安藤仙一朗2021年10月5日 20時00分 滋賀県の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者への殺人罪で服役後、昨年に再審無罪が確定した元看護助手の西山美香さん(41)が国と県に国家賠償を求めた訴訟で、県が5日、大津地裁に提出していた書面の一部訂正を申し立てた。西山さんの弁護団が明らかにした。書面には無罪判決を否定する表現があり、知事や県警本部長が謝罪する事態になっていた。 訂正申立書によると、訂正は7カ所。昨年3月の再審判決は患者が病死した可能性を指摘していたのに、「心肺停止状態にさせたのは、原告である」と断定した部分については、末尾に「と判断する相当な理由があった」を加えた。県警によると、有罪判決が言い渡された当時の認識だと分かるように訂正したという。 また、「取り調べ担当官に好意と信頼を寄せて虚偽の殺害行為を自白することなど、根本的にあり得ない」としていた部分は削除。再審判決の際、刑事司法関係者に捜査の改善を求めた裁判長の説諭について、「県警として承服しがたい」と主張していた部分も削除した。 西山さんは「批判を受けた部分の表現を訂正しただけで、県警の認識は何ら変わっていないとしか受け止められない。余計に傷つけられた思いだ」とのコメントを発表。代理人を務める井戸謙一弁護士も、取材に対し「書面の表現を改めたところで、県警が西山さんを犯人視する認識は変わっていない」と批判した。 問題の書面は、先月15日に提出された。2日後、三日月大造知事が会見を開き「西山さんの心を深く傷つける極めて不適切な表現があった」と謝罪。さらに28日、滝沢依子・県警本部長も県議会で「書面の表現に不十分な点があった」と訂正する考えを示し、報道陣の取材に「再審無罪判決は重く受け止めている」と釈明した。県警監察官室の担当者も「判決を真摯(しんし)に受け止めている」としており、再審無罪判決の内容については争わない方針という。(安藤仙一朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岩手県沖で地震、青森で震度5強 津波の心配はなし
吉沢英将2021年10月6日 3時34分 6日午前2時46分ごろ、岩手県沖を震源とする地震があり、青森県階上(はしかみ)町で最大震度5強を観測した。気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュードは5・9、震源の深さは56キロ。津波の心配はないという。 このほか、震度5弱を青森県八戸市や南部町、盛岡市で観測するなど、北海道から関東の広い範囲で揺れた。 気象庁は6日未明に会見し、「発生後は1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意を」と呼びかけた。また、青森県階上町の南にあり、震度3を観測した岩手県洋野町では6日明け方までの24時間で90ミリ以上の雨が降り、地盤が緩んで落石や崖崩れの危険性が高まっている指摘した。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プラモのお礼、おばあさんの1万円札 お礼へのお礼でお互いが笑顔に
軍事フォトジャーナリストの菊池雅之さん(46)が、中学時代に通っていた店がある。 自宅から自転車で15分ぐらいの距離で、住宅街の一角にあったおもちゃ屋だ。 ガンダムのプラモデルや鉄道模型、エアガンなどを売っていた。 小学生時代の駄菓子屋からステップアップした先で、何を買うでもなく眺めているだけで楽しい場所だった。 店主がいるカウンター横にはテーブルと椅子があって、そこは常連が座る席。 大学生のお兄さんたちが、いつも店主と楽しそうにやりとりしていた。 お兄さんたちとは趣味を通してつながっている関係だった。 年齢による上下関係はなく、作り方などのアドバイスをしてくれたり、工具を譲ってくれたり。 大人と接する機会が少ない年頃だったが、その雰囲気が心地よかった。 おばあさんが訪ねてきて 店頭のショーウィンドーには、常連たちが制作したプラモの完成品が展示されていた。 ある日、おばあさんが店を訪ねてきて、店主に話しかけた。 「あそこに飾ってあるプラモ… この記事は有料会員記事です。残り1315文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アメリカザリガニ、ペット飼育は可・放出は禁止 環境省が規制案
環境省は5日、生態系への影響が深刻な外来種のアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)について、一般人が捕まえた個体をペットとして飼うことは認めたうえで、野外への放出などは禁止する新たな規制の素案を示した。来年の通常国会に外来生物法の改正案を提出したい考えだ。 この日の中央環境審議会の小委員会で、答申の素案が大筋で了承された。意見募集したうえで正式に決める。 答申の素案では、外来生物法で無許可に野外放出や飼育などを禁じる「特定外来生物」の枠組みに、この2種のために例外を設ける。野外放出や販売などは禁止しながら一般の人が捕まえたり、すでに飼っていたりする個体をペットとして飼育、譲渡することを認める規制の仕組みが必要とした。 アメリカザリガニやミドリガ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岸田首相、早くも「板挟み」 1.5億円の説明で後ろ盾に配慮?
岸田文雄首相が「政治とカネ」で早くも苦しい状況に立たされている。2019年の参院選広島選挙区で、自民党本部が提供した1億5千万円をめぐる問題だ。岸田首相の地元では解明に期待が高まるが、新政権の後ろ盾とされる安倍晋三元首相ら大物も絡む。「板挟み」となった岸田首相の言い回しはあいまいで、衆院選へのダメージを懸念する声も漏れる。 「広島県民、国民は納得していませんよ」。党広島県連ナンバー2の中本隆志・県議会議長は5日、首相官邸で、就任わずか2日目の岸田首相に迫った。中本氏によると面会は約20分間で、資金提供に関する党の説明と謝罪が必要との認識を改めて伝え、首相は必要ならば説明をするなどと応じたという。 中本氏が問題視するのは甘利明幹事長の発言だ。3日のNHK番組で、河井案里氏=公職選挙法違反罪で有罪判決が確定、参院議員を失職=側への1億5千万円の資金提供について「再調査する考え方はない」との認識を示し、「(岸田)総裁がはっきりおっしゃっています」とも強調した。発言が広島県連に与えた衝撃は大きく、中本氏が「岸田首相に(真意を)直接確認する」として上京した。 広島県連が岸田首相からの説明に期待を寄せるのには理由がある。案里氏の失職に伴う4月の参院再選挙は「政治とカネ」への不信を深めた自民支持層が離れたことで敗北。危機感を強めた県連幹部は、説明しない党執行部を「県民への侮辱だ」などの強い言葉で公然と批判してきた。 県連会長の岸田氏も5月には… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本の資産家、相続対策で海外生保に加入 専門家「法の想定外」
国内の資産家が将来の相続税の支払いなどに備え、タックスヘイブン(租税回避地)に設けた法人などを介し、利率が高い海外の生命保険を契約している実態が、タックスヘイブンに関する「パンドラ文書」で明らかになった。朝日新聞と共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が文書を入手し、分析した。 保険業法は、日本に支店を持たない外国の保険会社が日本に住む人と契約を結ぶことを禁じている。また、例外的に国の許可を得た場合を除き、日本の居住者側にも契約を原則禁じている。金融庁は、居住者が海外の法人を介して契約していても「法に違反する」との見解を示している。 パンドラ文書 英領バージン諸島やケイマン諸島などの租税回避地に法人や組合を設立するのを専門とする業者や法律事務所から流出したとみられる1190万件余の電子ファイル群。匿名の人物から国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に提供された。 「シンガポールを旅行した際、『あなたのように所得の高い人は保険に入っておいたら』と勧められた」 全国で美容事業を展開する6… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
苦境の銭湯 防災で再び脚光 無料入浴や一時避難で協定広がる
客の減少や後継者不足で苦境に立つ銭湯を、防災の観点からその役割について見直そうという動きが広がりつつある。被災で家の風呂が使えなくなった人に入浴サービスを提供したり、一時避難所として使えたりするからだ。業界団体と協定を結ぶ自治体も増えている。 大阪北部地震の被災者に無料入浴サービスを提供した「昭和湯」の森川晃夫さん=2021年8月27日、大阪市東淀川区淡路4丁目、藤本久格撮影 電車を乗り継ぎ入浴 大阪北部地震発生翌日の2018年6月19日。大阪市東淀川区で「昭和湯」を営む森川晃夫さん(45)は家族から、ふだん見かけない客が多く来ていると聞かされた。地震で自宅の風呂が使えなくなり、電車で来たのだという。 森川さんの銭湯は幸い被害がなく、営業を続けていた。家族から話を聞いた森川さんは「銭湯としてやれることがあるのでは」と直感的に考えた。翌日、気心の知れた府内の銭湯経営者に呼びかけ、被害が大きかった大阪北部6市の被災者に無料開放することを決めた。 大阪北部地震直後に入浴支援を案内するために投稿した昭和湯のフェイスブック 4日ぶりのお風呂に感謝 自身のフェイスブックなどで「タオルとバスタオルを無料で貸し出します。手ぶらで来てください」と呼びかけた。隣のエステ店もシャンプーやボディーソープを無償で提供してくれた。6月末までに府内の57の銭湯が「無料開放」に賛同。この間、のべ1千人を超す人が利用した。利用した人から「4日ぶりのお風呂にホッとできた」「人道支援ありがとうございます」などの声が寄せられた。 ただ、無料開放に応じてくれ… この記事は会員記事です。残り1349文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自分は社長」うそ発覚し殺害、起訴内容被告認める 熊大研究員殺害
屋代良樹2021年10月5日 20時14分 熊本市で昨年9月、熊本大学の特定事業研究員の女性(当時35)を殺害したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職熊谷和洋被告(68)の裁判員裁判が5日、熊本地裁(平島正道裁判長)で始まった。熊谷被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 起訴状によると、熊谷被告は昨年9月6日、当時住んでいた熊本市中央区本荘3丁目の自宅の集合住宅出入り口付近で、女性の首をひものようなもので絞めて窒息死させて殺害し、両足を引っ張るなどして近くの側溝に遺体を遺棄したとされる。 検察側の冒頭陳述によると、熊谷被告は女性が住むマンションの清掃員をしており、昨年4月に知り合った。「マスクを開発して寄付したいので、デザインを考えてほしい」「自分は社長で、大学の学生を支援したい」などとうそを言い、女性に近づいたという。検察側は、9月6日にうそが発覚し、非難した女性に対して熊谷被告が腹を立て、殺害に及んだと主張した。 これに対し弁護側は、起訴内容を「争わない」と認める一方、熊谷被告は自らうそを明かして謝ったが、女性から責められたため「黙らせるために首を絞めた」と説明。「強い殺意はなく、計画性がない」などと主張した。凶器は自転車に荷物をくくるためのひもだったと説明した。 被告人質問では、熊谷被告は女性に近づいた理由を「話し相手がほしかった」と説明。事件前にも20~30代の女性数人に対し、うそをついて近づこうとしたことがあったと認めた。検察から「若い年代の女性と仲良くなりたかったのではないか」と問われると、「はい、そうです」と答えた。 殺害の状況については「口をふさごうと思った。ずれて首のほうにいった」「無我夢中になり、自分でもどうなるのかわかりませんでした」と話した。 検察が提出した証拠によると、女性は少なくとも3分以上首を絞められ、窒息死した。熊谷被告の左腕には、女性が抵抗した際にかみついた痕が残っていた。(屋代良樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
透析中止で患者死亡、病院と遺族が和解 裁判長「病院の説明不十分」
新屋絵理2021年10月5日 20時16分 公立福生病院(東京都福生市)で2018年、腎臓病患者の女性(当時44)が人工透析の治療をやめたあとに死亡した問題で、遺族が病院側に慰謝料を求めた訴訟は5日、東京地裁で和解が成立した。桃崎剛裁判長は和解条項で「透析中止は患者の生死に関わる重大な意思決定で、病院側の説明や意思確認が不十分だった」と批判した。 一方で、「病院側が透析中止を提案して死を誘導したとは認められない」とも説明した。和解条項はほかに①病院側が解決金を支払う②再発防止として患者が意思決定後も病状変化に応じて病院側が意思を確認する――など。 女性は当時、医師と相談して人工透析治療の中止を承諾したものの、呼吸の苦しさなどから数日後に治療中止の撤回を申し出た。だが治療は再開されなかった。遺族はこの日、「患者がどんな状態でも言葉に耳をかたむけてほしい」とコメントした。(新屋絵理) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神戸・三ノ宮に160メートルの駅ビル 2029年度開業めざす
鈴木春香2021年10月5日 20時30分 JR西日本は5日、神戸市の三ノ宮駅南側に建設予定の新しい駅ビルについて概要を発表した。高さ約160メートルで商業施設やオフィス、ホテルが入る見通し。同社が単独で建設するビルとしては最も高いという。2023年度に着工、29年度の開業をめざす。 ビル周辺の整備で協定を結んだ神戸市、UR都市機構とともに会見した。新ビルは、18年に閉館した「三宮ターミナルビル」の跡地に建設予定。延べ床面積は約10万平方メートルで、下層階が商業施設、中層階がオフィス、上層階はホテルになる。来年半ばごろに、商業施設の規模など各層の詳細を発表する予定という。 神戸市が進める車道整理や歩行者デッキ設置など三宮周辺の再整備事業も、新ビルの開業に合わせて完成をめざす。JR西の長谷川一明社長は会見で「駅周辺のにぎわいをつくることは鉄道事業の活性化にもつながる」と期待を込めた。(鈴木春香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル