2021年12月10日 5時00分 日本大学前理事長の田中英寿容疑者(75)が脱税容疑で逮捕された事件で、田中前理事長が東京地検特捜部の調べに対し、「妻が共謀で起訴されるなら自分が全責任を負う」と供述したことが、関係者への取材で分かった。現段階では取引業者らからの現金受領は否定したままだという。 特捜部は田中前理事長を11月29日に所得税法違反容疑で逮捕。関係者によると、妻と共謀の上、2018年に1千万円、20年に1億840万円の計1億1840万円のリベート収入などを申告せず、計約5328万円を脱税した疑いがある。申告した所得は基本的に理事長としての報酬と不動産関連の収入だけで、両年とも5900万円前後にとどまっていたという。 妻はこうした現金の一部を受け取ったほか、前理事長の資金全般を管理して税務申告も担っていたとされ、特捜部は脱税に共謀した疑いで捜査している。 田中前理事長は最近になって「妻が共謀で起訴されるようなことは避けなければならない。それなら自分が全部責任を負う」と検事に伝えたという。自らの現金受領は否定し、妻の受領も認めてはいないという。 妻は体調不良で入院中で、特捜部は事情聴取が可能かどうか慎重に検討している。 計1億1840万円の内訳は、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)前理事長の籔本雅巳被告(61)=背任罪で起訴=が計7500万円▽金沢市の建設業者が3千万円▽大阪府内の設計事務所が1千万円▽日大元理事・井ノ口忠男被告(64)=同=が自ら拠出したり複数の取引業者らから集めたりした計340万円とされる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
都内の処分場にサンショウウオの「大きな」幼生 担当者「珍しい」
杉山圭子2021年12月10日 5時00分 東京都日の出町の谷戸沢(やとざわ)廃棄物処分場内の水辺で、体長約7センチのトウキョウサンショウウオの越冬幼生が確認された。処分場を管理する東京たま広域資源循環組合が行った生物調査でわかったといい、9日に発表した。 同組合環境課の担当者によれば、サンショウウオの幼生は水中の昆虫などを食べて育つ。やがて、えら呼吸から肺呼吸に変わる過程で多くは水辺を離れて山へ移るが、水辺の環境がよくエサも足りている場合には、そのまま水中で冬を越すこともあるという。 処分場内では近年、2~3年に1度、越冬幼生の姿がみられたが「だいたい体長3~5センチほどで、これほど大きな越冬幼生を見たのは初めて。水中で体長7センチまで育つのは珍しいと思う」と担当者は話す。 トウキョウサンショウウオは都内や首都圏に生息する日本固有の両生類。水辺の宅地化などで年々数が減り、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に分類されている。同組合は「今後も処分場内の環境保全に取り組み、生息地を守っていきたい」としている。(杉山圭子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「欲しいって言うから産んだのに」 言って後悔、気づいた大事なこと
27歳だった漫画家のことりさんは、12歳年上の男性と結婚した。 聞き上手な夫との暮らしは順調だったが、一つだけかみ合わない点が。 子どもを授かりたいタイミングだ。 まもなく40歳を迎えようという夫は、子どもを早く欲しがった。 ことりさんは、今の生活をもう少し楽しみたい、と思っていた。 かつて母に言われた言葉も、心に残っていた。 「産んだら死ぬまで一生母親なんだからね。可愛いだけじゃない、責任で育てるんだよ」 自分の幼いころを振り返ると、親にはたくさん心配をかけた。 親の立場になったら一生、心配事だらけの生活になるんじゃないかと思っていた。 ◇ 結婚からしばらくして妊娠。 「うれしい」というよりは、「どうしよう、こわい」という気持ちの方が大きかった。 夫は喜んでいたが、産声を聞くことはかなわなかった。 妊娠がわかってから、わずか数週間後の流産だった。 どこかホッとしている自分と、心にぽっかり穴が開いた自分。 体の一部を失ったようで、何もやる気が起こらず、思い出しては泣く日々だった。 流産がきっかけとなって、自らの意思で「子どもがほしい」と思うように。 結婚から2年半ほど経ったころ、長男が生まれた。 不満が爆発した日 息子が2歳になる前、夫に対する不満が爆発した。 積もり積もった思いを一方的にぶつけるように、こんな言葉でののしった。 ◇ ねぇ、昔「なんで子ども欲しいの?」って聞いた時、なんて答えたか覚えてる? 「人間を育てるの、おもしろそう」って言ったんだよ。 でも面倒見てんの私じゃん! 息子に興味ある? スマホばっかり見て! 私はやりたいことも、ひとり… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
監視委の調査の違法性を認定、初の賠償命令 インサイダー事件で地裁
村上友里2021年12月9日 21時41分 自社のインサイダー情報を友人に伝えたとして金融庁から351万円の課徴金納付を命じられたソフトウェア関連会社「SHIFT」(東京都港区、東証1部上場)の元取締役が、処分取り消しと500万円の損害賠償を国に求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。清水知恵子裁判長は、禁じられている重要事実の伝達はなかったとして処分を取り消し、証券取引等監視委員会の調査の違法性も認めて120万円の賠償を命じた。 同庁によると、課徴金納付命令をめぐって監視委の調査の違法性が裁判で認められるのは初めてという。 判決によると、元取締役は、純利益の下方修正を公表前に友人に伝え、株式売却で損失を回避させたという金融商品取引法違反で処分された。 「調査官、注意義務を尽くさなかった」 インサイダー取引規制では30%以上の純利益の増減は重要事実にあたるとされ、同庁側は情報伝達の直前の取締役会で30%以上の下方修正が了承されたと主張した。しかし判決は、これは暫定値で、取締役会では新たに計算された30%未満の数値が前提になっていたと認定。情報伝達の時点で「重要事実は発生していない」と判断した。さらに監視委の調査官らは関連資料の十分な確認を怠り、「職務上尽くすべき注意義務を尽くさなかった」とも認め、損害賠償を命じた。 同庁と監視委は「今後の対応を検討しており、コメントは控える」と答えた。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
シニアカーの男性、踏切内で転倒 近鉄奈良線にひかれて死亡 東大阪
2021年12月9日 22時03分 近鉄奈良線の踏切で車いすの男性はねられ死亡=朝日放送テレビ撮影 9日午後3時55分ごろ、大阪府東大阪市客坊町の近鉄奈良線瓢簞山―枚岡間の踏切で、シニアカー(電動車いす)の男性が大阪難波発近鉄奈良行きの普通電車(6両編成)と衝突し、搬送先の病院で死亡した。男性は踏切を横断中に転倒し、はねられたとみられる。府警は近くに住む69歳の男性とみて調べている。 枚岡署によると、付近の防犯カメラに事故の様子が映っていた。男性は踏切を渡りきる直前、下りてきた遮断機と接触して転倒したとみられる。 踏切への進入を通知する装置なし 近鉄によると、車が横断できる多くの踏切には、遮断機が下りているときに車や人が踏切内に進入すると運転士らに通知が来る「障害物検知装置」を設置している。今回の踏切内の道幅は約2・2メートルで車は通れず、装置はなかった。 近くの小学5年の女児(11)は、「友だちの家に遊びに行こうと踏切を通りかかったら、お年寄りが倒れていた。『そこのボタンを押して』と叫んだので、(非常用の)ボタンを押したが、電車は踏切を過ぎてしまった。救急車が来て、『大丈夫ですか』と声をかけていた」と話した。 高齢者の電動車いすの事故について、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)は2016~20年に計23件を把握。発生場所として最も多かったのが踏切で7件あった。うち5件は死亡事故だったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
事件当日の不審行動、問い詰められ退職 入所者殺害容疑の元職員
2021年12月10日 1時41分 茨城県古河市の介護老人保健施設「けやきの舎(いえ)」で昨年7月、入所者の男性が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された元介護職員の赤間恵美容疑者(35)が事件当日、不審な行動を同僚の施設職員に問いただされた後、退職を申し出ていたことが捜査関係者への取材でわかった。 県警捜査1課などによると、赤間容疑者は昨年7月6日午後0時半ごろ、施設で、点滴用のチューブにシリンジ(注射筒)を接続し、入所者の吉田節次さん(当時76)の足から空気を注入し、血液が循環しない状態に陥らせて殺害した疑いがある。 捜査関係者によると、赤間容疑者が事件当日、施設内で不審な行動をしているのを同僚の職員が目撃し、別の職員が問いただしたところ、赤間容疑者は退職を申し出て、勤務時間が終わる前にそのまま辞めたという。吉田さんの血圧が急激に下がったことに巡回していた職員が気づいて、吉田さんは救急搬送されたが、約1時間後に死亡した。 県警や施設によると、赤間容疑者は昨年4月から介護職員として勤務し、研修中だった。赤間容疑者は看護師の資格も持ち、栃木県や埼玉県の病院で働いていたという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
再審請求中の藤井・前美濃加茂市長 来年1月の同市長選に出馬の意向
吉田芳彦2021年12月9日 22時16分 受託収賄などの罪に問われ、有罪が確定した岐阜県美濃加茂市の藤井浩人前市長(37)が、来年1月の同市長選に立候補する意向を固めた。藤井氏は9日、朝日新聞の取材に「(現市長が進める)新庁舎計画案を見直ししたい」と話した。 藤井氏は市長当時、市の浄水施設設置を巡って受託収賄などの罪に問われた。一審の名古屋地裁は無罪判決を出したが、名古屋高裁で懲役1年6カ月執行猶予3年、追徴金30万円の判決を受け、2017年に有罪が確定した。藤井氏は一貫して無罪を主張。有罪確定後に市長を辞職したが、今年11月には新たな証拠があるとして、名古屋高裁に無罪を求めて再審を請求している。 市長選は1月23日投開票。現職の伊藤誠一氏(65)が再選を目指し立候補を表明している。(吉田芳彦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ラーメン店軒下の灰皿から30メートル 健康被害の訴え、地裁判決は
森下裕介2021年12月9日 22時20分 ラーメン店の軒下に設置された灰皿から流れてくるたばこの煙で健康被害を受けたとして、大阪市の男性が、店舗の運営会社に灰皿の撤去などを求めた訴訟の判決が9日、大阪地裁であった。織川逸平裁判官は、店舗利用者のたばこの煙によって健康被害を受けたとは断定できないとして、男性の訴えを退けた。 判決によると、男性は2016年、店舗そばのマンション2階に住み始めた。直線距離で30メートルあまり離れた店舗の軒下には、店舗が設置した灰皿があった。 男性は20年1月、急性受動喫煙症や咽頭(いんとう)炎、気管支炎などの診断を受けた。灰皿から流れてくるたばこの煙が原因だと考え、自室の窓付近でPM2・5(微小粒子状物質)濃度を計測。その結果、ラーメン店の営業時間帯に基準値を超える頻度が高かったとし、運営会社に灰皿の撤去と店先に全面禁煙などの貼り紙を出すことなどを求めていた。 織川裁判官は、男性宅と灰皿までの距離を踏まえれば「煙が届いたとしても、濃度は相当減っている」と指摘。マンション近くの国道を通る車の排ガスや、男性宅とラーメン店の間にあるコンビニの店先でのたばこの煙の影響を受けた可能性もあるとして、ラーメン店の灰皿と健康被害の因果関係は認められないと結論づけた。(森下裕介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
連続赤字の企業から違法献金 自民・棚橋氏の支部 8日付で返還
2021年12月9日 22時24分 自民党の棚橋泰文・前国家公安委員長(衆院岐阜2区)が代表を務める自民党岐阜県第2選挙区支部が、3年以上続けて欠損(赤字)を出した企業から2019年と20年に計24万円の政治献金を受けていたことがわかった。同支部は8日付で献金を返還し、政治資金収支報告書を訂正した。 政治資金規正法は3事業年以上続けて累積の欠損がある企業からの献金を禁じている。棚橋氏の事務所は「法に照らして不適切であったと判明した」と話した。 献金していたのは、同県大垣市の食肉販売会社「吉田ハム」。同社によると、前身企業から事業を引き継いだ16年度以降、19年と20年に12万円ずつ献金していたが、17年3月期以降の決算で毎年欠損が生じていたという。同社の担当者は「政治資金規正法について理解していなかった。深く反省して再発防止を徹底したい」と話した。 棚橋氏の事務所は「寄付をいただいた時点では、企業が3年連続で欠損が生じていることは知らなかった」とした上で、「政治資金規正法などの法令の順守のために更なる注意を払っていく」とコメントした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「害獣」エゾシカの角をテンキーやヒールに 札幌の大学生が考案
北海道では農作物被害で「害獣」と嫌われることもあるエゾシカ。その角を日用品に転用しようと、札幌市立大でデザインを学ぶ学生が商品化に向け取り組んでいる。デザインを委託した企業が来年2月に東京で開かれる展示会に出展し、その後の商品化をめざす。 北海道白糠町の工場で鹿肉を加工、販売する北海道えぞ鹿ファクトリー(湖軍毅社長)は、ハンターが捕獲したエゾシカを買い取っている。これまでは廃棄していた角を有効利用しようと、札幌市立大デザイン学部の矢久保空遥(たかのぶ)助教に、若者の発想で新商品を考案できないか依頼。矢久保研究室の3年生5人がこのほど、20点あまりの試作品を完成させた。 小平由芽さんはハイヒールのヒール部分に使った。個体の違う角を加工して高さを約9センチにそろえるのに苦労したが、「ゴツいと思っていた角は模様がかわいらしくて、普段使いとの相性がいい」と感じた。佐藤ありささんはオンライン授業でパソコンを使う機会が増えていたことから、テンキーのキャップ部分に使うことを思いついた。手触りが気に入っている。 大胆に角そのものをボールペンの本体部分に使った作品も。角が不規則な形のため書き心地は優れものとはいかないが、河田由有さんは「ホテルのチェックインの署名で使ってもらえれば、北海道らしさを感じてもらえるのでは」。遠藤茉子さんは、ほうきの柄の部分に使い、ちりとりとのセットに。玄関先で使い、飾ってインテリアも兼ねるねらいだという。 倉本圭偉さんは鍵などを付けられる固定具の「カラビナ」をつくって気づいた。「角は硬くて加工は難しかった。身の回りには100均などのプラスチック製品があふれている。自然由来の製品は一点もので、独自性があり面白い」 湖社長は「学生さんたちは何かのまねではなく、今の時代に合う感覚でものをつくってくれた。角の利用は循環型社会に適した取り組みだし、増えるエゾシカの『害獣』のイメージも変えたい」と語る。 ■エゾシカ、農作物被害で「害… この記事は会員記事です。残り463文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル