客の減少や後継者不足で苦境に立つ銭湯を、防災の観点からその役割について見直そうという動きが広がりつつある。被災で家の風呂が使えなくなった人に入浴サービスを提供したり、一時避難所として使えたりするからだ。業界団体と協定を結ぶ自治体も増えている。 大阪北部地震の被災者に無料入浴サービスを提供した「昭和湯」の森川晃夫さん=2021年8月27日、大阪市東淀川区淡路4丁目、藤本久格撮影 電車を乗り継ぎ入浴 大阪北部地震発生翌日の2018年6月19日。大阪市東淀川区で「昭和湯」を営む森川晃夫さん(45)は家族から、ふだん見かけない客が多く来ていると聞かされた。地震で自宅の風呂が使えなくなり、電車で来たのだという。 森川さんの銭湯は幸い被害がなく、営業を続けていた。家族から話を聞いた森川さんは「銭湯としてやれることがあるのでは」と直感的に考えた。翌日、気心の知れた府内の銭湯経営者に呼びかけ、被害が大きかった大阪北部6市の被災者に無料開放することを決めた。 大阪北部地震直後に入浴支援を案内するために投稿した昭和湯のフェイスブック 4日ぶりのお風呂に感謝 自身のフェイスブックなどで「タオルとバスタオルを無料で貸し出します。手ぶらで来てください」と呼びかけた。隣のエステ店もシャンプーやボディーソープを無償で提供してくれた。6月末までに府内の57の銭湯が「無料開放」に賛同。この間、のべ1千人を超す人が利用した。利用した人から「4日ぶりのお風呂にホッとできた」「人道支援ありがとうございます」などの声が寄せられた。 ただ、無料開放に応じてくれ… この記事は会員記事です。残り1349文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自分は社長」うそ発覚し殺害、起訴内容被告認める 熊大研究員殺害
屋代良樹2021年10月5日 20時14分 熊本市で昨年9月、熊本大学の特定事業研究員の女性(当時35)を殺害したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職熊谷和洋被告(68)の裁判員裁判が5日、熊本地裁(平島正道裁判長)で始まった。熊谷被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 起訴状によると、熊谷被告は昨年9月6日、当時住んでいた熊本市中央区本荘3丁目の自宅の集合住宅出入り口付近で、女性の首をひものようなもので絞めて窒息死させて殺害し、両足を引っ張るなどして近くの側溝に遺体を遺棄したとされる。 検察側の冒頭陳述によると、熊谷被告は女性が住むマンションの清掃員をしており、昨年4月に知り合った。「マスクを開発して寄付したいので、デザインを考えてほしい」「自分は社長で、大学の学生を支援したい」などとうそを言い、女性に近づいたという。検察側は、9月6日にうそが発覚し、非難した女性に対して熊谷被告が腹を立て、殺害に及んだと主張した。 これに対し弁護側は、起訴内容を「争わない」と認める一方、熊谷被告は自らうそを明かして謝ったが、女性から責められたため「黙らせるために首を絞めた」と説明。「強い殺意はなく、計画性がない」などと主張した。凶器は自転車に荷物をくくるためのひもだったと説明した。 被告人質問では、熊谷被告は女性に近づいた理由を「話し相手がほしかった」と説明。事件前にも20~30代の女性数人に対し、うそをついて近づこうとしたことがあったと認めた。検察から「若い年代の女性と仲良くなりたかったのではないか」と問われると、「はい、そうです」と答えた。 殺害の状況については「口をふさごうと思った。ずれて首のほうにいった」「無我夢中になり、自分でもどうなるのかわかりませんでした」と話した。 検察が提出した証拠によると、女性は少なくとも3分以上首を絞められ、窒息死した。熊谷被告の左腕には、女性が抵抗した際にかみついた痕が残っていた。(屋代良樹) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
透析中止で患者死亡、病院と遺族が和解 裁判長「病院の説明不十分」
新屋絵理2021年10月5日 20時16分 公立福生病院(東京都福生市)で2018年、腎臓病患者の女性(当時44)が人工透析の治療をやめたあとに死亡した問題で、遺族が病院側に慰謝料を求めた訴訟は5日、東京地裁で和解が成立した。桃崎剛裁判長は和解条項で「透析中止は患者の生死に関わる重大な意思決定で、病院側の説明や意思確認が不十分だった」と批判した。 一方で、「病院側が透析中止を提案して死を誘導したとは認められない」とも説明した。和解条項はほかに①病院側が解決金を支払う②再発防止として患者が意思決定後も病状変化に応じて病院側が意思を確認する――など。 女性は当時、医師と相談して人工透析治療の中止を承諾したものの、呼吸の苦しさなどから数日後に治療中止の撤回を申し出た。だが治療は再開されなかった。遺族はこの日、「患者がどんな状態でも言葉に耳をかたむけてほしい」とコメントした。(新屋絵理) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神戸・三ノ宮に160メートルの駅ビル 2029年度開業めざす
鈴木春香2021年10月5日 20時30分 JR西日本は5日、神戸市の三ノ宮駅南側に建設予定の新しい駅ビルについて概要を発表した。高さ約160メートルで商業施設やオフィス、ホテルが入る見通し。同社が単独で建設するビルとしては最も高いという。2023年度に着工、29年度の開業をめざす。 ビル周辺の整備で協定を結んだ神戸市、UR都市機構とともに会見した。新ビルは、18年に閉館した「三宮ターミナルビル」の跡地に建設予定。延べ床面積は約10万平方メートルで、下層階が商業施設、中層階がオフィス、上層階はホテルになる。来年半ばごろに、商業施設の規模など各層の詳細を発表する予定という。 神戸市が進める車道整理や歩行者デッキ設置など三宮周辺の再整備事業も、新ビルの開業に合わせて完成をめざす。JR西の長谷川一明社長は会見で「駅周辺のにぎわいをつくることは鉄道事業の活性化にもつながる」と期待を込めた。(鈴木春香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スリランカ女性のビデオ映像、地裁で開示 遺族ら視聴し「ショック」
鬼室黎、編集委員・北野隆一2021年10月5日 20時37分 名古屋出入国在留管理局の施設で死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を施設内で撮影した監視カメラのビデオ映像の一部を、出入国在留管理庁が遺族と弁護団に見せた。遺族側の申し立てを受けて名古屋地裁が証拠保全を決定。入管庁が1日、地裁内で映像を再生した。遺族側が5日に記者会見し明らかにした。 決定は9月6日付。入管庁は2月22日からウィシュマさんが死亡した3月6日までの13日間、計約295時間分をDVD39枚に収録。日本滞在中の妹ポールニマさん(27)と弁護団に対し、今月1日に地裁内で映像の一部を約2時間半かけて見せたという。入管庁は8月12日、2時間に編集した映像の一部を遺族に見せたが、遺族が求める弁護士の立ち会いや映像データの引き渡しは拒んでいた。 映像を見た駒井知会弁護士は「3月3日、職員がスプーンでウィシュマさんの口に食べ物を含ませるが、すぐ吐いてしまう。職員は間を置かず『はい次』と言って与え、また吐いてしまう。口から食べるのが難しい状態なのに食べさせようとすること自体、きわめて残酷に見えた」と語った。 指宿昭一弁護士は「3月5、6日は職員が目の前で手を振り、名前を呼んでも反応がない。上半身を起こしても首がすわらない。なぜすぐ救急車を呼ばなかったのか」と憤った。 ポールニマさんは「最終報告に書かれていないことがビデオに出ていると確信した。ビデオでの姉の姿が頭から離れず、眠れない。みなさんが見てもショックを受けるような映像だと思うが、ぜひ全面開示してほしい」と語った。 遺族らは、ウィシュマさんの病死は入管の取り扱いに問題があったためだとして、日本政府の責任を問う国家賠償請求訴訟を近く起こす方針。ただ映像について指宿弁護士は「裁判で半年も1年もかかってようやく出すのではなく、法務省と入管は一日も早くすべての映像データを渡してほしい」と求めている。(鬼室黎、編集委員・北野隆一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新園長らが遺族宅を初訪問し謝罪 福岡の保育園バス熱中死
西田慎介2021年10月5日 20時41分 福岡県中間市の双葉保育園で倉掛冬生(とうま)ちゃん(当時5)が送迎バスに閉じこめられて死亡した事故で、保育園の新園長と園の代理人弁護士が5日、遺族宅を謝罪に訪れた。園関係者の弔問は初めてといい、代理人弁護士によると当時の園長や理事長が退いて新体制になったことから、遺族側が応じたという。 弁護士によると、新園長らは遺族の祖父らに謝罪し、仏壇に手を合わせた。県と市の特別監査を受けて改善した園の運営内容や態勢についても説明したという。 訪問後、取材に応じた祖父は「バスの中を最終チェックしとってくれれば、こんなことにはならなかった。歯がゆくてたまらない」と声を震わせた。 遺族側の代理人弁護士は「対応はいたしましたが、悲しみが癒えるとか、許すとかいうことでは決してありません。ご遺族は警察の捜査で詳細が明らかになるのを待っています」と話した。 冬生ちゃんは7月29日、朝の送迎バスの中に閉じ込められ、熱中症で死亡した。バスは当時の園長が1人で運行していた。福岡県警は業務上過失致死の疑いで調べている。(西田慎介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
町のあちこちに「繁次郎」 北海道で語り継がれるヒーローの正体は
その昔、とんちを利かせて権力者をやりこめたと伝わる北海道江差町の「繁次郎(しげじろう)」。怠け者でちょっといい加減な男だが、どっこい町民に愛され、今も町のヒーローなのだ。 町には「繁次郎」があふれている。あちこちで繁次郎の像や絵が出迎え、砂浜や温泉、飲食店などにもその名が付けられている。交通安全運動の旗にも助っ人で登場するほどだ。 江差の繁次郎とは? 函館・道南大事典や北海道大百科事典などによると、「江差の繁次郎」の出身は江差町の隣の厚沢部町で、江戸時代の文化年間(1804~18)に生まれた。5尺(約150センチ)に満たない小男ながら、酒好きで大食漢。仕事に身が入らず、頓才を発揮して減らず口をたたいて歩く「もてあまし者」だったという。江差町の法華寺に残る「俗名繁次郎」の過去帳には、明治3年没とある。 地域のニュースとともに繁次郎にまつわる小話を紹介してきた「繁次郎通信」を発行する松崎浩さん(68)は「人気にあやかって題字に採用しました」。 町内で手作り遊工房「紺屋」を営む紺谷捷子(しょうこ)さん(83)は、繁次郎の語り部を自任する。「言い伝えではかなりいい加減な人だったみたいね」。そう笑いつつも、「社会の潤滑油になっていた繁次郎の『いい加減』な精神力こそ、今の時代に必要では」と話す。 ニシンの豊漁にわく時代に生きた繁次郎だが、仕事には身が入らず、みんなを調子に乗せてごちそうになったり、お金を無心したり。人びとは「また繁次郎にだまされた」と苦笑しながらも、憎めない。 時には、持ち前の頓才で松前の殿様をおちょくったり、意地悪な巡査の鼻をあかしたりもする。そんな繁次郎の振る舞いに、庶民は留飲を下げたという。 紺谷さんは、子どもの頃に叔… この記事は会員記事です。残り286文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特急料金春から値上げ、最大変動幅600円、JR東がピークシフト
小川崇、初見翔2021年10月5日 17時44分 JR東日本は5日、一年で最も混雑する繁忙期の指定席料金を来春から引き上げると発表した。現在は通常料金と比べて繁忙期は200円の増額、閑散期は200円の減額で400円の変動幅があるが、最大600円に拡大する。価格差を広げてピークをずらし、利用の集中を抑えるという。 JR東は現在、新幹線や特急などの指定席料金を、通常期も含めて3段階に分けている。ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始などが繁忙期にあたり、6、9月などの一部期間を閑散期としている。 来年4月以降は、お盆休みなどで新たに「最繁忙期」を設けて通常期より400円値上げする。繁忙期や閑散期の料金設定に変更はない。一方、7~8月中の繁忙期を少なくしたり、閑散期を新たに増やしたりして、値上げが46日、値下げが51日になるようにしたという。対象路線には、直通運転がある北海道新幹線や北陸新幹線も含まれる。 深沢祐二社長は会見で「増収を狙っているわけではない」と説明し、全体の総収入は変えない方針という。「ピークをシフトすることでコロナの3密対策にもなる。長期的にはコスト削減も見込む」と狙いを語った。 JR西日本は、北陸新幹線以外の特急料金については、来春の改定は見送るものの、引き続き導入に向けた検討を続ける。JR九州は8月、在来線の特急料金について繁忙期の値上げ幅を拡大した。新幹線については「検討しているが来春のダイヤ改定には間に合わない」。JR東海の金子慎社長は9月下旬の会見で料金改定について「検討している」とする一方、「各社必ずしも同じ内容で進めなくてはいけない内容ではない」と述べ、JR東日本とは料金の変動幅などが異なる改定となる可能性を示している。(小川崇、初見翔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
秋サケ1万2千匹死ぬ ウニ漁場で9割死も 北海道東部で赤潮?被害
榧場勇太2021年10月5日 18時00分 北海道東部の太平洋沿岸を中心とした地域で秋サケやウニなどが大量に死んでいる問題で、道は5日、道内の漁業関係団体と「北海道赤潮対策会議」を設置し、初会合を行った。1日までに秋サケ約1万2千匹が死んでいるのが見つかっており、赤潮との関係が疑われている。漁業関係者からは原因究明や救済を求める声があがった。 会議は非公開で行われた。終了後取材に応じた道の古村龍次・水産局長によると、道が赤潮の発生状況や漁業被害について報告し、漁業関係者などとの意見交換が行われた。 道によると、赤潮は9月20日に釧路市東部で最初に確認され、10月1日までに根室市から浦河町の沿岸で相次いで確認された。 漁業被害は、太平洋沿岸の7漁協で1日までに、定置網にかかった秋サケ1万1960匹が死んだのが確認されたほか、釧路総合振興局管内の漁協では、ウニの漁場で9割近くが死んでいるのも確認された。被害額は調査中という。 赤潮と漁業被害の関係は不明だが、古村水産局長は「道東海域での大規模な赤潮発生はこれまでに経験がなく、甚大な被害だ。被害がどの程度広がっているのか全容もつかめていない」と話した。道は今後、被害があった海域で週1回、海水のモニタリング調査を実施しながら原因究明を進める。 漁業関係者からは、今後の被害拡大の可能性から、被害が出た周辺の海域でもモニタリング調査を実施することや、漁業被害への救済措置を求める声が上がったという。古村水産局長は支援について「金融支援や共済制度のほかに、どういったことが考えられるのか、会議の中で検討を進めたい」と話した。(榧場勇太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スリランカ人強制送還の違憲判決確定へ 国が上告断念の方針
村上友里2021年10月5日 14時29分 スリランカ国籍の男性2人が難民不認定の取り消しを求める訴訟を起こす前に、出入国在留管理庁が2人を強制送還したのは憲法違反だと認めた東京高裁判決について、国が最高裁への上告を断念する方針を固めた。関係者への取材でわかった。 上告期限は6日。最高裁は原則、憲法や判例の違反がある際に上告を受けるが、国側は上告理由がないと判断したとみられる。原告側も上告しない方針で、「(同庁側が)憲法32条で保障する裁判を受ける権利を侵害した」とした高裁判決が確定する見通しだ。 9月の高裁判決によると、2人は2014年、難民不認定への不服申し立ての棄却を知らされた翌日に強制送還された。判決は同庁が棄却を知ったのは2人に知らせる40日以上前だったことをふまえ、「訴訟の提起前に送還するため意図的に棄却の告知を遅らせた」と指摘。「司法審査の機会を奪うことは許されない」と説明し、国側に計60万円の賠償を命じた。 同庁は、今年1月の名古屋高裁判決で棄却の告知翌日に強制送還した対応が違法と判断されたことを受け、告知後2カ月以上たってから送還するよう運用をすでに見直している。このため上告せずに東京高裁判決が確定しても、入管行政への影響は少ないとも判断したとみられる。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル