死者・行方不明者が27人に上った静岡県熱海市の土石流災害を受け、国土交通省は、盛り土の規制を強化する方針を固めた。一定規模以上の盛り土を知事の許可制にするなど、自治体の権限を強化する。来年の通常国会での法案提出を目指し、議論を進めている。 熱海市では、土石流の起点付近にあった大規模な盛り土が被害を大きくしたとされる。盛り土による被害は全国で相次いでいるが、一律に規制する法律はなく、全国知事会などが法整備を求めていた。 そこで国交省は、現在面積が500平方メートル以上などの宅地造成にしか適用できない宅地造成等規制法など関連法の改正を検討。知事が盛り土の造成で危険が高まる恐れがあると定める区域内で、一定規模以上の盛り土や切り土をする場合、知事の許可が必要とする。 さらに、造成業者には中間… この記事は会員記事です。残り373文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中村哲さん没後2年 干ばつに資金難…それでも、アフガンで続く支援
アフガニスタンで人道支援に尽くした医師、中村哲さんが73歳で凶弾に倒れてから4日で2年になる。中村さんを支え、ともに働いた人たちは、その意志を継いで現地での活動を続けている。イスラム主義勢力タリバンが権力を掌握。それに伴う米国による資産凍結、全土で深刻化する干ばつ……。試練が続くが、「命をつなぐことこそ最も重要」として、いっそうの支援を訴える。 中村さんを支えてきた福岡市のNGO「ペシャワール会」事務局。理事の藤田千代子さんは10月上旬、中村さんがアフガニスタンで率いたNGO「PMS(平和医療団・日本)」からメールで届いた数点の写真に言葉を失った。 乾いた大地 言葉をなくす干ばつの惨状 茶色く乾いた大地、枯れた草木、水の消えたカレーズ(伝統的な地下水路)が写っていた。各地から集まって中村さんのもとで用水路工事の訓練を受けた人たちが、それぞれの地元の干ばつの惨状を伝えた写真だった。 「中村先生は一貫して干ばつについて訴えてきた。井戸を掘り、用水路ができて緑がよみがえっても、『アフガニスタン全土でみれば、被害はずっと続いている。このことをみなさんに知ってほしい』と。いま生きていたら、きっと同じように言うでしょう」と藤田さんは話す。 人口の半分以上に食糧不安 不足する活動資金 国連世界食糧計画(WFP)も同月25日、アフガニスタンでこの冬に人口の半分以上の2280万人が深刻な食糧不安に陥るおそれがあり、そのうち870万人が緊急事態の飢餓に直面すると発表。「世界最大の人道危機になりつつある」と、国際社会に警鐘を鳴らしている。 PMSは、8月にタリバンが権力を掌握した後、活動を一時休止した。だが、10月上旬までに順次再開した。 PMSの目下の最大の課題は… この記事は会員記事です。残り917文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
イルカの親子、珍しい「長期滞在」 高知・柏島の海がお気に入り
笠原雅俊2021年12月4日 7時00分 透き通った海が広がる高知県大月町柏島に、イルカの親子が2年間滞在し、仲良く泳いでいる。今ではダイバーや観光客のアイドルになっており、住民たちは「エメラルドグリーンの海が気に入ったのでしょう」と見守る。 2019年11月、柏島港にひょっこり現れた。青い海をグングン泳ぎ、時々高くジャンプを繰り返した。その可愛らしい光景で瞬く間に、地元の保育園児や小学生の人気者になった。町観光協会の担当者は「県外からイルカはどこで見られるか、問い合わせがあります」と話す。 イルカの親子の写真を照合した西田美紀・人間環境大講師は、背びれの傷や特徴から「熊本県の天草で過去に撮影された個体と一致しました」と確認。天草の海から遠距離移動してきたことがわかった。 イルカに詳しい森阪匡通(ただみち)・三重大学大学院准教授(鯨類学)によると、母子イルカは「ミナミハンドウイルカ」。母は全長約2・4メートル、2歳半の子は約2メートル。伊豆諸島の御蔵島(東京)、小笠原諸島(東京)、天草の海に生息する。 穏やかな海と豊富な餌、ストレス少なく 「一つの湾や港にイルカが2年もの長い間、すみつくのは非常に珍しい」と森阪准教授。イルカが長期間すみ着いた例としては、御蔵島から利島(東京)へ移動して繁殖した例があるという。 柏島にすみ着いた理由として、荒天でも保護される穏やかな海▽餌が豊富でとりやすい▽ストレスがかかりにくい、などが考えられるという。 2頭の今後について、森阪准教授は「イルカ次第ですね。子イルカがあと1年ぐらいすると親離れの時期になる。近くにオスがいなければ、母イルカは子どもが産めないので、しばらくいるかもしれません」。 母子は今も、港で寄り添うように泳いでいる。海中に潜り、2、3分で海面に出る。休日には観光客が岸壁からスマホで撮影する光景が見られる。 町観光協会の平井千恵さんは「母イルカはダイバーにも人気。柏島にちなんで、お母さんを『カシワチャン』、子どもを『シマチャン』と呼んでいますよ」と話している。森阪准教授は「柏島にいる間は、イルカの親子をやさしく見守ってください」と話している。(笠原雅俊) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
光の祭典、今年は7カ所に分散 ルミナリエ代替事業、神戸で始まる
鈴木春香2021年12月3日 20時30分 阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂や復興を願う光の祭典「ルミナリエ」の代替事業が3日、神戸市で始まった。ルミナリエは新型コロナウイルスの影響で2年連続中止になり、代わりに過去の作品の一部を市内7カ所で展示している。点灯は日没から午後9時ごろ、12日まで。 神戸ルミナリエ組織委員会が「ロソーネまちなかミュージアム」として、東遊園地や中華街の南京町などに、ロソーネ(バラ窓)と呼ばれる直径約3メートルの装飾を設置している。例年は光の回廊「ガレリア」の最終地点に置かれている飾りだ。組織委によると、1995~2019年に使われた九つを再現し、イタリアの工房から空輸した。それぞれデザインに合わせ「希望」「繁栄」といった作品名がつけられている。 コロナ禍での密を避けるため装飾を分散させ、点灯式もなくした。東遊園地にあるガス灯「1・17希望の灯(あか)り」周辺には、昨年の代替事業で寄贈された作品「希望のアーチ」も展示されている。(鈴木春香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学校法人の最高機関・理事会を格下げ 有識者会議案に私大が猛反発
私立大で不祥事が相次いだことを受け、学校法人のガバナンス(統治)強化策を検討してきた文部科学省の有識者会議が3日、最終報告書をまとめた。最高議決機関である理事会が、教職員など学内関係者が中心となっていることで機能不全に陥っていると指摘。評議員会を学外の人だけでつくる組織に変え、最高議決機関に「格上げ」するよう求めている。ただ、私立大側は強く反発しており、文科省が作成する法案にこの案がそのまま反映されるかは不透明だ。 「報告書通りに法令が改正されれば、日本大学のような事件は起きづらくなるはずだ」。報告書をまとめた「学校法人ガバナンス改革会議」の座長を務めた増田宏一・元日本公認会計士協会会長は3日の会議終了後、取材にそう語った。 現行制度では、理事会が最高議決機関で、評議員会が理事長の諮問機関となっている。報告書は、①評議員会を最高監督・議決機関にして、事業計画、予算、他大学との合併など重要事項を決める権限を与える②評議員は学外者のみで構成する③理事や監事の選任・解任は評議員会が行う④学校法人の規則を定めた「寄付行為」の名称を「定款」に変更する――などの点を盛り込んだ法改正を求めている。 理事会の権限の大幅な縮小を打ち出した改革会議は、日大アメフト部による悪質タックル問題や東京医科大などによる医学部の入試不正など、私立大で不祥事が続いたことを受けて設置された。一連の不祥事では理事会などのガバナンス不全が問題視された。 私大連盟「経営と教育研究の発展を阻害」 私立大は国から各校合計で年… この記事は会員記事です。残り1539文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ふるさと納税3千万円で姫路城の主に 「体験」を返礼品に追加
2021年12月3日 21時00分 兵庫県姫路市は3日、世界遺産・姫路城の「城主」体験を返礼品に加えたふるさと納税の募集を始めた。一般公開が終わる午後5時以降、城主になれる。 甲冑(かっちゅう)姿の「家来」が城を守る実演を眺めたり、学者の解説で城内を回ったり。宿泊はホテルだが、食事は江戸時代の城主の食事を現代風に再現する。 市内への「お国入り」には専用ヘリを予定。ただ、城主になるには3千万円以上の寄付が必要。先着2人。城主にふさわしい財力を持つ人はいるのか。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高知地検、香南市課長の起訴取り消し 談合めぐり立証困難と判断か
会員記事 冨田悦央、谷瞳児 森下裕介2021年12月3日 21時21分 高知県香南(こうなん)市が発注した市営団地の解体工事を巡り、高知地検は3日、官製談合防止法違反などの罪で起訴した市住宅管財課長の村山敦さん(58)=起訴休職=の起訴を取り消し、発表した。村山さんの関与を認めたとされる元市議の供述などを吟味し、有罪の立証が困難と判断したとみられる。地検は、村山さんを起訴後、勾留を取り消す異例の措置をとっていた。 地検の起訴取り消しを受け、高知地裁は同日、公訴棄却を決定した。 村山さんは昨年12月、元市議の志磨村公夫被告(61)に最低制限価格に近い額を教え、建設会社元社長の北代達也被告(53)に落札させたとして、今年9月に官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された。準抗告が認められ、いったん釈放されたが、地検が同じ容疑で逮捕し、起訴した。 だが、地検は11月、志磨村被告の供述内容などを吟味した上で、村山さんの勾留の取り消しを高知地裁に請求し、釈放した。村山さんは釈放後の記者会見で「(最低制限価格を)聞かれたことも言ったこともない。入札妨害もしていない」と無罪を訴えていた。 弁護人の市川耕士弁護士は「無実の村山さんへの違法捜査が明らかになった。検察庁には起訴取り消しに至る経緯や理由を説明すべき責任がある」とのコメントを出した。 事件を巡っては、志磨村被告と北代被告も公契約関係競売入札妨害などの罪で起訴された。地検は、村山さんから最低制限価格に近い額を教わったとする両被告の起訴内容を「市職員から教わった」などと変更することを、高知地裁に請求したことも明かした。(冨田悦央、谷瞳児) 具体的理由 地検は説明せず 「大変遺憾(いかん)だ」… この記事は会員記事です。残り1090文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
三笠の道路陥没、7年前も路面沈下 北海道調査せず埋め戻す
榧場勇太2021年12月3日 21時30分 北海道三笠市本町の道道岩見沢桂沢線で11月、陥没した穴に車が転落して3人が重軽傷を負った事故で、7年前もほぼ同じ場所で路面が沈み、道が空洞の存在を把握していたことが3日分かった。道は当時、原因の調査を行わないまま空洞を埋め戻していた。 道によると2014年3月、パトロール中に路面沈下を発見し、舗装の下を調べたところ、深さ2・1メートル、幅1・2メートル、長さ1・9メートルの空洞が見つかった。 道は空洞を砂利などで埋め戻し、鉄板を設置して補強。約5カ月後に調べたところ陥没などはなかったため、鉄板を除去して舗装を元に戻した。空洞が発生した原因は調査しなかった。 今年11月の事故後の道の調査では、現場の地下12メートル付近に古いコンクリート製排水管があり、そこへ土砂が流れ込んで陥没が発生した可能性がある。排水管はかつて炭鉱で使用されたとみられている。(榧場勇太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
横浜の病院に運ばれた38歳、暴行され?死亡 打撲痕や刺し傷
2021年12月3日 22時14分 3日午後4時25分ごろ、横浜市中区本牧町1丁目の病院の職員から「男性患者が運ばれてきた」と110番通報があった。神奈川県警によると、運ばれたのは住所職業不詳、北川典聖(のりまさ)さん(38)で、顔に打撲痕があり、別の病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。暴力団対策課が、傷害致死や殺人容疑を視野に捜査する。 同課によると、同日午後3時半ごろ、車に乗った男が、意識不明の北川さんを運んできたため、病院職員が対応した。職員は110番通報の際、「30代くらいの男が『自分で殴って刺した』と言っている」と説明。消防には打撲のほか腕に刺し傷があると通報があった。 同課によると、男は車で立ち去ったといい、北川さんが別の場所で暴行されたとみている。北川さんが運ばれた際、付近には複数台の車に乗った複数人の男がいたという情報もあるという。 現場は横浜市中区にある山下公園の南東約1・5キロの道路沿い。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
睡眠薬混入の小林化工、製薬設備をサワイに譲渡 従業員の大半も
会員記事 野口陽、小田健司、堀川敬部2021年12月3日 21時52分 水虫など皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤を混入させて問題となった後発薬中堅の小林化工(福井県)が3日、薬の生産設備を全て同業大手のサワイグループホールディングス(HD)に譲渡すると発表した。小林化工は製薬事業を事実上停止し、成分が誤混入した飲み薬で健康被害が出た人への補償などを続ける。 サワイグループHDは、傘下に新会社を設立。小林化工の生産工場や研究所などを来年3月までに譲り受ける。譲渡額は公表していない。小林化工の従業員約600人のうち、製造担当の最大約500人は同4月にサワイ側に移る。 譲渡される工場では、小林化工が生産してきた薬は製造せず、サワイ傘下の沢井製薬の薬をつくる。小林化工は引き続きオリックスの子会社として存続する。 後発薬は、大手で不祥事が相… この記事は会員記事です。残り1085文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル