「銀行王」と呼ばれた実業家が凶刃に倒れてから、100年がたった。安田財閥の創始者、安田善次郎。この事件が二・二六事件まで続く右翼テロリズムの始まりと位置づける研究者も多い。そして当時も「格差」や「閉塞(へいそく)」など、現代に通じる言葉が、事件の背景として語られていた。(編集委員・藤生明) 9月28日、東京・大塚の西信寺(さいしんじ)に右翼関係者ら数人が訪れた。ここには安田を襲い、自決した朝日平吾の墓がある。 佐々木陽穂(ようすい)住職(56)によると、墓は行き場のない朝日の遺骨を当時の住職が引き取って建立した。約30年前まで右翼関係者が数多く訪れたが、最近はすっかり減ったという。 命日のこの日、追悼に訪れた… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あと30分、五反田へ間に合うか? 見知らぬ3人乗せ、高速走った
「すみません」 7月4日の日曜日の昼。近所のホームセンターからの帰り道で、東京都北区に住む土屋明子さん(38)は声をかけられた。3人の若者が道ばたに立っていた。 話す日本語はやや片言。アジア系の人たちのようだ。女性2人と男性1人の3人組は、日本語能力試験を受けに行く途中で道に迷ったらしい。 案内はがきを見ると、会場は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
太陽熱温水器 長い「冬」越え再び表舞台へ ルーツを探る旅
かつて、多くの家の屋根にあった太陽熱温水器。ここ最近は太陽光発電ばかりがもてはやされて、すっかり日陰の存在、もしくは過去の遺物のように思われているが、世界的に見れば太陽利用の優等生として活用が進み、2050年のカーボンニュートラルを掲げた日本でも無視できない存在になりつつある。再びの復権はあるのか。どこで生まれ、どんな歩みをたどってきたのか。ルーツを訪ねた。 屋根の上で、黙々と太陽熱を受け止め、湯をつくる。温水器は屋根が狭くても有効に活用できるのが特徴。家主は「いつからあるかって? もうずっとだからわからんよ」。故障が少なく寿命も長い=愛知県知立市 真っ赤に燃えた太陽のようなボディーカラーで知られる名鉄に乗って名古屋駅から南東へ20分、知立(ちりゅう)駅に降り立った。高架化と駅前再開発の大規模工事が同時に進み、駅前は重機の音が絶え間なく響いている。 空はすっかり高いのに、駅前ロータリーには夏のような日差しが注いでいた。工事の人たちはたくましく日焼けしている。「太陽の町」に来たんだなという思いを強くする。 愛知県中部、西三河の知立市は、東海道の39番目の宿場町「池鯉鮒(ちりゅう)」として栄えた町として知られる。だが、お天道様と深い関係を結んできたことはほとんど知られていない。脱炭素だ、ソーラー発電だと世間が騒ぎ立てるずっと前から、太陽熱利用の先進地として時を刻んできた。 駅から歩き始めてまだ数分だというのに、その証しともいうべき建築物を見つけた。踏切近く、2階建てのアパートなのだが、一見して普通ではない。ひと部屋ごとのベランダの外壁に温水器が据え付けてあるのだ。1階、2階にそれぞれ7台。計14台が南の空にそろって向いている様は壮観だ。すぐそばにはこの温水器アパートをつくったチリウヒーターが本社を構える。創業1944年、日本で最も長い歴史を持つ太陽熱温水器専門メーカーである。 知立市は今の安城市など周辺自治体と併せてかつて、碧海(へきかい)郡と呼ばれた。うるわしい名前とうらはらに、碧海台地は長らく不毛の地と呼ばれた。そこに1880(明治13)年、明治用水が開削されて矢作川の水が引かれると、荒野は美田広がる沃野(よくや)に変わった。そして戦後間もなく、画期的な発明品がもたらされる。 名を「天日タンク」という… この記事は会員記事です。残り2284文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宣言解除後初の週末 京都・嵐山、大阪・USJでにぎわいも
緊急事態宣言が解除されて初めての週末となった2日、京都・嵐山は家族連れやカップルでにぎわった。大阪府堺市から訪れた女性(61)は、渡月橋付近でボートに乗り「天気もよく、気持ちよかった。京都の中心地は人が多いので、少し離れた場所をゆっくり回りたい」と話した。 ボートのレンタルなどを手がける嵐山通船の小島義伸社長(60)は、この日の人出について「思ったより少ない」としつつ、「11月半ばには紅葉が見ごろになる。ワクチンを接種した人は観光に来てほしい」と今後に期待を寄せた。 大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では1日あたりの入園者数を5千人から段階的に緩和し、1万人に引き上げる方針だ。 大阪市の秋本陽彦さん(56)はコロナ禍で昨秋中止となったハロウィーンイベントを楽しみに妻と訪れた。認証を受けた施設内の店では酒類の提供も再開。「暑いからビールもおいしいと思う」と顔をほころばせた。京都府の女性(44)は「少しずつ日常が戻ってうれしい」と話した。(高木智也、松浦祥子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ワクチン打つなら焼き肉屋で 飲食店関係者ら200人「来店」 京都
ワクチンを打つなら、焼き肉屋で――。京都市中京区の焼き肉屋「益市 堺町錦」が2日、新型コロナウイルスワクチンの職域接種会場になった。京都府内の飲食店関係者や家族ら約200人がワクチンの接種を受けた。 益市は「京の台所」と呼ばれる錦市場商店街そばにある。「来店者」たちは医師の予診を済ませ、テーブルに着席。看護師にモデルナ製ワクチンを打ってもらった。 下京区の焼き鳥居酒屋店長、杉本修さん(46)は「調理器具がある見慣れた風景で安心感があった。薄暗くて座り心地も良く、くつろげた。次は肉を焼きたい」。 呼びかけ人は益市を経営する国本忠義さん(52)。緊急事態宣言が長期化したため、今年、通常営業できたのは14日間だけだった。「ただただ耐えるだけ。行動を起こしたい」と考え、取引先の酒屋などを通じて飲食店160店に声をかけて実現した。国本さんは「飲食店が接種を進めることで、飲食の場の安心のイメージを強めたい」と話した。(高井里佳子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「男2人に刺された」男性けが、現金200万円強奪か 沖縄
2021年10月2日 22時11分 2日午後4時10分ごろ、那覇市曙2丁目のマンションの階段で「男2人に刺され、現金を奪われた」と住人の30代男性から110番通報があった。沖縄県警によると、男性は太ももを刺され、持っていた現金約200万円が入ったショルダーバッグを奪われた。命に別条はないという。県警は強盗致傷事件とみて調べている。 那覇署によると、男性は外出しようとマンションの階段を下りていたところ、30~40代くらいの男2人にすれ違いざまに刃物で襲われたと話している。男性は飲食店の経営者で、現金は従業員の給料だったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「生きるため大麻が必要」オランダ移住まで… 若者が陥った依存の闇
一瞬でも、つらい気持ちを紛らわしたい。その一心だった。 シロさん(26)は16歳のとき、大麻を常用するようになった。友達と最初に吸ったときは、薬物中毒で「負け組」にならないよう、ほどほどにするつもりだったが、コントロールできず、給食代で大麻を買い、パンを万引きするようになってしまった。 シロさんは長崎で生まれ、すぐに家族の仕事の都合でアメリカへ引っ越した。 周りに日本人はほとんどいない。勉強が苦手で、学校の授業についていけず、ちょっかいをかけられることもたびたびあった。 親からは「勉強しなさい」と言われたが、どうすれば良いか分からず、自分の居場所がなくなったような気がした。 当時住んでいた地域では、コンビニなどで「合法ハーブ」が売られていた。 大麻は違法だが、友達が常用しているといううわさも聞いていた。 「使えば楽しい気分になれる」。そんなイメージがあった。 2カ月に1回だけのつもりが 「おれも使ってみたいんだけど」 勇気を出して、友達に打ち明けると、「みんなやっているよ」。 放課後、学校の近くの林で友だちと一緒に吸った。 頭の中で渦巻いていたもやもやした気持ちが晴れ渡るような気持ちになった。 「健康に悪いかも」「吸い続けると負け組になる」――。そんな不安があった。 常用は危険なので、2カ月に1回だけにしておこうと決めた。 でも、吸わない期間が長くなると、無気力になり気分が落ち込んだ。 徐々に頻度が増え、毎日吸うようになった。 親からもらった給食費で大麻を買った。 空腹になると売店でパンを万引きした。 それでも足りず、親の財布からお金を盗んだ。 生活が乱れ、18歳のとき、親ともめたことがきっかけで捜査当局に摘発された。翌年帰国し、名古屋に住む祖父母のもとへ。折り合いが悪くなり、一人暮らしを始めてから、引きこもりになった。 うつ病と統合失調症と診断された。 なぜ、手を出してしまったのか。周りの人は薬物に頼らず楽しく暮らしているのに……。 劣等感にさいなまれる一方で、「生きるためにはどうしても必要だ」と、大麻が合法化されているオランダへの移住を考えた。 高校卒業後に上京した3人兄弟の末っ子は、薬物依存症になり、地元で再就職。「治るだろう」と見守っていると、やがて遅刻や欠勤が続き、働けなくなった――。立ち直りのきっかけは、母親の「突き放し」でした。記事後半で紹介します。 だが、下見で訪れたとき、思… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夜の繁華街、人出戻る 中洲は37%増、銀座は悪天候でも11%増
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言と「まん延防止等重点措置」が全面解除され、飲食店の酒類提供やイベントの収容制限などが緩和された週末、多くの地域で人出が増加した。 台風16号の影響による雨が上がった銀座4丁目交差点=2021年10月1日午後6時43分、東京都中央区、西畑志朗撮影 解除初日の1日夜は、全国の主な繁華街のほとんどでにぎわいが戻っていたようだ。携帯電話の位置情報のデータから1日午後7時の推定人口を1週間前と比べてみると、福岡・中洲では37%増加。神戸・三宮で35%、札幌・ススキノで26%と大幅に増えていた。仙台・国分町、名古屋・栄、大阪・梅田、京都・四条河原町の繁華街周辺でもそれぞれ10%以上増えた。 一方、台風16号の接近で天候が悪かった東京では、新宿・歌舞伎町で12%減少。渋谷や池袋でも8~10%減ったものの、銀座周辺では11%増加した。 緊急事態宣言の解除初日、たくさんの人でにぎわう東京・渋谷駅近くの「のんべい横丁」=2021年10月1日午後6時19分、東京都渋谷区、藤原伸雄撮影 都内の主な繁華街で1日午後5時から日付が変わるまでの人出をみてみると、人出が大きく減り始める時間が1週間前と比べて午後6時台から午後7時台へと、1時間ほど後ろ倒しになっていた。東京では2カ月半ぶりに、都の認証を受けた店で酒類の提供が午後8時までできるようになり、夜の人出に影響を与えている可能性がある。 デザイン・加藤啓太郎 また、解除後初の休日となった2日正午ごろの人出は、1週間前と比べて都内の上野で12%、浅草で10%増えたほか、渋谷、新宿、銀座、池袋もそれぞれ4~6%増加。関西でも大阪・ミナミのあべのハルカス周辺や京都の嵐山など、市街地周辺の行楽スポットで人出が増えている様子がうかがえた。(篠健一郎、山崎啓介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5歳児死亡の保育園、送迎バス廃止へ 保護者説明会で説明
西田慎介2021年10月2日 20時43分 園児が送迎バスに閉じこめられて死亡する事故が起きた福岡県中間市の双葉保育園で2日、2度目の保護者説明会があった。運営する社会福祉法人の新たな体制や、県と市の勧告を受けて改善した点などについて、9月に就任した新園長が説明した。現在中止しているバス送迎は廃止するという。 園では7月29日、園児の倉掛冬生(とうま)ちゃん(当時5)がバスに取り残されて熱中症で死亡した。バスは当時の園長が1人で運行。県と市の特別監査で、バス降車時の車内確認の不徹底や、園児の出欠情報が職員間で共有されていないことなどが明らかになった。 園によると、この日は保護者約60人が参加。役職や役割に応じた分担や、3~5歳児を2クラスに編成して担任を明確にするといった改善点を説明したほか、送迎バスを廃止する方針を報告し、了承を得たという。新園長は終了後、報道陣に「職員一同、気を引き締めて取り組んでいきたい」と話した。 園側は7月31日にも保護者説明会を開いたが、その後、当時の園長や理事長は退任。県の改善勧告に基づきあらためて説明会を開いた。 県は9月、県内の保育施設を対象に、送迎バスは複数の職員で運行し、対象は満1歳以上とするといった指針をつくっている。(西田慎介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宣言解除でも「あまり変わらない」東海の観光地 閉店の土産物店も
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が全面的に解除されて迎えた2日の土曜日は、全国的に晴れるところも多かった。苦境にあえぎ続ける観光業界の人たちは、宣言解除後初の週末に何を思うのか。 岐阜県高山市の観光名所「古い町並(まちなみ)」。好天に恵まれた2日は一部で観光客が目立ったものの、インバウンド(訪日外国人客)は姿を消したまま。以前のにぎわいにはほど遠い。 「宣言中とそれほど変わらない。行楽シーズンなので期待したいけど、厳しそうですね。『第6波』も心配」。宣言解除を受けて1日に営業を再開したばかりの土産物店の店員は話す。 コロナ禍で、昨年1年間の同市の観光客は230万人と前年から半減した。ユネスコの無形文化遺産で、豪華な祭り屋台が街を練り歩く「秋の高山祭」(9、10日)も、2年連続で中止が決まっている。 高山市に隣接する下呂市にあ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル