自宅が流された鈴木仁史さん(56)は「遺族という特別な立場として、今回の責任を明らかにしなければならない」と参加した。被告から謝罪の言葉がないことが気になっているという。「何を言われても失ったものは元に戻らないが、裁判を通して声を聞きたい」 赤井谷温泉組合副理事長の原幸一さん(56)は、祖父が掘り当てた温泉の源泉が土砂に埋まった。源泉を掘り直し、供給のためのパイプを敷くだけで1億円はかかる見通しだ。「復興につながるめどが立てばと思い、いてもたってもいられず参加した」 土石流が流れた逢初(あいぞ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
チョークアートで障害乗り越え 急性脳炎で倒れた元九州大院生
大学院生だった16年前、激しい発作に襲われ急性脳炎の重度障害を負った鹿児島市の男性(39)が来月、「チョークアート」の作品展に初出展する。障害との苦闘を続ける中、社会復帰に向けた一歩を踏み出す。 山下直哉さんは、九州大大学院で核融合を研究していた2005年11月、福岡市内の研究室で突然激しいけいれん発作を起こし緊急入院。意識不明の状態は1年2カ月間続き、転院先の鹿児島市内の病院で意識が戻った。「抗NMDA受容体脳炎」だと分かったのは、発症から6年以上たった後だった。 体を守る免疫が自らを攻撃し、発話や手足の自由が損なわれて車いす生活に。大学院を中退し、パイロットになる夢も断念した。退院後は鹿児島の実家で母とふたりで暮らし、現在は訪問による診療や介護、リハビリ訓練を受けている。薬は未開発でけいれん抑制剤を服用する毎日だ。 チョークアートの世界を知ったのは5年ほど前。チョークの形をしている画材のパステルで黒いボードに描き、指先で押して独特の色調を出す。元々絵が好きで「自分にもできる」手軽さに引かれ独学で始めた。手首のスナップは利かなくても、パステルをつまんだ腕を時間をかけて動かして描く。一つの作品に2カ月ほどかかるという。 「作品展に出しませんか」。7月末、自作を紹介していたフェイスブックに書き込みがあった。熊本県宇土市のチョークアート作家、筌元(うけもと)ひとみさん(57)からだった。 筌元さんは、山下さんの作品… この記事は会員記事です。残り335文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山口組最高幹部ら8人逮捕 抗争相手の組長殺害未遂事件で指示役か
2021年9月28日 18時42分 対立する暴力団の組長を殺害しようとしたとして、宮崎、大分両県警は28日、指定暴力団山口組幹部で直系組織「石井一家」(大分市)の総長、秋山靖一容疑者(55)=大分市家島=ら8人を組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)の疑いで逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。 発表によると、秋山容疑者ら8人は共謀し、昨年9月14日午後4時ごろ、宮崎市内の駐車場で、当時指定暴力団神戸山口組の傘下組織組長だった50代男性の頭や腰などを包丁で刺し、組織的に殺害しようとした疑いがある。両県警はこの8人とは別に、事件の実行犯として山口組系組長の男(54)ら3人を殺人未遂容疑で7月5日までに逮捕していた。 県警によると、秋山容疑者は「若頭補佐」と呼ばれる山口組執行部メンバーの一人。両県警は、事件は対立している山口組と神戸山口組の縄張りをめぐる抗争とみており、秋山容疑者ら8人は指示役や凶器の準備役だったとみている。 28日には大分、宮崎市内の組事務所や8人の自宅などを家宅捜索した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
豪雨被害対策、全国のJRに河川橋梁の総点検を要請 国交省
磯部征紀2021年9月28日 19時26分 豪雨災害で鉄道の河川にかかる橋梁(きょうりょう)が流される被害を防ごうと、国土交通省は28日、JR各社に全国の河川橋梁の総点検を行うよう要請した。全国約5千カ所のうち、被災の恐れがあるものを抽出して現地調査を実施してもらい、早期対策が必要なものは、来夏までをめどに補強工事などを行うよう求めている。 国交省が同日開いた対策検討会で、JRに総点検の実施方法を示した。 国交省によると、JRには橋脚の構造や立地条件、過去の災害の発生状況などを参考に、川の流れで橋脚の基礎の周りの河床が削り取られる「洗掘」が発生する恐れがあるものを選定し、このうち緊急性が高いものから現地での緊急調査を行ってもらう。必要に応じ国交省の職員も立ち会い助言を行う。 国交省が過去の被災事例を分析したところ、洗掘が起きた多くは杭などの補強がなく、直接川底に基礎を設置した構造だった。また、川の流れる位置が建設時から変化したり、支流の合流地点になっていたりするものもあった。同省はこうした観点を踏まえて緊急点検対象を選ぶようJRに求めた。 全国のJRでは過去20年間に47カ所の橋梁で、橋脚の傾斜や橋桁の流出といった被害が起きている(磯部征紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熱海土石流、遺族ら70人が提訴 盛り土造成業者らに32億円求める
植松敬2021年9月28日 19時29分 静岡県熱海市で7月に発生した大規模土石流で、遺族ら70人が28日、土砂崩落の起点付近にあった盛り土を造成した業者や現在の土地所有者などを相手取り、約32億7千万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。土石流について「明確に人災」と主張している。 原告には、遺族のほか、自宅を失った被災者や災害で収入が減った漁師や温泉施設関係者も含まれる。 被告は、2011年まで土地を所有し、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産業者や同社の幹部、造成の委託を受けた業者、現在の土地所有者など。 訴状によると、盛り土の造成は、適切な排水工事などがされず注意義務違反があったと指摘。その後も盛り土を放置した過失があるとして、土石流が発生した原因自体を盛り土と位置づけて、土石流は人災だと主張している。 原告の一人で「被害者の会」会長をつとめる瀬下雄史さん(53)は、母親を亡くした。「二度と悲惨な災害を起こさないために訴訟に踏み切った」と述べた。 現在の土地所有者の代理人弁護士は取材に「土地所有者は危険な盛り土があるとは知らなかった。訴訟には公明正大に対処する」と話した。盛り土を造成した不動産業者の代理人弁護士は「訴状の内容を確認した上で対応を検討したい」としている。 土石流は7月3日に発生し、26人が死亡、1人が行方不明となった。県と市が原因などを調べている。盛り土の土地の新旧所有者については、重過失致死などの疑いで刑事告訴もされている。(植松敬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
急増の通信制高校、不適切な運営も 文科省が制度見直しへ
伊藤和行2021年9月28日 19時30分 不登校や多様な学び方を望む生徒の受け皿として急増する通信制高校について、文部科学省が現行制度を見直すことになった。高校の通信制課程は60年前に制度化されたが、一部で不適切な運営が発覚しており、監督を強める考え。28日に文科省の有識者会議で議論が始まり、外部評価の必要性などが指摘された。 文科省によると、通信制高校の生徒数は今年、過去最多の約21万8千人となり、学校数も260校と増え続けている。なかでも私立が183校と大幅に増加。1961年の学校教育法改正で制度化された当時は働きながら自学自習する生徒を想定していたが、不登校など様々な事情を抱えサポートが必要な生徒が増えたため、実態にあった制度に見直す。 一方、通信制高校をめぐっては2015年に株式会社立ウィッツ青山学園高校(閉校)で就学支援金の不正受給事件が発覚。文科省は2017年から都道府県をまたいで生徒募集をする広域通信制高校の調査を始め、教員免許がない人が指導していたり、100人を超える生徒に教員が1人で面接指導していたりと、一部で不適切な教育内容を確認した。学校の設置を認可した都道府県の外に、生徒が通うサテライト施設があることで、都道府県の監督が及ばないなどの課題も指摘されてきた。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かんぽ報道で会長厳重注意の議事録 開示訴訟でNHK側争う姿勢
かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHKの経営委員会が2018年、当時の上田良一会長を厳重注意した問題で、市民ら約100人がNHKと森下俊三・現経営委員長を相手取り、厳重注意の経緯がわかる経営委の議事録の全面開示などを求めて提訴した訴訟の第1回口頭弁論が28日、東京地裁であった。NHKと森下氏は請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。 原告側は議事録などの開示を4月に求めたのに、応じていないのは違法だとして、6月に提訴していた。 NHK経営委は7月、原告や朝日新聞などの開示の求めに対し、会長を厳重注意した会議の全容を記録した文書を開示。ただ、経営委はこの文書について「公表する議事録とは異なり、内部での作成の過程に位置づけられる資料であり、整理、精査されていないだけでなく、経営委での確認を経ていないもの」と説明している。 NHK側は訴状に対する答弁書で、この文書が「既に原告らに対して開示され」ているとして、現時点では裁判で争う開示義務がないと主張。森下氏側はこの日の時点で反論内容を明らかにしなかった。 経営委の議事録は放送法で作成、公開が定められている。原告側が議事録の開示を求めたのに対し、経営委は既に開示された文書を正式な議事録ではないとしている。原告側は既に開示された文書とは別に議事録が存在するのか否かなどを明確にするよう、NHK側に求めた。 この日は原告らが意見陳述を… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大臣接待の会員制飲食店、NTT社長が閉鎖を示唆 自社グループ運営
2021年9月28日 20時12分 NTTの澤田純社長は28日、平井卓也デジタル相らへの高額接待について「ご迷惑をおかけして大変申し訳ない」と記者会見で陳謝した。接待の会場となった自社グループで運営する東京都港区の高級会員制レストランについては「たたんでいくことを考えている」と閉鎖を示唆した。 レストランは今春発覚した総務省幹部らへの高額接待でも使われ、高級ワインなどが振る舞われた。この問題では、当時の事務方ナンバー2の総務審議官が停職の懲戒処分を受けて辞職に追い込まれるなどした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宣言解除の19都道府県全てで酒OKに 時短要請しない方針の県も
19都道府県に出ている新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の解除に伴い、19都道府県すべてが10月1日から飲食店での酒類の提供を認める見通しであることが朝日新聞の取材でわかった。16都道府県では営業時間の短縮要請は継続するが、茨城、静岡、滋賀の3県は時短要請もしない方針で、全面的に解除する。 10月から一部地域を含む時短要請は継続し、酒類提供を認めるのは、北海道、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、広島、福岡、沖縄の16都道府県。 茨城県は県全域で営業時間の短縮要請や酒類提供の停止を解除する。大井川和彦知事は27日の会見で、「第5波もほぼ収束に近くなっている。ワクチン接種を受けた方を中心に経済活動を元に戻していくことが次の課題だ」と述べた。 終日OK午後8時半までなら 対応分かれる 時短要請について、大半の都道府県は、政府が基本的対処方針で示した「第三者認証制度の適用店舗は午後9時まで、それ以外は午後8時まで」との考えに沿って設定する。認証店の酒類の提供を巡り、大阪、京都、兵庫、福岡の4府県は午後8時半まで、東京、神奈川、埼玉、愛知などは午後8時までと対応が分かれた。栃木、東京、千葉、兵庫は1組4人以内、埼玉、神奈川は1組4人以内か同居家族との条件も求めた。 国内でほぼ半年ぶりに宣言と「まん延防止等重点措置」の対象がゼロになるが、多くの知事は経済活動の本格的な再開には慎重な姿勢だ。東京都の小池百合子知事は28日、重症者数がいまだ100人以上いるとした上で、「これまでの努力を水泡に帰さないために、リバウンドを防止しよう」と呼びかけた。大阪府の吉村洋文知事は「どうやったらコロナと共存できるかを模索していくのが重要だ」と説明。三重県の一見勝之知事は「今はブレーキを少し緩めるだけ。アクセルを踏み込む判断はしない」と述べた。福岡県の服部誠太郎知事は28日朝、記者団に「『第5波』の爆発的な感染の拡大を振り返ると、措置の緩和も一歩一歩進めていく必要がある」と話した。 一方、重点措置が解除される8県では宮城、福島、石川、香川、宮崎、鹿児島の6県が飲食店への時短要請はせず、酒類提供も全面的に解除する方針だ。熊本県は熊本市の病床使用率が高いことから、午後8時までの時短要請を来月14日まで同市で継続する。岡山県は29日に対応を決める。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
九州の酒提供どうなる 沖縄、5度延長4カ月間の宣言ようやく解除へ
福岡県で8月20日、沖縄県で5月23日から続いていた新型コロナウイルスの緊急事態宣言が今月末で解除されることが決まった。熊本、宮崎、鹿児島の3県に出ていた「まん延防止等重点措置」も解除される。ただ福岡県などでは飲食店やイベントの制限が続き、日常が戻るのはまだ先になる。 福岡県は28日、緊急事態宣言が30日で解除される政府決定を受け、飲食店での酒の提供を時間制限付きで認める県独自の対策を決めた。営業時間の短縮要請は当面維持しつつ、感染再拡大の防止と対策緩和の両立をめざす。 服部誠太郎知事は、28日の県対策本部会議後の記者会見で、「ウィズコロナの状態で感染の再拡大を防がないといけない。県の措置でもう一踏ん張り頑張って感染を封じ込めたい」と強調。感染対策と飲食店などへの制限緩和を同時に進める両にらみの対応策に理解を求めた。 県は来月1日以降、県全域の飲食店に酒の提供を午後7時半、営業を8時までとするよう要請する。感染防止対策を示す県の認証マークを取得した飲食店は酒の提供を午後8時半、営業を9時まで認める。認証店は28日現在で3085店で、県内の飲食店の1割以下にとどまる。 県独自対策の期限は10月14日まで。百貨店などの大型商業施設を対象とする時短要請や入場制限は解除する。 県内では「第5波」の勢いが収まり、新規感染者数は20日に約2カ月ぶりに100人を切ると、28日は44人となった。それでも、病床使用率は27日時点で22・2%と「ステージ3」(感染急増)相当で、ワクチンの2回接種済みの人は53・9%にとどまる。服部氏は「『第5波』では急速、爆発的に感染が拡大した。感染を十分に低い水準まで抑え込まなければ、次の感染拡大の波があっという間に押し寄せる懸念がある」と表情を引き締めた。 沖縄県では、約4カ月続いた緊急事態宣言がようやく解除される。ただ、新規感染者数は人口比で全国最多の状態が続いており、県独自の対策に移行する。酒の提供は県内すべての飲食店に認めるが、感染対策を講じた県の認証店(約5千店)は午後8時まで、それ以外は午後7時までとする。営業終了は認証店が午後9時、それ以外は午後8時にするよう要請する。 玉城デニー知事は28日夜の会見で「再拡大を起こしてしまったら、いままでの努力が無駄になる。全面解除ではなく、段階的に行う必要がある」と述べた。県では春以降、深刻な感染状態が続き、4月12日に「まん延防止等重点措置」が適用され、5月23日に移行した緊急事態宣言は5度延長された。 宣言は解除されるが、直近1… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル