阿部峻介2021年12月13日 19時31分 建設現場でアスベスト(石綿(いしわた))を吸って健康被害を負った元作業員らが国と建材メーカーに賠償を求めた訴訟で、主に九州地方に住む原告と国との和解が13日、最高裁第二小法廷(菅野(かんの)博之裁判長)で成立した。国は原告らに謝罪し、被害補償として総額約3億5千万円を支払う。 国と一部メーカーの賠償責任を認めた5月の最高裁判決後、最高裁で和解が成立したのは初めて。メーカー側は和解に応じていないため、第二小法廷は今後、メーカー責任について判断を示すとみられる。 和解したのは原告53人のうち、石綿で肺がんなどになった福岡、熊本、大分各県の元作業員と遺族52人。最高裁判決の翌日に全国の原告団と国が和解基準を決めた基本合意に沿い、国は病状に応じて作業員1人あたり1千万円余りを払う。 都内で会見した原告団副団長の石原律子さん(76)は夫を肺がんで亡くした。「2011年の提訴から10年かかり、(作業員本人の)原告はほとんどが亡くなった。生きているうちに(和解成立を)聞きたかったと思う」と振り返った。 一審・福岡地裁は事業主に雇われた労働者に対する国の責任だけを認め、二審・福岡高裁は労働者に当たらない個人事業主に対する国の責任や、一定の販売シェアを持つメーカー4社の責任も認定していた。 建材メーカー各社との和解は…… 厚生労働省によると、5月の基本合意を受け、和解をめざす新たな同種訴訟が各地の地裁で続出。11月までに83件(原告約1400人)起こされ、国との和解が順次進んでいる。基本合意をふまえて裁判を起こさない人を補償するための基金創設も決まり、来年6月までに運用が始まる。 一方、メーカー側の対応は鈍い。これまで被告となった約40社のうち10社の賠償責任が確定したが、和解の動きはなく、基金への拠出も定まっていない。基金法には、メーカーの補償を引き続き検討するとの条項がある。原告弁護団の山本一行団長は「国が和解して謝罪したという状況をもとに、企業にも和解を迫っていきたい」と話した。(阿部峻介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ワクチン接種証明アプリ、マイナンバーカードが必須 デジタル庁
政府は13日、新型コロナウイルスのワクチン接種をスマホで証明できるアプリの使い方を報道陣に示した。アプリはデジタル庁が開発し、20日に公開する。利用にはマイナンバーカードが必須で、カードの利便性を高める狙いがある。 アプリを使えば、国内用と海外用の接種証明を取得できる。マイナンバーカードをスマホにかざし、本人確認をする。その際カードのパスワードが必要で、3回間違えるとロックされるため注意が必要だ。 接種証明はスマホ画面上に2次元コードで表示される。アプリを使えば別の人の2次元コードを読み取れる。個人情報保護のため、氏名や生年月日を画面に表示するかどうかを選ぶこともできるという。 接種証明はデジ庁が運用する「ワクチン接種記録システム」(VRS)のデータに基づいている。しかしVRSには一定数の誤りが含まれており、間違っていた場合は自治体に修正してもらう必要があるという。(中島嘉克) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
目が覚めたら妻は泣いていた コロナ禍で壊れた心、僕にできたことは
今から4年前、うえはらけいたさん(33)は妻と出会った。 広告会社のコピーライターを辞めて、美術系大学に入った時のこと。 年は少し離れていたが、お互い大学生同士だった。 一緒に京都に行ったとき、電車の中でスマホの真っ黒な画面を見せながら、こんな話をしてくれた。 「電車で自分の前に誰かが立った時さ、その人をジロジロ見たら悪いから、スマホを出して画面越しに見るの」 そうやって席を譲るかどうかを決めているのだという。 ちょっと不器用な感じが自分に似ているなと感じて、ひかれていった。 お互いこれといった趣味もなく、旅行することが共通の楽しみに。 費用をためようと自炊を増やすようになったら、面白いルールが始まった。 「これは外で食べたら980円はするね」 自分たちで作った料理を、外食した時の値段に換算する遊びだ。 そうやって節約気分を高めて、あちこちに旅行した。 目覚めたら妻が泣いていた 昨冬の朝、うえはらさんが目覚めたら、妻は泣いていた。 「だめだね、こんなに弱くちゃ」 コロナ禍で誰とも会えない生活や、リモートワークで限界が来たようだった。 何と言っていいかわからず、「どうしたい?」と尋ねてみたが、何もしたくないという。 「土日に旅行に行かない?」と誘ってみたが、世間の状況を考えたら行けるわけがなかった。 それならばと、こんな提案をしてみた。 壊れた心を何とかしようと夫がとった行動。翌年、森山直太朗さんが発表した新曲のジャケットの絵につながりました。 「ねぇ、目を閉じてみて。こ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最高裁で和解成立、原告団長「10年でやっと」 九州建設石綿訴訟
最高裁での和解成立を受け13日、原告団長の平元薫さん(77)=福岡市南区=らも福岡市内で記者会見を開いた。 平元さんは「喜ばしいこと。(提訴から)10年の節目でやっとです」と語った。18歳から大工の仕事を始め、故郷の鹿児島や福岡の現場を渡り歩いた。当時は石綿の危険性を知らず、粉じんが舞う中でマスクもつけずに作業していたという。約10年前に肺がんを発症。手術で肺の約3分の2を切除し、現在はチューブで肺に酸素を送り込んでいる。 建設作業従事者や遺族による原告団のうち、作業員だった6人はすでに亡くなった。平元さんは「一人でも多く生きているうちに、問題が解決してほしい。国には企業も謝罪するよう仲介してもらいたい」と求めた。 福岡県篠栗町の中村吉子さん… この記事は会員記事です。残り622文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岡山市中心部の繁華街で火災、8棟焼ける
2021年12月13日 21時38分 消火作業が続く火災現場=2021年12月13日午後5時29分、岡山市北区表町2丁目 13日午後4時半ごろ、岡山市北区表町2丁目の繁華街から出火した。岡山市消防局によると、消防車約20台が消火活動にあたったが、雑居ビルなど8棟に燃え移ったという。4時間近く経った午後8時15分にほぼ消し止められたが、午後9時時点でも消火活動は続いている。行方不明者や負傷者の情報は入っていない。 現場はJR岡山駅の東約1キロで、百貨店「天満屋岡山本店」から南に約200メートルの飲食店や住宅などが密集する地域。現場付近は煙が立ちこめ、帰宅途中の人らも多く騒然となった。 近くに住む無職女性(74)は「呼び鈴を鳴らして出火を知らせてくれた人がいて、スマホだけ持って外へ出た。火が上がり、煙が立ちこめていて驚いた」と話した。 火の手が上がる火災現場=2021年12月13日午後5時21分、岡山市北区表町2丁目 煙が立ちこめる火災現場=2021年12月13日午後5時30分、岡山市北区表町2丁目 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
田中前理事長の背任関与を否定 日大、調査の中間報告書を公表
2021年12月13日 21時45分 日本大学板橋病院の建て替え工事をめぐる背任事件について、日大は13日、弁護士らの調査に基づく中間報告書を公表した。設計業者から2億2千万円のリベートが支払われる仕組みは元理事・井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=しか知らなかったとし、前理事長の田中英寿容疑者(75)=所得税法違反容疑で逮捕=の関与も否定した。 板橋病院をめぐる背任事件では、井ノ口被告と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」前理事長・籔本雅巳被告(61)が①建て替えに伴う設計業者選定②医療機器の調達の2事件で逮捕・起訴された。今回の報告書は①に関するもので、②と田中前理事長の脱税事件は含まれていない。 ①では、設計・監理業務を請け負った都内の設計事務所から2020年8月、籔本被告の実体のないペーパー会社に2億2千万円の日大資金が流出したとされる。報告書は、日大子会社「日本大学事業部」の取締役として業者選定を担った井ノ口被告が、同事務所が審査に通るように評価点の改ざんを指示するなどした不正を認定。他の日大関係者は知らないところで、同事務所の役員に「この会社(籔本被告の会社)は事業部と一体だ」と伝えてリベートを支払わせたとした。 設計業者「無視したら契約できなるかも」とリベート 同事務所の役員は調査に対し、「事業部を無視したら契約できなくなってしまうかもしれない。利益を削ってリベートを払っても人件費の圧縮で回収できると考えた」と答えたという。 報告書は田中前理事長について「改ざんやリベートの支払いなどについて、いずれも知らなかった」と認定し、業者選定について「直接的な義務違反は認められない」と結論づけた。一方、2億2千万円が前理事長に還流したかは、脱税事件が捜査中であることを理由に「現時点では調査結果の公表を控える」とした。 報告書は井ノ口被告が取り仕切った事業部について、「取り巻きの業者」が業務に関与するようになり、「管理部門からの牽制(けんせい)がほとんど利かない状態だった」と指摘した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大、学費値上げ「予定せず」 HPで見解 補助金減額の見通しでも
三浦淳2021年12月13日 21時58分 前理事長らが逮捕された日本大学は13日、在学生と来年度入学予定の学生の学費について「卒業まで変更ありません」とホームページ(HP)で発表した。「今後も改定は予定していない」としている。不祥事を受け、国からの補助金が大幅に減額される可能性が高く、学費への影響を心配する声が出ていた。 日大はこの日、HPで加藤直人新理事長名のメッセージを公表。事件について「前代未聞の不祥事」とし、田中英寿前理事長=脱税容疑で逮捕=らの影響力を排除する体制をつくり、外部有識者を中心とする「再生会議」を立ち上げると改めて表明した。そのうえで「コンプライアンスの順守を徹底し、信頼回復に努める」とし、学費の値上げを否定した。 加藤新理事長は10日に開いた会見で学費の値上げについて、「手をつけることがないよう最大限努力する。ただ、(補助金が減額されれば)財政面で厳しくなることが予想され、処分(の内容)によって対応する」と述べていた。 日大には毎年、国から約90億円の補助金(私学助成)が配分されているが、末松信介文部科学相は今年度分について「極めて厳正な判断がなされることが重要」と述べるなど不交付の可能性をにじませている。(三浦淳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
滑走路1本の中部空港、発着増へ愛知知事が滑走路「2段階構想」
愛知県の大村秀章知事は13日の記者会見で、中部空港(同県常滑市)に新たな滑走路をつくる構想を明らかにした。現滑走路の東西に新滑走路を建設し、現滑走路を廃止する計画。最終的に発着能力は現在の1・5倍になるという。 14日に東海3県や名古屋市、地元の経済団体などが参加する会議を開き、空港の将来構想をとりまとめる。国との調整を進める考えだが、国土交通省の幹部は「地元が案をとりまとめた段階で話を聞くが、現時点ではあくまで『地元の思い』だ」としている。 大村氏によると、構想は2段… この記事は会員記事です。残り465文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
基地監視団体「リムピース」の頼和太郎編集長、海難事故で死去
2021年12月13日 22時58分 頼和太郎さん(らい・わたろう=基地監視団体「リムピース」編集長)が10日死去した。73歳。通夜は15日午後6時、葬儀は16日午後1時から神奈川県横須賀市本町1の4のプラザヨコスカ中央本社斎場で。 米軍の艦船や航空機の動向を調べて発信するリムピースで、中心的な役割を果たしていた。横須賀海上保安部によると、神奈川県三浦市の三崎港で9日午前10時ごろ、頼さんのシーカヤックが転覆。別のカヤックに乗っていた妻(59)が海に飛び込んで抱え、近くの作業船に救助されたが、搬送先で死去した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
誘拐容疑で男女を逮捕 被害の女子高校生は薬物中毒死 滋賀・守山
2021年12月13日 20時30分 女子高校生(19)を誘い出して家に連れ込んだとして、滋賀県警は13日、いずれも無職の入江公史郎容疑者(38)=同県守山市=と金城え夢(む)容疑者(21)=岐阜県関市=の男女2人を未成年者誘拐の疑いで逮捕したと発表した。金城容疑者は容疑を認め、入江容疑者は「誘拐した覚えはない」と否認しているという。高校生は入江容疑者宅で死亡が確認され、司法解剖の結果、死因は薬物中毒と判明した。 守山署によると、入江容疑者宅から抗不安薬や睡眠導入剤などの空き殻が計100錠分ほど見つかった。高校生に目立った外傷はなく、争った形跡もないという。県警が詳しい経緯を調べている。 逮捕容疑は、11日午後3時45分ごろ、通信制高校に通う京都市内の高校生が未成年であると知りながら、「知り合いの男の家にいるけど来ない?」などと携帯電話で誘い出し、同市内で合流。車で移動して同日午後6時ごろ、入江容疑者が住むアパートに連れ込んで誘拐したというもの。 両容疑者は、SNSを通じて高校生と知り合ったとみられ、初対面だったという。高校生と3人でアパートで一夜を過ごしたが、朝起きると高校生が室内の廊下で倒れていたという趣旨の供述をしているという。 両容疑者は12日午前11時ごろ、119番通報。消防から連絡を受け、駆け付けた警察官が、現場で高校生の死亡を確認したという。 アパート周辺に住む自営業の女性(29)によると、付近の道路は人通りが少なく、住民以外はほとんど通らないという。女性は「このあたりでは、事件どころか、不審者の情報すら聞いたことがない。一体何があったのか」と驚いていた。 現場のアパートはJR琵琶湖線守山駅から南西約800メートルにあり、周囲は住宅や田んぼが混在している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル