「お嫁取りですか? 婿入りですか?」 東京・青山の結婚式場「セントグレース大聖堂」の松岡沙英(さえ)支配人(32)は以前、式の打ち合わせでカップルに必ずそう尋ねていた。だが、この質問を当たり前のようにするのはやめたという。「コロナ禍をきっかけに、結婚式のあり方を見直した結果です」 系列の別の式場の支配人だった昨年春、1回目の緊急事態宣言が出され、約1カ月間の休業を余儀なくされた。ブライダル業界に入って8年。「こんなに長期間、式がないのは初めての経験だった」と振り返る。 ただ、休業は従来の式の形を見つめ直す機会にもなった。「密」を発生させない動線、案内の仕方などの試行を重ねた。 そうした模索のなかで手がけた、ある結婚式が印象に残っているという。 休業に伴い、予定していた式… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名字変更に悩まされた3世代 生きづらさへ共感の輪、政治は動くか
「私は結婚する際、名字を変えることを巡って、とても苦労しました」 仙台市に住む91歳の樋口静枝さんは今年4月、地元紙の河北新報に投稿した。 父を早く亡くし、母は婿をとることを希望したが、結婚相手は難色を示した。結局夫の名字を名乗り母と同居。母は名字へのこだわりが強く、「世界一の親不孝者」と呼ばれた。「夫婦がそれぞれの名字を名乗ることが、家族の一体感を失わせるとは思えません」 その娘の典子さん(62)。1983年に結婚。「婚姻届を出して自分の名字がなくなるとすごく喪失感があった」。公務員だったが、99年に通称使用が可能になると切り替えた。選択的夫婦別姓を求める運動に参加、子どもの手をひき集会にも出かけた。1男2女の名字は夫と同じだ。 名前変えると「私生活を詮索される」 典子さんは2011年に仙台… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ノーブラTシャツの写真送れ」 有権者からのハラスメント防げるか
関東の地方議会で議員を務める30代女性(無所属)は、有権者からのセクハラに悩んだ経験を持つ。 初当選後、1度会っただけの男性から、自宅にTシャツと菓子折りが届いた。 同封の手紙には「ノーブラで(Tシャツを)着て、写真を撮って送って」と書かれていた。 「達筆の文字と内容がつながらず、最初は意味がわからなかった」と振り返る。 あいさつ先などを教えてくれた支援者が紹介してくれた男性だった。 「候補者男女均等法」の施行後初の衆院選が始まります。6月の改正で、セクハラやマタハラ対策も盛り込まれました。政治家に対するハラスメントの実態調査を進め、防ぐための取り組みを始めた政治家もいます。記事の後半で紹介しています。 「失礼な態度をとって支援者… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
世界に3カ所だけの花? 長崎・五島でシマシャジンが見ごろ
宮野拓也2021年10月18日 16時00分 長崎県の五島列島、福江島(五島市)で珍しい薄紫色の花が咲いている。釣り鐘形の花が特徴の「シマシャジン」。世界でも長崎の五島市と平戸市、韓国の済州島でしか見られないとされている。 キキョウ科の多年草で、環境省の絶滅危惧種に指定されている。福江島の西端、海に突き出た大瀬崎灯台の斜面で咲いている。 地元の散策ガイド、山口澄子さん(59)によると競争相手の少ない場所を好み、五島市では秋に咲き始め、10月末ごろまで見られそうだという。山口さんは「とてもいとしい花で地元の自慢です。大切にしていきたい」と話している。(宮野拓也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国内最大のツル越冬地、鹿児島・出水平野に第1陣飛来
具志堅直2021年10月18日 16時07分 国内最大のツルの越冬地、鹿児島県出水市の出水平野に18日、今季最初のツルがやって来た。県ツル保護会によると、午前9時までに東干拓などで17羽を確認した。昨年より1日遅い渡来。昨年度は1万7315羽が確認され、24季連続の「万羽ヅル」だった。(具志堅直) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
金賞よりも欲しいものがある、積みあげてきた努力の先に(奏でるコトバ、響くココロ)
ねだるな 勝ちとれ! 9月4日に行われた東関東吹奏楽コンクールで、千葉県の名門、習志野市立習志野高校吹奏楽部が代表に選ばれた。通算34回目の全日本吹奏楽コンクール全国大会出場になる。だがその道のりは、「常連校」に約束された平坦(へいたん)なものなどではけっしてなかった。 192人という大所帯の吹奏楽部の副部長、「ナツ」こと大出夏穂は、フルート奏者として東関東大会のステージに立った。 コンクールメンバーである「Cメン」になったのも、全国大会に出場するのも今年が初めて。それはナツが強い気持ちで「勝ちとった」チャンスだった。 ♪ ナツは小学校4年から吹奏楽部に入った。中学時代には1年と3年のときに全日本マーチングコンテスト全国大会に出場した。 2019年、あこがれていた習志野高校吹奏楽部に入部すると、希望していたマーチングメンバー「Mメン」に選ばれ、全日本マーチングコンテスト全国大会に出場して金賞を受賞した。 翌2020年はコロナ禍で一転。3月からの約3カ月は全国一斉の臨時休校となり、部活はおろか学校にも行けない日々が続いた。 「毎日練習してきたのに、急に何もなくなっちゃうなんて……」 自宅で楽器を吹いていたが、部活のようには身が入らなかった。5月には全日本吹奏楽コンクールと全日本マーチングコンテストの中止が発表された。だが、習志野高校吹奏楽部では例年どおりオーディションが行われた。Cメン、Mメン、そして吹奏楽コンクールやマーチングコンテスト以外の大会を目指すチームの「Sメン」と、目標ごとにチームに分かれて活動するのだ。 オーディションは、複数の顧問が、誰が演奏しているのかわからないようにして行うカーテン審査だ。 「Cメンに選ばれたらうれしいな。でも、落ちてもマーチングがあるし」 ナツは内心そう思いながらオーディションに臨んだ。ひどく緊張して手が震え、うまくフルートが吹けなかった。審査の結果、Cメンには選ばれなかった。 「私、甘かったのかも……」 休校期間中の練習も、「落ちてもマーチングがある」と思ってオーディションに臨んでしまったことも、後悔した。落ちたことによって、「Cメンになりたい」という気持ちがはっきりした。 「来年は絶対にCメンに選ばれるようにがんばろう。もう後悔したくない。今日から必死に練習していこう!」 そのときナツの頭に浮かんだコトバが「ねだるな 勝ちとれ!」だった。待っているだけ、ねだるだけではチャンスはつかめない。本当に欲しいものがあるなら、自分から「勝ちとり」にいけ! ナツの心は燃えた。 ♪ 代替わりのときの部員の投票でナツは副部長に選ばれた。そして、高校3年の年をコロナ禍が収まらないまま迎えることになった。 前年のオーディションの日から、ナツは決して気を抜かずに努力を続けてきた。昼はお弁当を大急ぎで食べて練習した。上手な同級生に演奏を聴いてもらいアドバイスを頼んだ。できることはすべてやってきた。使える時間はすべて練習に使った。 5月のオーディション。課題を吹こうとしたときナツはまったく緊張していない自分に気づいた。昨年と違い手も震えていない。 「あ、いける。大丈夫だ!」 自信を持ってフルートを奏でた。そして、ついに念願のCメンに選ばれた。しかも、Cメンのリーダーにもなった。 初めてCメンの基礎合奏に参加して驚いた。 「上手な人たちの音ってこんなにすごいんだ……」 周囲から響いてくる美しい伝統の「習高サウンド」を肌で感じ、ナツは感動で震えた。 ♪ 今年の吹奏楽コンクールで習志野高校Cメンは大苦戦した。 8月5日の千葉県大会はシード演奏だった。指揮は前年に石津谷治法からCメンを託された顧問の織戸弘和。課題曲《吹奏楽のための「エール・マーチ」》と自由曲《楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り》を演奏したが、ミスが目立った。 (本当にひどかったな……。本選は大丈夫かな) ナツは不安になった。 千葉県の高校A部門は、シードと県大会で選ばれた計18校が本選大会に進み、東関東大会の代表7校を選ぶことになっていた。その本選大会は8日後の8月13日だった。習志野高校の演奏は良くはなっていたが、満足のいくものではなかった。 かろうじて県代表に選ばれたが、全国大会出場をかけた東関東大会は、もっとも不利といわれる出演順1番になってしまった。 ナツは意を決してみんなの前で語った。 「時間がない中で、みんながもっと危機感を持ってやらないと後悔するよ。疲れていると思うけど、効率を意識してがんばろう!」 メンバーの前で「落ちるかもしれない」という言い方は絶対にしないと決めていた。しかし、家に帰ってひとりになったとき、「落ちたらどうしよう……」と不安に苛(さいな)まれた。副部長であり、Cメンのリーダーであるナツは、人知れずプレッシャーと戦っていたのだ。 ♪ 東関東吹奏楽コンクールの高校A部門は神奈川県横須賀市で開かれた。習志野高校のCメンは宿泊先で朝5時に集合し、練習をしてから会場のよこすか芸術劇場に入った。 朝イチのステージ。ナツ自身を含め、緊張した表情のメンバーが多かった。ところが、織戸の指揮で課題曲の演奏が始まると、心地よい響きが流れ出した。ナツは心の中で「よし!」とガッツポーズをした。自由曲の出だしでは、思っていた以上に自分たちの音がホール全体へ広がっていた。ナツは「あ、いけるかも」と思った。ミスはあったが、集中力も高く、「いまの状態の中ではベストが出せた」とナツは思った。 演奏後、不安そうな表情のメンバーもいた。ナツはリーダーとして「絶対大丈夫。信じて結果を待ちましょう」と力強く語った。 自宅で発表を待った。部の仲間からスマートフォンに「通ったよ!」とメッセージがきた。Cメンのサブリーダーからも喜びの電話がかかってきた。 「代表になれたんだ! あぁ、本当によかった!」 プレッシャーから解放され、ナツの目に涙があふれた。 ♪ 次はいよいよ全国大会だ。 東関東大会が終わった後、千葉県が緊急事態宣言下であるため、練習はまったくできていなかった。Cメンの練習再開は全国大会まで約1カ月となる9月23日からの予定だ。 ナツはこの期間を前向きなものにするため、メンバーに伝えた。 「全員の練習があるとなかなか個人の課題に向き合う時間が取れないし、逆にこういう状況だからこそ、それぞれが課題をつぶしましょう」 […]
障害児の支援事業者に5800万円過大支払い 検査院指摘
後藤遼太2021年10月18日 17時00分 障害のある子どもが通う「放課後等デイサービス」などの事業者に国が支払う給付費を会計検査院が調べたところ、11施設で給付を減額すべき理由があったのに把握せず、計約5800万円を過大に支払っていたことがわかった。検査院は18日、厚生労働省や自治体に対し、事業者に返金させるよう求めた。 放課後デイや児童発達支援などを行う事業者が、障害児を受け入れた場合、一定の費用を市町村に請求できる。国はその費用の半分を給付費として負担するが、過剰な受け入れを防ぐため、定員を超す場合には、給付費は減額される。 検査院が21都道府県と26市の約7千施設から474施設を抽出し、2014~19年の給付費を調べたところ、6道県と2政令指定市の11施設で定員超過だったのに、給付費を減額していなかった。過大請求は計約1億1600万円で、うち国の負担分は約5800万円だった。 検査院は、行政側が減額の基準を十分に事業者側に示していなかったなどと指摘。厚労省に周知徹底と改善を求めた。同省は「改めて条件を整理して事業者に配布したい」とした。(後藤遼太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
法の網くぐる盛り土、自治体の条例にばらつき 「統一基準」求める声
山本孝興2021年10月18日 21時40分 静岡県熱海市で今年7月に発生した土石流災害では、起点付近にあった盛り土が被害を甚大化させたとみられている。 ただ、盛り土を統一的に規制する法律はなく、土地の利用方法や目的ごとに個別の法律で対応せざるを得ない。大規模な宅地造成であれば宅地造成等規制法で工法などが決められ、土砂災害への対策も必要だが、熱海市の盛り土はこうした適用基準には当てはまらず、法の規制を逃れていた。こうした法の網をくぐる盛り土は全国で問題化している。 自治体は盛り土による土地改変など、埋め立て自体を規制する条例を独自に制定して取り締まるが、国土交通省によると、制定しているのは昨年4月時点で21府県にとどまり、規制内容にばらつきがある。 三重県は昨年、県内への建設残土の大量搬入発覚を受け、新たに県土砂条例を施行した。条例のある関西や関東を通過して三重県に建設残土が運ばれていたといい、県の担当者は「狙い撃ちにされていた」。県は埋め立て面積が3千平方メートル以上で知事の許可制とし、事業者による住民説明会を義務化した。担当者は「許可制としたことで知事の権限が強まった。幅広く事業者の埋め立て行為に対処できる」と話す。 静岡県の「県土採取等規制条例」は、事業者による土の採取と埋め立て行為を制限しているが、隣の神奈川県が許可制なのに対し、届け出制だ。措置命令などに違反しても、罰則は最大で罰金20万円。神奈川県は最も重いもので懲役2年以下、罰金も100万円だ。県は条例を厳格化する方針だが、自治体が条例の縛りを強めていかざるを得ない状況について、国の担当者は「いたちごっこだ。統一的な法整備などの対策は必要だろう」とみる。 全国知事会は熱海市の土石流災害を受け、国に緊急要望を出し、「(残土についての)法制化による全国統一の基準・規制」「危険がある盛り土の撤去や補強」などを早急に整備するよう求めた。 内閣府は9月、有識者による検討会を設置。危険な盛り土などについて年内に対策をまとめる。都道府県は全国で3万~4万カ所ある盛り土の総点検を進めている。政府はこの結果を取りまとめ、法整備などを検討するという。(山本孝興) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「強制連行」記述を訂正 歴史・公民の教科書6社、政府答弁書ふまえ
伊藤和行2021年10月18日 22時15分 戦時中に朝鮮半島の人々を日本で働かせたことについて、歴史や公民の教科書を発行する高校と中学の教科書会社計6社が、「強制連行」という用語を「強制的に動員」などと訂正する申請を文部科学省に出し、11日に承認されていたことがわかった。閣議決定された答弁書の内容をふまえた。 文科省によると、訂正申請を出したのは、東京書籍、第一学習社、学び舎、山川出版社、実教出版、清水書院の6社の歴史や公民の教科書計13カ所。「強制連行」という記述は残したまま、注釈で答弁書の内容を付記する社もあった。 政府は4月27日、朝鮮半島から来た人々について「移入の経緯は様々であり、『強制連行された』もしくは『強制的に連行された』または『連行された』と一括(ひとくく)りに表現することは、適切ではないと考えている」などとする答弁書を閣議決定していた。「従軍慰安婦」という用語についても「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」との答弁書を閣議決定した。 これに対し、市民団体「子どもと教科書全国ネット21」は18日に記者会見し「常態化すれば、教科書の記述がいつでも政府の意向で変えられてしまう」と訴え、政府に答弁書の撤回などを求めた。この要求への賛同団体は192にのぼったという。(伊藤和行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
空港の発電設備、4割が地震で損傷の恐れ 会計検査院が指摘
後藤遼太2021年10月18日 17時00分 災害で空港が停電しても管制塔などが使えるよう国が整備してきた運搬型の発電設備について、会計検査院が保管状況を調べたところ、全体の4割が地震で損傷する恐れがあることがわかった。検査院は18日、国土交通省と4空港事務所に対し、適切に保管するよう改善を求めた。 地震や津波などで停電しても、管制塔や航空灯火などの保安施設が停止しないよう国は予備電源を整備している。特に全国7カ所の拠点空港には、非常時に全国各地に運ぶことも想定し、運搬型の発電設備を配備。東日本大震災の時は、被災した仙台空港に全国から発電設備が運ばれ、電気を供給した。 検査院が、拠点空港の空港事務所などに配備された計98台の保管状況を調べたところ、4空港事務所が保管する39台(総額計約8億6千万円)は大地震で損傷するおそれがあった。内訳は東京空港事務所18台、大阪14台、新千歳4台、仙台3台。ボルトで床に固定せず床に置いただけの状態だったという。 検査院は「地震に十分耐えうる状態で保管されていない」と指摘。設置方法の改善やルールづくりを求めた。国交省は「内容をまだ把握していないので、コメントできない」とした。(後藤遼太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル