名古屋刑務所と愛知県警豊橋署の留置施設で8月、それぞれ10人以上の新型コロナウイルスへの感染が確認された。被収容者の健康管理は当局の責務だが、密が生じやすい閉鎖空間でのコロナ対策の難しさが浮き彫りに。職員らへの行動自粛要請が長引くなかで「緩み」も見える。 「刑務所職員が今、あえてそのような行動をするのは自覚が欠けている」 名古屋刑務所(愛知県みよし市)を管轄する名古屋矯正管区の幹部は憤りを隠さない。50代の男性刑務官2人が、居酒屋での会食を繰り返し、県外の温泉施設に出かけていた。その後の8月中旬以降、この2人を含む職員13人と、20~80代の男性受刑者3人の感染が確認された。 刑務官2人の行動と感染との関係は不明というが、自宅待機となった職員は数十人にのぼり、受刑者の刑務作業も一部が中止になった。 法務省などによると、矯正施設での5人を超える感染は全国10施設で12回発生。横浜刑務所は147人、千葉刑務所も94人の大規模なクラスター(感染者集団)となった。65歳以上の受刑者だけでも昨年末時点、全国で5千人以上いて、基礎疾患など重症化リスクが高い人もいるため、厳格な感染症対策が求められる。 名古屋矯正管区によると、今回の刑務官2人について、現時点では懲戒処分の対象にはしない考えという。私生活にまで処罰を前提とした制限をかけることは「個人の権利との兼ね合いから難しい」と幹部。飲酒を伴う会食はせず、不要不急の外出を控えるよう文書で繰り返し職員に呼びかけてきたが、あくまで「お願い」だという。 元刑務官で作家の坂本敏夫さん(73)は「幹部が一方的に指示するだけだったのではないか。それでは現場の当事者意識は育たない」と指摘する。 刑務官だったころ、インフルエンザの流行期などには体を温めるショウガを使ったメニューにしたり、睡眠時間を長めにしたりと、現場の工夫を取り入れる組織風土があったという。「幹部と現場が一丸となって感染対策に取り組むという信頼関係があれば、今回のようなことは起こらなかったと思う」 愛知県警でも8月下旬から、豊橋署の留置管理担当の署員3人と被留置者9人の感染が判明した。保健所はクラスターと認定した。 感染経路は分かっていないが、外部からウイルスが持ち込まれると、洗面や入浴などの共用部から感染が拡大する可能性がある。 県警では昨年7月に逮捕した男から感染が拡大した岡崎署の事例を教訓に、新たに収容する場合、一定期間は1人部屋としている。幹部は「もう新たな対策は取りようがない。基本を徹底するしかない」と話す。(山下寛久) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
音声SNSの可能性 リアルタイムを共有する「内緒話」の特別感
メディア空間考 水野梓 紙かネット記事か――。筆者が大阪の紙面編集者として働いていた7年ほど前は、新聞社のニュースをより広く届けるために、そんな風に言われていました。しかし今や、ニュースの届け方は2種類には限りません。YouTubeやTikTokといった動画発信のほか、ポッドキャストや音声SNSなどの「音コンテンツ」もその一つです。 音声メディアには熱い視線が注がれています。2021年1月末から爆発的に広まった音声SNS「クラブハウス」は、雑談をオンライン化したともいわれます。その流れを追うように5月、ツイッターも音声コミュニケーション機能「スペース」を本格的に始めました。当初は「招待制」だったクラブハウスも7月、誰でも参加可能になりました。 筆者が所属するウェブメディアwithnewsでは、以前から編集部員がクラブハウスで記事を紹介するなど、音声SNSを積極的に使ってきました。そこで7月、「スペース」のリリース記念として、Twitter Japanと共同で漫画『ちはやふる』の作者・末次由紀さんをお招きした公開インタビューを開きました。 末次さんはクラブハウスも含め、音声SNSに親しんでいました。また、オンラインイベントなどではご自身の顔を出さずに登壇しています。「音声だけ」が前提のメディアは、よりフィットするのでは……とも考えました。 クライマックスを迎えている… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:750文字/全文:1347文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Shohei Ohtani blasts 43rd homer to propel Angels past Rangers
Anaheim, California – Shohei Ohtani blasted his MLB lead-extending 43rd home run Saturday, a three-run shot in the sixth inning steering the Los Angeles Angels to a 4-1 win over the Texas Rangers. A day after throwing his MLB-high 117 pitches and hitting 100 miles (161 kilometers) per hour from […]
コロナ自宅療養者救え 在宅医療専門クリニックが資金集めて往診対応
佐藤陽2021年9月5日 12時00分 首都圏などで在宅医療サービスを提供する医療法人社団「悠翔会」が、コロナ禍の自宅療養者の診療を続けるために、クラウドファンディングで資金を集めた。募集開始後すぐに目標額の1200万円は達成した。佐々木淳理事長は「コロナとの闘いは、社会の総力戦だと思っている。みなさんの協力に感謝したい」と話している。 悠翔会は、首都圏などに18クリニックをもつ在宅医療専門クリニック集団。通常は、慢性疾患の高齢者を多く診ているが、コロナ感染拡大に伴い、8月11日から、東京都医師会との連携に基づき在宅コロナ患者への往診をスタートさせた。各地域の保健所からの依頼に基づき、通常診療と並行しながら往診対応してきたが、より多くの対応要請に迅速に対応すべく、8月24日から「コロナ専門往診チーム」を組織した。コロナ患者専門に、3ルートで医師らが回っている。悠翔会以外の医師も応援に加わっている。 悠翔会によると、8月末現在、東京都だけで2万2千人以上が在宅療養中、7千人超が入院調整中。連日、数千人規模の陽性患者が続く東京はもちろん、首都圏の各地域で、病院が逼迫(ひっぱく)した状況は当面続くものと予想される。自宅療養を余儀なくされる人、特に入院ができない中等症以上の人たちへの対応は10月末ごろまでは必要だとみられるという。 現状の見通しでは、10月末までで、人件費や医療資材費約4千万円がかかると見込まれる。診療報酬や補助金で賄える分を差し引いても、1200万円ほどの運営コストの不足が見込まれるという。保健所から往診依頼を受け付ける「在宅コロナ対策本部」や「酸素濃縮器回収チーム」なども、現状では人件費が持ち出しになっている。 目標額に達したが、クラウドファンデイングは、10月29日まで受け付ける。詳しくは、READYFORのページ(https://readyfor.jp/projects/yushoukai)から。(佐藤陽) 佐藤陽(さとう・よう)朝日新聞文化くらし報道部・be編集記者 横浜総局時代に、超高齢化の実態や取り組みを描いた「迫る2025ショック」を2年半連載、『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)として出版した。台湾でも翻訳された。自身の心の病をきっかけにメンタルヘルスの取材も続ける。早稲田大学非常勤講師として「産業社会のメンタルヘルス」の講義を担当する。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北欧島国出身のパラ選手がマラソン中にお辞儀し、声援に応えたわけ
東京パラリンピック最終日の5日、東京都内であったマラソン(上肢障害T46)で、沿道にいる観客に手を振り、立ち止まってお辞儀をしながら走った選手がいた。フェロー諸島代表のホーバル・バトンハマー選手(45)。北欧の島国から来た唯一の選手で、感謝の思いを胸に完走した。 通過点の浅草。右腕のないバトンハマー選手は左手に持った帽子を振りながら駆け抜けた。雷門前では立ち止まって一礼。その場にいた人たちからは、思わず「おおっ」とざわめきが起こった。 フェロー諸島は北欧デンマークの自治領で、五輪には単独では出場できていないが、パラでは単独での出場が認められている。 バトンハマー選手は東京大会がパラ初出場だ。幼いころからフェロー諸島を代表してスポーツをすることが夢だった。元はトライアスロンの選手だが、トライアスロンや自転車ではフェロー諸島代表として出場できないことがわかり、マラソンで出場することを決めたという。マラソンを始めたのは約8カ月前だった。 タイム遅れても「気にしない」 5日のレースでは先頭から大きく離れてしまった。ただ、浅草以外でも沿道の人に手を振ったり、交差点でぐるりと小さな円を描いて声を上げたり。東京の街を楽しみながら、自己ベストを更新する2時間58分27秒で完走した。 沿道の声援に応じることで、タイムが遅れることはもちろんわかっていた。だが「2分くらい遅くなったかもしれないけど、そんなこと気にしないさ」とレース後に笑顔を見せた。「東京が厳しい状況の中にもかかわらず、子どもたちや、色々な人が応援してくれた。感謝の気持ちを伝えたかった。すばらしい経験だった」(藤野隆晃、河崎優子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自宅療養者へ「赤の他人がご飯置きに行くよ」 空気変えたくて
新型コロナウイルスの感染がわかっても病院や宿泊療養施設に入れず、増え続ける自宅療養者。各地で当初の想定を上回り、自治体からの食料配達も滞りがちだ。そんななか、自主的に食料などを届ける動きが、SNSなどで広がっている。コロナ禍で殺伐とする空気を変えたい――。そんな思いが共感を呼んでいる。 原動力は「怒り」 「何か買って持って行こうか? 家の外に置き配ならできそう」 メッセージ性の強い作風で知られる神奈川県横須賀市のシンガー・ソングライター、七尾旅人さん(42)はツイッターで8月22日、こう呼びかけた。その4日前、東京都内で親子3人が感染し、母親が自宅療養中に死亡したというニュースを知ったことがきっかけの一つだった。 「ずっとコロナ禍で抱えてきた怒りが原動力になった。本当は公助を求めるべきですけど、機能不全を起こしている。今この瞬間も追い詰められている人がいるから、1人であっても動きたい」。そう感じた。 当初は、地元の周辺を配達の… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:1158文字/全文:1583文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ビートたけしさんの車つるはしで襲う 小刀所持容疑で40代男を逮捕
2021年9月5日 9時41分 東京都港区赤坂5丁目のTBSの敷地内で4日午後11時40分ごろ、タレントで映画監督のビートたけし(本名・北野武)さん(74)が乗った車がつるはしを持った男に襲われた。車の窓ガラスが割れるなどしたが、たけしさんと運転手にけがはなかった。警視庁は、不法に小刀を持っていたとしてこの男を銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。 赤坂署によると、男は千葉県に住む40代。たけしさんと面識があるかどうかは分かっていない。たけしさんが乗った車がTBSの敷地内を走っていたところ、男は突然つるはしで襲いかかり、車のフロントガラスや運転席の窓ガラスなどを割ったという。容疑を認めているが、つじつまの合わない供述もしており、署が慎重に調べている。 たけしさんはこの日、同局で午後10時から生放送された情報番組「新・情報7daysニュースキャスター」に出演していた。番組が終了し、局を後にする際に被害に遭ったとみられる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪・阪南沖で遊漁船と漁船が衝突 3人重傷、4人軽傷
2021年9月5日 10時00分 5日午前5時20分ごろ、大阪府阪南市箱作の沖合約4・9キロの海上で、「遊漁船の船尾に漁船が衝突してけが人が出ている」と遊漁船の船長から、第5管区海上保安本部運用司令センターに通報があった。 関西空港海上保安航空基地によると、衝突したのは遊漁船「勝栄丸」(4・9トン)と漁船「卯(う)の日(ひ)丸」(9・7トン)。7人が重軽傷を負ったが、命に別条はないという。勝栄丸に乗っていた釣り客5人のうち、3人が重傷で、2人が軽傷。勝栄丸の60代の船長と卯の日丸の乗組員1人も軽傷を負ったという。 事故当時の天候は曇りで視界は良く、海上は穏やかだったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不振のキャンプ場、立て直した名物そば店主 信条は「現場は若手に」
信州はそば。白いそばの花畑を走り抜け、そばの本場、戸隠の象徴たる戸隠神社中社も通り越す。長野市中心部から車で40分ほど。その名も、戸隠キャンプ場にやって来た。 標高1200メートルながら、約22ヘクタールの広さはキャンプ場としては国内屈指。約500人のキャンパーがいても「密」な印象はなかった。 戸隠山のすそ野にある戸隠キャンプ場。各サイトまで車で乗り付けることができる=7月31日午後2時3分、清水大輔撮影 広い炊事場は温水設備が整い、トイレは清潔。それでも、今の運営会社に代わる2年前までは施設の老朽化が目立ったという。社長の徳武洋友さん(73)は「若いスタッフたちにいつも『どういうキャンプ場にしたい?』と問い続けてきた」と話す。そば店経営者という顔も持つ。 会社辞め戸隠でそば店 手腕買われ観光協会長に △△△ 高校を卒業後、長野市内で会社員をしていた徳武さんは、戸隠で土産物店を営んでいた父から「戻ってきてほしい」と頼まれた。 「戸隠」社長の徳武洋友さん 帰ってはみたものの、品物が画一的で疑問だった。そして、「おいしいそば屋はどこ?」と尋ねる客の多いこと。「なら、自分でそば屋をやってみようか」。母に教わり、市内でそば店を開いていた姉のもとでも働き、40歳の時、戸隠の名所・鏡池近くに「蕎麦処 そばの実」を開店させた。 澄んだ地下水をひき、周りの契約農家から殻つきのそばの実(玄そば)を仕入れ、石臼で自家製粉する。人気店となり2階まで大繁盛だったが、調理が追いつかず、お客さんを待たせることが気になった。 10年ほど前、思い切って客席を1階だけに。すると、サービスが行き届き、従業員の負荷が減った。収支はむしろ、良くなった。 後半で「ゆるキャン△」作者の書面インタビュー 名物そば店主の徳武さんは、古いキャンプ場をどうやって立て直したのでしょうか。さらに記事の後半では、人気キャンプ漫画「ゆるキャン△」の作者、あfろさんが、キャンプの魅力や楽しみ方を語ってくれます。 手腕を買われ、地元の観光協… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:2016文字/全文:2690文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「翼が生えた」シリアのカヌー選手 撃たれた兄の教えでパラ舞台
会員記事 河崎優子、荒ちひろ2021年9月5日 6時00分 昨年末に大好きな兄を失った。今も思い出すとすぐに涙が出る。それでも、兄が勧めてくれたカヌーを続け、初めてのパラリンピックの大舞台で全力でパドルをこいだ。 難民選手団のカヌー選手、アナス・ハリファ(28)はシリア生まれ。17歳のときに内戦が始まり、家族と離ればなれになった。数年間は国内の避難民キャンプにいたが、最後はドイツに行き着いた。 「人生終わった」から「翼が生えた」へ 2018年、仕事で太陽光パネルを設置している最中に屋根から転落した。脊髄(せきずい)を損傷し、下半身が不自由になった。「人生が終わったと思った」 リハビリのためにカヌーを始めたが、ハリファは終始暗い表情だった。コーチはハリファを笑わせようと「さぁ、パラリンピックの練習を始めるよ」と明るく声をかけた。シリアに残っていた6歳上の兄も「後ろを振り向かず、前に向かって進め」と背中を押してくれた。 最初はうまくバランスが取れ… この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。 残り:582文字/全文:985文字 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル