法務省は21日、死刑囚3人の死刑を執行しました。執行は2019年12月以来、2年ぶりです。米国の死刑を長く取材してきたドキュメンタリー映画監督の坂上香さんに、日本と米国の死刑に対する考え方の違いについて聞きました。 さかがみ・かおり。1965年生まれ。監督作品に「プリズン・サークル」「Lifers ライファーズ 終身刑を超えて」など。 さまざまな情報が公表される米国と異なり、日本は死刑に関して徹底した秘密主義です。今年11月には、死刑囚2人が「執行の当日告知は憲法違反」として国を訴えました。当日告知は「本人にすら直前まで情報がない」という点で、日本の死刑制度の象徴のように感じています。 たとえば、米国では誰がいつ執行されるかが事前に公表されます。そして、執行の現場にジャーナリストが立ち会わなければいけない州が多い。現在、死刑を続けている州では多くが薬物注射です。失敗が続いたことで執行を停止していたオクラホマ州で、最近6年ぶりの執行がありましたが、死刑囚がけいれんや嘔吐(おうと)を繰り返した様子が報じられ、再び批判の声が高まっています。ほかの州でも同じような執行の失敗が何度も明るみに出て、薬物注射の合法性が裁判で問われたり、医療者側や製薬会社が倫理的な面から関与を拒否したりする動きもあります。 米国にだって「重い罪を犯し… この記事は有料会員記事です。残り750文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女子中学生いじめ問題の旭川市、市長が対応部署設置検討
本田大次郎2021年12月21日 19時30分 北海道旭川市は、いじめの相談を受け、解決に向けて対応する部署を、市長の権限が直接及ぶ市長部局に新設する検討を始めた。2023年度の運用開始を目指し、今月から視察などの調査を進める。今津寛介市長は「学校や教育委員会以外にも、第三者の視点で対応する部署が必要」としている。 同市では今年3月、当時中学2年生の広瀬爽彩(さあや)さん(14)が遺体で見つかり、市教育委員会の第三者委員会が過去のいじめの有無などを調査している。遺族は広瀬さんが中1の時にいじめを受け、「学校に何度も相談したが対応してくれなかった」と訴えている。市教委も当時、いじめの認知には至らなかった。 そのため、9月に就任した今津市長は、いじめに対応する部署を市長部局に新設する方針を打ち出した。全国では大津市や大阪府寝屋川市などが、市長部局にいじめ対応の部署を設置しており、今津市長と担当職員が22日から視察する。今津市長は「広瀬さんの問題は、当初は市教委からの情報だけだったため、いじめの疑いがある重大事態としての認定が遅れた。市長自らが情報を把握し、市長部局が第三者の視点で対応する必要がある」と説明する。 旭川市では以前から、いじめ防止条例の制定を検討している。来年度はこの条例に、今回検討する組織についても加えられるか議論をするという。担当部署は23年4月の発足を目指す。(本田大次郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウィシュマさん収容死の改善策、年度内の取りまとめ目指す 入管庁
2021年12月21日 19時37分 スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が3月に収容先の施設で病死した問題で、出入国在留管理庁は21日、8月にまとめた調査報告書に盛り込んだ改善策の取り組み状況を公表した。職員の意識改革のための「使命と心得」の策定や全国の収容施設での医療体制の強化に向け、有識者らからの意見を踏まえて年度内の取りまとめを目指すとした。 入管庁は報告書で、ウィシュマさんの体調悪化への対応に問題があり、医療体制などについて組織として取り組みが不十分だったと認めた。対応にあたった職員に「人権意識に欠ける」発言があったことも明らかにし、12項目の改善策を挙げた。プロジェクトチームを立ち上げて取り組みを進めている。 入管庁によると、「使命と心得」の策定に向け、外部の有識者に加えて職員からも意見を集約して内容を検討。医療体制の強化については、医師ら5人による有識者会議で議論しているといい、ウィシュマさんが収容されていた名古屋入管では、非常勤医師を1人から4人に増員するなどの対応を先行して実施した。また、来年4月に「出入国在留監査指導室(仮称)」を入管庁本庁に設置する準備を進めているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
越冬する4千羽の白鳥 シベリアから新潟へ
山本裕之2021年12月21日 20時00分 水鳥たちの生息地として、湿地の保護と管理などを目的とした「ラムサール条約」に登録されている新潟県阿賀野市の瓢(ひょう)湖(こ)に、ロシア極東のシベリアから約4千羽のハクチョウが飛来し、越冬している。 瓢湖を管理している市公園管理事務所によると、今年の初飛来は10月3日。昨年より4日ほど早かった。9割はコハクチョウで1割はオオハクチョウだという。来年2月下旬からシベリアへ戻りはじめ、3月中旬にはいなくなる。(山本裕之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北海道・東北の巨大地震、「原発の安全に津波の影響なし」 電力各社
川村剛志2021年12月21日 22時00分 北海道から東北にかけての太平洋沖で最大級の地震が起きると、原子力施設にはどれくらいの津波が押し寄せるのか。 内閣府は昨年4月、今回の被害想定に先立って、各地で想定される津波の高さの推計を示した。電力各社はこの推計に基づいて対策を進めている。 推計では、廃炉作業中の東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)には最大13・7メートルの津波が押し寄せる。核燃料が溶け落ちた1~3号機の地下などには、高濃度の汚染水がいまなお計約1万2千立方メートルたまっている。敷地が津波に襲われれば、汚染水が外に漏れ出る恐れがある。 このため、東電は海面からの高さ11メートルの予定で整備を進めていた防潮堤を、新たに最大16メートルに設計し直し、今年6月から建設を始めた。2023年度末の完成をめざす。また、原子炉建屋などの出入り口を密閉したり、水が入らない扉を設けたりする工事も対象127カ所のうち125カ所(今月15日時点)で完了したという。 東電福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)には、10・9メートルの津波が襲来するとされる。ただ、主要な施設は標高12メートルの高台にあり、震災後に防潮堤も設置したため、東電は、敷地の一部がわずかに浸水するくらいで、今年6月に始まった全4基の廃炉作業には大きな影響は出ないとみている。 再稼働をめざす東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)と、日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)で推計された津波の高さは、新規制基準に基づく審査で想定された津波の高さを下回った。 女川原発には最大11・7メートルの津波が来るとされたが、同原発は標高14メートルの高台にあるうえ、海面からの高さが最大29メートルある防潮堤の設置も進めている。東北電の担当者は「安全性に問題はない」と話す。東海第二原発を襲う津波の推計は5・0メートル。こちらも海面からの高さ20メートルの防潮堤が来年末には完成するという。(川村剛志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
非常扉に粘着テープ、容疑者宅からは計画示す?メモも 大阪ビル放火
大阪市北区の雑居ビル4階のクリニックで17日に発生した放火殺人事件で、クリニックの消火栓の扉や同じ階の非常扉に、開きにくくなるような工作が加えられていたことが捜査関係者への取材でわかった。容疑者の男の住宅から「消火栓をぬる」「放火殺人」と記したメモが見つかり、大阪府警は工作に男が関与した可能性があるとみている。 殺人などの疑いが持たれているのは住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)。 捜査関係者によると、事件後の現場検証で、クリニック内にある消火栓の開き扉の隙間に何かが塗られていたことが判明。また、4階の非常階段につづく扉が外側から粘着テープで目張りされていることにクリニックの院長が気づき、事件当日の朝に妻に伝えていたこともわかったという。 府警は、谷本容疑者が事件当時滞在していた大阪市西淀川区の3階建て住宅を家宅捜索し、「消火栓をぬる」などと記した手書きのメモを発見。クリニックで見つかった異状とメモの内容が重なるため、谷本容疑者が工作に関わった可能性があるとみている。火災時の避難経路を塞いだり、消火しにくくしたりした疑いがある。 室内の防犯カメラには事件時、逃げようと出入り口に向かう人の腕を谷本容疑者がつかもうとする様子が映っていたことも判明。多くの被害者を出すことを狙って計画的に放火したとみて調べる。 西淀川区の住宅からは、2019年の「京都アニメーション」放火殺人事件から2年になることに関する今年7月の新聞記事に加え、今年3月に徳島市で発生したアイドルライブ会場の雑居ビルでの放火事件を伝える記事も見つかった。これらの事件ではガソリンが使われた。 谷本容疑者が直近でこの住宅で生活していたのは1カ月間程度といい、これらの記事を持ち込んだ可能性がある。府警は、谷本容疑者が京アニ事件など過去の事件に強い関心を持ち、手口を模倣した恐れがあるとみている。 谷本容疑者は11月下旬、ガソリン約10リットルを住宅近くのガソリンスタンドで買っていたが、購入履歴から、使用目的について「バイクに使う」「トーチランプに入れる」などと申告していたことが分かった。バイクを所有していた形跡はなく、虚偽の説明でガソリンを入手した疑いがある。 この住宅から府警は液体の入った容量約2リットルの容器も発見、押収した。ガソリンとみて調べる。府警は、谷本容疑者が購入した約10リットルを分け、ビル火災当日はガソリン入り容器を紙袋に入れ、自転車に積んで運んだとみている。 府警によると、二つの火災現場からは油分が検出された。鑑定でガソリンの可能性が高いという。 府警は21日、事件で意識不明になっていた20代とみられる女性が死亡したと発表した。事件の死者は25人になった。 谷本容疑者はビル火災現場から救急搬送され、重度の一酸化炭素中毒などで重篤な状態が続いている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「漫画村」に広告掲載は「違法行為への幇助」 広告会社に賠償命令
村上友里2021年12月21日 20時31分 国内最大級の海賊版サイトといわれた「漫画村」(2018年に閉鎖)に広告を出していた広告会社2社に対し、サイトに無断で漫画を掲載された漫画家の赤松健さんが損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。田中孝一裁判長は「被告の2社はサイトが著作権侵害をしていると予見でき、違法行為への幇助(ほうじょ)は回避できた」と認め、請求通り2社に1100万円の支払いを命じた。 赤松さんの代理人弁護士によると、違法な海賊版サイトに広告を出す広告事業主に賠償責任が認められるのは異例という。 判決は、広告業界団体が2017年から広告掲載先から違法サイトを排除する取り組みを始めたことをふまえ、被告の2社が「著作権侵害を予見できた」と判断。そのうえで、漫画村の運営者が著作権者の許諾を得ているかを調べる注意義務を2社が負っていた、と指摘した。 さらに、漫画村の運営が広告事業主からの広告料収入に頼っていたことを受け、2社が「著作権侵害を補助した」とも認定した。 赤松さんの漫画が同年に無断掲載されたことについては、「消費者の購買意欲が低下し、正規品の売り上げが低下した」とした。(村上友里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄の米海兵隊上等兵が酒気帯び運転容疑 逮捕後に釈放、任意捜査に
木村司2021年12月21日 17時00分(2021年12月21日 20時48分更新) 沖縄県警は21日、米海兵隊基地キャンプ・ハンセン所属の上等兵(25)を道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。「間違いない」と容疑を認めているという。県警はその後上等兵を釈放し、今後任意で捜査を進める。 沖縄署によると、20日午後11時50分ごろ、北谷町美浜1丁目の国道58号で酒気を帯びて車を運転した疑いがある。呼気からは基準値の約4・5倍のアルコール分が検出された。同乗者もハンセン所属の米兵で、酒を飲んでいたという。 ハンセンでは20日までの6日間で186人の新型コロナウイルスの感染が確認され、基地従業員ら4人にオミクロン株感染も判明。玉城デニー知事が20日夕の会見で、ハンセンに勤務する全ての軍人軍属の基地外への外出禁止を米側に求めると表明していた。(木村司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山口県幹部、衆院選で自民候補の後援会勧誘 県警が聴取
10月31日投開票の衆院選山口3区の選挙運動をめぐり、山口県の幹部職員が所属部署の部下に対し、自民党候補の後援会への入会を要請していたことが、県関係者らへの取材でわかった。 公務員がその地位を利用し、特定の候補の後援団体に勧誘したり、勧誘させたりする行為を禁じた公職選挙法に違反する疑いがあるとみて、県警や山口地検が幹部職員らを任意で事情聴取している。この選挙では、自民党の林芳正・現外相が当選した。 複数の県関係者によると、自民党候補者の後援会への勧誘は、少なくとも参院山口選挙区の補欠選挙(10月24日投開票)でも行われたという。県庁や出先機関にある複数の部署で、幹部職員が後援会の入会申込書を部下に手渡し、記入を要請していた。 参院補選で上司から申込書を受け取ったという県職員のひとりは、勤務時間中に職場内で呼び出され、手渡されたと証言。申込書には、名前や住所、連絡先を記入する欄があったという。 また、別の県関係者は「後援… この記事は会員記事です。残り273文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「電車の犯罪許さない」刺傷事件の京王線、走る電車使った訓練
岩田恵実2021年12月21日 18時26分 【動画】京王線で対処訓練=岩田恵実撮影 小田急線と京王線の電車内で相次いだ乗客の刺傷事件を受け、京王電鉄は21日、警視庁とともにこの種の事件を想定した対処の訓練をした。 京王線では10月、東京都調布市を走る電車で乗客が刃物で刺され、車両に火を放たれた。乗客17人がけがを負った。 この日の訓練は、笹塚(渋谷区)と新宿(新宿区)の間を走る電車内で同様の事件が起きたという想定だった。まず、車掌が通報装置を通じて乗客から事情を聴き、駅員に概要を説明。その上で電車を新宿駅に止め、乗客を避難させた。警察官は消火器や盾を持ってホームで電車を待ち構え、数人がかりで容疑者役を取り押さえた。 京王電鉄が事件後にこうした訓練をするのは初めて。警視庁新宿署の向出和雄地域課長は「年末年始を控えて人流が増える。電車の犯罪を許さないとの姿勢で、鉄道会社と連携し、警戒を徹底する」と話した。(岩田恵実) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル